Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

call + O + C, each + 単数形(世界で最も危険な鳥)

今回の実例は、範囲としては「中学英語」になる。簡単な項目だが、こういった基本の確認はないがしろにせずにやっていきたい。

記事はこちら。掲載はガーディアンだが、中身はAP (Associated Press) の配信記事である(ガーディアンの記者が取材して書いているわけではない): 

www.theguardian.com

 

見出しにある "cassowary" は、日本語にすると「ヒクイドリ」。「世界で一番危険な鳥」として日本語圏でもかなり広く知られており、ネット検索すると、興味をそそるようにまとめられたウェブページなどがたくさん見つかるので、記事を読む前に予備知識を入れておきたいという場合は、検索してみてほしい。

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過去完了の受動態、so ~ that ... 構文(パリ、ノートルダム大聖堂の火災で崩落した尖塔と屋根について)

今回の実例も、昨日のと同じ、パリのノートルダム大聖堂の火災を報じる記事から。

www.theguardian.com

ガーディアンはこの火災を、live-blogの形式で、情報が入ってくる都度伝えていたのだが、昨日と今日参照する報道記事は、その都度報道を踏まえて紙面に掲載する形でまとめた大きな記事で、たいへんに分量があるし、情報量も多い。

その中から、今回崩落した尖塔や、ほとんど消失した屋根についての説明の部分を見てみよう。

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consider + O + to do ~, 完了不定詞, to不定詞の受動態, 接続詞のas, stop ~ from -ing(パリ、ノートルダム大聖堂の火災)

今回の実例は、日本時間で今日未明に「速報」で飛び込んできたフランス、パリのノートルダム大聖堂*1の火災のニュースから。

この大聖堂は中世に起源をもつ建物で、燃えている最中は「800年の歴史が失われる」という悲鳴がTwitter上の英語圏を覆っていた。だがメインの構造物は持ちこたえたと消防当局が発表しているし、鎮火した時点でメディアに出ている写真などで確認できる限り、建物の内部への延焼も食い止められているようだ(消防隊のGJ)。

実際、建物自体は石造だが、屋根が木造で、激しく燃えていたのはその木造の構造物だった。高熱にさらされた大聖堂の真ん中らへんにある尖塔(19世紀の大規模修復の際に復元されたもので、「中世からずっとそこにあるもの」ではない)はかなり早い段階で崩落したが、その下の建物自体は残った。

そのことを前提に、今回の実例の部分を見ていこう。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

*1:日本語では「大聖堂」のほか、「ノートルダム寺院」「ノートルダム聖堂」という表現もあるが、カトリック司教座聖堂なので「大聖堂」が適切だろう。

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現在完了の受動態, force ... to do ~, to不定詞の受動態(アジアのステレオタイプ)

今回の実例は、広告と人種(民族)偏見についてのニュース記事から。

最近、日本のネットでドイツの企業の、悪趣味で、なおかつめちゃくちゃな理屈で正当化された広告が「これはひどい」と物議をかもしていたが、同じころ、グローバルに展開するファストフード・チェーンの「バーガーキング」ニュージーランドSNSアカウントにアップされたCMが、見事なまでにやらかしていたことで、ちょっとした騒ぎになっていた。

 

記事はこちら: 

www.theguardian.com

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so ~ that ... 構文、if節(名詞節)、語彙(再掲)

※この記事は、2019年1月にこのブログを開設したころにまとめて投稿したいくつかの記事のひとつである。開設時の記事はほとんど閲覧されていないので、重要事項の実例として改めて見ておいていただきたく、ここにコピーして再掲しておこう。

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今日の実例は、アメリカの新聞、The New York TimesTwitterから。報道内容は、現在進行中のロバート・ムラー*1特別検察官による、2016年の米大統領選挙におけるロシアの干渉についての捜査に関連したもの。(日本では報道が薄いかもしれないが、アメリカの大手メディアの多くは、連日、この捜査に関連したニュースを扱っている。)

……といっても、捜査の内容を知らなければ理解できないような文面ではない。むしろ、この文面の中に「自分は知らないこと(人名など)」があったら、それを意に介さずに構文を取ることができるかどうか、大まかな文意が取れるかどうかがポイントだ。

 

*1:ムエラー、モラーなど、カタカナ表記は何種類もある。

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やや長い文, 接続詞のas, 挿入, stop ~ from -ing (リビア情勢)

今回の実例は、Twitterから。元から情勢が安定していたとは言えないリビアで、4月上旬に武装組織を率いる将軍が首都に向かって進軍し、急激に緊迫度が増したときのニュース系のフィード。

日本語でもしっかり報道されているので、何が起きているか把握するには日本語の報道を見てみるのがよいだろう。例えば: 

mainichi.jp

 

ツイート主のリーアム・スタックさんは米ニューヨーク・タイムズの記者で、2011年から12年、いわゆる「アラブの春」の時期にエジプトのカイロ支局で中東特派員として仕事をしていた。当然、リビア情勢も詳しく見ており、仕事の場を米国に移したあとも中東情勢を伝えている記者である。

 

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挿入, 比較級 + than ever, whyの節, 前置詞+動名詞, 関係代名詞の非制限用法(テリーザ・メイと保守党)

今回も実例は、Brexitをめぐるロイターの報道記事から、少々長たらしい文だが、まずは構造を正確につかむことが必要だ。

uk.reuters.com

 

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to不定詞の副詞的用法, 関係代名詞のwhat, try to do ~, those who ~(北アイルランド和平合意から21年)

今回の実例は、Twitterから。

21年前の昨日、1998年4月10日(現地時間)に、北アイルランド紛争終結させ、北アイルランドについて英国とアイルランド共和国の双方が主体的に関わっていくという枠組みを作った和平合意が、長い長い交渉の末、両国政府と北アイルランドの各政党・政治集団の代表者によって署名された。正式には「北アイルランド和平合意」「ベルファスト合意」と言うが、署名された日が聖金曜日だったことにちなんだ「グッドフライデー合意」(略称はGFA)の名称がよく使われている。

ただし、現在ニュースに出てくることが多い北アイルランドの政党DUPは、この合意締結に反対していたので、交渉の席にいなかった。ざっくり言えばDUPは今でもこの合意に賛成していない、というスタンスを取っている。

合意の文面は誰でも読めるようになっているし、長いものではないので、関心がある方はご一読されたい(ただし、法的文書なので、読みやすいものではない)。

peacemaker.un.org

翻ってこんにち、アイルランドの北部6州(北アイルランド)とそのほかの26州(アイルランド共和国)の間の自由な往来(ボーダー、境界線)をめぐることを主因として、よくわからないカオスになっている英国のEU離脱が、元々の予定期日の3月29日を過ぎて延長されている。

そして4月10日は、英国のメイ首相がさらなる延長を求めてEU各国の首脳と話し合いを行なうことになっていた。その結果、10月末までの延長が決まったのだが、その話し合いが始まる前に、EUBrexit関連問題担当の代表者となっているヒー・フェルホフスタット氏(元ベルギー首相)が、GFAについて次のようなツイートをしていた。添付されている画像は、21年前に交渉当事者たちによって署名がなされた合意文書の表紙の写真である。

 

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the + 比較級 ~, the + 比較級 …と劣勢比較の合わせ技、「時間がかかる」の表現、to不定詞の形容詞的用法(いつまで続く、Brexit騒動)

今回の実例は、そろそろ「300年が経過してもまだやってるんじゃないか」と思われるようになってきたBrexitについてのニュースから、文法項目はつい2日前に見たのと同じ比較級の構文と、さらにその数日前に見た劣勢比較の合わせ技。

この合わせ技を使いこなせるようにしておくと、英作文のときも自由度がぐんと高まる。

というのは、ジョージ・オーウェル1984年』の「ニュースピーク」ではないが、ある形容詞・副詞の対義語を知らなくても否定語をつければ反対の意味を表せる(例えば「ハーゲンダッツのアイスクリームを2割引の日に買わなかったというささいなことが彼を激怒させた」の「ささいな」を知らなくても、「重要でない」と言えば、言いたいことは伝わる)わけで、劣勢比較のlessを使えば、適切な単語を知らない場合でも「~すればするほどますます…でなくなる」と表現することができるからだ。実際、大学入試の自由英作文で「住民が増えれば増えるほど、ひとりひとりの一票の重要性が減る」といったことを表現する必要が出てくることは多くあり、そのときに今回見るような表現を自分で使えるようにしておくことは非常に大きな助けになるだろう。

 

記事はこちら。記事の見出しは普通の《the + 比較級 ~, the + 比較級 …》だが、リード文(見出しの下にある部分)に劣勢比較との合わせ技が出てきている: 

uk.reuters.com

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be followed by ~, 接続詞のas, begin -ing, try to do ~(ルワンダのジェノサイド発生から25年)

今回の実例は、ルワンダのジェノサイドの始まりから25年(四半世紀)の節目に行われた式典についての報道記事から、25年前に何が起きたのかを解説する部分から。

 

「ジェノサイド」は、ギリシャ語で「民族、種族」を表すγενοσと、ラテン語で「~を殺す」を意味する-cideという接尾辞から成る合成語で、民族や種族の抹殺を意図した行為をいう。第二次世界大戦後に導入された考え方で、ナチスによるユダヤ人絶滅(ホロコースト)や、旧ユーゴスラヴィア解体・ボスニア内戦の際の民族浄化スーダンにおけるダルフール紛争などがジェノサイドにあたると認定されているが、その中でも現代において最も深刻なケースだったのが、1994年のルワンダでのジェノサイドである。

25年前に何があったのか、詳細は、本エントリ末尾の書籍リストに譲るとして、記事はこちら: 

uk.reuters.com

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the + 比較級 ~, the + 比較級 …(あまりにデタラメなBrexit)

今回の実例はTwitterから。ツイート主は、ラジオで市井の人々の声を聞き、意見を交わす番組をやっているジャーナリストである。

 

日本でどのくらい伝えられているのかを私は知らないが、英国のEU離脱Brexit)は本当にめちゃくちゃである。「議会で議員たちが意見を一致させることができない」「首相が何度もしつこく同じ合意案を議会に諮っている」といったことだけではない。そもそも「離脱」という結論に至った2016年6月の国民投票に際し、「離脱」派のキャンペーンが、嘘ありデマあり誇張あり、さらには違法行為(選挙法違反)あり、出所不明の資金あり……と、とてもじゃないがまともな投票とは言えないようなものだったことが、事実として確定してきている。通常の選挙だったら、投票結果が無効になっていただろう。

Brexitに関してそういうことになっていないのは、元々この国民投票が法的拘束力を伴うものとして行われていなかったからだ。

つまり、2016年の国民投票を行ったキャメロン政権は、投票結果を受けて「貴重なご意見、ありがとうございました。今後の政策に反映させていただきます」的な対応をしても、法的には問題なかった。キャメロンがそうしなかったのは、投票結果は受け入れると約束していたからであり、また「投票結果は参考にさせていただきます」ということをしたら保守党がばらばらになってしまうと考えていたからだ。

それならばなぜ、この投票を法的拘束力のあるものにして、不正があれば結果は無効にできるようにしておかなかったのかという疑問も出るが、投票が行われるまで、キャメロンも保守党の当時の主流派も官僚たちも、「離脱」という結果がでるとは考えていなかったのだ。

最初がそんなふうだったBrexitは、ずーっとその調子のむちゃくちゃ&でたらめが続いている。今回実例として見るツイートは、そのような文脈にある。 

 

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if節のない仮定法、仮定法 (were to ~)、挿入、話法(再掲)

※この記事は、2019年1月にこのブログを開設したころにまとめて投稿したいくつかの記事のひとつである。開設時の記事はほとんど閲覧されていないので、重要事項の実例として改めて見ておいていただきたく、ここにコピーして再掲しておこう。

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今回見るのは*1イギリスのEU離脱についてのニュース。今回は政治家(ジェレミー・ハント外務大臣)の発言だ。この報道の時点では、テリーザ・メイ首相が国会に「EUとの合意案」を諮る採決の日を控えて、メイ首相の合意案を推す閣僚らが続々とTVやラジオで発言していた。この外務大臣の発言も、その中で行なわれたものだ。

www.theguardian.com

 

*1:「今回見るのは」ではなく「今回見るのも」か?

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動物を先行詞とする関係代名詞(主格)としてwhoが使われる場合, 関係代名詞の非制限的用法(わんこの鉄道一人旅)

今回の実例は、アイルランド鉄道(アイルランド国鉄)のTwitterから。トピックは動物が先行詞になっている場合の関係代名詞で、2月に当ブログで取り上げたベルファスト動物園でのチンパンジー大脱走で見たこととかぶる。実に、アイルランドは事実上「わくわく動物ランド」である。

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分数の表し方、劣勢比較(失われていく生物多様性と人間の生活)

今回の実例は環境問題についての報道記事から。英語圏ではここ数か月、生物多様性の危機についての記事をよく見るが、これもそのひとつで、生物多様性が失われていくことが人間の食糧問題に直結することを指摘している。

www.theguardian.com

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would rather do ~ than do ..., have + O + 過去分詞(Brexit混乱を助長してきた北アイルランドの政党DUPのびっくり発言)

今回の実例は、2019年3月末に混迷を極めていたBrexit情勢の一コマを伝える(というか、報道直後、全英を唖然とさせた)報道記事から。

記事に出てくるDUPとは、北アイルランドの政党 the Democratic Unionist Partyのことである。この政党名は日本語では「民主統一党」などと表されることが多いが、この表記はミスリーディングなので、「DUP」と表すほうがよいだろう(この党のいう「民主」の概念も「統一」の概念も、北アイルランドという背景を知らないと正確につかむことができない)。少なくともUnionistは「統一」ではなく「ユニオニスト連合王国の『連合』の維持を主張する人々)」のことである。

記事はこちら: 

www.belfasttelegraph.co.uk

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