Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

助動詞+have+過去分詞, prefer O to do ~, 接続詞though(エリザベス女王のステートメント)

今回の実例は、真の意味での「クイーンズ・イングリッシュ」から。といっても何か特別な言い回しがあったりするわけではない(と強調しておくのは、とにかく英文そのものを読んでもらいたいからだ)。

言うまでもないかもしれないが、今の英国(イギリス)の国家元首エリザベス女王で、次の国王となるのが息子(長男)のチャールズ皇太子、その次の国王となるのはその息子(長男)のウィリアム王子(ケンブリッジ公)である。なお、子供がたまたま男ばかりだが、英国の場合は(日本の皇室と違って)女性でも王位に就くことを邪魔されない(エリザベス女王を見ればわかる通り)。

ウィリアム王子にも子供(息子)がいるので、チャールズ皇太子やウィリアム王子の弟・妹たちは王位継承権という点では下位に位置する。つまり、将来英国王となる可能性は極めて低いという立場の王族たちだ。

チャールズ皇太子の弟が、昨今性犯罪が注目されているアンドルー王子(ヨーク公)と、エドワード王子(ウェセックス伯)。ウィリアム王子の弟がハリー王子(サセックス公ヘンリー)である。

そのハリー王子が、王族のシニア・メンバーの地位を下りると突然宣言したのが1月8日。以降、英国のメディアは連日(イラン情勢やオーストラリアの火災といったニュースと同時に)その話をしている状態で、ノイズも根拠不明なゴシップもとても多いようだ(あんまり見てないからよく知らない)。

そういう感じで何日か過ぎたあと、1月13日に王室のシニア・メンバーたち(つまり女王、皇太子、ウィリアム王子)とハリー王子が直接、女王の私邸であるサンドリンガム・ハウス(イングランドノーフォーク州)で会って話し合いをした。その話し合いが終わったところで、エリザベス女王ステートメントを出した。今回の実例はそこから。記事はこちら: 

www.theguardian.com

「上流階級調のイギリス英語」のことを俗に「クイーンズ・イングリッシュ」と言うが、今回のこのステートメントは女王名義なので、文字通りのクイーンズ・イングリッシュである。

といっても、特に何か特徴的な言い回しがあるわけではない(大事なことなので二度言いました)。普通に大学受験生が知っているような文法の知識で読める英文である。

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等位接続詞によるthat節の繰り返し、時制の一致、過去分詞の分詞構文(ハリー王子とメーガン妃に赤ちゃんが生まれた)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。再掲するタイミングで、実際のニュースではかなり予想外のことが起きているが、それはそれとして、「自然な英語」の実例として「こんな日々もあった」的に読んでいただければと思う。

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今回の実例は、英国のサセックス公ご夫妻の第一子誕生のニュース記事から。

サセックス公(公爵)」はハリー王子のことで、「サセックス公(公爵)婦人」はメーガン妃のこと。ちなみに日本語の報道では「メーガン妃」と表すことになっているらしいが、英語の報道では*1名前を使うときはMeghan, Meghan Markle(結婚前の名前そのまま)で、肩書を使うときはDuchess of Sussexと表す。これはハリー王子の兄であるウィリアム王子夫妻でも同じで、英語圏の報道での用語を一覧表にすると下記のようになる。 

ウィリアム王子 Prince William ケンブリッジ公爵 Duke of Cambridge
キャサリン妃 Kate*2 Middleton, Kate ケンブリッジ公爵夫人 Duchess of Cambridge
ハリー王子 Prince Harry*3 サセックス公爵 Duke of Sussex
メーガン妃 Meghan Markle, Meghan サセックス公爵夫人 Duchess of Sussex

 

というわけで、今回のロイヤルベイビー誕生のニュース、BBCのヘッドラインはこんなふう。

www.bbc.com

 

ハリー王子が直接、TVカメラの前で、「男の子です」「名前はまだ考え中です」「出産に立ち会っていたんですが、女の人ってほんとすごいですよね、ああいうこと(出産の痛みに耐えること)ができてしまうんだから」といったことを、喜びを率直に表しながら語っている映像クリップを、BBC NewsのTwitterアカウント(のひとつ)がフィードしている。後ろにいるお馬さんたちも何かはしゃいでいる。 

*1:より正式な文書ではこの限りではないかもしれない。

*2:KateはCatherineの愛称だから、日本語では「キャサリン」と表されるようだが、英語では彼女のことをCatherineと呼んでいる報道記事を見たことはない。

*3:この方はほんとはHenryという名前だが、愛称のHarryが使われている。

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keep ~ from -ingと、その言い換え, to不定詞の意味上の主語(モラー特別捜査官と司法省)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。大学入試でも頻出の項目がまとめて出てきているので、確認のつもりで読んでみてもらいたい。

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今回の実例はTwitterから。

2016年大統領選挙にロシアが介入したのではという疑惑に関するロバート・モラー特別検察官の捜査報告書。当初報告書そのものは開示されず、バー司法長官が要旨的なものだけを「まとめ」の形にして発表した。その「まとめ」が、トランプ陣営とロシアとの関係に問題があるとしてきた人々には不本意なものだったことがかなりの騒ぎを引き起こしていたが、その時点でさえ、「問題がある」としてきた側の人々の声がある程度小さく抑えられていたのは、ひとつには、当のモラー特別検察官がバー司法長官の「まとめ」に関して異議申し立てのようなことをしていなかったためだ。

しかしこの「モラー特別検察官はバー司法長官の『まとめ』を容認していた」というのが、4月末にひっくり返された。

長官が3月に捜査の主な結論として4ページの書簡を発表した後、モラー氏はバー氏に連絡を取り、不満を表明していた。司法省が4月30日遅く、この事実を認めた。バー氏は5月1日、上院司法委員会が開く公聴会で証言する。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-01/PQTLO9SYF01T01

 ……というタイミングでの英語圏でのTwitterより、2件。ちなみに、1件目のアカウント、Noah Shachtman は、2件目のアカウント、The Daily Beast(媒体名)の編集長である。

 

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「~が…することを妨げる(禁止する)」系の表現2つ: 《ニュアンス》の違いを知ろう(日本の天皇制)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。大学入試でも頻出の表現が重ねて確認できる実例だ。ざっと目を通して意味が取れるかどうかという観点で見てもらえればと思う。

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今回の実例は、新天皇即位を報じるBBC Newsの記事に含まれていた「~が…することを妨げる」系の表現2つ。

記事はこちら: 

www.bbc.com

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最上級と所有格、【ボキャビル】take ~ for granted, affordなど(国連事務総長のツイート)

今回の実例は国連事務総長のツイートから。

2020年は、いきなり、米軍が大統領の命令でイランの革命防衛隊のクッズ(コッズ)部隊トップをイラクバグダードで爆殺するという、普通に考えてめちゃくちゃなことで幕をあけた。それが現地時間で2日夜のことで、そのあと数日間はどうやっても擁護のしようがないアメリカの行動を擁護する無理ゲーのプレイヤーたちの過剰で執拗な喚き声と、「アメリカとイランが一触即発」という緊張感に世界中が包まれていたが、9日の時点で、最終的には(と言ってよいと思う)双方がこれ以上の緊張悪化を望まないと言明するという形で、当面の危機は回避された。

web.archive.org

この流れ(衝突回避)が確定的になったとき、Twitterにはさまざまな発言が流れてきていたが、そのひとつが国連事務総長アントニオ・グテレス氏のものだった。

 

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引用符の使い方, 挿入, 過去分詞, 等位接続詞, やや長い文, 倍数表現と比較級など(ロシアと地球温暖化)

今回の実例は、気候変動とロシアについてのAFPの記事から。

AFPはフランスの通信社で、省略せずに書けばAgence France-Presseという。フランスの通信社だが記事はフランス語だけでなく英語など多言語で配信している。日本でもAFP BBという名前で日本語に翻訳した記事を出している。

「通信社」の記事は、個別の報道機関(新聞など)が対価を払って自分のところの紙面やサイトに掲載するものだが、英語圏のメディアで、AFPの記事は、ロイターなど英語圏の記事と同じくらいよく見かける。今回のは英ガーディアン紙のサイトに掲載されていたAFPの記事である。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

ロシアのプーチン政権は「人為的な原因による気候変動」という事実を認めようとしない困った政権のひとつであるが、それが今回、地球温暖化を問題であると認識したというニュースだ。ただし、「温暖化の利点」に注目しているのだという。「ああ、そっちですか……」ということで頭がくらくらするが、ともあれ、記事を見てみよう。

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やや長い文, 同格, 分詞の後置修飾, 等位接続詞, 関係代名詞の非制限用法など(オーストラリアの森林火災と首相)

今回の実例も、前々回前回と同じ記事から。

オーストラリアの大陸全体に広がった今回の火災は、11月に始まり(起点を9月とする見方もある)、今もまだ燃えている。これまでに燃えた区域を立体的にマッピングしたものが(一部、誤って「NASAが撮影した写真」とキャプションをつけられて)Twitterなどネットで話題になり拡散している。

この火災により、大量の二酸化炭素などが出て、野生動物の棲息場所・食料となる緑が失われた。

野生動物の被害はものすごい規模になっていると考えられている。火傷を負ったコアラが通りすがりの女性に助けられ、動物病院に連れていかれ、「ルイス」と名前もつけてもらって可愛がられ、手当を受けていたが、回復する兆しがない*1ことから安楽死させられたことがニュースになったのは11月末、もう1か月以上も前のことだ。

www.news.com.au

野生動物だけでなく、人間も住処を追われ、絶対安全な場所といえば水辺だということで水辺に避難してきているような状態だが、この期に及んでまだオーストラリアの政治リーダーたちに危機感は薄いという。日本でもすさまじい規模の台風が相次いで首都圏を襲っても政治リーダーの危機感はとても薄くて、人々は怒り、また呆れていたが、オーストラリアも似たようなもの、というかもっとひどいようだ。

というわけで今回の実例は、 前々回前回と同じ記事から、その政治リーダーの危機感のなさを指摘した部分から。

*1:火傷は大変。京都でアニメーション制作会社に放火し、自身もひどい火傷を負った容疑者が話ができるようになるまでに何か月もかかっていたが、あのケースは容疑者の治療に当たった医師・看護師の尽力がすばらしかったのだと思う。

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英語での引用符の使い方, 長い文, 年齢の表し方, 【ボキャビル】limbo, 形容詞のturned(オーストラリアの森林火災で家から避難せざるを得ない人々)

今回の実例は、前回見たのと同じ記事から。

前回、というか昨日は、西洋の英語圏では実質年末年始の休みムード明けで*1アメリカのエンタメ業界ではゴールデン・グローブ賞の授賞式があったのだが、その場でオーストラリア出身のスターであるラッセル・クロウ(TVドラマの部門で主演男優賞を受賞している)が、今のオーストラリアの大火は地球規模の気候変動と密接に関連しているというスピーチを行ったとして、ガーディアンのニュースになっていた。

日本でも、6日の未明に超有名人がツイートしていたのが爆発的に話題になっていた。

 

オーストラリアは今の保守政権が人為的気候変動という事実を否定するスタンスに寄っていて、11月からずっと続いていて拡大するばかりの今回の火災について、「森林火災なら毎年起きている。気候変動との関連などない」という否認論を展開していたのだが、それを覆して気候変動と火災の関連を認める発言をスコット・モリソン首相が行ったのは、ようやくこの12月中旬のことだった。

www.news.com.au

グレタ・トゥーンベリさんがスピーチで "The problem now is that we need to wake up. It’s time to face the reality, the facts, the science." と述べて批判したのは、モリソン首相のように、人為的気候変動という事実・現実を認めようとしない政治的リーダーたちの態度だ。

 

さて、今回の記事は(前回と同じく)こちら: 

www.theguardian.com

*1:西洋では12月23日が「仕事納め」で、1月2日には普通にびしっと通常モードに戻るのがデフォだが、今年は2日が木曜、3日が金曜で、4日、5日が週末というカレンダーの都合上、いつもより長く「ゆるい」状態が続いていたため、6日にびしっと戻ってる感が高い。

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want ~ to do ..., いわゆる「Fワード」が新聞記事に出るとき(オーストラリアの原野・森林火災)

2020年になって最初の投稿*1は、オーストラリアですさまじい規模で広がり続けていて収束の気配すら見えてない様子の原野火災について、巻き込まれている人々(日本語ではおそらく「被災者」と呼ばれる人々)の様子を報告する特集記事から。

私はふだん、テレビを見ません。「テレビ」というメディアには関心を失ってしまっていて、うちにはTV受像機がなく、ワンセグ的なものがあったこともないので、テレビのニュースを見るという習慣はおろか、その環境すらありません(ネットでニュースクリップを見る程度のことはある)。だから、BBCやガーディアンなどを毎日ウェブで見ていて、国際的というか世界的に重大な出来事が報道されていても「これはどうせ日本ではろくに報道されてないんだろうな」と思うことはよくあります。

けれど、オーストラリアの原野・森林火災については、「ろくに報道されてない」ことはあっても「ほとんどor全然報道されてない」ということはないだろうと思ってたんですね。2019年秋にあれだけラグビーラグビーと騒いだ後だし、環太平洋でいろいろつながってるし、畜産・農産物輸入でのつながりも強いし、オーストラリアに留学している日本人も多いし、人の行き来もかなりある国です。

しかし実際には、大晦日から数日間、TVのある環境にいて、そしてその期間、ほぼずっとどこかでTVがついてて――とはいえドラマの一挙再放送とか駅伝とかサッカーとかにチャンネルが合ってることがほとんどだったし、イランのスレイマニ暗殺があったので、同じ部屋にいても私はずっとイヤフォンでBBC Newsを聞いてるみたいなことが多かったんだけど――、それでいて「オーストラリア」という単語をほぼ耳にしなかったのには、さすがに驚きました。ニュースは短いのを1日に1度くらいしか見てなかったとはいえ……。

一方で、オーストラリアが英語圏ということも影響しているに違いないのだけど、英語圏ではオーストラリアの未曽有の規模の火災は、この1か月ほど、連日トップニュースに入っているような大ニュースです。とはいえ「遠いどこかの国」の話でしかないという人も多いわけで、その規模の深刻さを示すために、いろいろな伝え方が工夫されてもいます。

ガーディアンがフィードしているこの画像では、ブリテン島とアイルランドに燃えている区域の面積を重ねて「ウェールズが丸ごと燃えてしまっている」といった情報を感覚的に伝えています。ここから私が日本に情報を引っ張ってくるとすれば、アイルランド島がだいたい北海道くらいの面積なので、北海道が半分以上燃えてしまっている、ということになります。欧州大陸ではさらに別の伝え方がされています(「ベルギーが全土焼失」のように)。

オーストラリアは人が住んでいない地域がものすごく広く、毎年この時期には原野・森林火災が発生しているというものの、今回がいつもと様子が異なるのは、人が住んでいる地域にまで火が広がっていること。今回みる記事は、そのような事情で家を追われた人に話を聞いて書かれた記事です。記事はこちら: 

www.theguardian.com

まず記事の見出しですが、「エデン (Eden)」という町に火が迫り、住民たちが脱出していることを伝えるために、「失われた楽園 (Paradise lost)」というキャッチフレーズをつけています。これは言うまでもなく、世界史の授業にも出てくるジョン・ミルトンの叙事詩、『失楽園 (Paradise Lost)』が物語っている旧約聖書の挿話を参照しているのですが、「エデン」という町での出来事を伝えるうえで、人々になじみ深い(人々が容易に連想できる)から使われているキャッチフレーズであって、宗教的な意味合いを持たせているわけではありません。

*1:1日から昨日までは過去記事の再掲でした。

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辞書代わりに機械翻訳を使うべからず: 「退位」の英訳をめぐって/英語がどーたら以前に文字情報として文字を扱う以上、知っておくべき表記ルール【再掲】

このエントリは、2019年5月の連休中にアップしたものの再掲である。たまたま偶然で、再掲のタイミングもお正月休みの最終日と重なったのだが、いつものような文法解説というより読み物になっている。

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今回は連休中なので省力モード。とりあえず、辞書の代わりに、Google翻訳やその類似のウェブサービスを使うのやめれ、という話。

Google翻訳などは辞書と違って訳語を1つしか示さないから、たくさんの中から選ばなくて済むから便利♪みたいに考えている人が多いらしいが(教育の敗北だ……)、そういう人は、そもそも辞書になぜ訳語がいっぱい並んでるんだと思う? というところからやり直しだ。

それと、Google翻訳のようなものは、「意味」をわかって訳語を提示しているわけではない。コンピューターは「意味」を理解しない。日本語の「熱い」を英語のhotに置き換えることはできても、その「熱い」の意味は理解していない。「そのお茶は淹れたてだから、飲むときは火傷しないように気をつけてね」ということなのか、「このスポーツはだんだん人気が出てきていて注目が集まっている」ということなのか、機械はわかっていない。

そういうものが、文脈なしで単語だけを処理するよう命令されたら、誠意があれば「どう処理してよいかわからない」と返すだろうが、Google翻訳を含む機械翻訳にはそんなものありゃしないので、人間にはどういう理由なのかわからないが何らかの理由で選んだ一語を提示する。それが、例えば「熱い hot」ではなく「高温だ at a high temperature」だった場合、「今、ボルダリングが熱い」と言うべき場面で、「今、ボルダリングが高温だ」と言ってしまうことになる。こうなってしまったときに「少なくとも誤訳ではない」ということを判断できない(あるいは確認できない)のなら、Google翻訳を含む機械翻訳は使うべきではない。機械翻訳は現状そのようなものでしかない。人間が理解するようには機械は言葉を理解しない。

というところで本題。

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長い文, 「~年ぶり」の表現, 前置詞following, 挿入, 過去分詞, 言い換え, 《同格》のthat節, 関係代名詞の非制限用法(新天皇即位)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。自由英作文で使いたいときに使えるようにしておきたい表現がいくつか入っているので、必要に応じてこれにならって自分でも英作文の練習をしてみるなどしてご活用いただきたい。

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今回の実例は、新天皇即位についての報道記事から。

今回の譲位については説明は不要だと思うが、英語圏でもそこそこビッグニュースとして関心を集めており、4月になってからは何度か解説記事を見かけたし、4月30日から5月1日にかけては、私が見た範囲、つまり英国のメディア*1では、トップニュースのひとつという扱いがなされていた。

ちょうど日本で日付が変わったころからベネズエラの「クーデター」*2のニュースが流れてきてて(結果は未遂というか不発に終わったけど……こういう不十分な政権転覆計画を大々的にやってしまうと、これからが大変ですね)、Twitter上では日本でテレビをつけてみたがどこも扱っていないという声がかなりいっぱいあって(うちはTVないんだけど、日本のTVが取り上げなかったのはわかる。成功しそうな気配ゼロでしたもん)、そのときにガーディアンのUK版とBBC Newsのキャプチャを取っていた。 

 

閑話休題。今回見る記事はこちら:  

www.theguardian.com

ちなみに、今度の天皇今上天皇)は英語では "Emperor Nahuhito" と呼ばれることになる。前の天皇(今上上皇)は "Emperor Akihito" だったし、その前の天皇昭和天皇)は "Emperor Hirohito" だった。このように、英語圏では一般に報道などに登場することの多い昭和以降の天皇元号ではなく名前で呼ばれる。

*1:私は基本的に米国のメディアは見ていないので、米国での様子はまったくわからないが。

*2:カギカッコつけて書かないと怒られるっぽいからカギカッコつけておく。

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現在完了進行形、分詞構文、分詞の後置修飾、挿入、《譲歩》のhowever(スリランカ、武装勢力リーダーの親族を警察が急襲)【再掲】

このエントリは、2019年4月にアップしたものの再掲である。1文に入っている情報量が多く、なかなか構造がつかみづらい実例だが、こういうのが「何となく単語をつなぎ合わせれば意味が取れるもの」のではなく、構造を把握することで意味を取るものだということがわかっているかどうかで、得点力に大きな差がつく。

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今回の実例は、4月21日のイースターサンデーにスリランカで発生した爆破テロに関する続報から。

あの卑劣極まりないテロから1週間が経過し、実行者や実行グループの背景なども明らかになってどんどん報道されてきているが、同時にスリランカ政府による捜査も進められている。スリランカは2009年まで内戦(国内の分離主義武装勢力による内乱)があって当局にノウハウがあるためか、こういう場合の「対テロ」捜査の進み方が早いようだ。

というわけで4月29日の記事: 

www.bbc.com

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倒置、長い文、関係代名詞、分詞構文(スペイン、極右政党が支持される理由)【再掲】

このエントリは、2019年4月にアップしたものの再掲である。がっつり目の英文読解が出題される大学を受験する人にとっては、直前の対策にかなり役立つ内容となっている。特に《倒置》は重要なポイントとなる。

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今回の実例は、4月28日(日)に投票が行われているスペインの総選挙について、英オブザーヴァー紙(ガーディアンの日曜)が取材・掲載した、投票直前の現地からの記事より。

スペインは1975年に独裁者フランコが死んで民主主義を回復したあと、中道右派中道左派の二大政党を中心に政治が動いてきたが、ここ数年、政治的にはかなりの激動があり、他の欧州諸国の多くと同じく「有権者の既存政党離れ」が進んでいる。少し前は新興勢力の左派政党「ポデモス Podemos」が注目を集めていたが、2019年の今は極右の「ボクス Vox」が関心の的となっている。フランコ独裁政権の経験のあるスペインで、まずは昨年末の地方選挙において、アンダルシアでこの極右政党が躍進を見せたのだ。

「極右の台頭」を伝えるこの記事は、その流れで読む記事である。 

www.theguardian.com

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仮定法過去(「もしも地球が平らなら」というネットミーム)【再掲】

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲です。お正月でリラックスした頭にも溶け込みやすい題材です。英語は筋トレや楽器の練習と同じで、1日休んでしまうと感覚が鈍ってしまいます。受験生だって元日くらい休んでもいいと私は思いますが、休むなら、こういうユルい素材でもいいから、英語と接する時間を少しでも持つようにしてください。

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今回は、連休中なので省力モード。「インターネット・ミーム」に出てくる英文法を見てみよう。

インターネット・ミーム」、または単に「ミーム meme」とは、「ネット上で人から人へと伝わって流行するおもしろネタ」のことで、特に画像のことを言う。日本語での解説はこちらがわかりやすいが、要するに「ネタ画像」だ。

その「ミーム」の画像は、ネット掲示板などで誰かがばかげたことを発言したときに、言葉を使わずに画像だけを貼り付ける、というような形で用いられることが多い。LINEのスタンプみたいなものとイメージするとわかりやすいかもしれないが、ミームの場合はコミュニケーションというより揶揄、煽りが目的の場合もあったりする。

その「ミーム」、ネット上では流行り廃りも激しいし、文化圏(クラスタ)が違えば通じないこともあり、英語圏には解説サイトもある。その代表的なものが、Know Your Memeだ。

knowyourmeme.com

 

 

さて、今回の実例はこのサイトでも解説されている下記のミームから。

f:id:nofrills:20190429041611j:plain

via https://knowyourmeme.com/photos/1323410-flat-earth-theory
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付帯状況のwithと現在分詞、過去分詞(ウクライナ大統領選)【再掲】

このエントリは今年4月にアップしたものの再掲である。「意味が取りづらい」とか「訳しづらい」と言われる付帯状況のwithと現在分詞・過去分詞の構文がまとめて検討できる、「1粒で2度美味しい」系の実例だ。付帯状況のwithが得意な人はざっくりとおさらいをするつもりで、得意ではない人は弱点を補強するつもりで、読んでいただければと思う。

 

※本年の更新はこれで終了です。今年1年のご愛読に深く感謝します。はてなスターをくださった方、コメントを寄せてくださった方、ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。では皆様、よいお年をお迎えください。

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今回の実例は、ウクライナ大統領選挙の結果についての報道記事から。

ウクライナでは2013年冬から、政治腐敗に抗議しEUとのつながりの強化を求める民衆の運動が続き、2014年2月には当時の親ロシア派の大統領が国外(ロシア)に逃亡するという政変が起き、その後、ロシアによるクリミアの併合や軍事介入という非常に難しい事態が続いた。

政変当時の大統領が逃げたことにより、同年5月に新たな大統領を選ぶ選挙が行われEUや米国(というかNATO)に親しく、ロシアとは全然親しくないペトロ・ポロシェンコが、第一回の投票で過半数の票を獲得して大統領となった。

それから約5年が経過し、大統領は任期切れとなったため、今回、2019年3月から4月にかけて、大統領選挙が行われた。第一回投票では誰も過半数を獲得しなかったので、第一回投票で得票率が約30%でトップだった候補と、第二位の候補の間で第二回投票(決戦投票)が行われた。トップの候補はTVのコメディ・ドラマで大統領役を演じている喜劇俳優(コメディアン)、第二位の候補は現職だ。

第一回投票で現職が一位にならなかったこと(それどころか、現職は得票率約15%で、コメディアンにほぼダブルスコアで差をつけられていた)からわかる通り、現職への不満はウクライナ有権者の間にたいへんに高く、コメディアンの勝利が確実視されていて、決選投票前には「問題はどのくらいの得票率で当選するかだ」といった論調の記事が英語のメディアで見られた。(ウクライナは、対ロシアという非常に大きな国際政治上の問題のかなめなので、英語圏での関心が非常に高い。)

そして4月21日、コメディアンのウォロディミル・ゼレンスキーが、7割を超える得票率で圧勝し、ウクライナの大統領となった。ゼレンスキーは、職業は俳優で政治経験は皆無だが、大学で法学を修めており、また彼が大統領役をつとめるコメディ・ドラマで描かれる政治のありかたには、国民に響く要素もいろいろあって、そこからほのかな期待のようなものが出ているようだ。

 

というわけで今回の記事: 

www.bbc.com

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