このエントリは、2019年12月にアップしたものの再掲である。
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今回の実例はガーディアンに掲載された論説記事より。
12月12日(木)に行われた英国の総選挙の結果は、広く日本でも報道されている通りで、獲得票数を分析すればまた違った像が現れるのかもしれないが、獲得議席数(選挙の結果を語るのは議席数だけである)では保守党とスコットランドのSNPのバカ勝ち・労働党の大惨敗という結果になった。大雑把なところをざっくり書いたものが本家ブログにあるので、関心がある方はご参照のほど(高校生向けにわかりやすくは書いていない)。
保守党の勝ち方の規模については、直接の数値はこの秋にボリス・ジョンソンに反対した保守党の議員たちが21人も党を追われたことを勘案して見るべきなのだが、保守党がどこで議席を獲得したかを見れば、もうそういう域は超えてるとしか言いようのない結果だ。つまり、これまで一度も保守党議員を出したことのない、労働党が地盤としてきたイングランド北部の選挙区が、労働党候補を落選させる例が相次いでいる。
全議席が確定した投票翌日までは、ショックと混乱、拒絶・否認と怒りという感情が渦巻いていたが(特にコービン労働党を支持していた人々の叫びは、一部「お前らがそういうふうだからこうなったんだよ」と思わずにはいられないものもあったが、ほとんどは本当に悲痛なものだった。みんな信じていたのだし、みんな献身的だった、それは事実だ)、翌々日の土曜日になると、その衝撃の事実を前に、多くの労働党関係者・支持者が非常に厳しい分析を行うようになっていた。
今回見るのはそのような分析のひとつで、筆者はジェス・フィリップス。イングランド中部の大都市、バーミンガムの選挙区の1つから今回も選出された労働党の国会議員で、1981年生まれと若い政治家だ。バーミンガムで生まれ育ち、大学はリーズだが大学院はバーミンガムで、選挙のために住所を移してきたような人ではない。つまり、彼女は彼女の選挙区をよく知っている。そういう人が忌憚なく現状を分析して書いた文章である。記事はこちら:
Working-class voters didn’t trust or believe Labour. We have to change | Jess Phillips https://t.co/yur2aUSkps 読むのがつらいけれどとてもよい分析。筆者は労働党の国会議員(バーミンガムの選挙区で今回も議席保持)。
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) December 15, 2019
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