このエントリは、2021年7月にアップしたものの再掲である。
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今回の実例は、ある著名な人物の訃報を受けて書かれた激烈な文章から。通例、著名人の訃報を受けて書かれるのは「オビチュアリー (obituary)」で、当ブログでもいくつかオビチュアリーは読んでいるが、今回の文章は書き手も掲載媒体もそのようには位置付けておらず、「政治面」の「オピニオン」になっているし、実際に内容もオビチュアリーとはかけ離れているので、当ブログでもオビチュアリーという扱いはしないでおく。
というか、私自身、この人物には、生きていようと死んでいようと一切の敬意めいたものは示したくない。「おくたばりあそばした」という日本語表現から敬意表現を抜き去った語で語るべき人物だと思っている。私は日本語話者だからそういうふうに思うのだが、英語圏でも同じような反応が多く、特に米国で、この人物の訃報に際しては、定型文の「お悔み」でさえ、私に見える範囲には出ていなかった(まあ、米共和党界隈をフォローしていれば見える世界が違うのかもしれないが)。その点は、元米軍人(イラク戦争従軍)でジャーナリストのアンドルー・エクサムさんの下記の言葉が端的に言い表していると思う。
Trying to balance the Presbyterian in me, who wants to give his aides and family time to process their loss, and the Iraq War veteran in me, who is reading their tweets and messages and wants to launch myself into the sun.
— Andrew Exum (@ExumAM) 2021年6月30日
「自分の中のプレスビテリアン(長老派教会の信徒)は、側近やご家族の方々に喪失を受け止めるだけの時間を持っていただきたいと思っているが、イラク戦争にいった退役軍人としては、そういった人々のツイートやメッセージを眺めては、さんさんと輝く太陽の下にうわーっと飛び出していきたい気持ちに駆られる。その両者のせめぎあいが自分の中で」というような意味の文面である。
エクサムさんは、誰のことを言っているのか、名前に言及することもなくそう書いているのだが、この日、イラク戦争に行った元軍人にこう書かせうる人物の死はひとつだけであった。
https://t.co/DSyeoSgh4j 起きたらラム爺が死んでたんだが、これはタイトルの時点ですごい。さすがスペンサー・アッカーマン。せめて、ミロシェヴィッチのようにハーグで被告人として死ぬべきだった人物。 pic.twitter.com/3e4KACufAz
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年6月30日
抑えようのない怒りが、ふつふつと沸いてくるよ。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年6月30日
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年6月30日
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年6月30日
"Rumsfeld escaped the consequences of decisions he made that ensured a violent, frightening end for hundreds of thousands of people." https://t.co/DSyeoSgh4j Exactly this. And how many more war criminals will escape the consequences of their decisions and lies?
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年6月30日
ポール・ブレマーって今何してんのかなとウィキペディア見てみたら https://t.co/NYW0nMEL46 2004年以降のことは何も書いていなくて、ウェブ検索したら、2018年の「現在はスキーのインストラクターをしている」という記事が: https://t.co/75EZzCwbEd ジョン・ル・カレの小説で後半になって出てきそう
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年7月1日
アメリカの拷問を正当化するための「ウォーターボーディングは拷問ではない」言説が一気に記憶の底からよみがえってきて苦しい。
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年7月1日
— nofrills/文法を大切にして翻訳した共訳書『アメリカ侵略全史』作品社など (@nofrills) 2021年7月1日
訃報を聞いた7月1日はいろんなことが思い出されてフラッシュバックやら不快感やらで苦しかったのだが、そういう中で「ですよねー」という思いに駆られながら一気に読んでしまったのが、スペンサー・アッカーマンの「オピニオン」記事だ。今回、実例として見るのはその記事。こちら:
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