今日の実例は、試合で前十字靭帯損傷という深刻な怪我をしてしまったサッカー選手の「必ずよくなってピッチに帰ってきます。支援のメッセージ、とても感謝しています」というツイート。
There are no obstacles in life you can't get over. Been a difficult couple of days but I'm positive and ready to take whatever challenge comes my way. Thank you so much for the love and messages, you are incredible ❤ pic.twitter.com/onwrMvIKui
— Héctor Bellerín (@HectorBellerin) January 22, 2019
ツイート主のエクトル・ベレリン(ベジェリン)はバルセロナ(カタルーニャ、スペイン)の出身だが、約7年前、16歳のときにロンドンのアーセナルに加入していて、英語は完璧。話しているところを聞きたい方は、こちらのオックスフォード大学でのトークイベントのビデオがおすすめ(全部見るとちょっと長いけど、発音の確認なら最初の1分だけでもOK。話の内容はおもしろいから、興味がある人はぜひ)。
最初の文は、《there is/are ~》の「~」の部分が《no + 名詞》で、「~はない」を意味する文で、さらに、関係代名詞の目的格が省略された節が、少し離れたところにある先行詞を修飾している。
There are no obstacles in life you can't get over.
先行詞が no obstacles で、you can't get overはそれを修飾する関係詞節である。このように、in ~, on ~のような副詞句が、先行詞と関係詞節の間に入っている例は、大学入試の長文読解問題でもときどき見るので、遭遇したときに慌てないようにしておきたい。
I went to the art museum in Tokyo where they were holding a Picasso exhibition.
私は、東京の、ピカソの展覧会をやっている美術館に行った。
上の例文の場合、whereの関係副詞節が修飾する先行詞はTokyoではなく、その前にあるthe art museumである。
次の文:
Been a difficult couple of days but I'm positive and ready to take whatever challenge comes my way.
最初の部分は、日記や個人的な手紙などでよくあるこなれた英語のスタイルで、主語が省略されている(省略しないで書くと、It's been a difficult couple of days)。ここは、試合中に怪我をして手術を受けるまでの数日間がつらかった、ということを言っている。
そして後半にあるのが《whatever + 名詞》の形。whateverは単独で関係代名詞として用いられることが多いが、後ろに名詞を取って形容詞として機能することもよくある。
You may eat whatever you like. 代名詞なので単独
好きなものを、何でも食べていいですよ。
You may eat whatever fruits you like. 形容詞なので後ろに名詞
好きな果物を、何でも食べていいですよ。
-ever がついている形ではわかりづらければ、下記の形で考えてみるとわかりやすくなるだろう。
What do you like? あなたは何が好きですか。
What colour do you like? あなたは何色が好きですか。
というわけで、ベレリンのツイートにある "whatever challenge" は、「どんな課題(挑戦)にも」という意味になる。
以上をまとめると、ベレリンのツイートは:
There are no obstacles in life you can't get over. Been a difficult couple of days but I'm positive and ready to take whatever challenge comes my way.
「人生において、克服できない障害などというものはありません。ここ数日は苦しかったけど、 僕の気持ちは前を向いているし、この先どんな課題に遭遇しようとも、やってやる覚悟です」というような意味になる。
ひどい怪我という苦難の中で、とてもポジティヴな言葉。回復をお祈りしてます。

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