今回の実例は、日本の「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」への着陸に成功した、というニュースから。
「はやぶさ2」の着陸成功は、英語圏でもかなり大きなニュースになっていて、大手メディア各社に記事が出ていたから、興味のある人は探してみるとよいだろう(英語圏の報道機関は、日本のNHKなどと違って、ネット上にアップした記事を消さないのが普通なので、ずっと前の記事でも検索できるし)。ここでは私がたまたま読んでいたというだけの理由で、ガーディアンの記事を見る。
キャプチャ画像で示した部分の一番上に、《複合関係代名詞》の文がある。《複合関係代名詞》とは、《関係代名詞 + -ever》の形になっているもののことだ。意味は「~なもの(人)は何でも」。
You may eat whatever you like.
(好きなものは何でも、食べていいですよ)
Whoever wants to take part in the project must e-mail the organisation by the end of March.
(プロジェクトへの参加を希望する人はだれであれ、その団体に3月末までにメールしなければならない)
今回の実例では、複合関係代名詞のwhateverが導く節が文の主語になっており、文全体の構造が取れるかどうか、つまりその主語に対する述語が把握できるかどうかがカギになる。
Whatever material is collected by the spacecraft will be stored onboard until Hayabusa 2 reaches its landing site in Woomera, South Australia, in 2020 after a journey of more than three billion miles.
どうだろうか。次のような構造になっていることが一読してわかっただろうか。
Whatever material is collected by the spacecraft (ここまでが主語) / will be stored (述語) onboard
つまり、「はやぶさ2によってどのような物質が収集されようとも、それらははやぶさ2の機体に貯蔵されることになっている」という意味。
その後のuntil以降は副詞節で、見た目はかさばっているが特に解説のポイントも見当たらないくらいに平易な英文だ。強いて言えば、《時を表す副詞節》の中で未来が現在形で表されていることくらいか。
until Hayabusa 2 reaches its landing site in Woomera, South Australia, in 2020 after a journey of more than three billion miles.
Hayabusa 2が、its landing siteにreachするのは《未来》の出来事であるにもかかわらず、動詞はreachesと現在形が用いられている。これは、《時・条件を表す副詞節》の中では、《未来》の出来事であっても助動詞のwillを使わず、現在形で表すというルールがあるためである。
Please call me when you finish (× will finish).
(終わったら、私に電話してください)
The match will be postponed if it rains (× will rain).
(雨が降ったら、試合は延期となります)