今回の実例は、アイルランドの外務大臣のTwitterから。トピックは20日に引き続きパンクチュエーション(句読法)と、最上級表現。
Today the Taoiseach, @ciarancannon and I will launch the most ambitious Overseas Development Strategy Ireland has ever had - Overseas aid must increase by €115m per year for a decade to reach target via @RTENewsNow https://t.co/DYfhH3Ke4r
— Simon Coveney (@simoncoveney) February 28, 2019
パンクチュエーション(句読法)
まず最初、パンクチュエーション(句読法) について。文の主語の部分に注目してほしい。なお、the Taoiseachはアイルランド語の単語で「首相」の意味である。
the Taoiseach, @ciarancannon and I will launch
この主語の部分は、全部で2人だろうか、それとも3人だろうか。
答えは3人。the Taoiseachと、@ciarancannonと、 I (ツイート主)の3人である。
ここでもし、次のように表記されていたら、2人というように読める。
the Taoiseach, @ciarancannon, and I will launch
この表記だと、@ciarancannonがthe Taoiseachと同格表現のように読めるので、主語全体が「首相である@ciarancannonと、私」という意味にも解釈されうるわけだ。
コンマ1つでかなりの違いが出てしまう。
実際、3つのものを並列する場合、下記のようにandの前のコンマはあってもなくてもよいわけで、外務大臣はここでコンマを使うという選択もできたはずだが、そうすると誤読につながる可能性もあり、2番目のコンマは入れなかったのだろうと思う。
an apple, an orange and a grapefruit ※コンマ1つの表記
an apple, an orange, and a grapefruit ※コンマ2つの表記
もちろん、外務大臣のこのツイートはアイルランドの人々に読まれることが想定されていて、アイルランドの人々は自分のとこの首相が@ciarancannonではないことは知っているのだから、「首相、つまり@ciarancannon」とするような誤読の可能性はないかもしれない。
だが、私たちのような外国人にはちょっとわかりづらい点だし、機械で処理する場合も難しくなりうる点である。
ちなみにアイルランドの首相はレオ・ヴァラッカー氏で、Twitterは@campaignforleo*1。@ciarancannonは国際開発大臣のキアラン・キャノン氏のアカウントである。
最上級表現
the most ambitious Overseas Development Strategy Ireland has ever had
この部分は中学~高校入試の英作文でも頻出の「~したうちで最も…な」の表現。最上級のあとに続く限定節の中で現在完了が用いられている形だ。下記のような例文は誰もが教科書や問題集で見ているはずだ。記憶があいまいになっている場合は、中学英語のまとめの問題集を見直すなどしてみるとよいだろう。
This is the most intersting book (that) I have ever read.
(これは、今までに私が読んだ中で最もおもしろい本だ)
実例の部分は「アイルランドがこれまで行ったなかで、元も野心的な海外開発戦略」という意味になる。
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*1:総選挙のときか、所属する政党の党首選に出たときのアカウントのままなので選挙運動っぽく「レオを当選させよう」的なアカウント名になっている。