※この記事は、2019年1月にこのブログを開設したころにまとめて投稿したいくつかの記事のひとつである。開設時の記事はほとんど閲覧されていないので、重要事項の実例として改めて見ておいていただきたく、ここにコピーして再掲しておこう。
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今日の実例はイギリスの公共放送、BBCのニュースから。トピックは、サウジアラビアで、お仕着せの結婚を拒否したために、家族(年長の男性)から危害を加えられると察知して家族のもとから逃げ出した18歳の女性が、脱出先のタイから地元への強制送還の危機にさらされた末に、国際的に保護が必要と認められ、最終的には強制送還されることなく、第三国であるカナダに亡命が決まった(難民として受け入れられた)ことに関連したもので、過去、彼女と同様に、家族のもとを逃げ出して外国に亡命したサウジアラビアの女性が、自分の体験を語り下ろしている記事である。
下記の部分で《仮定法過去完了》が使われていることは、この項目を学習した人ならすぐに気づくだろう。テキストの例文になりそうなほど、何のひねりもない仮定法過去完了の文で、意味も取りやすいと思う。
It was very risky because if I had been caught then they would have hurt me.
「とても危険でした。というのは、もしも私がつかまえられていたら、彼ら(=家族)は私を傷つけていたでしょうから」という文意である。
なお、この英文は、より正式な書き方をすると、because以下は、"if I had been caught, they would have hurt me." となる(thenを使わず、コンマを使う)が、そこは大きな問題ではなかろう。
続いて、1段落置いたところで《分詞構文》が出てくる。これもテキストの例文になりそうなくらいシンプルな分詞構文だ。
Using this, I logged into his account on the interior ministry's website...
これを複文に書き換えると、I used this and I logged into... という形になる。「これを使って、私は内務省のウェブサイトの彼のアカウントにログインしました」という意味。
この体験談の主は、自分と妹の命を守るために一計を案じて脱出し、亡命することができたので、このように自分の体験を国際メディアに語ることができている。英語圏の報道機関のサイトには、このような個人の体験談が掲載されていることがよくある。この記事の場合、「難民」や「亡命者」が抽象的な存在ではなく、耐えがたい恐怖や身の危険から脱出する行動力を持った個人であること(そしてその個人は必ずしも聖人君子ではないということ)がよく伝わってくる。
インターネットを使って、英語で自分から情報を取りに行くことができるようにしておけば、日本語だけで情報を得ようとするのに比べてずっと多く、このような「具体的な声」を聞く(読む)ことができる。これは、今後大学・大学院で、また社会に出たあとに、何かを考えたり書いたり企画したりする際に、強みとなるだろう。
■記事そのもの:
https://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-46818237