Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

現在分詞、分詞構文、付帯状況のwith, A as well as B, to不定詞の進行形, how best to do ~(中国、天安門事件から30年)

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今回も、前々々回、および前々回と同じ、1989年6月4日の中国・北京における「天安門事件」についての記事から。

今回読む部分について背景知識として踏まえておくとよいことは前々々回の導入部に書いてあるので、そちらをご参照のほど。

記事はこちら: 

www.bbc.com

今回見るのは記事の中ほど、1989年に何が起きたかを説明している箇所から。

1989年の春、「改革派」であったがゆえに失脚した元党総書記、胡耀邦の死を受けて学生主導のデモが規模・範囲を拡大し、胡耀邦の名誉を回復し、彼が行おうとしていた「改革」、つまり(西側諸国のような)報道の自由、集会の自由を実現し、政治腐敗を根絶すべきとの要求の声が高まっていった、ということを端的に説明したあとのセクション。

f:id:nofrills:20190607052733j:plain

2019年6月1日、BBC News

キャプチャ画像内の最初のパラグラフ*1は、特に難しいところはなく素直に読み下せるが、《分詞構文》が用いられているので注意を要する: 

In Beijing, up to a million people poured into Tiananmen Square, occupying the vast public space at the political heart of the capital in a carnival of flags and banners and tents.

太字にした現在分詞のところが分詞構文である。けっこう長めの文だが、主節は "up to a million people poured into Tiananmen Square"  だけで、あとは副詞句だ。だからといって、主節以外の部分の意味を軽視して読んでよいというわけではない。

この分詞構文は報道記事で多用される分詞構文の定型で、「~して、そして…する」という感じでとらえるとよいだろう。「最大に見積もって100万人もの人々が天安門広場に流れ込み、そして旗や横断幕、テントを思い思いに掲げ、首都の政治的中心部で広大な公共スペースを占拠した」。

BBCのこの記事ではその様子をとらえた写真が埋め込まれている。

 

次のパラグラフ: 

With the winds of change already blowing through Eastern Europe, in another chance piece of timing, the Soviet leader Michael Gorbachev arrived in Beijing in mid-May to take part in the first Sino-Soviet summit for 30 years.

ここも現在分詞が用いられている。《付帯状況のwith + ~ + 現在分詞》の形だ。

  With more people using their mobile phones and tablets to browse the web, if you use Flash, you are restricting content access to a large portion of potential users. *2

  (より多くの人々が携帯電話やタブレットでウェブを閲覧するようになっており、Flashを使っているとユーザーになる可能性のある人々のうちの多くに対し、コンテンツへのアクセスを制限することになってしまう)

 

実例として見ている文の "With the winds of change already blowing through Eastern Europe" は、「東欧一帯で既に変化の風が吹いており」というような意味。そのタイミングで、1989年5月半ばに、当時のソヴィエト連邦ゴルバチョフ書記長が30年ぶりの首脳会談のため北京に来ていた、ということだ。ちなみにゴルバチョフという人は「あのソ連を変えた男」という感じの人で、簡単にいえば「改革派のスター」だ。そういう人が、「改革」を要求するデモ・座り込みが盛り上がっているときに北京にやってきた。

勢いは「改革」派の側にあった。

これに保守派(守旧派)が危機感を抱かないはずがない。何とか改革派の勢いをそごうと必死になったわけだ。

 

次のパラグラフ: 

To China's leaders, as well as to the demonstrators on their doorstep, the country appeared to be teetering on the edge of a profound historical moment, and the Communist Party was split over how best to respond.

この文には重要な文法項目が3つ入っている。まずは《A as well as B》で、これは意味は「AもBも」ということだから大したことはないのだが、ここでは "To China's leaders, as well as to the demonstrators on their doorstep" というように、前置詞のtoが繰り返されていることに注目。自分で書くときはうっかり、"To China's leaders, as well as the demonstrators on their doorstep" と、2番目のtoを抜かしてしまいがちなのだが、それだと英文としては不自然になる。大学入試ではここまでは問われないかもしれないが、社会人としてビジネスメールを書くときなどは注意しておきたいポイントのひとつである。

 

続いての重要項目は《to be -ing》の形、つまり《to不定詞の進行形(進行形のto不定詞)》だ。これは「~していること」、「~しつつあること」といった意味になる(to不定詞が名詞的用法の場合)。

 

そして最後に《how best to do ~》という構文。これはhow to do ~「どう~すべきか、~する方法」にbestが入り込んだ形で、「どう~するのが最もよいか」の意味。実用英語としてはけっこう使いまわしのきく表現なので、必要な時に自分で使えるように覚えておきたい。

 

実例の文は、「中国の指導者たちには、彼らのすぐ目の前にいるデモ隊の人々にとってと同様に、中国という国はものすごい歴史的な瞬間の瀬戸際でゆらゆらと揺れているように思われた。そして中国共産党は、どのように対応するのが最善であるかについて割れていた」という意味。

 

さて、3度にわたってこの記事を見てきたが、まだ前半部分である。残りは各自で目を通していただきたい。BBCは報道機関としては唯一、あの日あの時あの広場に記者もカメラも入れていた。彼らは目撃者だった。彼らが目撃した惨劇は、30年を経過して、中国共産党によって「なかったこと」として扱われている。「天安門事件から30年」を迎える数日前から、BBC Newsのウェブサイトには連日記事・映像が上がっていた(タイミング的にドナルド・トランプの訪英と重なっていたので、ニュースの一番派手な部分はトランプの話ばかりだったが)。

下記の映像はそのひとつで、今回読んだ記事の内容を映像でたどるものである。


Tiananmen Square: What happened in the protests of 1989? - BBC News

 

もちろんBBCだけではない。米国のCNNやワシントン・ポスト、TIMEなどを含め大手報道機関は「六四」を大きく取り上げている。どのくらい取り上げられているかは、各メディアのフィードが流れてくるTwitterで確認するのがよいだろう。

https://twitter.com/search?q=tiananmen%20square&src=tyah

 

4日、アムネスティ・インターナショナルは次のようなフィードを投稿した。

 またロンドンの中国大使館前の通りにはこのような看板を掲げたそうだ。

 

www.amnesty.org.uk

 

30年が経過すれば、ある出来事は「歴史」として扱われるようになるという。30年経過すれば当事者もだんだん寿命を迎え、明らかにされる資料も出てきて、その出来事と距離を取って客観視できるようになる、というのは確かにある。しかし天安門事件は、当事者の多くが当時大学生で、つまり30年経過してもまだ50歳かそこらだし、取材にあたっていたジャーナリストたちも今もバリバリの現役だ。例えばBBCのケイト・エイディは現在BBC Radio 4で世界各地の特派員からの報告を紹介する番組のプレゼンターをつとめているが、30年前の6月4日、彼女は天安門広場の最前線にいて下記の報道を行なっていた(BBCアーカイヴより)。


Archive: Chinese troops fire on protesters in Tiananmen Square - BBC News

 

 

天安門事件から「08憲章」へ 〔中国民主化のための闘いと希望〕

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北京の長い夜―ドキュメント天安門事件

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*1:BBC Newsの記事は、1センテンスごとに改行して、パラグラフを形成しないスタイルなのだが、ここでは形式を重視して「センテンス」ではなく「パラグラフ」としておく。

*2:英文出典: https://deskteam360.com/small-business-website-outdated 

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