このエントリは2月上旬にアップしたものの再掲である。日本では意外とちゃんと習わない細部について説明してあるので、お茶でも飲みながらご一読いただきたい。
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今日の実例は、2019年2月3日に閲覧したBBC NewsのUKカテゴリーのトップページから。
全景だと見えづらいかもしれないので一部拡大。
記事の内容は、日産自動車が、イングランド北東部のサンダーランドに構える工場で「エクストレイル」を生産するという予定を撤回した(日本での生産に絞ることにした)という報道と、それに対する反応である。
サンダーランドは日産の工場が主要な雇用の場となっている。EU離脱を決めた国民投票(レファレンダム)では、この都市は「離脱」を支持した。投票の4ヵ月後の2016年10月にはカルロス・ゴーン会長(当時)がテリーザ・メイ首相と直接話をして、サンダーランド工場と7000人の雇用は安泰ということになり、それが既定路線とされていたが、ここにきて、そのサンダーランド工場で作る予定とされてきた車種の生産は、日本だけでおこなうという方針に転換。このニュースにはTwitterも大騒ぎになっていた。
さて、記事見出しのすぐ下にある、記事のポイントを短く述べた文(「リード文」という)はその日産の決定に対する反応に関する記述だが、その書き出しが、An MPとなっている。
An MP says reports the X-Trail SUV will not be made at the Sunderland plant were "deeply troubling".
MPというのは、以前も述べたが、member of parliamentの略で、イギリスでは英国会の下院議員のことを言う。
この略語は、綴り字そのままで「エム・ピー」と発音される。
そのため、MPは「母音で始まっている語」となり、不定冠詞は a ではなく an を用いる。
これは、英語学習者にとってややこしく感じられることが多い点のひとつで、英語学習者の質問に誰かが答えるという主旨の掲示板にもスレッドがある。だが、不定冠詞でaを用いるかanを用いるかは、綴りではなく音で決まるという大原則を思い出せば、さほどややこしくは感じられないだろう。
例えば、NGO (non-governmental organisation) という語は、綴り字そのまま「エヌ・ジー・オー」と読まれるので「母音始まり」となり、不定冠詞はanを用いる。
He works for an NGO.
(彼はある非政府組織で働いている)
一方、同じくNで始まる略語でも、NATO (The North Atlantic Treaty Organization) の場合は、綴り字そのままではなく「ネイトー」と発音されるので*1、「子音で始まる語」となり、不定冠詞はaを用いる。
A NATO official has denied the report.
(NATO関係者はその報道を否定している)
今回のトピックと関連することを、以前NAVERまとめを利用して書いてあるので、関心のある方はそちらもご参照のほど。

THREE LITTLE WORDS A,An,The―A Systematic Approach to Learning English Articles
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