Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

while -ing(接続詞whileと、前置詞duringについて)(トランプ流「成功」の作り方)

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「英語はざっと読んで、必要な情報が取れる程度にできればよい」という方は、今回のこのエントリは飛ばしていただいて構わないだろう。英語について動名詞だの現在分詞だのといった話を聞くと逆に「めんどくさー」と思ってしまうかもしれない方は、むしろ飛ばしていただいたほうがよい。

 

和文英訳であれ自由英作文であれ、ある程度形になるように、英語で何かを書くという課題を与えられたときによく出てくる疑問が、whileとduringの違いについての疑問だ。実際、どちらも日本語にすれば「~の間、~の期間において」なので、英作文するときにどっちを使ったらいいのかわからないという人は少なくはない。

端的にいえば、whileは接続詞なので《while + S + V》の形になるし、duringは前置詞なので《during + 名詞》の形になる。例えば「ロンドン滞在中に、ナショナル・ギャラリーに二度行った」は次のように表せる。

  While I was staying in London, I visited the National Gallery twice. *1

  During my stay in London, I visited the National Gallery twice. *2

 

前置詞は直後に名詞および名詞相当語句を取るが、《前置詞+動名詞》の形もよくある。例えば次のような形だ。

  Before visiting the National Gallery, I hadn't done any prior research. *3

 

しかし、duringはちょっと違っていて、直後に動名詞を取ることは、通例、ないとされる*4。 この点について、例えば『ジーニアス英和辞典』(第5版)には次のようにある。

duringは通例定冠詞・指示代名詞に導かれた語句と共に用いる: during the 1990s / during our visit. duringは前置詞だが、doing (something) と共に用いることはできない…… 

ジーニアス英和辞典 第5版

ジーニアス英和辞典 第5版

 

 

このようなことを知ったうえで《while -ing》という形を見ると、「なるほど、このwhileは接続詞ではなく前置詞で、直後に動名詞を取るのだな」と勘違いしてしまいそうだが、この-ingは動名詞ではなく現在分詞で、《while -ing》は《主節とSが一致する場合の、副詞節内のS+be動詞の省略》のパターンである*5

   While (he was) walking in his neighbourhood, he heard a loud bang. 

  (彼は近所を歩いていたときに、大きなバンという音を耳にした)

 

この《while -ing》は報道記事や論説記事などでも非常によく目にするので、ある程度の量の英文を読んだ人ならほぼ必ず、自分で英文を書くときにも使ってみたくなるだろう。そのとき、これが(動名詞ではなく)現在分詞だということを意識しておくことは、文のほかの部分との整合性を保つうえで重要になってくる。「どっちでもいいや」と流さず、しっかり覚えておきたい。

というわけで今日の記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

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2019年6月12日、the Guardian

Time and again he has manufactured crises, set deadlines, made threats, pulled back from the brink and claimed victory while keeping the details notoriously vague.

 「トランプ流」の手口・やり口について分析した記事の一節で、文意は「何度も繰り返し、彼は、詳細についてはひどく曖昧なままにしておきながら、危機を作り、最終期限日を設け、脅しを行ない、いよいよぎりぎりのところまで来たという段階で引き返して、勝利宣言を行なってきた」。

この "while keeping the details notoriously vague" は、省略を補うと、"while he is keeping the details notoriously vague" となるが、分詞構文と考えて "while he keeps  the details notoriously vague" とみたほうがしっくりくるかもしれない。この点は、文法的にはどちらでもよい。

重要なのは、このkeepingは動名詞ではなく現在分詞で、whileは接続詞だということを認識・確認することである。

なお、whileに前置詞の用法が認められていないことは、『ジーニアス』はもちろんほかの辞書でも確認できる。この点は今後、長い時間を経るうちに変わっていく可能性もないわけではないが、少なくとも現時点ではwhileは接続詞で、その直後に-ingがある場合はwhile節内のS+be動詞の省略である(あるいは分詞構文である)と認識しておく必要がある。

 

whileという接続詞に興味がおありの方には、下記ページ(翻訳会社のサン・フレアさんで翻訳チェッカーをしてこられた方のブログ)はお勧めである。

www.honyakunoizumi.info

 

英文法解説

英文法解説

 
徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 

 

*1:この文におけるstayは動詞。

*2:この文におけるstayは名詞。

*3:英文出典:

https://www.travelsadanceaway.com/my-top-5-art-museums-in-the-world/ 

*4:ウェブ検索するとそういう用例が皆無というわけではないが、Googleでフレーズ検索しても出てくる用例が数百件程度と、「一般的に広く使われている」というには心もとないくらいに少ないのが現状である。

*5:分詞構文で接続詞が残されていると考えてもよい。

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