Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

時制祭り(基本時制)feat. 分詞構文 【再掲】

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このエントリは、今年2月にアップしたものの再掲である。日本語は「時制」というものの現れ方が英語とは異なるので、英語・英文法の解説として聞いてわかったつもりでも、自分で(日本語で考えてから)英語を書くとなるとめちゃくちゃになってしまうこともよくあるし、書くときに時制に気を使いすぎて他のところに気が回らなくなったりといったこともある。基本的には常に原則通りやっていればよいので、ここで見るような原則をしっかり自分で身に着けてしまうようにしたい。

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今回の実例は、2月2日のBBC Newsの記事より。トピックは「フェイクニュースFacebook」である。

 

英語でdisinfo, misinfoなどと言われる「間違った情報 (false information) の拡散」(日本語で言う「デマの拡散」)はずっと以前からあった問題だが、2016年の米大統領選挙で「フェイクニュース fake news」という幼稚な言い方がすっかり定着してしまった。この言い方を定着させた人物は、自分に都合の悪いニュースを「フェイクニュースだ」と糾弾しているが、実は彼が「フェイクニュース」呼ばわりしているのが「正確なニュース」だったりもして、言葉がめちゃくちゃになっている。だから、2016年の冬は、そういう状況をフィクションとして描いた1949年の小説、『1984年』がベストセラーになったりもした。

 

その後、「調査報道」という形で暴かれてきているのが、Facebook (FB) という情報プラットフォームを舞台としたdisinfoの実態だ。基本的に、ユーザーが書きたいことを好きなように書いて友達や知り合いに読ませることを想定している場で、個人と個人のつながりをはるかに超えるような情報共有が起きているところに、意図的な誤情報(「デマ」)をぶち込んでも、それが「誤った情報である」ということはおかまいなしに広まってしまう、という問題がある。ユーザーは事実確認(ファクトチェック)をせずに広めてしまうからだ。FB側はあれやこれや言って責任を回避しようとしたが、最終的には自分のところで起きている問題を認めないわけにはいかず、ファクトチェックを行なう専門の業者と組んで、自分たちのサービスを利用して流される誤情報/フェイクニュースに対処していくことになった。

 

だが、そうしてファクトチェックの実務に携わることになったチェッカーたち(事実確認のプロたち)は、ほどなく、結局FBの取り組みはポーズだけだったということを悟ることになる。その点は、2018年12月半ばに出たガーディアンの記事に詳しい

 

そして2019年2月上旬、そのような形でFBのファクトチェック業務に携わってきた34の組織のうち、超大手報道機関(通信社)のAP (the Associated Press) と、1990年代からずっとネット上の誤情報や都市伝説についてファクトチェックをしてきた専門のウェブサイト、Snopes.comが、FBとの提携を切ることにした――ということが、BBC Newsで報道された。

 

今回の実例はその記事から。

www.bbc.com

記事の締めくくりの部分、 スマホで見たときの1ページ分という小さなスペースの中に、実用英語としてしっかり読めるようにしておくべき時制がぎゅっと詰まっている。これは「時制祭り」と言うよりない。「祭り」というか「フェス」。分詞構文の飛び入りもあって、英語という言語の宇宙的な奥行きを感じさせるほどだ。

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2019年2月2日、BBC News

In a blog post, Facebook disputed the Guardian's report, saying it had "several inaccuracies".

Speaking about the news Snopes and the AP had pulled out, Ms Binkowski said she felt Facebook was too controlling over the fact-checking companies.

"Facebook can't handle any kind of pushback, any kind of public criticism," she told the BBC, adding that she felt the fact-checking programme at Facebook had been "mishandled".

Facebook has worked with two other fact-checking agencies in the US. ...

報道記事の常として、「だれ(何)が何をした」ということを伝える部分では、この文章の基本の時制は《過去》で、直接話法のところ(引用符の中)だけは《現在》になっているが、そこを除けば基準は《過去》にあり、それより前のできごとは《過去完了》で表されている。引用文中に下線で示した現在分詞は《分詞構文》。「~と述べて、ガーディアンの報道に反論した」という感じで、分詞構文の部分も主節と同じく《過去》だ。

 

一方、引用部分の最後は、人々が記事を読んでいる時点、つまり《現在》が基準になっているので、過去のある時点からそこまでのことを表すために、《現在完了》が用いられている。「FBはこれまで、米国では(APとSnopesの)他に2社のファクトチェック専門業者と仕事をしてきた」という意味で、その後には、APとSnopes以外の2社が今回の事態を受けてどうしているかが述べられている。

 

実用英語としては、このような時制の使い方は、読めるようにしておくだけでなく、書けるようにしておくことが望ましい。「読むほうは高校でやってるし、問題なくできる」と自分では思っていても、実際には細部の詰めが甘くて、書くとなると間違いがぞろぞろ……ということもありがちなので、こういう「祭り」状態の実例を見たときに、ただ読み流すのではなくしっかり分析してみるとよいだろう。

 

 

 

 

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