Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

完了分詞構文 【再掲】

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このエントリは、今年3月にアップしたものの再掲である。ここで取り上げている文法項目は、90年代に「学校英語は役に立たない」と主張する人々が「実際にはまず使われないような文学的表現」「排斥すべき学校英語」としてやり玉にあげた項目だが、実際には新聞記事でもミュージシャンのギター奏法レクチャービデオでも普通に使われている。

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今回の実例も、米アカデミー賞ラミ・マレックが最優秀主演男優賞を取ったときの記事から。演技派というか変幻自在でスクリーンでは原形を留めない風貌になることでおなじみのクリスチャン・ベイルや、同賞初のノミネートとなったベテラン俳優ウィレム・デフォーなど、「誰が取ってもおかしくない」的な面々の中で本命視されていたのは、アカデミー賞の前哨戦と位置づけられる映画賞を制していたマレックだった……ということを前提としてお読みいただきたい。

www.theguardian.com

 

f:id:nofrills:20190303052803j:plain

2019年2月25日、the Guardian

Malek defeated a strong field, including Christian Bale as Dick Cheney in Vice and Bradley Cooper as musician Jack Maine in A Star Is Born. Malek was the favourite to win, however, having previously picked up a string of awards for the role including best actor from the Baftas and Screen Actors Guild and best actor (drama) at the Golden Globes.

 文がだらだらと長くてわかりづらい場合は、上にグレーで示した部分は外してみると文の構造が楽にとれるだろう。

ここで出てくるのが《完了分詞構文》だ。普通の分詞構文では表せない時間的なズレを表すときに用いる。ここでは、ラミ・マレックが米アカデミー賞前にBafta(英アカデミー賞)や全米映画俳優組合賞、ゴールデン・グローブ賞を受賞していることを言うのだから、分詞構文の現在分詞を《having + 過去分詞》にし、《完了分詞構文》にしているのである。

 

余談だが、この《完了分詞構文》に関して、どういう理由でか「実際に使われているのを見ることはない」と主張する人が「教える必要はない」と強弁するという場面に居合わせて辟易したことがあるのだが(20年ほど前のことだ)、実際には新聞や雑誌などで非常に頻繁に出てくる表現である。読んでわかるようにしておくことはもちろん、自分でも書けるようにしておく必要がある。

下記はロンドン出身のミュージシャン、ウィルコ・ジョンソンが、ばりっばりのコックニーでしゃべくりまくるギター奏法解説のビデオ。自分とギターについて、多大な影響を受けた先輩ギタリスト・師匠のことについて語ったあと、スタジオに入って奏法解説になるのだが、最初のセクションが終わったとことで、"Having understood that, ..." (「以上のことを踏まえて、……」)と、完了分詞構文でしゃべっている(ビデオで4分55秒から)。ジョンソンは、話し方を聞いてもわかると思うが「わざと難しい表現を使うインテリ」などではない。その彼が普通に完了分詞構文を使っているということは、これは別に特別気取ったような表現ではない、ということだ。

 

 

 

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英文法解説

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