Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

「万が一」を表すshould, if節のない仮定法, 倒置, 関係代名詞(主格), 【ボキャビル】come in handy(防災バッグの勧め……なぜか英国で)

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f:id:nofrills:20190909044041p:plain今回の実例はTwitterから。

9月9日未明、台風15号 (Typhoon Faxai) のくっきりした目が東京湾の上を通っていて、都内のうちのあたりも激しい風雨に見舞われていることが音だけで確認できていたころ(台風の西側なので予想したほどではなかったが、東側は大変だったと思う)、ふとTwitterの画面に目をやると、英国で #GrabBagがTrendsに入っていた(右のキャプチャ参照)。

GrabBagという表現は初めて見たが、意味を推測するのは簡単だ。grabは動詞で「~をつかむ」の意味だから、grab bagは「つかんで持って出るバッグ」、つまり「緊急時に際して避難するときに持って出るバッグ」で、日本語でいえば「防災バッグ」だろう。また、ハッシュタグの下にTwitterでつけている短い解説文に、"Police advice about having an emergency bag prepared has folks worried" とあり、grab bagはemergency bagの言い換え表現だとわかる。

というわけで今回はこのハッシュタグでのツイートからケンブリッジシャーの消防救急当局のもの: 

 

A #GrabBag contains key items that'll come in handy should an emergency happen 

下線で示した部分は《if節のない仮定法》における条件節(if節からifがとれたもの)だ。

これについては以前、Shouldが文頭に来たパターンで解説したことがあるので、そこからコピペしよう。

 

"Should I ever be kidnapped or held against my will... it will be very easy for my nearest and dearest to know something is up."

 

……文頭のshouldは「万が一のshould」と呼ばれる用法のshouldで、仮定法のif節内で用いられて「万が一にも~すれば」の意味を表す。

 

だがこの文、if節のifがない。いきなりshouldで始まっている。

このように、いきなりshouldで始まっている文は、ほぼすべてが《倒置》のケースである。

 

if節のifを省略すると、SとVの順番が逆になる(倒置される)ことは、次の例文でおなじみだろう。場合によってはこれは「熟語」と教えられているかもしれないが、熟語というよりは文法的に理屈が通る構文のひとつである。

  If it were not for your help, I couldn't succeed. 

  → Were it not for your help, I couldn't succeed. 

  (あなたの助けがなければ、私は成功できないでしょう)

 

  If it had not been for your help, I couldn't have succeeded. 

  → Had it not been for your help, I couldn't have succeeded. 

  (あなたの助けがなかったならば、私は成功できなかったでしょう)

 

いきなりshouldで始まっている文の場合は、次のような過程を経ている。

  If another big earthquake should happen, this house could collapse. 

  → Should another big earthquake happen, this house could collapse. 

  (万が一また大きな地震が起きたら、この家は倒壊するかもしれない)

 

つまり、文頭のifが省略されて、主語(上記例文ではanother big earthquake)とshouldの順番が逆になるわけだ。

 

したがって、今回、実例として見ている文の場合は、次のように考えられる: 

  Should I ever be kidnapped or held against my will 

  = If I should ever be kidnapped or held against my will 

https://hoarding-examples.hatenablog.jp/entry/2019/06/22/%E3%80%8C%E4%B8%87%E3%81%8C%E4%B8%80%E3%80%8D%E3%82%92%E8%A1%A8%E3%81%99should%2C_if%E7%AF%80%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BB%AE%E5%AE%9A%E6%B3%95%2C_%E5%80%92%E7%BD%AE%2C_if%E7%AF%80

hoarding-examples.hatenablog.jp

 

今回の実例で解説すべきことは、全部ここに書いてあった。 違うのは、6月のエントリで見た実例はshouldで始まる節から文が書き出されていた一方で、今回の実例はshouldの節が後置されているという点くらいだ。

 A #GrabBag contains key items that'll come in handy (←ここまでが主節)should an emergency happen (下線部が従属節)

このshouldの節は、上記のように考えると、if an emergency should happenというif節の形に直すことができ、意味は「万が一、緊急事態が発生したら」となる。

 

では、次に主節のほうを見てみよう。

A #GrabBag contains key items that'll come in handy

このthatは《関係代名詞》の主格、下線で示した "come in handy" は熟語で「役立つ、助けになる」といった意味を表す。したがってここは、thatの先行詞をkey itemsと解釈すれば「GrabBagには、役に立つ重要なアイテムが入っています」といった意味だし、先行詞をa grab bagと解釈すれば「GrabBagは重要なアイテムが入っており、役に立つものです」となる。(どちらとも解釈できるが、後者のほうが自然だろう。)

 

このような防災バッグの中身はというと、例示されている基本のセットは、当然のことながら、日本と変わりはない。あえて言うなら雨が多くて気温が低いことを想定した中身になっている(防水の袋と防寒着を入れるようにと言われている)こと、あとあんまり食い意地が張っていそうにないことが特徴か。

f:id:nofrills:20190909052741p:plain

Twitter @ cambsfrs

 

さて、この#GrabBagがTrendsに入っているのを見たとき、上述したように、東京はちょうど台風のピークにさしかかったころだった。それが可笑しくて、次のようにツイートしたのだが: 

 これにリプライをもらった(知らない人から)。

 

 

このあとまだ少しやり取りして楽しませてもらったのだが、それはここでの本題から外れるので貼り付けない。Twitterのほうでご確認いただければと思う。

 

参考書(このEnglish Journalは仮定法苦手な人にマジおすすめ): 

英文法解説

英文法解説

 
徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 

 

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