今回の実例も、前回みたのと同じ、「ボリス・ジョンソンによる英国会の閉会は違法」との最高裁判決を受けて再開された国会で起きたことに関する動きを報じる記事から。
記事はこちら:
前回は記事の中ほどを参照したが、今回は記事の最後の部分で、保守党の大ベテラン政治家マイケル・ヘーゼルタインの発言を紹介している部分から。
“It’s almost inconceivable for me to watch a Conservative government behave in this way,” he said.
これはきれいな《it's ~ for ... to do --》の形。「…が--することは~だ」、「…にとって--することは~だ」という意味を表す《形式主語のit》の構文だ。
また、下線で示したところは、《感覚動詞+O+動詞の原形》の形(「Oが~するのを…する」)になっている。
さらに付け加えると、"a Convervative government" の不定冠詞のaは「保守党政権一般」とか「保守党政権ならどんなものでも」のニュアンスを表す用法である(「現在の保守党政権」と特定したいときは、aではなくtheを用いる)。
以上、まとめると、この文は「保守党の政権がこのように行動するのを見ることは、私にとって信じがたいことである」という意味となる。
次の文:
Heseltine said he was dismayed to see how his party have reacted to the supreme court ruling and that “in any normal circumstances, the prime minister would have to go”.
下線で示した部分のto不定詞は《感情の原因》を表す。用法としては《副詞的用法》だ。少しわかりやすく書くと、「seeして(seeしたので)dismayedという気持ちである」という構造だ。この部分の意味は、「最高裁の判断に対して彼の党(=保守党)がどのように反応したかを見て狼狽しているとヘーゼルタインは述べた」。
その次、太字で示した "and that" は、先行する動詞saidの目的語のthat節の2つ目である。ここにand thatがあるのは、動詞の目的語のthat節が2つある場合、1つ目のthatは省略できる(省略されることが多い)が、2つ目は省略できないというルールによるものだ。このルールについては、当ブログで既に書いたものを《that節の繰り返し》とタグをつけて整理しているので、そちらをご参照されたい。
そして、そのthat節の中身として、引用符つきで(つまり話者の発言を一言一句たがえず)紹介してる部分:
“in any normal circumstances, the prime minister would have to go”
この文は《if節のない仮定法》。"in any normal circumstances" の部分に "if" の意味が込められていて、「普通の状況ならば」という意味となっている。「普通の状況ならば、総理は退陣しなければならないだろう」という文意だ。
参考書: