Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

条件のif節(直説法)、パンクチュエーション(句読法)の英米差【再掲】

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このエントリは、3月にアップしたものの再掲である。英語学習者には、if節についての理解がぼや~っとしていて、if節を見たら仮定法と決めつけてしまうことがありがちだが、そうとは限らないということを「形」の面からも改めてご確認いただければと思う。

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今回の実例は、2019年3月上旬にBBC Newsが出した特集記事から。トピックは中国の通信機器メーカー「ファーウェイ(華為, 英語ではHuawei)」のことで、実例として見る箇所は米国政府が同社製品の使用を禁止したことに関連する部分。

記事はこちら。ページが凝った作りになっていて(BBC Newsの特集記事はこの作りになることがほとんど)、ファーウェイ社に対する最近の「疑惑」の経緯に始まり、同社の設立の話やら中国という国家の体制やら、非常に幅広い記事だが、動きを感じながらすいすい読めるようになっている。長文だが、興味がある方はぜひ全文を。

www.bbc.co.uk

 

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2019年3月7日、BBC News
条件のif節(直説法)

キャプチャ―画像でポンペオ国務長官の写真の上にあるパラグラフ: 

US Secretary of State Mike Pompeo recently cautioned against Huawei, saying, “If a country adopts this and puts it in some of their critical information systems, we won’t be able to share information with them.”

ポンペオ国務長官がファーウェイ社に対する警告を述べたときの発言そのものが、引用符でくくられている。この引用符内の発言で用いられているのが、仮定法ではなく直説法の、《条件を表すif節》である。

直説法は「もし~するなら、…だ」の意味を表し、現実にあること・ありうることを述べるときに使う。この場合、ポンペオ長官は「ある国がこれ(=ファーウェイ社の5G製品)を採用し、彼ら(=その国)の非常に重要な情報システムの一部にそれを入れるとすると、われわれは彼ら(=そういう国)とは情報を共有することができなくなる」と述べている。

ここで仮定法(現実にありえないこと・現実と反対のことを述べるときに使う)が使われていないということは、「ファーウェイ社の製品を採用する国が出る」ということも、「米国がそういった国との情報共有を行わなくなる」ということも、十分にありえることという前提での発言がなされている、ということになる。

 

ただぼやーっと「『もし~なら』はif節」程度にしか認識していないと、英作文などで自分の言いたいことを言う場合に直説法を使ったらよいのか、仮定法を使ったらよいのかがわからなくなることがある。その場合、「ありえることなのか、ありそうもないことなのか」を基準に判断して、直説法と仮定法を使い分けるようにしよう。

例えば「明日、雨になったら」とか「道を歩いていて交通事故にあったら」とか「宿泊したホテルで火災が発生したら」といったことは、十分にありえることなので、直説法で表す。

一方で「明日、空から槍が降ってきたら」とか「道を歩いていたらいきなり地面に亀裂が生じて飲み込まれたら」とか「宿泊したホテルがゾンビに襲われたら」とかいったことは、基本的にありえないことなので、仮定法で表す。

ここまで大げさな例でなくても、「今は夏だが、明日雪が降ったら」とか「道を歩いていて、休暇で海外旅行に行っているはずの同僚に出くわしたら」などといったことは、ありえないはずのことだから仮定法だ。

ただしこの基準も、個々の場合によりけりで、統一的な基準というものがあるわけではない。

先日見たような「もし私が100歳になったら」は、通常は十分にありえることと扱われるので、直説法が用いられる。しかし、その作文を書いてる人が70歳で、病気のために余命1年と宣告されているような場合は、100歳まで生きるということはまずありえないので、仮定法で書くことになるだろう。逆に考えれば「もし私が100歳になったら」という文章を仮定法で書いている人は、自分が100歳まで生きるとは考えていないということになるだろう。

 

パンクチュエーション(句読法)の英米

イギリス英語とアメリカ英語には微妙な差異がある。ここで見るパンクチュエーションのルールもそのひとつだ。

日本語で「文部科学省」を「文科省」とするなど、漢字の名称を一部だけ抜き出して略称とするように、英語では単語の最初の文字だけを抜き出して略称とする習慣がある。これを頭字語(acronym)という。

例えば今回の実例の記事の掲載元のBBCは、"British Broadcasting Corporation" (英国放送協会)の頭字語である。

元々英語では、何かの単語を省略した場合はそのあとにピリオドを置いて、「ここは単語の一部が省略されていますよ」ということを示すという習慣があった。だがいちいちピリオドを打つのも煩雑ということで、その習慣は英語の母国であるイギリスでは廃れた。一方でアメリカではピリオドを使う用法がそのままになっている(詳しくはウィキペディア英語版を参照)。

だから、"the United States of America" は、イギリスでは "the USA" と表記され、アメリカでは "the U.S.A." と表記される。 "The United Kingdom" は、イギリスでは "the UK" でアメリカでは "the U.K." だ。

同様に、Mister Smithの省略形は、イギリスでは "Mr Smith", アメリカでは "Mr. Smith" となる。

ただしアメリカでも、頭字語を1つの語であるかのように発音するときはピリオドをつけない。"North Atlantic Treaty Organization" の略称である "NATO" は、英語では「エヌ・エイ・ティー・オー」ではなく「ネイトー」と1つの単語のように読むので、アメリカでもピリオドなしである。

この記事を出しているBBCは英国の報道機関で、英国式の表記ルールにのっとっている。

 

 

パンクなパンダのパンクチュエーション―無敵の英語句読法ガイド―

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英文法解説

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