Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

同格のthat, 関係代名詞, 等位接続詞but, やや長い文, 現在完了の受動態, 現在完了進行形など (英・コンテナの中で39人が亡くなっていた事件)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

今回の実例も、前回と同じ記事から。背景解説などは前回のエントリでたっぷり書いてあるので、そちらをご参照いただきたい。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

ここで「カナビス農園 cannabis farms」が出てくるが、念のため説明しておくと、カナビス(大麻)の娯楽目的での吸引・所持・栽培は英国でも違法である(医療目的での使用は、疼痛などに悩む当事者からの長年の訴えかけの末、てんかんを持つ子供に効果があったとのことで、2018年11月に解禁された)。英国では薬物犯罪について全般的に、日本を含むアジアよりずっとゆるい取り扱いがなされているが、違法は違法であり、特にカナビスの栽培には当局が目を光らせている。栽培で摘発されればそれなりの刑罰を受けることになる。もちろん、栽培主(収穫物を売って儲けている人々)は非合法活動に携わる人々である。

正規ルートを使わずに入国したベトナム人は、そういうところで働かされている、というのが、この記事の内容である。

英国では果物・野菜の収穫や加工食品製造のような賃金の安い長時間の単純労働は、現状、EU圏からの労働者に頼っているが、カナビス農園のような場所での労働はさらにその埒外にある。「誰もやりたがらないような仕事」どころではない。

 さて、実例だが、今回見るのは、前回見た部分より前(上)の方から。

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2019年10月25日, the Guardian
 

キャプチャ画像2番目のパラグラフより、書き出しの部分: 

Reports that a young Vietnamese woman was one of the 39 people who ...

太字で示したthatは《同格》のthatだ。この項目は既に何度も取り上げているが、以前(今年3月)書いたものをコピペして再掲しておこう。

このthatは接続詞で《同格》を表す(そのためこれは「同格を表すthat節」などとも呼ばれる)。《同格》とは「~という…」という構造のこと。「日本代表が勝ったというニュース」とか、「その実業家が不正をはたらいたという事実」とか、「明日雨が降るという予感」とか、「ブルーライトは健康によくないという証拠」とか、「努力は必ず報われるという信念」といった例を思い浮かべてほしい。

英語では、thatの前に「ニュース」とか「事実」とか「予感」とか「証拠」とか「信念」といった語が来る形になる。

  We've just heard the news that Japan's national team has won.

  The fact that the businessman did something unlawful is widely reported.

  I have a hunch that it will rain tomorrow.

この構造をとる単語というのはある程度決まっている。本記事末尾にリンクしてある文法書や辞書でこの「同格のthat」の項目を参照すると説明があるはずなので、参照してみてほしい。(「~という」の意味で何でもかんでもthatを使えば意味の通じる英語になる、というわけではないので、英作文の際には注意が必要だ。) 

挿入、時制、現在完了進行形、become + 補語、同格のthat、進行形の受動態 - Hoarding Examples (英語例文等集積所)

"Reports that a young Vietnamese woman was one of the 39 people" は、逐語訳すれば、「ある一人の若いベトナム人女性が、39人のうちの1人であるという報道」という意味である。

 

さて、この文はやや長くて文構造が取りづらい文である。主語に上記の《同格のthat》がついているので長くなっていて、述語動詞が離れている。こういう場合はどこまでが《同格のthat》の節なのかを正確に読み取ることが重要である。このケースではそのthat節の中にまた関係代名詞の節があって長くなっていることに注意が必要である。

また、この文は《等位接続詞》のbutで2つの文がつながれているので、その前でいったん区切ることが重要だ。

ここまでをまとめると、次のようになる。

Reports { that a young Vietnamese woman was one of the 39 people  ( who died this week in a refrigerated trailer ) }  have not been confirmed by police, / but anti-slavery organisations have been ...

このスラッシュの前までは、「ある若いベトナム人女性が、今週冷蔵コンテナの中で死亡した39人のなかの1人であるという報道は、まだ、警察によって事実と確認されてはいないが」という意味。

"have not been confirmed" は《現在完了の受動態》の否定形で、be confirmedのbeの部分がhave beenとなったものに、否定のnotが入っている。意味は《完了》の意味で、肯定文なら「もう~した」、否定文なら「まだ~していない」である。

 

続いて、等位接続詞のbutのあとの部分: 

but anti-slavery organisations have been trying to raise the alarm for years about the growing problem of Vietnamese children and young adults being trafficked into the UK.

これはこれでだらだらとけっこう長いのだが、順番に読んでいけば特に問題はないだろう。

"have been trying" は《現在完了進行形》で「ずっと~してきた」。

"try to do ~" は「~しようとする」。ここまで合わせて「ずっと~しようとしてきた」。

"raise the alarm" は熟語(イディオム)で「警鐘を鳴らす」。

"for years" のforは《期間》を表す前置詞で「何年間もずっと」。このforは現在完了進行形や、《継続》の用法の現在完了と一緒によく用いられる。

  I've lived in Tokyo for ten years. 

  (東京に住んで10年になります)

  I've been listening to Mozart for three hours and have not been tired. 

  (3時間ずっとモーツァルトを聞いているが、全然飽きてこないね)

 

その後、"the growing problem" のgrowingは現在分詞で形容詞的に用いられている。「どんどん大きくなる問題」という意味。

そして最後のセクション、"of Vietnamese children and young adults being trafficked into the UK" は、"Vietnamese children and young adults" が(語数が多いのでかさばっているが)beingの意味上の主語(《動名詞の意味上の主語》)。つまり、ここは基本的に、"the growing problem of -ing" に、-ingの意味上の主語が入っているという形になっている。

ここで、"problem of -ing" の形になるのは、ofが前置詞なのでその直後が動名詞だからだ(《前置詞+動名詞》の形)ということも、納得・確認しておこう。

最後に、"being trafficked" は《動名詞の受動態》で、be traffickedという受動態のbeの部分が動名詞のbeingになっている。

 

つまりこの文は、逐語訳すれば、「奴隷労働に反対する組織*1は、何年もずっと、ベトナムの子供たちや若い成人が英国に送り込まれているという、増大する問題について、警鐘を鳴らそうとしてきた」という意味になる。

 

さて、この事件では、コンテナを運んでいたトラックの運転手が逮捕されていたが、土曜日に起訴され、月曜日に法廷で裁判が開始された。最初はエセックスの治安判事裁判所という地域の犯罪を扱う下級裁判所で始まったこの裁判、本人確認程度の形式的手続きで初日は終わり、次回は11月25日、ロンドン中心部のオールドベイリー(中央刑事裁判所)に場を移す。つまり下級裁判所では扱えないような重大な裁判になるということだが(組織犯罪なのだから当然)、罪状認否などもそのときに行われるようだ。

以降、報道については下記スレッドに続けていくつもりである。関心がある方はそちらをチェックされたい。

 

参考書:  

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 
英文法解説

英文法解説

 

 

 

ジーニアス英和辞典 第5版

ジーニアス英和辞典 第5版

 
ウィズダム英和辞典 第4版

ウィズダム英和辞典 第4版

 
オーレックス英和辞典 第2版新装版

オーレックス英和辞典 第2版新装版

 

 

 

 

*1:「奴隷労働」の概念については前回のエントリで説明したのでそちらを参照。