Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

go + 形容詞, 英文読解, -ing形の区別, thatの省略, 関係代名詞など(昆虫の減少という問題に、私たちは何ができるか)

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今回の実例は、都会生活でも実感できる環境問題についての青少年向けの記事から。どこぞの環境大臣などが言ってる、若者向けにするには「セクスィ~」にしなければということは、こういうことなのだろうか。つまり、「ただ読んで『深刻な問題ですね』で終わらせるのではなく、『自分にもできること』を提案し、取り組みを促す」という方向性。それなら「セクスィ~(閣議決定)」路線でもいいんじゃないかと思う。

BBC Newsの中に、Newsbeatというコーナーがある。現在はBBC Newsの一般のサイトとシームレスで、普通にNewsを見ているつもりでリンクをクリックしてみたらNewsbeatだったということがよくあるが、NewsbeatはBBC Radio 1のニュース番組で、"Newsbeat is produced by BBC News but differs from the BBC's other news programmes in its remit to provide news tailored for a specifically younger audience." との由。つまり青少年向けのニュース番組である。ラジオという音声ベースの媒体だし、内容も語彙も構文も、一般に「読まれる」ことを前提とした記事よりも平易だから(だからといって非ネイティヴ英語話者である英語学習者にとって「簡単」とは限らないのだが)、長文多読の素材に向いている記事が多い。Newsbeatの記事は下記リンクから一覧できる。

www.bbc.com

 

今回の記事のトピックは、昆虫が減少しているという件。これは東京で私も感じていたのだが*1id:cenecio さんも感じていらっしゃるとのことで、先日ブログに書いていらした。

cenecio.hatenablog.com

私の住んでいるエリアでは、立派な庭があって庭木が植えられているようなお宅が近年次々とマンションやアパートに建て替えられていて、「庭木」というものがどんどん減っていて、住宅街の立派な一本桜(ソメイヨシノ)が姿を消した次の年には、隣の区画のヤマザクラが消えて、自転車で数分行ったところにあるハナカイドウやハナミズキに満たされた庭のある家が取り壊されて時間ぎめの駐車場になったりしている。かなり離れた場所だが、道路の拡幅のために家が立ち退いた場所もあり、そこにそびえ立っていた何の種類だかわからないが巨木もなくなった。昨年(2018年)10月の台風で公園の木が何本も倒された影響もある(巨木がすさまじい風に揺らされたため、根本が緩んで倒木の危険が生じたとかで伐採されたものもあるし)。寿命を迎えたというソメイヨシノの巨木が私が行動する範囲で数本切られた。一方で新築の豪華マンションの周りには若い木が新たに植えられているから、この先はまた環境が変わってくるのかもしれないが、ともあれ、今は目で見えるレベルで「緑が減った」と感じられている。

 

そういう場合でも、昆虫が生きられる環境を人の手で作ることは可能だ、というのが今回の記事。こちら: 

www.bbc.com

 

ヨーロッパでの昆虫の減少は、10年ほど前から深刻な状態にあると言われているが、今回、英国でthe South West Wildlife Trustsという機関が調査報告書をまとめた。そこに示された危機的な状況に対して、都市に住む人間は何ができるか、ということについて箇条書きのような形式で示した記事で、とても読みやすいので、英語の勉強のために全文を読むことは有益だと思う。

実例として見るのは、5項目に分かれている本文の2つ目の項目: 

f:id:nofrills:20191118121759j:plain

2019年11月14日、BBC News

小見出し

Try to go organic

このgoは《go + 形容詞》で「~になる」の意味を表す用法。文型でいえば《SVC》の文型だ。

  If I don't have a guitar on me, I would go insane.*2

  (常にギターを持っていないと、頭がおかしくなってしまう)

organicは「有機的な」「有機体の」という意味だが、ここでは「有機農法の」という意味。go organicは英語圏で頻出する表現で「有機農法で生産されたものを食べるようにする」という意味だ。

 

ここで「有機農法」とは、「化学肥料や殺虫剤を使わずに作物を育てる農法」という意味であるが、そのことは小見出しに続いている本文で説明的に示されている。下記の太字の部分だ。

You can also help in other ways outside your home too - organic fruit and vegetables are grown without man-made pesticides so buying them means you're eating food from an environment that's claimed to be kinder to insects.

だから、仮に小見出しのgo organicの意味が十分にわからなくても、ここを読めばどういうことかがわかるはずだ。

 

続いて、この部分の文法を見ていくと: 

buying them means you're eating food from an environment that's claimed to be kinder to insects.

2か所出てきている-ing形、それぞれの意味が、一読した段階で正確にとれただろうか。(この程度は一読して正確に把握できるようにしておかないと、難関大学の入試は厳しい。)

最初の "buying" は《動名詞》で、この文の主語になっている。

これに対する文の動詞は "means" で、「それらを買うことは、~を意味する」というのがこの文の骨格だ。

 

その "means" の目的語がその後の部分全部で、meansの直後にthat節のthatが省略されている。それを補って書くと: 

buying them means ( that you're eating food from an environment that's claimed to be kinder to insects ).

太字で示したthatは《関係代名詞》で、先行詞は直前の "an environment". よってこの部分、意味を取るために関係代名詞を使わない形を考えてみると、"an environment is claimed to be kinder to insects" となる。ここで《be said to do ~》(「~すると言われている」)のバリエーションが入ってきている。

  He is said to have insider knowledge of the music industry. 

  (彼は音楽産業を内側から見た知識を持っていると言われている)

  He is said to be a very skillful player. 

  (彼はとても上手いプレイヤーだと言われている)

この said が claimed になっている形だ。

claimという単語は、まさか大学受験生で日本語のカタカナ語の「クレーム」で解釈しちゃう人はいないと思うが、こういうふうに用いられていると意味が取れないという人は、辞書で確認しておく必要がある。

というわけで、今回の実例の中の "an environment that's claimed to be kinder to insects" は、直訳すれば、「昆虫にとってより親切だと主張されている環境」の意味になる。

 

記事のこの次のセクションも文法的に検討する価値があるのだが、今回はもう長くなったのでそれは次回に回すことにしよう。

 

参考書:  

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 
英文法解説

英文法解説

 

 

 

 

 

*1:蛾はいっぱいいるんだけど蝶を見かけなくなったし(大きなアゲハ蝶やマツグロヒョウモンも、小さなシジミ蝶も)、カナブンのような甲虫もしばらく見ていない。夏に、なぜかうちの外壁にしがみついて鳴いているアブラゼミの声に悩まされることも減った。

*2:英文出典: https://twitter.com/GQMagazine/status/978663436681990149

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