このエントリは、今年4月にアップしたものの再掲である。今年大学受験する人はそろそろ仕上げの時期だが、一定のレベルを目指す人は、この実例は一度読んだだけで構造を取ったうえで意味が把握できるようにしておきたい。今の自分の実力を確認するつもりで読んでいただけれはと思う。
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今回の実例はTwitterから。
4月22日は「アースデイ (Earth Day)」で、Twitterでもハッシュタグの #EarthDay がTrendsのトップに入っていた(UKで見た場合)。
ハッシュタグで投稿されていたツイートの内容は、大半が「地球を大切にしよう」という趣旨の呼びかけに美しい自然の光景・風景の写真が添えられたふわっとした感じの環境保護主義のものだったが、中には環境問題について先進的な取り組みをしていることをアピールする企業のツイート(例えば2020年までに使い捨てのプラスチックやビニールを8割削減する方針を打ち出したエティハド航空のものなど)や、より強いメッセージを打ち出した環境保護団体のもの(例えば、BBCの自然番組の顔であるサー・デイヴィッド・アッテンボローのメッセージ・ビデオを添えたWWF UKのものなど)もあったし、アポロ計画で月面に降り立った米国の宇宙飛行士の1人、バズ・オルドリンさんは、月から見えた地球の写真をツイートしていた。
その中にあったのが、今日実例として見るツイートである。
Happy #EarthDay! 🌍
— The Big Cat Sanctuary (@TheBigCatSanct) April 22, 2019
The responsibility to protect & save the incredible species that we share this planet with is on each & every single one of us. We simply cannot let the loss of our wonderful creatures, big and small, be our lasting legacy. #ProtectOurSpecies pic.twitter.com/OoerMZIn5G
ツイート主のThe Big Cat Sanctuaryは、英国南部のケント州にある大型猫類(ヒョウやトラ、ライオンなど)中心の施設で、繁殖・生態研究を行なう傍ら、一般の人々の見学や体験ツアー、サファリ・ナイトを企画・提供している。
https://thebigcatsanctuary.org/
ツイート本文は2文から構成されている。まず最初の文だが:
The responsibility to protect & save the incredible species that we share this planet with is on each & every single one of us.
ぱっと見て(読んで)、この文の構造は取れただろうか。どれがSでどれがVか、説明できるだろうか。
この文の主語(S)はThe responsibility, 述語動詞 (V) はisで、その間に入っているのはThe responsibilityを修飾する語句である。つまり、文の骨格だけ見ると、「責任はわたしたちそれぞれひとりひとりの上にある」という意味だ。
The responsibility (to protect & save the incredible species that we share this planet with) is on each & every single one of us.
そして、その「責任」を修飾(説明)しているのが "to protect & save the incredible species that we share this planet with" の部分だが、ここに《to不定詞の形容詞的用法》と《関係代名詞と前置詞》が入っている。
《to不定詞の形容詞的用法》については、もう詳しい解説はいらないだろう。名詞を修飾・説明する用法で、the responsibility to do ~で「~する責任」という意味になる。
《関係代名詞と前置詞》のほうは少々ややこしいかもしれない。"save the incredible species that we share this planet with" のthatが関係代名詞で、最後のwithは浮いているように見えるかもしれないが、元の文の形を考えれば納得できるだろう。つまり:
save the incredible species
+
we share this planet with them
この2文を、関係代名詞を用いて1つにする。下線を引いたthemを関係代名詞に置き換えると、それが前に出るから、次の形になるわけだ。
save the incredible species that we share this planet with
「私たちがこの惑星を共有している信じがたいほど素晴らしい生き物たちを救う」という意味になる。
ツイートの第2文には《let + O + 動詞の原形》が入っているのだが、このOの部分がかなり長い。太字と下線を使って示すと、次のようになっている。
We simply cannot let the loss of our wonderful creatures, big and small, be our lasting legacy.
let ~ be ... は「~を…にさせる」の意味だが、訳し方としては「~が…になるがままにする」としたほうがはっきりするかもしれない。
文意は 「私たちは、大きなものも小さなものも含め、私たちの素晴らしい生き物たちの喪失を、私たちの今後ずっと続く遺産になるがままに放置することはできない」となる。
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