Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

接続副詞however, neither A nor B, admit -ing, 関係代名詞, 分詞構文(スリランカの武装集団)【再掲】

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このエントリは、今年4月にアップしたものの再掲である。意外と見落としがちな基本事項がたくさん入っているので、受験生のみなさんには本番前の仕上げの一環として読んでいただければと思う。

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今回の実例は、2019年4月21日のイースター・サンデーの日にスリランカで起きた、あまりに残虐で非道な連続爆弾テロを実行したと考えられる集団についての解説記事から。

今回の連続テロは、イースターの日曜日(受難したキリストが復活した日)というキリスト教徒にとって宗教上最も大切な祝日に、カトリック教会を標的として起こされた。当日は、画面を見るたびに死者数が増えていくのを見ていて、まさに言葉を失うよりなかった。このような卑劣な暴力で人生を断ち切られた人々、人生が大きくゆがめられた人々や、大切な家族・友人・同僚・恩師・生徒を奪われた人々のことを思うと、圧倒的な悲しみに襲われる。亡くなった方々に哀悼の意を表し、負傷させられた方々のご回復と影響を受けたコミュニティの傷が癒える日が来ることを願うばかりである。

スリランカは10年前の2009年まで、何十年にもわたって内戦が続いていた。この内戦はシンハラ人の政府と、タミル人の武装勢力LTTE(「タミル・イーラム解放の虎」)との間のもので、大まかに、前者は仏教徒、後者はヒンズー教徒という構図だった。政府もLTTEも一切容赦というものがなく、内戦は熾烈なもので、内戦終結が宣言されるまでの最後の数か月だけで何万人という民間人(一般市民)が犠牲になっている。詳細はウィキペディアにもよくまとまっている

そのスリランカでは、イスラム教徒は全人口の10%にも満たないくらいのマイノリティであるが、その中にごく小規模な過激派集団があり、仏教寺院で建物の外にある仏像の顔を壊すなどの破壊活動を行なうなどしていた。そして今回の爆弾テロは、その過激派集団の中のさらに過激な分派*1が実行したとみられている。

しかし、その元の過激派集団ですら、ローカルな存在として国内の一定範囲では知られているかもしれないが、国外とのつながり(国際的なネットワーク)は特に持っていなかったと考えられてきた集団で、つまり国外ではほとんど知られていない。そしてその分派となればなおさら、ほとんど何も知られていない。

というわけで、テロ事件後、英語圏の国際メディアはだいたいどこも「聞いたことのない組織だが、こういう組織である」という解説記事を出すことになった。今回実例として見るのは、英BBC Newsのそういう記事である。

記事はこちら: 

www.bbc.com

 実例として見るのは記事の最初の方、第3パラグラフの文(下記キャプチャ画面では一番上): 

f:id:nofrills:20190423222022j:plain

2019年4月22日、BBC News

However, neither NTJ, nor any other group, has admitted carrying out the wave of bombings which tore through the island, killing almost 300 people.

この短い文の中に、重要な文法事項が5つ入っている。

接続副詞however

「しかしながら」という意味を表すhoweverは、接続詞ではなく《接続副詞》(接続詞のように使われる副詞)で、接続詞を使うときとは、文の作り方とコンマの使い方が異なる。構造がわかりやすいように単純化した例文を見てもらいたい(いずれも「雨天だが、暖かい」という意味)。

例文1: 等位接続詞butを使った表現。butの直前にコンマ。

   It’s wet, but it’s warm. 

 

例文2: 従位接続詞althoughを使った表現で、althoughの節を前置した形。

 

   Although it’s wet, it’s warm. 

 

例文3: 同じく従位接続詞althoughを使った表現で、althoughの節を後置した形。

    It’s warm(,) although it’s wet. 

 

例文4: 接続副詞howeverを使った表現。いったんピリオドで文を切り、Howeverは大文字で書き始め、直後にコンマを置く。
   It’s wet. However, it’s warm. 

 

例文5: 同じく、接続副詞howeverを使った表現だが、ピリオドの代わりにセミコロン (;) を使い、Howeverは小文字で書き始めて、直後にコンマを置く。(論文などで使える正式なスタイル)

   It's wet; however, it's warm. 

 
neither A nor B

《neither A nor B》は《否定》を表し、「AもBも、どちらとも~ではない」の意味。neitherはnot eitherと同じ意味で、《neither A nor B》は《both A and B》の反対と覚えておくとよいだろう。

   Neither Tom nor Ben knew John's number. 

   (トムもベンもどちらも、ジョンの電話番号を知らなかった)

   Both Tom and Ben knew Mick's number. 

   (トムもベンもどちらも、ミックの電話番号を知っていた)

   She neither smokes nor drinks. 

   = She doesn't either smoke or drink. 

   (彼女は喫煙しないし、飲酒もしない)

 

admit -ing

admitはざっくりと「~を認める」という意味だが、「認める」からにはその目的語は「すでに為されていること」や「現に目の前にあること」なので、to不定詞ではなく動名詞を使う。

   Cohen admitted lying to Congress about a plan to build a Trump Tower in Moscow. *2

   (コーエンはモスクワでのトランプ・タワー建設計画について議会に対し嘘をついたことを認めた)

 

はっきりと過去のことだということを表したいときは、動名詞を完了形にすることもある。

   He admitted having stolen his brother's money. 

   (彼は弟の金を盗んだことを認めた)

 

関係代名詞

the wave of bombings which tore through the island

今回見ている文の上記部分は、《関係代名詞》の主格が用いられている。「その島(=スリランカ)を切り裂いた一連の爆弾攻撃」という意味になる。

 

分詞構文

そして、実例の最後の部分では、報道記事でよく見る《分詞構文》が用いられている。このkillingの主語は関係代名詞のwhichなので、「その島を切り裂き、300人近くを殺した一連の爆弾攻撃」と解釈すればよい。

carrying out the wave of bombings which tore through the island, killing almost 300 people.

 

 

本稿の関連参考書:  

英文法解説

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ジーニアス英和辞典 第5版

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パンクなパンダのパンクチュエーション―無敵の英語句読法ガイド―

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*1:一般論として、「分派」というのは、元の組織がヌルいと感じた人々の集団で、元が過激派なら分派は超過激派ということになることが多い。

*2:英文出典: https://www.independent.co.uk/news/world/americas/us-politics/michael-cohen-trump-russia-investigation-plea-deal-mueller-lies-congress-moscow-tower-project-a8660876.html 一部改

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