このエントリは、2019年4月にアップしたものの再掲である。1文に入っている情報量が多く、なかなか構造がつかみづらい実例だが、こういうのが「何となく単語をつなぎ合わせれば意味が取れるもの」のではなく、構造を把握することで意味を取るものだということがわかっているかどうかで、得点力に大きな差がつく。
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今回の実例は、4月21日のイースターサンデーにスリランカで発生した爆破テロに関する続報から。
あの卑劣極まりないテロから1週間が経過し、実行者や実行グループの背景なども明らかになってどんどん報道されてきているが、同時にスリランカ政府による捜査も進められている。スリランカは2009年まで内戦(国内の分離主義武装勢力による内乱)があって当局にノウハウがあるためか、こういう場合の「対テロ」捜査の進み方が早いようだ。
というわけで4月29日の記事:
キャプチャ画像内の最初の文:
Security forces have been conducting raids across the country but this safe house was discovered by chance, when the suspicious house owner and local people alerted the police.
太字にした部分は《現在完了進行形》だ。ここでは「事件発生から今までずっと~している」ということをこの時制で表している。一方、butのあとでは単純な過去形が用いられている。これは、隠れ家が発見されたのは《過去の一点》だからだ。
次の文はかなりややこしい。長い文だが、まず次の個所で切ってみよう:
Every day, police are making arrests, seizing weapons, explosives and jihadist material / suggesting [the radicalisation process, however small it may be, has been happening over a period of time].
太字にしたsuggestingは現在分詞で、直前のjihadist materialを修飾する働きをしている(分詞の後置修飾)。
そして、そのsuggestの目的語が "the radicalisation process, however small it may be, has been happening over a period of time" の節で、これにはhoweverの節が《挿入》されているから長くなっているが、"the radicalisation process has been happening over a period of time" というのが節の骨格。
そこに "however small it may be" が挿入されているのだが、このhoweverは《譲歩》を表す用法で、「それがどんなに小さくても」の意味。つまり、suggestingから後ろは、「過激化のプロセスは、どんなに小さなものであっても、一定期間にわたって生じているということを示している」。
順番が前後したが、suggestingの前の部分は:
Every day, police are making arrests, seizing weapons, explosives and jihadist material
最初の-ing形(下線部で示したもの)は、《be + -ing》つまり《進行形》の一部になっている現在分詞だが、そのすぐ後にある二番目の-ing形(太字で示したもの)は《分詞構文》だ(seizingの前にandがあれば、police are making ... and seizing ...という等位接続詞の構文と考えられるのだが、ここはそうではない)。
こういうふうに-ing形が矢継ぎ早に出てくると、「矢継ぎ早に出てきている」ことに気を取られて構造を取りそこなったりしてしまうこともあるが、落ち着いて考えよう。
文意は、「毎日警察は、武器や爆発物、ジハード主義の資料類を押収しながら、逮捕を行なっている」。
その「ジハード主義の資料類」(PDFで配布される文書、ネット上のメッセージやYouTubeのビデオなど)が、上述したsuggesting以下の語句で修飾されているわけだ。