Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

接続詞のfor, 先行詞を含む関係副詞のwhere, A is to B what C is to D(反ワクチン運動の広まり)【再掲】

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このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。「受験英語として習った英語が実際に使われている」という例としては完璧といってよい実例だ。特に《A is to B what C is to D》は実によく見かける表現である。

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今回の実例は、「反ワクチン anti-vaccination movement, anti-vax」についての論説記事から。

最近、米国で麻疹(はしか)の流行が報告された影響か、「反ワクチン」は日本語圏でもかなり話題にのぼるようになってきたが、今のこのムーヴメントの発端はおよそ20年前、『ランセット』という権威ある医学分野の論文誌(学術雑誌)に、ウェイクフィールドという学者が発表した論文にある。その論文の内容は、概要を書くだけでも「反ワクチン」のデマを再生産し拡散することになってしまうのでここではスルーするが、当該の論文は発表直後から複数の問題点が指摘され、その後最終的には全面撤回されるということになった。つまり、その論文の内容は全然正しくない、論文はデタラメ、と結論されている。

しかし論文の発表から全撤回までの10年余りの間に、そのデタラメな中身は難しいことなんかわからない一般人の(一部の)あいだにパニックを引き起こし、「ワクチン忌避」という新たなムーヴメントを引き起こした。それが、論文全撤回から9年になる現在でも終わっていなくて、その影響(と思われるもの)が実社会で確認されてきている。それが昨今の麻疹の流行だ。

麻疹の流行に関してはウェブ検索で報道機関の記事を読んでみていただきたい。例えば米WSJの日本語版には下記の記事(2019年3月9日付)がある。

jp.wsj.com

 

 

 前置きはこのくらいにして、今回参照する記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

f:id:nofrills:20190515030406j:plain

2019年4月27日、The Guardian

キャプチャ画像に入っていない上の部分には、西洋とは少し異なる文脈で生じているパキスタンやナイジェリアでのワクチン忌避についての記述がある。

 

接続詞のfor

それに続くパラグラフ、冒頭の "For" は《接続詞》で、前の文に付加的に理由などを続けるという機能を持つ。訳すとすれば「というのは」となる。

 

先行詞を含む関係副詞のwhere

For where doctors in Pakistan and Nigeria battle prejudice, the west is confronting an anti-vaxxing movement that is spreading virally

接続詞の "For" に続く "where" は、《先行詞を含む関係副詞》で、「~するところ(では)」といった意味。つまりこの文は「というのは、パキスタンやナイジェリアの医師たちが先入観と戦っているところで、西洋は、ウイルスのように広まりつつある反ワクチン運動と対決しているのだ」という意味になる。

なお、この後の "virally, in every sense of the word" は、virallyが最近元の意味(「ウイルスのように」)とは別に、ある点では俗語として、ネットで急速に広まることについて用いられるようになってきていることへの言及である。

 

A is to B what C is to D

この記事では "what C is to D, E is to F, A is to B" という形になっているが、《A is to B what C is to D》は「AのBに対する関係は、CのDに対する関係に等しい」という意味の構文である。

この構文については「日本特有の受験英文法なんだろうと高をくくっていましたが、実際にニュース記事で使われていたので驚かされました」という声も珍しくない。実際「こんな回りくどい表現、ネイティブは使わない」とドヤ顔で語られているのを見たこともあるが、それは嘘だ。これは一種のやや格式張った定型表現で、使いどころを間違えたら浮いてしまうかもしれないが、報道記事というより論説の記事ではけっこうよく見る。今回の実例もそのひとつだ。

What natural disasters are to cholera outbreaks, and mosquitoes are to malaria, a combination of social media and populist movements has inadvertently become to measles scare stories.

やや長い文だが、 "what C is to D, E is to F, A is to B" の図式に当てはめると: 

  C: natural disasters (→複数形なのでbe動詞はisではなくare)

  D: cholera outbreaks

  E: mosquitoes (→複数形なのでbe動詞はisではなくare)

  F: malaria

ここで、Cが原因でDが起きる、Eが原因でFが生じる、ということが把握されるだろう。構文として定訳の形にすれば、「自然災害とコレラアウトブレイクの関係、および蚊とマラリアの関係」となるが。

そしてその次: 

  A: a combination of social media and populist movements

  B: measles scare stories

これについても、Aが原因でBが生じる、という論理構造を把握しなければならない。「ソーシャル・メディアとポピュリスト運動の組み合わせが原因で、麻疹に関する恐怖譚が生じている」わけだ。

なお、この部分は動詞としてbe動詞ではなく、becomeが現在完了形で用いられている。しかも副詞が入っているので、"has inadvertently become" と何だか妙に長くなっている。

 

さて、「反ワクチン運動」だが、発端となったウェイクフィールドは英国人である。ただしいろいろあったあと米国に移住し、その後はドナルド・トランプ支持層で影響力を保ち続けている……というか拡大させているっぽい。下記は2018年7月の記事。www.theguardian.com

これはたいへんによくない事態なので、日本語圏でも情勢をウォッチしている人たちはけっこういる。関心がある方は、ウェブ検索で適切な情報源にたどり着いていただければと思う。

どれが「適切な情報源」かわからない場合、少なくとも、3種混合ワクチンで子供に恐ろしい害が出るという内容のウェイクフィールド論文は撤回されているという事実を踏まえているかどうか、またウェイクフィールド論文に言及している場合、撤回の事実をわかりやすく提示しているかどうかという点をチェックするとよいだろう。

 

 

 

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

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英文法解説

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