Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

"We stay at work for you. You stay home for us." というメッセージ(新型コロナウイルスに立ち向かう医療現場)

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今回の実例もソーシャルメディアでたくさん流れてきた標語・メッセージから。

先週、「集団免疫」論を捨てて以来、英国で(アイルランドも同じなのだが)人々に対し家にいるように呼び掛ける標語が繰り返し流されていることは既に書いた通り。

hoarding-examples.hatenablog.jp

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そのようなメッセージが政府から発され、医療現場(病院)が患者の激増(「オーバーシュート」なる珍妙な日本語が使われているが、あれはおかしい)に備えているときに、現場からは「負担をかけるな!」「病院に押し寄せるな!」というヒステリックな否定命令文ではなく、下記のような、とてもポジティヴで人間らしいメッセージが発された。

これだから、私は英語が好きなのだ。

 上のツイートは英マンチェスター、下のは米ニューヨークの病院の医療従事者からのメッセージだ。"We stay here for you. Please stay home for us." 「私たちは、あなたがたのために、ここ(病院)にいます。あなたは私たちのために、家にいてください」

つまり、感染が拡大して患者が増え、病院がキャパシティを超えないように、一般の人々は自分が感染しないことと他人を感染させないことを第一に考えて、家にいてほしい(外出しないでほしい)というメッセージである。

日本でダイヤモンド・プリンセス号が注目されていたころから日本語圏では医療関係者やその方面の専門家が同じ内容のメッセージを発していたのだが、同じことを日本語で言わせると「病院に来るな」「病院に来る者を増やすだけだから検査なんかするな」という言い方になるのだから、いかにこの日本語圏というものが基礎に組み込まれているレベルで抑圧的なのかがいやでも感じられる。

さて、英語でのこのメッセージにはいくつかのバリエーションがあるが、 "We stay at work for you. You stay home for us." という対句の修辞法を使った表現が力強い。下記は英リヴァプールの病院から。リヴァプールといえばLiverpool FCで(エバトニアンのみなさん、すまんね)、リヴァプールの人々にまっすぐに届くものといえばLFCの応援歌となっている You'll Never Walk Alone ということで、そのへんにあるA4紙にマジックで1語ずつ、この標語を書いたものを医療従事者が持って、この歌を歌っているビデオである。

下記はジョージア(かつて「グルジア」と呼ばれていた国)の医師が掲げるジョージア語のメッセージを英語にして紹介するツイート。

下記はインドネシアの医師のツイート。"at" を英単語でなく記号の @ にしているが、同じメッセージである。

 下記はアイルランド、ダブリンの救急隊のもの。

 下記はカシミール、スリナガルのお医者さんたち。

 

 下記はケニアのキジャベという町の病院から。

 下記は香港。

 下記はフィンランドヘルシンキ

 下記は米国のサンディエゴ。

TwitterFacebook, TikTokなどいろいろなサービス(アプリ)に乗って発されている医療現場からのこのメッセージを、カタールの報道機関、アルジャジーラ(英語版)が1本の映像にまとめたのが下記である。

イタリア、マレーシア、インド、韓国……と次々と現れる、紙に書かれたメッセージを持った医師や看護師たち。

私は東京でパソコンの画面の中でこれを見て、今これをここにまとめているのだが、 その過程で一度も、日本の医療関係者からこのメッセージが発されるのを見ていない。私の見る限り、日本だけは、この輪の外に位置している。

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2020年3月20日, Twitter @sarahdigresses

 

 

今回見たものは、個別のツイートの中に出てくる単語が難しいとかいうことはあるかもしれないが、英語としてはいずれも「中学英語」レベルである。読んで意味が取れない文が1つでもあった場合、基礎力に問題があるので、「やり直し英語」系の本か、あるいは文英堂や受験研究社、学研のようなところが出している高校受験前の総復習の問題集をやってみてほしい。

 

参考書:  

  

 

 

本稿は、はてなブログのお題キャンペーンに応募することにした。多くの日本語話者・英語学習者にこの言葉と、この言葉が語られているという事実を伝えたいからだ。

否定文ではなく肯定文で、こういうメッセージが出てくる英語圏のnormを、私はとても好ましく思う。

同じことを言うのでも日本語だと否定文のほうがしっくりくるというのは、本当に何でだろう。"Remember that you are not alone." も「あなたはひとりではないということを覚えていて」より「あなたはひとりではないということを忘れないで」のほうがしっくりくるよね。

 

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