Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

他動詞のrun, やや長い文, stop ~ from -ing, the + 比較級 ~, the + 比較級 …, however, as with ~, whetherの節, など(新型コロナウイルスのワクチン開発)

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今回の実例は報道記事から。

新型コロナウイルスのワクチンを開発している米モデルナ社が、(実験環境ではなく)実際に人間での治験を行ったところ、有望な結果が得られたと発表したことは、日本のメディアでも大きく報じられている。

米バイオ医薬ベンチャーのモデルナは18日、開発中の新型コロナウイルスワクチンの初期の治験の結果が有望だったと発表した。異なる量を投与した複数の治験参加者から抗体を確認できたという。7月には大規模な治験に移行し、早期の量産を目指す。……

モデルナは新型コロナの有力なワクチン候補「mRNA-1273」を開発している。今回の治験には18~55歳の男女45人が参加し、ワクチン量に応じて3つのグループに分けて効果を調べた。最もワクチン量が少ないグループの治験参加者も含め、現時点で8人からウイルスの感染を予防する働きをする「中和抗体」が確認できた。これまでのところ、重篤な副作用は見られないという。……

www.nikkei.com

ちなみに "mRNA" は「メッセンジャーRNA」で、これを使った医薬開発については下記ページなどを参照のほど。

www.chemicaldaily.co.jp

今回報じられた米モデルナ社の治験結果については、もちろん日本だけでなく世界的に大きく報じられている。今回の実例はそういった記事のひとつから。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

この記事は英国の新聞ガーディアンのものだが、英国は英国でオクスフォード大やインペリアル・コレッジなどがワクチン開発を進めているため、この記事は英国内の開発にも目配りしていて米国の一企業の進展をストレートに伝えるという形になっていないため、相当読みづらいと思う。最初の方に英国でどうなっているかという話がかなり長く書き連ねられているのだが、要はまだ結果が出ていないことについてあれこれ書いているので、読む側としては要領を得ないまましばらく読み進めなければならない。学習者の場合はこの段階で消耗しきってしまって本題にまでたどり着けないおそれもあり、全文の通読は報道記事を読みなれている人にしかおすすめできないが、余裕がある人は読んでみてほしいと思う。

今回実例として見るのは、その長い前置きが終わって本題に入ったところから。

 

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2020年5月18日, the Guardian

In the US study, run by the National Institutes of Allergy and Infectious Diseases, all eight volunteers made neutralising antibodies which were tested in human cells in the lab and stopped the virus from replicating.

やや長い文だが、文構造は取れただろうか。

主語と動詞を太字にして、全体を整理してみよう。

In the US study (, run by the National Institutes of Allergy and Infectious Diseases,)  all eight volunteers made neutralising antibodies ( which were tested in human cells in the lab / and stopped the virus from replicating).

というわけで、文の骨格は、"In the US study, all eight volunteers made neutralising antibodies" で、残りの部分は修飾語句だ。文の骨格の部分は「米国の研究では、8人のボランティア(被験者)全員が、(ウイルスを)無効化する抗体を作った」という意味。

最初の修飾語句、 "run by the National Institutes of Allergy and Infectious Diseases" はコンマで挟まれた《挿入》の形で、runは過去分詞。このrunは自動詞のrun(「走る」)ではなく、他動詞のrun(「~を運営する」など)で、文のここまでの部分は「米国立アレルギー・感染症研究所によって行われた米国の研究では」という意味になる。

二番目の修飾語句、"which were tested in human cells in the lab and stopped the virus from replicating" は《関係代名詞》の節で、《等位接続詞》のandによって、"which were tested ... and stopped" という構造を作っている。

"stopped the virus from replicating" は《stop ~ from -ing》の形(「~がーすることを妨げる、~にーさせない」)で、この関係詞節は「実験室内でヒトの細胞の中で実験され、ウイルスが複製することを妨げた」という意味。

訳すときは(原文の意味と違ってしまわないように)これら、部分ごとに取った意味を組み合わせて完成させればよい。

 

次の文:

The higher the vaccine dose, the more antibodies the volunteer produced.

《the + 比較級 ~, the + 比較級 …》の形(「~であればあるほど、ますます…」)だ。「ワクチン投与量が多ければ多いほど、より多くの抗体を被験者はつくった」という意味になる。

 

その次の文: 

However, as with antibody tests, there will still be questions over whether this response is enough to prevent people from being infected by the virus. 

文頭の "however" は接続副詞のhoweverで意味は「しかしながら」。

太字にした "as with ~" は熟語で「~のように、~同様に」で、ここまでは「しかしながら、抗体テストと同様に」の意味。

その後、"there will still be ..." は《there is/are ...》のbe動詞がwill beの未来形になったパターンで、「…があるだろう」、より自然な日本語では「…が生じるだろう」という意味になる。

下線で示した "whether" は「~かどうか」の意味で、このwhetherの節の中にも先ほど見た《stop ~ from -ing》とほぼ同意の表現、《prevent ~ from -ing》が入っている。「この反応が、人々がこのウイルスによって感染させられることを妨げるのに十分であるかどうか」というのがwhether節の意味だ。

 

今回のこの記事は、ここで見た部分の下は、英国での取り組みについて現状を報告していて、米モデルナ社の治験についてはこれ以上の情報があるわけではない。全文を読むのは、上述した通りかなり大変だと思うが、通読すれば、ワクチン開発という点で今どのくらいまで来ているのかがざっくり把握できるかもしれない。

今回の新型コロナウイルスに関しては、通常のワクチン開発よりものすごく早いペースで進んでいることは確かだ。ただ、それが即、開発成功を意味するわけではない。私たちは今と同じようにマスクをし、他人との距離を取り、手をよく洗ってうがいをし、手で顔をべたべたと触らないようにするという生活を続ける必要がある。

だが、感染がすさまじい規模になった欧州も、そろそろこの波は収束し、元の生活が少し戻ってきつつある。この前の週末はドイツのサッカー(ブンデスリーガ)が、観客なしという形ではあっても試合そのものは再開したし、5月18日の週はイタリアやスペインなどで規制解除が始まる。今週はそのニュースが相次いで伝えられるだろう。

www.theguardian.com

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説