Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

スポーツで「攻撃の」を言う言葉がoffensiveなのに、「攻撃陣」のことをoffenderと言わないのはなぜか【再掲】

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このエントリは、昨日同様、2019年7月にアップしたものの再掲で、私のTwitterでも定期的に(なおかつランダムに)フィードしているものである。ここで述べているようなことは、(この先はどうかわからないが少なくとも)現在社会人の人々にとっては「学校では習わない」ことだが、実務で英語を使うようになると非常に大事になってくる。早いうち(高校2年生くらい)から英英辞典を使っておくことは大いにプラスになる。

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今回は、前回の話から派生して、offendという動詞について。 

hoarding-examples.hatenablog.jp

 

前回は、offensiveという形容詞は、限定用法(名詞を直接修飾する用法)でなければ、まあだいたいは「無礼な」という意味になるということを、英英辞典なども参照しながら少し詳しく見てみた。His remarks were offensive to elderly women. は「彼の発言は高齢の女性に対し攻撃的だった」ではなく、「彼の発言は高齢の女性にとって失礼なものだった」である。 

このoffensiveという形容詞は、offense (UK式ではoffenceと綴る) という名詞と派生語の関係にある、ということにも触れた。

 

ではこれらの語と派生語の関係にある動詞は何か、というと、offendである。offensiveの対義語であるdefensiveとペアで見ておくとよいだろうから、表にしてみた。 

名詞 offense (offence) defense (defence)
形容詞 offensive defensive
動詞 offend defend

defend - defense - defensiveのほうは、主にスポーツ用語として日本語でカタカナ語になっている「ディフェンス」の意味そのままを英語にあてはめてもだいたい大丈夫なのだが(ただし形容詞のdefensiveは単に「防御的」とか「守勢の」という以上に「言い訳がましい」とか「批判に対して過剰に反応する」といった意味を持つことがある)、offend - offense - offensiveのほうは、カタカナ語の感覚を英語に持ち込むと、何か全然違ってしまうことになるわけだ。

 

本記事の目次: 

 

offendという動詞は、「攻撃する」の意味ではスポーツの分野でも用いられていない

スポーツ、例えばサッカーの用語で考えてみよう。主に守備を担当するプレイヤーは「ディフェンダー defender」と呼ばれ、DFという略称で表される。例えば下記のように。

jr-soccer.jp

 

では攻撃を担当するプレイヤー、というかサッカーの場合は積極的に点取りに行くポジションのプレイヤーはどうかというと、「フォワード forward (FW)」とか「ストライカー striker」と呼ばれ(たまに「アタッカー attacker」も使われるかもしれない)、defendの反対のoffendは用いられない。この点を確認するため、ズラタン・イブラヒモヴィッチウィキペディアを見てみよう。

Zlatan Ibrahimović (Swedish pronunciation: [ˈslaːtan ɪbraˈhiːmʊvɪtɕ], Bosnian: [zlǎtan ibraxǐːmoʋitɕ]; born 3 October 1981) is a Swedish professional footballer who plays as a forward for LA Galaxy. Primarily a striker, he is a prolific goalscorer who is best known for his technique, creativity, strength, ability in the air, and his powerful and accurate striking ability.

 https://en.wikipedia.org/wiki/Zlatan_Ibrahimovi%C4%87 

 

アメフトの場合は、攻撃に関わるプレイヤーたちは「オフェンシヴ・ユニット offensive unit」また「オフェンス」と呼ばれるが、それぞれのポジションは「クォーターバック」「ハーフバック」「フルバック」などといい、やはりoffendという動詞の出番はない。

https://en.wikipedia.org/wiki/American_football#Offensive_unit

 

しかしoffendという動詞は英語にはある。これはどういうときに用いられるのだろうか。

 

offendという動詞の意味

offendという動詞を、英英辞典で見てみよう。まずは米語辞典のウェブスター: 

https://www.merriam-webster.com/dictionary/offend

intransitive verb

1 a : to transgress the moral or divine law
b : to violate a law or rule : do wrong
2 a : to cause difficulty, discomfort, or injury
b : to cause dislike, anger, or vexation

 

transitive verb

1 a : violate, transgress
b : to cause pain to : hurt
2 obsolete (略)
3 : to cause (a person or group) to feel hurt, angry, or upset by something said or done

つまり、自動詞と他動詞があるが、どちらにしても「法を犯す」とか「違反する」の意味、また「不快感を引き起こす」とか「怒らせる」の意味である。

 

今度はUK語(英語)で、最も定義がシンプルなケンブリッジの辞書を見てみよう。

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/offend

[ T ] to make someone upset or angry:
[ I ] (law) to commit a crime:

他動詞の場合は「誰かをupsetさせる、またangryにさせる」、自動詞の場合は法律用語として「犯罪を犯す」の意味が挙げられている。

 

英和辞典を含む他の辞書でさらに確認してみてもよいが、要するに、offendという動詞には「攻撃する」という意味がないのだ。

 

offendの例文

offendという動詞の用例は、各自辞書で確認していただきたいが、ここでも簡単に思いついたものを挙げておこう。

  I'm sorry if I offended you. It wasn't my intention.

  (私のせいで気分を害されたのならごめんなさい。そういうつもりではなかったんです)

  He's easily offended. 

  (彼はちょっとしたことですぐ気分を害されたと怒るんだ)

 

Twitterでは、12th直前という時節柄、こんなのが*1

 "you still have every right to be offended by an anti-Catholic march" 「反カトリックの行進によって気分を害する権利は全方位的にある」という意味。(行進をする側は「われわれの行事に気分を害するなどという連中はとんでもない連中だ」的な態度を取り続けているのだが。)この件、詳しいことをここで書く余裕はないのでこの辺で。

 

offenderという名詞の意味は

というわけで、スポーツで「守備担当のプレイヤー」であるdefenderの対義語となる「攻撃担当のプレイヤー」を、offendという動詞を用いたoffenderという名詞で表すことはない。

しかし、offenderという名詞は英語にちゃんと存在している。では、その意味は何か。

辞書を見てみてもよいのだが、その前にTwitterを見てみよう。Offenderで検索した結果、出てきたツイートは: 

このトピックについて解説している余裕はないのだが(ジェフリー・エプスタインはまじでやばい)、Level 3 Sex Offenderは「レベル3の性犯罪者」という意味。offenderは「犯罪者」である。

 

 "serial offender" は「何度も同じ罪を犯している犯罪者」で「累犯」のこと。

 

 "young offenders" は「年少犯罪者」で、"young offenders institute" は「少年院」のこと。

 

これら「法を犯す者、犯罪者」の意味のほかに、「人を不快にさせる者、無礼な人」の意味もなくはないが、特定の文脈がなければ、offenderといえば「犯罪者」の意味である。

 

まとめ

以上、offendやoffenderという単語の意味や、スポーツで「攻撃担当のプレイヤー」についてoffendに基づいたoffenderという表現が用いられないことについては、確認していただけたと思う。

 

前回見た形容詞のoffensiveも、第一義的には「攻撃の」ではなく「人の気分を害するような」の意味だった。こういったことを関連付けて、実際に使われている用例と一緒に頭のなかに入れておき、自分で使いたいときに使いたいように使える状態にしておくことが、英語を学習するということである。

 

次回はこれに関連し、offenceという名詞について少し見てみることにしよう。

 

 

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