Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

接触節(関係代名詞の省略), 現在完了の受動態, need ~ to do ...(ウイルス禍の影響をもろに受けている音楽産業)

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今回の実例はTwitterから。

新型コロナウイルスの影響で、演劇・音楽などいわゆる「パフォーミング・アーツ performing arts」が、表に立つ人から裏方に至るまで、甚大な影響を受けているのは、日本だけではない。日本は「クラスターが起きた」云々ということで真っ先にやり玉にあげられたのがライヴハウスだったことで、いっそう特殊な状況が生じているのだが、英国でも米国でもどこでも、人が外出することが厳しく規制されたことで、「人々が外出して楽しむ場所」を提供する産業が真っ先に、そして最大の影響を被ったことは同じで、特に小規模な(大資本の入っていない)ライヴハウス*1は、ウイルス禍が人類の上を通り過ぎたあとにいったいどれほどが存続していることか、危ぶまれている。そういった会場を巡るツアーを行っているアーティストは、活動の場を失ってしまうかもしれない。そういった会場の業務を支えている人々(音響技術者や機材のメンテナンスの技術者も、バーカウンターの担当者も、もちろん会場の運営者も)、それにありとあらゆる裏方の人々(ブッキング担当、ローディー、などなど)は、すでにウイルス禍に直撃されていて、この先どうなるのかもわからない。まさに、未曽有の危機である。

ポピュラー音楽を主要な輸出産業としてきた英国では、この未曽有の危機に際して、自身はもう過去の作品の印税で余裕で食っていけるような立場の大御所たちが、音楽産業に対する支援を求めて声を上げた。

 一方で、アーティストや独立系レーベルが直接音源を販売しているBandcampでは、以前も取り上げたが、毎月第一金曜日は自身のサイトの利用手数料をとらず、客が払ったお金はほぼ全額がアーティストやレーベルの元に行くという企画を続けている。今月、7月は、今日3日である。日本時間では3日16時から4日15時59分までだ。詳細は6月に書いたものをご参照いただきたい。

hoarding-examples.hatenablog.jp

Borisも今日7月3日に新作をBandcampでリリースする。私は今回、今のところ完全に裏方で表には出ていないが、この素晴らしい友人たちの言葉を英語にするという作業で関わらせてもらっている(チェックとかの地味な作業も込みで)。

boris.bandcamp.com

 

さて、今回の実例は、そのような状況の中で書かれた言葉から。ツイート主は英国のインディペンデントな音楽メディア、Louder than Warで書いているアンディ・ブラウンさんだ。

 

第一文。「文」というより名詞句(いわゆる「体言止め」に相当)だが: 

The last two gigs I went to in 2020.

これは《接触節》の構造。つまり《関係代名詞の省略》だ。別な書き方をすると次のようになる: 

The last two gigs that I went to in 2020.

「2020年に私が行った最後の2つのギグ(ライヴ)」という意味だ(このツイートに添えられている写真のことを言っている)。

前半は問題なく読めるだろうが、後半の "to in" となっているところで頭がごちゃっといてしまわないよう、日ごろからしっかり解析できる基礎力をつけておきたい。ここでは《動詞句》の go to ~ を見つけ、その目的語が何なのかを考える(そしてそれが「省略された関係代名詞」であることを見抜く)ことがカギになる。

 

次の文: 

The whole music industry has been hit hard by the crisis

これは《現在完了の受動態》。「音楽産業全体が、この危機にひどく打撃を受けている」という意味である。

 

ハイフンで補足的に繋がれているその次の文: 

we urgently need the government to act now, make a plan and help save our venues

まず太字で示した部分。《need ~ to do ...》は、《want ~ to do ...》などと同じ形で、「~に…してもらう必要がある」の意味。「私たちは政府にすぐに動いてもらう必要がある」。

その後、下線で示した "and" がどのような構造を作っているかを見抜くことが、この英文を正確に読むために絶対に必要である。"and" の後がhelpという動詞の原形(もしくは現在形)であることから、we need ..., make ... and help ... という構造になっていることがすぐに見て取れるだろう。

「政府にすぐに行動してもらい、計画を立ててもらい、私たちの会場(ライヴハウス)を救う一助となってもらうことが、緊急的に必要である」という意味だ。

 

そして最後: 

let the music play

《使役動詞》のletの構文だ。直訳すれば「音楽を流れるままにしておけ」という感じだが、要は「音楽を止めるな」ということだ。

これは英国の音楽産業支援(特にライヴ会場支援)で使われているフレーズで、Twitterをこの言葉で検索すると、メジャーもインディーも、アーティストもファンも、さまざまな人々が「ライヴ会場を救え」というメッセージを出している。

 

 

 

日本語圏では、@Save_Our_Space_ や @ChooselifePj などが活動している。おりしも東京都は知事選直前だ(7月5日投開票)。

 

 

 

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https://twitter.com/AndyBrownHere/status/1278812622155124739

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 

 

 

*1:「ライブハウス」は和製英語で、英語ではmusic venueなどと言わないと通じない。

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