Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

先行詞がcaseの場合の関係副詞はwhere, have + O + 過去分詞, など (英国の研究者ヴィザ事情)【再掲】

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このエントリは、2019年9月にアップしたものの再掲である。"case(s) where ~" は覚えておけば使う場面が多くなる表現。頭に入れてしまおう。

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今回の実例は、英国の入管制度の一面についての切羽詰まっていすぎる記事から。

英国は入国管理(イミグレ)はとても厳しい。空港のイミグレーションで係官から「これから私はあなたを入国させないことを前提として質問させていただきますので、あなたは私が『その心配はない』と納得できるような証拠を示してください」的な態度でお・も・て・な・しされた経験がある人はとても多いと思う。私ももちろんその経験があるのだが、人から聞いた話はもっとひどくて、中には(20年ほど前の話だが)英国で開催される学会に同じ飛行機で赴いた2人の日本人学者の1人はすんなり入国でき、1人は入国拒否となったという事例もある*1

というわけで、英国は、大学や専門学校(特に語学学校)には外国人学生を大勢受け入れているが、すでに教育を終えて研究者となっている外国人の扱いは、決して丁重ではないという話は、ずっと前から小耳にはさんではいた。学者は要するに脳みそがあればどこでも仕事ができるわけで、国に帰らずに英国で職を見つけて居つくつもりではないかと疑ってかかられるのだ、という話だった。

さて、現在EU離脱Brexit)という問題を抱えてしっちゃかめっちゃかになっている英国だが、Brexitの焦点のひとつが「外国からの流入人口(移民)」である。EUの一員である限りはEU加盟国からの人の流入は制限できないという問題――それは同時に、英国からEU各国への流出に障害がないということでもあるのだが――について、自身は外国で就職など絶対にしないという庶民層からの感情レベルでの反発(「近くの工場で働くために通りの奥に引っ越してきた人たちが、わけのわからない言語でしゃべっている」「ここはイギリスだ、英語をしゃべれ」的なもの)を、ポリティカル・クラス(政治の上層部、国政の政治家たち)が無視し、侮ってきたツケが爆発した、と言えるわけだが、そういった感情的反発はBrexitが議論の俎上に乗るようになる前からずっと可視化されていたわけで(ゴードン・ブラウンの "Bigoted woman" 発言と、その後のブラウンへの批判の嵐をご記憶だろうか。わからない方は英語圏でウェブ検索を)、ある意味でその不満のガス抜き調整弁として利用されてきたのが「外国からの留学生の数」だ。2010年、労働党ゴードン・ブラウンが選挙で負けて、保守党のデイヴィッド・キャメロンがLibDemsと連立を組んで新政権を発足させたあと、テリーザ・メイ内相のもとで積極的に進められたイミグレ政策のひとつが、「留学生を減らす」という政策だった。具体的にはインチキ学校(「ヴィザ取り学校」と呼ばれたような実体のない学校……今、日本で問題になりつつありますね)の認可を取り下げたり、ヴィザ発給要件を厳しくしたり、ポイント制を導入したりといったことが進められた。さらに、大学で留学した場合、学位を取得したあと英国に残れるのは4か月までとされ、要するに、卒業したら速やかに英国外に退去することが求められていた。

テリーザ・メイが内相時代に導入したその方針が、ここにきて転換された。「転換」といってもメイ以前の時代の制度に戻っただけだが、学位を取得したあと、2年間の残留が認められる。転換の理由は、メイの導入した政策のもとで英国の大学は外国人留学生を大量に失うことになった(つまり学費収入が減ってしまった)ことだと考えられる。詳しくは下記報道記事を参照。

www.theguardian.com

というわけで、英国の大学・大学院で学ぶ人にとっては、メイ内相に改悪された制度が元に戻ってよかったね、ということになりそうだが、既に研究者として英国で研究機関に所属していた外国人にとっては、メイの「敵対的環境(なるべく居づらい環境) hostile environment」の政策は、現状、変わっていない。今回実例として参照する記事は、その最新の事例として、スコットランドで大学に籍を置いてスコットランド音楽史を研究してきた米国人の学者が、所属をイングランドの大学に移そうとしたらヴィザ更新を拒否されたという一件の報告から始まり、何人かの学者の厳しい体験が記述されている。記事はこちら: 

 

www.theguardian.com

かなり分量のある記事だが、長文多読素材としてはよい文だと思う(ただし、気分がものすごくヘコむかもしれない)。実例として見る部分は、記事をずーっと読み進めていって、下の方から。

 

f:id:nofrills:20190918034615j:plain

2019年9月17日、the Guardian

キャプチャ画像で2番目のパラグラフより: 

The charity has also collected around 100 examples of cases where scientists wishing to come to the UK for conferences have had their visa declined unfairly.

太字にした "where" は《関係副詞》で、先行詞は直前の "cases" である。これはこの組み合わせで、つまり「先行詞がcaseの場合の関係副詞はwhere」で熟語っぽく覚えておくのが、受験生には手っ取り早い。このwhereが穴埋め問題で出てくることは、頻出ではないかもしれないが、見ないわけではない。

ジーニアス英和辞典(第5版)』では、caseのいくつもある語義の最初に「場合、状況」が挙げ、次のような例文を記載している。

  There are many cases where our discussion degenerates into an exchange of insults. 

  (私たちの議論はののしり合いになることがよくある)*2 

ジーニアス英和辞典 第5版

ジーニアス英和辞典 第5版

 

 

caseは《場所》を表しているわけではないので、関係副詞ではなく関係代名詞が使われるのでは? という疑問もあるかもしれないが、ここではin whichがwhereになっていると考えるとよいだろう。つまり: 

  There are many cases. In those cases, our discussion degenerates into an exchange of insults. 

  = There are many cases in which our discussion degenerates into an exchange of insults. 

  = There are many cases where our discussion degenerates into an exchange of insults. 

 

さて、では次。この関係副詞whereの節の中を見ていこう: 

where scientists wishing to come to the UK for conferences have had their visa declined unfairly

ぱっと見て、節内の主述が把握できただろうか。カッコとスラッシュを入れると次のようになり、主語がscientists, 述語動詞がhaveという構造が取れる。

where scientists ( wishing to come to the UK for conferences ) / have had their visa declined unfairly.

"scientists wishing to ..." のwishingは《現在分詞の後置修飾》で*3、スラッシュで区切った前の部分は「会議のために英国に渡航することを望んでいる科学者たち」の意味。

 

そしてその後、"have had their visa declined unfairly" の部分で使われているのが、《have + O + 過去分詞》だ。

これの解説は、ついこの間書いたばかりなので、そっちをご参照いただきたい。

hoarding-examples.hatenablog.jp

 

つまり、ここは、「会議のために英国に渡航することを望んでいる科学者たちが、アンフェアな形でヴィザ(入国査証)を不許可とされる事例が数多くある」という意味。

冒頭の前置き部分で「20年ほど前の話だが」として書いたのと同じような、不条理なヴィザ拒否事例は、今もまだ数多くあるということだろう。

なお、この「20年ほど前」の時点では学生ヴィザでも何でも日本からは事前手続きなしで書類だけ持って英国行きの飛行機に乗り、空港に到着してからイミグレのデスクで審査を受けヴィザの発給を受けていたのだが、現在では制度が変わり、学生ヴィザなどは出発前に日本国内のヴィザ申請センターで取得しておく必要がある。制度が複雑で変更も多いので、必ず最新情報をご確認のほど。

www.visitbritain.com

 

 

Pen (ペン) 「特集:英国の流儀。」〈2019年9/1号〉 [雑誌]

Pen (ペン) 「特集:英国の流儀。」〈2019年9/1号〉 [雑誌]

 

 

参考書:  

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

 
英文法解説

英文法解説

 

 

*1:もちろん、2人とも必要な書類は全部揃えてあったが、1人はその書類が真正なものと認められなかったといった事情があったようだ。こういうの、イミグレの係官の裁量&判断次第なので、打つ手がない。

*2:英語の辞書の例文って、こういう、「なんかもうちょっと穏当な例文でもいいんじゃないっすかね……」っていうの、多いよね。フランス語の辞書だと例文がやたらと「ちびまる子ちゃん」の花輪くんみたいだったりして、いろいろ「柄」があるんだけど。

*3:"scientists who wish to ..." と書いても同じ意味だが、関係代名詞を使ってここでまたS+Vの構造を入れてしまうと、全体が文としてもっさりした重たい感じになるし、読みづらくなる。

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