Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

付帯状況のwith, 同格, get + O + 現在分詞, パンクチュエーション(コロン), get + O + 過去分詞, 関係代名詞の非制限用法(ロンドン市長の日曜日の朝)【再掲】

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このエントリは、2019年12月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は日曜日の新聞に掲載されたインタビュー記事から。日曜日の新聞だから、のんびりしたムードの記事だ。

このエントリは12月13日の昼にアップロードされるよう設定してあって、そのころにはもう英国の選挙の結果がだいたい出そろっているだろうが、この原稿を書いているのは実は11日なので、ここでは総選挙のことには触れない。当方の書いているものはこのブログだけをチェックしていて英国の総選挙のことが気になるという方は、Twitter (@nofrills) をチェックしていただければと思う。

閑話休題。今回の記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

ガーディアンの日曜版であるオブザーヴァーが毎週掲載している各界著名人のゆるめの(「好きな食べ物」とか聞いちゃうような)インタビュー、今週はロンドンのサディク・カーン市長に話を聞いている。

サディク・カーンについてはウィキペディア英語版を参照(日本語版にもエントリがあるが、滅茶苦茶すぎて使い物にならない。ヒマがあったら書き直したい……)。ロンドン南部のトゥーティングというところで生まれ育った生粋のロンドナーだ。お父さんはバスの運転手、お母さんはお針子という、ばりばりの労働者階級の出でもある。所属政党は労働党

祖父母が1947年の旧英領インドの独立とインドとパキスタンの分離のときにインドからパキスタンに移り住み、両親が1968年にロンドンにやってきたという背景を持ち、2016年にロンドン市長に当選したときには「西洋の主要国の首都で、初めてイスラム教徒の市長が誕生した」と世界的に話題になった。ロンドン市長になる前は2005年から11年にわたってトゥーティング選挙区から下院議員に選出されており、その前は弁護士(ソリシター)をしていた。1970年生まれで、まだ40代である。

犬好きとしても知られており、英国でここ数年、選挙のたびにSNSで話題になっている「投票所の犬たち」(犬の散歩のついでに、犬を連れたままで投票所に行こう、という自然発生的な運動)にも、愛犬を連れて登場している。その犬、「ルナ」がカーンさん家にやってきたときの写真がこちら: 

今回のインタビューにもこのルナちゃんが登場する。

 

f:id:nofrills:20191212092812j:plain

2019年12月8日, the Observer

 「日曜日はどんなふうに始まりますか」というインタビュアーの問いに答えて、カーン市長は次のように述べている。

At 6am with Luna, our golden Labrador, licking my arm to get me moving.

"Luna, our golden Labrador," の部分は《同格》の表現。「うちのゴールデン・ラブラドール*1のルナ」という意味である。

 

太字で示した《with ~ -ing》は、《付帯状況のwith》と現在分詞の構文。付帯状況のwithについては既に何度も書いているのでそちらをご参照いただきたいが、基本的には「~が…している状態で」という意味で、場合によっては「こういうことがあるので」的な意味になることもある。

  With more tourists visiting this city, we need to improve our public transport. 

  (ますます多くの観光客がこの町を訪れており、当市は公共交通を改善する必要がある)

 

下線で示した《get + O + 現在分詞 (-ing)》は、構文としてはSVOCになるが、「Oに~し始めさせるようにする」という意味。日常会話でよく使う表現だが、書き言葉ではあまり見ないかもしれない。

  Dominique got the rumour floating on the Internet.

  (ドミニクは、その噂をネット上に漂うようにした=噂を流した) 

  Could you get the machine running

  (あの機械を起動してもらえませんか)

 

余談だが、よく「会話は3語でOK」とか「会話は中学英語の語彙でOK」という主旨でまとめられた英語本があるが、ああいうのは逆に難しい。というのは、getみたいな、用法がやたらとたくさんあって使いこなすのは難しい語を使いこなすことが前提になっているからだ。将来ショートカットすることを考えるより、高校生のうちにまじめにやっておいたほうが、結局は労力が少なくて済むだろう。

 

というわけでこの文、"At 6am with Luna, our golden Labrador, licking my arm to get me moving." は、「6時に、うちのゴールデン・レトリバーのルナが私を動きださせようと私の腕をなめて(私の日曜日は始まります)」という意味。

 

ロンドン市長は日曜日は飼い犬に腕をぺろぺろされて起きるのだ。

 

次の文: 

I take her out, grab a coffee and check my three daily morning emails: from the police, TFL and City Hall.

この文は、等位接続詞andによる並置 (take..., grab... and check...) に注意すれば平易だろう。

注目点は《コロン (:)》の使い方で、"my three daily morning emails" の具体的な内容をコロンに続けて述べている。コロンのこの使い方は覚えておくと便利である。

  He speaks five languages: English, French, Italian, Spanish and Arabic. 

  (彼は5つの言語を使える。英語、フランス語、イタリア語、スペイン語アラビア語だ)

 

その次の文: 

Our Sunday luxury is getting the papers delivered (I was a paperboy myself), which I read after morning prayers.

こちらは《get + O + 過去分詞》の構文。「Oを~された状態にする、してもらう」の意味で、getの代わりにhaveを使ってもよい。

そして下線で示した部分は《関係代名詞の非制限用法》で、先行詞は少し離れているが "the papers" である。

というわけでここは「私たちの日曜の贅沢は、新聞を配達してもらうことですが(私自身、若いころは新聞配達をしていました)、その新聞は朝の礼拝の後で読みます」の意味。

 

犬に腕をなめられて起きて、コーヒーを淹れてメールをチェックして新聞を取りに行って礼拝して、新聞を読む。平日はそんなゆっくりしていられないのだろうが、日曜はこんなふうにすごせるのだろう。

 

ちなみに、カーン市長がルナちゃんと一緒に投票所に行ったときの写真がこちら(日本と違って、英国では政治家がちょっとの距離を移動するのにごっつい車を使ったりしない。警備の人はついているにせよ、普通に歩いていくし、地下鉄にも乗るし、自転車通勤する人もいる)。

 

 参考書: 

A03 地球の歩き方 ロンドン 2019~2020

A03 地球の歩き方 ロンドン 2019~2020

 
A02 地球の歩き方 イギリス 2019~2020

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