Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

付帯状況のwith, 分詞構文, as ~ as possible, prevent ~ from -ing, など(米CDC推奨、より密着度を高めるマスクのつけ方)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

今回の実例は、Twitterから。

新型コロナウイルスのワクチン大量接種が早い国で進められつつあった一方で、クリスマスから新年の時期に、英国で最初に確認された新型コロナウイルスの変異株と、それとほぼ同時に確認された南アフリカの変異株とブラジルの変異株の感染力の強さが大きな懸念を引き起こし、これにより例えばドイツでは、ただの布マスクや不織布マスクより高品質なマスクの着用が義務付けられたりするようになった。米国ではCDC(感染症対策担当のお役所)が、マスクを二重にして着けること (double masking) を推奨するようにもなった。(ちなみに、日本で流行っているウレタンマスクは、どんなに密着していても、肝心の布がスカスカなので、のどが弱い人の乾燥対策にはなるし、お掃除のときにはホコリ除けとして役立つが、感染症対策にはならないから、CDCやWHOの指針では言及もされていない。)

そのCDCが今回、新たに、普通の不織布マスクなどを隙間なく着けるための簡単な方法を提案してSNSで広めている。二重マスクは、私もやってみたがさすがに息苦しく、歩いたり自転車に乗ったりするとめまいがして危険を感じることもあったが、今回提案されているこの方法だとその危険がなく、逆に鼻から口元にかけてのマスクの立体感が増して空間がしっかり確保されるので、普通に着けるよりもむしろ呼吸が楽で、同時にマスクと顔の隙間がなくなって密着度がアップしている。これはよいと思うので広まるといいなと思ってる。

今回の実例はその解説のスレッド(連続ツイート)より。

まずスレッド先頭の導入のツイート。前置きだから、これから何の話をしていくのかということだけがわかればよい(これを読んで内容がよくわからなくても気にしなくてよい)。ツイート先頭の糸巻きの絵文字は、"thread" (「糸」)の意味で、「これから連ツイを始めます」ということ。

 "3-ply mask" は一般的な3枚重ねの不織布のマスク(サージカルマスク)のこと。"Medium" は英語圏で広く使われているブログサービス*1であると同時に一種のウェブメディアで、このツイートをしている@elementalというアカウントは、Medium運営の公式ブログの一部である*2。ツイート文面は「CDCがマスク着用の際は密着度を高めることを推奨しています。一般的な不織布マスクの耳にかけるゴム紐を『結んで』(マスク本体を)『谷折りにする』わけです。Mediumのコロナウイルス・ブログを書いている@yeahyeahyasminさんが、手順を解説します」という内容(※ここに示したものは逐語訳ではない)。

続いて、具体的な手順の説明。折り紙ができる人には何も難しくないと思うので、ぜひ手元にマスクを1枚用意してやってみてほしい。

ステップ1: 

 "lengthwise" という表現は覚えておくと役立つだろう。長方形の長いほうの辺をそのままにして2つ折りにする、ということだ。この -wiseという接尾辞は、実用英語では非常に頻繁に目にすることになる。機器の操作マニュアルや理系の実験手順などでも出てくると思う。

 

ステップ2: 

 "With the mask still folded," の部分は《付帯状況のwith》と過去分詞。直訳すると「マスクがまだ2つ折りにされた状態で」、自然な日本語にすると「マスクを2つ折りにしたままで」。これは基本表現として暗記してしまってもいいだろう。

"take one ear loop and knot it" は「耳掛けゴムの一方を手に取って (take) 結び目を作る (knot)」。このとき結び目をどの位置で作るかを指示しているのが、 "keeping the knot as close as possible to the edge of the mask" で、英文法的にはこれは《分詞構文》。加えて《as ~ as possible》の表現も入っていて、文法解説屋にはなかなかおいしい文だが、この内容を自分で英語で書けるかどうかというのは、日本語母語話者にはなかなかハードルが高いと思う。特許翻訳や取扱説明書の翻訳では、こういう表現が自在に使えることが必要条件となる。

"Repeat on the other side" は「反対側も同じようにする」の意味で、これもこのまま、取説などの基本文になる。

というわけで、ここまでで、マスクを2つ折りにした状態でマスク本体になるべく近い位置で耳掛けゴムを結ぶ、ということができているはずだ。

 

ステップ3: 

これは、折り紙に慣れている感覚だとやや説明過剰な印象を受けると思う。そこはいちいち開かんでもよろしいし、「両サイドに穴が開いた小さなカヌーのような形状」と言われても逆にわかりづらい。

というか、英語学習者の立場では、マスクを2つ折りにして耳ゴムを結んだ状態の形状を表現するときに、英語では「両サイドに穴が開いたカヌーのような形状」というのだ、ということを覚えてしまえばよい。私もこれで覚えた。他で使えるかどうかはわからないけど。

"Fold the extra fabric on each end inward" の "extra" は、おそらく、「カヌーのような形状」にするときに「布のだぶつく部分」という意味でのextraだ。

日本語でなら、そもそもここでいちいち開かず、マスクを2つ折りにしたままで「全体が台形になるように、両端を少し折り込む」というように表すだろう。

 

ステップ4: 

これもやや回りくどい文だが、" taking care to make sure..." は《分詞構文》で、「~するよう気を付けながら、マスクを着ける」。

《make sure S + V》は「SがVするようにする」。

"the fabric you folded inward stays folded" はぱっと見「は?」と思われるかもしれないが、"the fabric" が主語で "stays" が述語動詞という構造。その"the fabric" のあとの "you folded inward" は《接触節》で、「あなたが内側に向けて畳んだ(谷折りした部分の)布が、畳まれた状態のままでいること」という意味。

つまり、谷折りにしてたくし込んだマスクの両端の小さな三角形の部分は、そのままたくし込んでおくように、という指示である。

そのあと、"This should prevent any air from coming in through gaps on the side of your mask." はたくし込んだ布の機能の説明で、《prevent ~ from -ing》が使われている。「これが、マスクの端にできる隙間から空気が入ってくることを妨げるはずです」という文意となる。

ツイートの最後にカッコで書き添えられている部分に《prevent ~ from -ing》が使われている。ここには《肯定文のany》も含まれているし、pointの意味もなかなかに英語的だ(日本語の「マスクを着けるポイント」というと「マスクを着けるときのちょっとした工夫」とか「マスクを着けるコツ」みたいな感じにもなりうるが、英語のthe point of maskは「マスクを着ける意味」)。「どのようなマスクであれ、マスクを着ける意味は、呼吸に伴う(他人の)飛沫が自分の気道に入るのを妨げることにある、という点をお忘れなきように」。

 

最後に全体のまとめで、Medium記事へのポインタ: 

 

 

当ブログ文字数上限目安の4000字を突破しているので、ここまで。

 

※4360字。

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https://twitter.com/elemental/status/1367968697189564420

 

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 

 

 

*1:Mediumはこの場合、「メディア」という一般名詞ではなく、「はてなブログ」「アメブロ」「note」などと同じような固有名詞である。

*2:米国のMediumは日本の「はてなブログ」「note」などよりずっとシリアスな取り組みをしているので、あまり「~のようなもの」という説明にとらわれないでいただいたほうがよいと思うが。