Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

接続詞, 代名詞, tell + O + to do ~, allow + O + to do ~(首相官邸とメディア)【再掲】

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このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例はメディアに対する首相官邸の扱いをめぐる報道記事から。

2019年夏に英国の首相となったボリス・ジョンソンという人は、一言で言えば「そこそこいい家の子」で、イートン校からオクスフォード大学に進んだという経歴の持ち主だ。1970年代のことで、「そこそこいい家の子」くらいではイートン校ではあまりよい立場にはいられないものだったが、処世術には長けていたようで、学業はダメでも同窓生からの人気は高いという学生だったようだ。

大学でも「愉快な奴」として目立ってはいたようだが学業は全然振るわなかった。1987年に不満足な成績で卒業して、その後はコンサル会社に就職したが1週間で辞め、その後は家族(知識人階級)のコネで一流新聞のザ・タイムズに研修生として入社したが、最初に書いた記事で捏造をやらかしてクビになった。続いて、大学時代の自身の人脈で、同じく一流新聞のデイリー・テレグラフに入った。これにより、ジョンソンは「元々はジャーナリスト」と描写されるが、「ジャーナリスト」といっても現場で取材することが必須ではない、論説記事執筆担当の記者で、いかに読者を引きつける文章が書けるかどうかが勝負の仕事だ。

それはそれで貴重なスキルだし(実際、ジョンソンの書いた文章はおもしろい)、ジョンソンがその道を極めていってくれていたら今頃英国はこんなことになっていないかもしれないのだが、どういうわけか、ジョンソンは大学時代に政治に足を突っ込んでいた。新聞で仕事をし、テレビにも出て顔も名前も売れに売れていたジョンソンは、2000年代に政治家としてぐんぐん目立つようになって、ついには首相にまでなったわけだ。彼の経歴について詳細はウィキペディア参照

https://en.wikipedia.org/wiki/Boris_Johnson

 

さて、そういう経歴の人物だから、メディアの中がどうなっているかはよく知っている。2019年12月の総選挙前に、厳しい質問を次々と浴びせかけることで有名なBBCの「各党党首インタビュー」を拒否したのも、ただの気まぐれではなかっただろう。

日本でもしばしば話題になるが、メディアにとって「取材させてもらえないこと」は何としても避けねばならないことという前提がある。ドミニク・カミングスというかなりとんでもない人物を側近としているジョンソンは、英国の大手メディアに対してそのカードをちらつかせ、時にはそれを切っている。

1月31日にEUからの離脱が正式なものとなって、ジョンソンのその態度がさらに1段階強められた。2月3日、首相官邸での記者会見(ブリーフィング)で、官邸側は、デイリー・ミラー、アイ、ハフィントン・ポスト、ポリティクス・ホーム、インディペンデントの記者を締め出そうとした。これに応じて、政権寄りの報道で批判されている超大物を含む他のメディアの記者たちもこの会見への出席を拒否し、「官邸側が取材する記者を選ぶ」という異常事態は英国では大きく報じられた。

 

というわけで、今回はこの件を報じたガーディアンの記事から。記事は下記: 

www.theguardian.com

 

 実例として見るのは、記事を少し読み進めていったところから。

f:id:nofrills:20200205121706p:plain

2020年2月3日, the Guardian

キャプチャ画像では少し頭が切れてしまっているが、第4パラグラフ: 

The incident happened in the foyer of No 10 when journalists on the invited list were asked to stand on one side of a rug, while those not allowed in were asked by security to stand on the other side.

接続詞が2つ連続していて、少し意味が取りづらいという印象を受けるかもしれない。がっさり言えば「《when節》し、一方で《while節》したときに、その事態が起きた」という骨格になっている。「招待されたリストに掲載されているジャーナリストたちは、敷物の片方の側に立ち、一方で入場が許可されない人々は警備員によってその反対の側に立つよう要請されたときに、その事態は首相官邸のロビーで起きた」という意味になる。

下線で示した "those" は、同じ語の繰り返しを避けるために用いられている代名詞で、ここでは先行の "journalists" を受けている。

 

次のパラグラフ: 

When Cain told the banned journalists to leave, the rest of the journalists decided to walk out collectively rather than allow Downing Street to choose who scrutinises and reports on the government.

これも接続詞のwhenを使った文だが、それについての解説は不要だろう。この節の主語のCainは人名である。

下線で示した《tell + O + to do ~》は、中学英語だから解説不要だろうが、「Oに~するように告げる、命令する、指示する」の意味。「入場が禁止されたジャーナリストたちに立ち去るようにとCainが告げたときに」という意味。

その次、太字で示した "A rather than B" は、基本的には「BよりもむしろA」の意味だが、ここでのように「BではなくA」というはっきりした否定を表すことが、実用英語ではよくある。「ダウニング・ストリートに、誰が政府を精査しそれについて報告するかを選ばせるのではなく、全員まとめて会場の外に出る(ボイコットする)ことを決意した」という意味だ。

allowを使った構文、《allow + O + to do ~》にも注目しておこう。「Oが~することを許す」の意味だ。

 

次回も同じ記事から別なところを見ていくことにする。

 

参考書:  

ブレグジット秘録 英国がEU離脱という「悪魔」を解き放つまで

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英文法解説

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