このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。
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今回の実例は、前回見たのと同じ記事から。背景解説等は前回のエントリをご参照いただきたい。
記事はこちら:
今回実例として見るところは、前回よりぐっと下の方から。なお、文中に何度か出てくる "No 10" は「ナンバー・テン」と読み、「ダウニング・ストリート10番地」のこと。つまり「首相官邸」である。
キャプチャ画像の最初:
There have also been signs that No 10 is trying to shake up its relations with political journalists
《there is/are ~》の構文が現在完了になるとこうなる。
There is a problem with the new system.
→ There has been a problem with the new system.
(新システムには、問題が1つある)
There are some problems with the new system.
→ There have been some problems with the new system.
(新システムには、問題がいくつかある)
この同じ構文は、キャプチャ画像のずっと下の方にもまた出てきている:
There have previously been problems with some journalists being denied access
次:
... its relations with political journalists, who are collectively known as the lobby.
太字にしたコンマとwhichは、《非制限用法の関係代名詞》だ。情報をあとから付け足す、言い足す機能を持つ。「首相官邸は、政治記者たちとの関係を見直そうとしているという兆候が(いくつも)あるが、政治記者たちはまとめて『ザ・ロビー』として知られている」。
この "the lobby" というのは英国での用語で、いわゆる「ロビイスト」の「ロビー」とは異なるので注意。ウィキペディアでは大文字を使う "the Lobby" という用語としてエントリしているが(下記)、実際の新聞記事などでは必ずしもそうなっていない。語源は、彼ら政治記者たちがウエストミンスターの国会議事堂のロビーで特別扱いを受けていることによる。
次に行こう。
Political journalists have already complained about No 10 changing the location of its daily briefings with the prime minister’s official spokesman from a room in parliament to Downing Street, meaning they are now held on government territory.
下線で示した部分は《動名詞の意味上の主語》だ。先行のabout(前置詞)の目的語だから、changeはchangingと動名詞になるが、「誰がchangeしているのか」ということ、つまり《動名詞の意味上の主語》をここでは明示する必要があるので(文の主語と異なるため)、このような形になるわけだ。
She was talking about getting a scholarship.
(彼女は(自分が)奨学金を受けることを話していた)
She was talking about your getting a scholarship.
(彼女はあなたが奨学金を受けることを話していた)
これもまた、キャプチャ画像の一番下のパラグラフで繰り返されている。どこかわかるだろうか。
There have previously been problems with some journalists being denied access
「何人かのジャーナリストたちが、アクセスを拒まれていること」である。
上で太字で示した ", meaning they are now held on government territory" は《分詞構文》。特に難しい要素のない、素直な分詞構文で、記者ブリーフィングの場所が国会議事堂から首相官邸に移されたことについて、「ブリーフィングは今や、政府の領域で開催されるということを意味している」といった意味になる。
参考書: