Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】force ... to do ~, 付帯状況のwith, 和文和訳, to不定詞の意味上の主語, 等位接続詞のand, 不定冠詞(東日本大震災から9年)

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このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、東日本大震災から9年を迎えた日本についての報道記事から。

記事の内容はあらかじめ説明するまでもないだろう。日本で、日本語でたっぷり報じられていることを英語で読むとどうなるか、といったことを確認してみてほしい。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

記事見出しの "scale back ~" は、scale down ~としても同意だが、「~を縮小する」の意味。scaleは「スケール、規模」という意味を表す名詞の用法をよく見ると思うが、ここでは動詞(「規模を調整する」といった意味)で用いられている。

"triple disaster" は「3重の災害」の意味。地震津波原発事故の3つがほぼ同時に発生したことから、英語圏では「東日本大震災」をこのように端的に表すことが多い。

記事は見出しに続く第一文で次のように述べているが:  

The coronavirus outbreak has forced Japan to scale down events marking nine years since a powerful earthquake and tsunami killed more than 18,000 people along its north-east coast.

震災の追悼式典と、現在の新型コロナウイルスの感染拡大という2つのトピックを一緒に扱っているこの記事は、書かれるべき要素が非常に多く、第一文の記述は記事の下の方でもう一度、繰り返されている。今回実例として見るのはそのあたりから。 

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2020年3月11日, the Guardian

キャプチャ画像の2番目のパラグラフ: 

The coronavirus outbreak forced communities that were hardest hit by the tsunami to cancel or postpone memorial services, with some setting up altars for people to lay flowers.

 これが、記事最初の文の繰り返しの個所である。並べてみよう。

記事最初の文:

The coronavirus outbreak has forced Japan to scale down events marking nine years since a powerful earthquake and tsunami killed more than 18,000 people along its north-east coast.

 

キャプチャ画像内2番目のパラグラフ: 

The coronavirus outbreak forced communities that were hardest hit by the tsunami to cancel or postpone memorial services, with some setting up altars for people to lay flowers.

 《force ... to do ~》は「~することを…に強制する」の意味だが、訳すときはもっと柔軟に考えてよく、「…は~せざるを得なくなった」「やむなく~することになった」などとすることが多い。いずれにせよ《強制力》(逆らえない力)がある場合に用いる表現で、この場合は新型コロナウイルスアウトブレイク(集団発生)があるため、やむなく、式典を中止するなどしたという文脈がある。

このforceの目的語が、記事の書き出しでは "Japan", キャプチャ画像内では "communities that were hardest hit by the tsunami" となっており、記事の上の方では日本国政府主催の行事について、キャプチャ画像のあたりでは津波で最も大きな被害を受けた地域について、述べられているわけだ。

 

さて、この文のもう一つの文法ポイント: 

..., with some setting up altars for people to lay flowers.

おなじみの《付帯状況のwith》である。《現在分詞》を伴った形で、「いくつか(のコミュニティ)が、人々が花を捧げるための祭壇を設置している状態で」と直訳されるが、同じことを日本語で書くとしたら「新型コロナウイルスアウトブレイクのため、津波で最も大きな被害を受けた自治体では追悼式典をやむなく中止ないし延期することになったが、いくつかの自治体では献花台を設けている」式に、《付帯状況のwith》的な「難しい構文」は使わず、頭からだらだらと書き下すだろう。逆に言えば、英語ではそのように頭からだらだらと書き下すと、ピリっとしない、プロらしからぬ文になってしまうのである。

 

またここで注目したいのは「献花台」を英語でいかに表現するかである。この "altars for people to lay flowers" という表現を見ながら、「献花台」を英語で言いたい場合、そのままでは英語で表現できないので、「花を捧げるための台」と《和文和訳》することになるというシミュレーションをしてみるとよい。さらにはこの「台」はただの「台」(テーブルのようなもの)ではないわけで、「祭壇 altar」という語を使うことでより正確に意味が表せていることにも注目しよう。

なお、説明するまでもないだろうが、"altars for people to lay flowers" では、《to不定詞の意味上の主語》がfor ~で表されている。

 

さて、キャプチャ画像のこの前のパラグラフだが、少し長い文が続いていて読みづらく感じるかもしれない。これは下記の下線部でのandのつながりに注意して読んでみてもらいたい: 

Japan has closed schools, zoos, museums and theme parks, and drastically scaled back public events since the outbreak. Professional sport has been hit by delays to the start of the baseball, football and rugby seasons, and a major sumo tournament that opened in Osaka at the weekend is being held without spectators for the first time in the sport’s long history.

最初の下線部は易しいだろう。A, B, C and Dというシンプルな形である。さらにここに、青字で示した文全体の "closed ... and scaled back ~" という構造が重なっているので長くなっているだけだ。

2番目の下線部は、見た目が名詞の連続のように見えているが、ここではbaseballもfootballもrugbyも実は名詞が形容詞的に用いられており、the (baseball, football and rugby) seasons という構造になっている。「野球、サッカー、およびラグビーのそれぞれのシーズン」という意味だ(seasonsが複数形であることにも注目)。

そしてこの文もまた、もうひとつ朱字で示したandがあって、それは2つの文をつなぐ役割をしている。つまり、「野球、サッカー、およびラグビーのそれぞれのシーズン開始が延期となったことでプロスポーツにも影響が出ており、また、相撲の大阪場所は史上初めて無観客で行われている」という構造だ。

 

ここで「大阪場所」の表現も見ておこう。相撲を知らない人にもわかるように説明的に述べるにはどうしたらよいかというお手本だ。《不定冠詞のa》を使って "a major sumo tournament" と述べ、そこに《関係代名詞》を使って "that opened in Osaka at the weekend" という説明を続けている。「先週末、大阪で開幕した大きな相撲トーナメント」と直訳される。

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 
ロイヤル英文法―徹底例解
 

 

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