Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】形容詞の限定用法, persuade ~ to do ..., 付帯状況のwith, to不定詞の副詞的用法, 関係代名詞what, 挿入など(「モデル」はなぜ正確に予測できないのか)

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このエントリは、2020年4月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、新聞に出ている解説記事から。

文脈は下記連ツイ参照。(変換ミスは見逃してください)

 

記事はこちら: 

www.theguardian.com

この「ピークはいつなのか」論は、4月8日現在、米国各州の地域メディアで大きな関心事となっているようで、Google newsで "the peak" あるいは "peaked" で検索すると記事がザクザク出てくる。その辺のことは英語表現集Wikiの方に少し書いたのでそちらもご参照のほど。

english-vocab-covid-19.memo.wiki

english-vocab-covid-19.memo.wiki

 記事から: 

f:id:nofrills:20200408120605p:plain

2020年4月7日, the Guardian

キャプチャ画像の最初の文: 

This is a different type of model from that of the Imperial College London group advising the government, because it will constantly evolve.

《be different from ~》の形は丸暗記しているので何も苦労せずにすっと出てくる人がほとんどだと思うが、このdifferentが名詞を直接修飾する用法(「限定用法」と言う)で使われていると、ちょっと戸惑ってしまうかもしれない。その場合も、このようにfromを使って「~とは」を表す。

  My plan is different from yours. 

  (私の案はあなたがたのとは異なります)

  I have a different plan from yours. 

  (私は、あなたがたとは異なる案を持っています)

文意は、直訳すると、「これは、政府にアドバイスしているインペリアル・コレッジ*1・ロンドンのモデルとは、異なったタイプのモデルである。なぜならそれは常に進化することになっているので」となる。ちょっと意味が分かりづらいかもしれないが、文章全体の中での一文なので、これだけ読んで意味が分からなくても当たり前である。要はdifferentとfromという組み合わせを覚えてほしい。

 

それより本題はこちら。もう少し先にあるこの文: 

Famously, their changed advice persuaded the government to bring in physical distancing guidance, with towns closed for business and people staying home to reduce what, it had suddenly become apparent, would be an unacceptably high death toll.

まず、下線で示した "changed" は過去分詞で、形容詞として機能している。adviceを直接修飾しているわけだ。「彼らの変更されたアドバイス」となる。

次、太字で示した《persuade ~ to do ...》は「~を…するよう説得する」、「説得して~に…させる」。文意は「政府を、フィジカル・ディスタンシングの指針を導入するよう、説得した」。

"physical distancing" は、最近日本語にも「ソーシャル・ディスタンシング」というカタカナ語で入っている social distancingと同意の表現。socialという語の意味が、理系の専門分野から解き放たれて一般社会に出てきたときの意味のズレというか、誤解されやすさゆえに、「象牙の塔」の外で一般人の一般の言語に接する機会が多い学者たちが提唱している、というと分かりやすいだろうか。これも表現集Wikiで取り上げてある。

 

その先、withから後の部分だが: 

..., with towns closed for business and people staying home to reduce what, it had suddenly become apparent, would be an unacceptably high death toll.

おなじみ、《付帯状況のwith》で、《付帯状況のwith+O+過去分詞》と、《付帯状況のwith+O+現在分詞》の欲張りセットみたいな文だ。マニア大喜び。

"closed for business" は一種の成句といえるくらいこの形でよく見るが「休業中の」の意味。「街は休業中の状態で」となる(わかりやすくするために「街の商店などは休業中の状態で」と補ってもよいだろう)。

"people staying home" の部分は「人々は家にとどまっている状態で」。つまりここまでで「街の商店などは休業し、人々は家にとどまったままという状態で」といった意味になる。

下線で示した "to reduce" は《to不定詞の副詞的用法》で、ここは《目的》を表している。「~を減らすために」。

そしてその後の青字で示した部分、"what would be ~" は、《関係代名詞》のwhatを使った表現。これについては以前説明してあるので、そちらを参照されたい。要は、「かっこいい言い方」なので、意味を取るとき、解釈するときは外してしまって構わない。

hoarding-examples.hatenablog.jp

 

 次、朱で示した ", it had suddenly become apparent," は、コンマ2つで挟んだ《挿入》の形で、ここでは節(S+Vの構造)が挿入されている。

逐語訳は極めて難しいが、to以降を意味を取ってなるべく原文に逐語的に日本語にすれば、「死者数が受け入れられないほど多くなるということが突然明らかになっていたのだが、その死者数を減らすために」といった意味になる。

 

 

ところで、今回見た中に出てきた "stay home" の表現については、先日Twitterで翻訳者の松丸さとみさんと興味深いやり取りをしたので、それもついでにシェアしておこう。

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 参考書:  

英文法解説

英文法解説

 
ロイヤル英文法―徹底例解
 

 

*1:collegeはイギリス英語では「コレッジ」と発音する。potを「パット」ではなく「ポット」と発音するのと同じで、米音と英音の違いである。

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