今回の実例は、Twitterから。
暑くて疲弊しているので、「実例」というより「小ネタ」です。
昨日、英語圏で話題になっていたこちらのスレッド(連続ツイート):
If you use it right, Google is the most powerful tool in the world.
— Chris Hladczuk (@chrishlad) 2021年8月28日
But the truth is most people suck at it.
Here are 8 Googling tips that you probably don't know👇
何となく思いついてツイートしてみたら予想外にバズってしまったようで、中身はランダムすぎるし、タイポ(タイプミス)が散見されるのが残念だが、スレッドの「まとめ」も作られている:
Googleを使う上での「基本のき」のようなtips集で、その昔、「Googleっていう便利な検索エンジンができたんですよ、もう使ってみました?」というのがあいさつ代わりだった時代をリアルで経験していて、しかも英語畑・翻訳畑でたぶん世間一般での使い方以上のことはしてきたという人にとっては、このスレッドで取り上げられているtips自体は特に目新しいものではないだろう。何しろ、「ググる」(英語ではgoogle)という動詞もなかったころに、下記のような本がヒットした業界である。
この業界、今だってこうだ:
ともあれ、 今回@chrishladさんがまとめてくれた「8つの便利な使い方」は、日本語圏と英語圏とでは微妙に異なるニーズがあるのかなということを感じさせるという点でも興味深いので、ざっと見てみるとおもしろいだろう。
@chrishladさんが示している8つのtipsは下記の通り。なお、以下で述べている記号類はすべて半角英数モード(直接入力)で入力すること。
- 引用符(ダブルクオート)→フレーズ検索(完全一致)
例: "england premier league" (大文字・小文字は考えなくてよい)
「イングランドのプレミアリーグ」 を検索する - マイナス記号→除外検索
例: england premier -league
サッカーのプレミアリーグを除外して「イングランド、プレミア」を検索する - チルダ(~)→類義語・同義語を含めた検索
例: afghanistan ~battle →こうすると "war" なども検索結果に含まれる
※今はこれをしなくても、Googleはデフォで類義語検索してくるようになったので、逆に「いや、warは要らんのよ」みたいになって除外検索しなければならないことが多い。 - Site: →特定のサイト内の検索
例: arsenal site:premierleague.com
Premier Leagueの公式サイト内で、Arsenalについて検索する - 縦線 (|) →OR検索
例: arsenal football | soccer
※こうすると、イギリス式の「フットボール」でも、アメリカ式の「サッカー」でも検索できる。ただ、このような類義語・同義語は、上述した通り、今はGoogleがデフォルトで検索結果に含めてくれるから、わざわざ人力で入力する必要もなくなっている。
例: Parco Shibuya | Ikebukuro
※こうすると、「渋谷パルコ」「池袋パルコ」どっちも検索結果に上がってくるが、「吉祥寺パルコ」などは出てこないから、単に「パルコ」で検索するより効率がよい。 - ピリオド2つ (..) →数字と数字の間
例: arsenal 2001..2006
2001年から2006年のアーセナルについて検索する - Location: →特定の場所の検索
例: football club location:islington
イズリントン地区にあるフットボール(サッカー)クラブを探す - Filetype: →特定のファイル形式の検索
例: 新型コロナウイルス filetype:xls
(いきなり日本語で恐縮だが、これが一番わかりやすいので)「新型コロナウイルス」についての、Microsoft Excelのファイルを探す
さて、興味深いと思ったのはこれの2つ目。
- Dashes
— Chris Hladczuk (@chrishlad) 2021年8月28日
If you want to exclude a term from your search, include a hyphen before that word.
Example: dolphins-football
You just want dolphins the animal not dolphins the professional football team.
書き始めの行(事実上の見出し) で "dash", 次の行で "hyphen" と呼ばれているのは、日本語でこの検索方法を説明するときは「マイナス記号」*1と呼ばれるもので、論理上も「~を省く」のだから「マイナス」と考えるのが妥当だろうが、英語話者にとってはこれが「ダッシュ(ダーシ)」でもあり「ハイフン」でもあるという、非常に非常に英語らしい「細けぇこたぁいいんだよ」イズムを感じさせる。というか、普段「en dashとem dashは違うんだと何度言ったらわかるんだ」的な世界にいると、ひたすら無表情にならざるを得ない。
これについて、「細けぇこたぁいいんだよ」と思わない方には、下記のブログ記事がものすごく役立つだろう。
だけどこの使い分けの必要性をわかってくれる「ネイティブ」は、きっとものすごく少ないのだろうな、というのが、今回見た実例からわかることである。
だって、そもそも:
「ダッシュはハイフンやマイナス記号、ハイフンマイナスと混同してはなりません」だそうですよ。実際には、今回見た実例のように、堂々と混同されまくってますけれども。
【おまけ】
英語版ウィキペディアで下記を見ると、単に分量に圧倒されるはず。よくもまあここまで書くことがあるなと。
英文でのパンクチュエーションについては、一般的に入手できる英文法書では『ロイヤル英文法』が充実しています。
このほか、ビジネス英語系のライティング指南の本も参照する価値ありのものがいろいろあります。