Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】way too much, 「精神的にやばいことになりそうだから、SNSから離れます」の表現(米大統領顧問の辞職と彼女の家族)

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このエントリは、2020年8月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、SNSで繋がりっぱなしの時代だからこそ使えそうな便利フレーズをTwitterから。

米国の大統領選挙、民主党共和党の二大政党の候補者を正式に決定する両党の手続き(党大会的なもの)が、先週行われた民主党の全国大会、米国時間で24日に行われた共和党の全国大会 (the Republican National Conference: RNC) で終了し、いよいよ「選挙戦本番スタート」となっているが、一方で現職のドナルド・トランプ共和党)の身辺が騒がしい。

以下、日本と米国の時差と日付の違いもあって、日付的なことは私が混乱してしまっているかもしれないが、RNCの当日には、トランプ支持の宗教界の大物夫妻に関する非常に下品なスキャンダルが大々的に報じられて米メディアは大騒ぎとなった(その内容については当ブログでは触れない)。そして、その前に大騒ぎを引き起こしたのが、ケリーアンコンウェイの退任のニュースである。

ケリーアン・コンウェイは元々は法律畑で(弁護士ではない)、その後政治コンサルタントとして活動して共和党の政治家たちとつながり、2016年大統領選挙に際しては当初はテッド・クルーズの陣営にいたが、クルーズの選挙戦撤退に伴い、それまで舌鋒鋭く批判していたドナルド・トランプ選挙対策本部を率いることになった。女性の選対本部長としては初めて選挙に勝ち、選挙後はトランプ大統領の顧問としてメディアで発言するなどしてきたのだが、これがまたすさまじい内容で、トランプ政権発足直後の "alternative facts" 発言では、何人ものまともな思考力のある大人を椅子から転げ落ちさせている。そのあとも、ネット上にしか存在しない「虐殺事件」を事実であるかのように吹聴してみせたりと、いろんな意味で目が離せない(が、なるべく視界に入れたくないし発言を聞くのもばかばかしい)人物である。

コンウェイの夫のジョージは、弁護士で共和党員だが、ドナルド・トランプのことはめちゃくちゃ厳しく批判しており、共和党内で反トランプの人たちの集まり、「リンカーン・プロジェクト」の発起人のひとりとなっているし、9月にはトランプ批判本まで出すことになっている。

つまり、コンウェイ夫妻は両方とも共和党員だが、妻がトランプべったり、夫がトランプ批判という分裂した状態にある。

これだけなら「まあ、夫婦っていろいろあるよね」っていう話かもしれないが、この夫婦には子供が4人いる。つまり子供たちがこの分裂した状況のど真ん中に置かれている。

その子供たちの1人であるクローディアさん(15歳)がブチ切れたことが、ケリーアン・コンウェイが8月いっぱいでトランプ陣営を離れるという決断を促した、と報道された(さらに、ジョージ・コンウェイリンカーン・プロジェクトから退くことになった)。クローディアさんがTwitterという誰もがアクセスできる場に投稿した内容は: 

 

 

 

 ……とまあ、この調子だった。クローディアさんのこの一連の発言はとても大きな関心を集めて、24日には彼女の名前がTrendsに入りっぱなしという状態に。

そして、彼女の発言とケリーアンコンウェイの辞職についてあちこちのメディアがいろいろ書いていることについて: 

つまり、「母親の仕事ゆえに自分がひどい目にあわされているわけではない。 子供のころにいろいろありすぎたんだ」と述べている。

政治性とか言ってる内容のめちゃくちゃさは度外視して(それを度外視できる人ではないんだけど、ここではいったん度外視して)、ケリーアンコンウェイのように「子供を4人育てながら、成功したキャリアパスを築いてきた女性」の現実というものは、ワイドショー的な(アメリカだから「リアリティショー的な」ということになるかもしれないが)関心を呼ぶし、こうして声を上げたクローディアさんには、彼女自身が欲していない類の注目も集まる。そして、Twitterという場では、そういった「ワイドショーの中のお騒がせ」の当事者に対して個人が直接、感情をそのままにした言葉をぶつけることができるし、実際にそういうことがおこなわれやすい。

というわけで15歳のクローディアさんは「いったん離れます」と宣言した。今回の実例はその宣言のツイート。

カジュアルな形で表記されているので、少しフォーマルな形に改めてみよう。そのほうが読みやすい。

This is becoming way too much, so I am taking a mental health break from social media. See y’all soon. Thank you for the love and support. No hate to my parents please. ❤️

最初の文: 

This is becoming way too much

"This is becoming too much" は一種の決まり文句。常に《現在進行形》 で、「事態が手に負えない〔耐えられない〕ほどになってきている」という意味。

"way too much" のwayは、"too ~" を強調する副詞で、「ほんとうにあまりにも~だ」の意味。もっと自然な日本語にすれば「マジちょっとこれは無理」みたいな感じだ。

 

(コンマと)等位接続詞のsoで結ばれたその次の文: 

so I am taking a mental health break from social media.

これはこのまま覚えておけば、自分で使いたいときにこのまま使える表現だ。

take a breakで「休憩する、休む」。

このa breakに説明を加えるために "mental health" が形容詞的に用いられている。英語では非常に頻繁にあることだが、名詞がそのままで形容詞的に用いられることがある。身近なところでは、例えば cat food のcatは「猫の、猫が食べるための」という意味で名詞を説明する役割で、つまり名詞を修飾しているから形容詞的な用法、ということになる。いちいち前置詞を使ってfood for catと表すという流儀の言語もあるかもしれないが、英語はそこらへん、かなり融通が利くので、こういうふうなことが起きる。まあ、大学受験レベルでは厳密な文法はあまり気にしなくてもよくて、"a mental health break" と言われたら「メンタル・ヘルスのための休憩」という意味がつかめればよい。

つまりクローディアさんはここで「このままだと精神がやばいことになりそうなので、ソーシャルメディアをお休みしますね」と宣言しているわけだ。

これは覚えておけば、自分が同じような事態になったときにそのまま使える文である。

ただし、できるならば、そういう事態にならないのがよい。覚えておいて、使う機会が来なければよい、という類の文である。

 

ここまでで当ブログの上限としている4000字を超えてしまったが、少し続ける。

クローディアさん自体は母親はもちろん父親とも政治的に意見が一致する点は何もないが、お互い、あまりにおかしなことに際して常識は持ち合わせているだけで、「父のことを変に持ち上げないでください」と書いている。"stan" はネットスラングで「誰かのことを熱狂的に支持する」みたいな意味(これについてもそのうち取り上げたいと思っている)。

 

そしてクローディアさんに対してネット上では……

 

 

※5460字

 

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https://twitter.com/claudiamconwayy/status/1297621641921466368

 

参考書:  

 

 

 

 

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