今回は、日本語で報道されたことについて、英語での報道を探す実例。
3月12日(土)付けで、毎日新聞から次のような報道があった。はてなブックマークの件数も多いが、Twitterでも非常に注目されていた。
私はこの週末はてブは見ておらず、Twitterを眺めていただけだが、この記事の書き出しに「ロシアの独立系メディアが~と報じた」とあることについて注目したツイートは見なかったように思う。
「ロシアの独立系メディア」は、今月上旬の例の法律のせいで、ロシア国内ではもう活動できる状態にはないのだが、この記事で参照しているのは、記事本文の中のほうに述べられている通り、ロシア国外に拠点を置いているメディアだ。
FSB幹部の自宅軟禁については、ロシアの情報機関の取材を長年続けるロシア人記者が11日にSNS(ネット交流サービス)で報じ、隣国ラトビアに拠点を置く独立系ニュースサイト「メドゥーザ」などが詳しい内容を伝えている。
「メドゥーザ」は、英語圏の報道を通じて、ロシアの動向に少しでも関心を向けてきた人なら、必ず名前を目にしたことがあるだろう、というくらいのオンライン・メディアである。
【以下、書きかけ。この後すぐに書きます】
メドゥーザは英語版もあるので、毎日新聞報道の元記事の英語版を探してみよう。
まず、「メドゥーザ」を探すわけだが、これ単独でウェブ検索してもミュージシャンとかが出てくるばかりなので、「ロシア」も検索ワードに入れて「メドゥーザ ロシア」で探してみる。これで検索しても、現時点では、検索結果の上位は毎日新聞報道と同じ「FSB幹部を軟禁」という報道記事ばかりなのだが、それらの中にも下記のような記事が見つかる。
露政権は3月4日までに、ウクライナ側の死傷者数など政権の公式発表ではない「虚偽情報」を報じたなどとして、リベラル派のラジオ局「エホ・モスクブイ」やテレビ局「ドシチ」を電波停止に追い込んだ。独立系電子メディア「メドゥーザ」のサイトへの接続も遮断。ウクライナメディアへの接続も不可能だ。
こういうことを予備知識として今回のニュースを見ると、いわゆる「解像度が上がった」状態になるだろう。つまり、ロシアの政権はこの媒体が報じているようなことはロシア国民に知られたくないのである。政府の言うことを「いつものプロパガンダですよねー」的に受け取っているロシアの人々は、こういった「接続禁止」のサイトに、何とか接続して、情報を得ている。
ともあれ、この媒体に日本語圏からアクセスしようと思ったらそのURL、せめてアルファベットでの綴り(URLの一部になっているはず)を調べる必要があるし、その用途では日本語検索には限界がある。
それでも根気よく見ていくと、専門の方の次のツイートが見つかるはずだ。昨年4月のものである。
ロシアのリベラルメディアの「メドゥーザ」の外国エージェント指定、国はこのメディアを潰したいのだろう、正直、今回はどうすればよいかわからない、と。なくなったら困る→«Медуза» — иностранный агент. Что дальше? Спойлер: мы не знаем 🤦♂️ — Meduza https://t.co/iXgfbPb8HS @meduzaprojectより
— Yoko Ueda (@yuvmsk) 2021年4月26日
ロシアのこの「外国エージェント指定」は、それ自体を解説していたらまた文字数を使い切ってしまうのでここでは解説しないが、要はプーチンが、自身の支配力を強化する過程で導入した「外国人排斥」の法的枠組みだと思っておいて大丈夫だろう。「外国人」というか「ロシアに敵対的な外国人」のことで、これは昨今何かと「親日か、それとも反日か」で物事を判断したがる「普通の日本人」を自称する人々の声の大きさと政権への影響力の強さを思うときに、決して他人事ではない。
ともあれ、これでこの媒体のラテン文字でのスペルがわかった。
今度はこの "Meduza" で検索してみる。
そうすると検索結果上位にウィキペディア英語版のエントリが表示されることになるはずだ。
【すみません、また中断。あとで書きます】