Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

主語が長い文, to不定詞の2つの用法(岸田内閣と統一教会)

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今回の実例は、Twitterへの報道機関のフィードから。

報道機関が記事を出して、その報道機関の公式アカウントがそれをTwitterにフィードするときのパターンは大まかに2通りある。記事の見出しとURLだけをツイート本文に記し、その下の部分で展開される写真付きの部分(Twitter card)にリード文を表示しているパターンと、見出しとリード文を混ぜたようなやや詳し目の記述とURLをツイート本文に記し、Twitter cardを添えているパターンだ。

いずれも記事がアップロードされると自動でフィードするツールを使っていると思われるが’(記事の取捨選択はしているかもしれないが)、そのような自動化ツールのひとつがEchoboxで、日本で発行されている英語新聞the Japan TimesはそのEchoboxを使っている。

それがどこでわかるかというと、ツイート本文の下、投稿日時の表示の横のところだ。

https://twitter.com/japantimes/status/1561576871158054912

”Echobox" と表示されているのがわかるだろう。

さて、今回の実例はこのフィードの本文。上記の2通りのパターンのうち、後者のパターンで、単なる見出しよりは詳しい文面がツイート本文として投稿されている。

この文面、主語が長い。

「主語が長い」ということは、述語動詞がどれだかが把握できてはじめてわかることなのだが、このツイート本文の述語動詞はどれか、ぱっと一読しただけで把握できただろうか。

Kishida's attempt to use the recent Cabinet reshuffling to avoid public criticism over the ties between lawmakers of his Liberal Democratic Party and the Unification Church seems to have backfired.

そう、この文の述語動詞は一番最後の "seems (to have backfired)" である(to have以下をカッコに入れたのは、ざっくり説明すると、厳密にはこれを述語動詞と考える場合も考えない場合もあるからで、文を正確に読むために文の構造をとることが目的の解析ではこれは全体で述語動詞と考えてもよいだろう)。

つまり、その前の部分は全部主語。長い。これを解析すると: 

Kishida's attempt ( to use the recent Cabinet reshuffling / to avoid public criticism / over the ties between lawmakers of his Liberal Democratic Party and the Unification Church )

というわけで、最初の "Kishida's attempt" という語句に、"to use" 以下の修飾語句がぶら下がっている、という構造である。

この "to use" 以下の部分は、そのまま前から読んでいけばわりと素直に把握できると思うのだが、まず、 "to use" は《to不定詞の形容詞的用法》で直前の名詞 "attempt" を修飾・説明している。ここまで直訳すれば、「最近の内閣改造を利用しようという、岸田氏の企て」。

次のセクション。 "to avoid" は《目的》を表す《to不定詞の副詞的用法》で、「~するために」の意味。ここまで直訳すれば、「一般の批判を避けるために、最近の内閣改造を利用しようという、岸田氏の企て」。

その後、 "over the ties between lawmakers of his Liberal Democratic Party and the Unification Church" は "criticism" の説明で、下線を施した《between A and B》の構造を含んでいる上に、Aが6語もあるからやたらと長くなっているが、構造自体は単純である。この部分は「彼の(彼が率いる)自由民主党に属する国会議員と、統一教会の間の関係をめぐって」という意味。

lawmakerという単語は日本語の「議員」の訳語とは思えないくらい印象が違うかもしれないが、議会(つまり国会)が立法府であり、そのメンバーである議員(国会議員)の仕事は立法すること、つまり法律を作ることである、という、小学生でも習うような一般常識的なことと照らし合わせれば、すっと納得できると思う。

このlawmakerという表現は「国会議員」を言うための最も一般的な語であるが、実際には、その国ごとの言い方がなされる。

米国の場合は「国会」というより「議会 Congress」なのだが、そのメンバーであるということでcongressman, congresswomanといった言い方がなされ、さらに上院と下院があるので、一般には「上院議員 Senetor」と「下院議員 representative」という呼び方をする。

英国の場合は、「上院the House of Lords」は貴族に自動的に議席が与えられ、選挙をしないのだが、「下院 the House of Commons」は議員が選挙で選ばれ、この下院議員が「国会のメンバー the member of parliament: MP」と呼ばれる。

英国のメディアや一般的な文章では、この MP という語が「(選挙で選ばれる)国会議員」を表す一般語として用いられることがとても多く、よその国の議員に関しても使われる。例えば "Russian MP Andrei Lugovoi" とか、"Japanese MP Kensuke Miyazaki of the Liberal Democratic party" といったように。

かつて、このMPという表現を知らず、「ミリタリー・ポリス」のことだと思い込んで英国のことをバカにする調子のコラムを書いた人などがいたが、このMPは主要な英和辞典なら必ず掲載されているので、チェックしてみてほしい。

 

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