Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】続き: 「ハマスのロケット」の前にあったこと~ブリン村でのイスラエル人入植者による放火 (接続詞のas, by the timeを使った表現, など)

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このエントリは、2021年5月にアップしたものの再掲である。

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今回は、前回の続きで、ブリン村焼き討ちについてのMondoweissの記事を読んでいこう。前置きの類は一切省略するので、必要な方は前回のエントリをご参照いただきたい。あと、中東情勢については、ごくごく基本的なことについて必要最小限の情報共有すらできていないのが現実なので、「にゅーしょくしゃって何ですか」的な疑問をお持ちの方も少なくないと思われるが、当ブログではそこまではフォローできない。できればそういうことの説明を書きたいのだが、事態の進展の速さと激しさがそれを許さない。今さっきも、ガザ地区アルジャジーラなど報道機関が拠点を置いている建物が破壊されたところだ。

爆破するという予告をして人を退避させ、ビルを爆破して使えないようにし、人的被害がなかったとドヤ顔をするのは、私の知っている世界では、テロリストのやることである(IRAのロンドンでの爆弾テロの数々を参照)。

記事はこちら: 

mondoweiss.net

前回みたところの次のパラグラフ: 

f:id:nofrills:20210515222347j:plain

https://mondoweiss.net/2021/05/we-put-our-souls-into-this-land-palestinians-mourn-land-lost-to-settler-arson-attack/

記事を書いた人も急いでいて、推敲をあまりしていないのだと思うが、asが繰り返しでてきていたりして、日本語の文体でいえば「こと」が連続しているような感じである(「変異株による感染が急増していることは重要なことではないとばかりにIOCは……」みたいな感じ)。 それが妙な緊迫感を感じさせる文章だ。

As the evening went on, the residents of Burin were forced to watch as the night sky lit up their village with orange flames and clouds of smoke. 

下線で示した "As" も、太字で示した "as" も、どちらも《時》 を表す接続詞のasで、「何かと何かが同時に進行していること」を表す。つまり、暮方が夜になり (the evening went on)、夜空に広がるオレンジ色の炎ともうもうと上がる煙で自分たちの村が照らし出され (the night sky lit up their village with orange flames and clouds of smoke) ているのと同時に、ブリン村の住民たちはただじっと見ていることを強いられた (the residents of Burin were forced to watch) という時間的な配置がこの文にはある。

青字で示した部分、"were forced to watch" は、《force + O + to do ~》のOを主語にして受動態にした形で、"watch" はここでは自動詞(つまり目的語なし)で「じっと見ている、見張っている」の意味である。

同じパラグラフの第2文: 

By the time the settlers and soldiers retreated, and the residents were able to put out the fires, the damage had already been done.

太字で示した "By the time ..." は「…したときまでに」で、《by the time + 過去形, 過去完了形の主節》 という形でよく目にするが、ここでもその形で出てきている。「入植者と兵士たちが退却し、住民たちが火を消すことができたときには既に、損害はすでになされていた」と直訳される。

青字で示した《be able to do ~》にも注意しておこう。基本的なことだが、見落とさないように意識することが重要である。

キャプチャ画像にあるように、Mondoweissの記事はこの次にラニア・ザバネさんのツイートを埋め込んでいる。ザバネさんはアルジャジーラのジャーナリストで、ヨルダン川西岸地区で仕事をしている。

コンマで挟んだ《同格》 や《現在完了》といった文法項目があるが、平易な英文である。文中の "SUN" はSundayのことで、この投稿は5月4日/5日(時差によって変わる)になされているが、入植者が通りすがりの車から銃撃されて負傷したという事件があったという日曜日は5月2日で、つまり2日か3日にわたってずっと村は攻撃を受けてきたことになる。

こういう背景があると、村の焼き討ちを「報復」として正当化する言説が必ず出るのだが、法治国家では「報復」は認められていないし、イスラエルは民主主義だとか法治主義だとかいったものを看板にしてきた国である。

ただし現実にはこのようなことは繰り返されており、それは日本語圏では「暴力の連鎖」という「どちらにも非がある」という前提に立った言説に回収されることが多いが、そもそもの発端は、前回のエントリで説明のところに書いたように、イスラエル国際法に違反して(違法に)入植地を建設していることである。

燃やされた土地は、双方の勢力圏の緩衝地帯としてノーマンズランドになっているところや原野ではない。パレスチナの人々が暮らし、耕して作物を育ててきた土地である。

 

今回はここまで。

 

※2800字

 

 

パレスチナのちいさないとなみ

パレスチナのちいさないとなみ

 

 

 

 

 

 

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