Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

so ~ that ...構文, difficult to do ~, betという語の使いどころ(英語母語話者の手書きの文字を読んでみよう……読めるものならば)

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

今回の実例は報道記事から。

英国に、ジェイコブ・リーズ=モグ (Jacob Rees-Mogg: 略してJRM) という国会議員がいる。保守党所属で、ボリス・ジョンソン、リズ・トラスと近く、ジョンソン政権ではBrexitのメリットを最大化する担当みたいなポジションにいて、トラス政権ではビジネスおよびエネルギー担当の大臣(閣僚)になっていたが、ごりごりのカトリックで価値観はいわゆる「保守的」なもので、気候変動に懐疑的だったり女性の権利には無関心だったりという政治家だ。子供のころはお屋敷に住んでいて、身の回りの世話をしてくれるナニー (nanny) がいたようなおぼっちゃまで、政治家になるにあたって初めて選挙区の有権者の家を個別訪問した*1ときに、労働者階級の有権者と話をするのが怖くて、ナニーについてきてもらったとかいう逸話の持主だ。

国会(下院)では、審議中に、こんなふうに長々と寝そべって昼寝していたりして: 

結果的にネット民にフリー素材を提供することになった。

で、このJRM議員、ジョンソンの盟友で、ジョンソンの後継だったトラスとも関係は良好だが、リシ・スナクとは仲が悪い。スナクは、ジョンソンの退陣をもたらした要職者数十人の辞任を引き起こした人物で(当時財務大臣、政権ナンバー2だった)、JRMのような議員にとっては不倶戴天の敵なのだろう。

というわけで、トラス退陣後の保守党党首選で、ジョンソンがフカしまくった挙句撤退し、ペニー・モーダントが規定の100人の推薦人を集められず、投票なくしてスナクが保守党の党首に決定したとき、JRMはトラスのもとで持っていたポスト(ビジネス・エネルギー担当大臣)から下りた。

そのときの辞表が、あまりに独特で話題になった。どういうものだったかというと: 

 

そう、今どき手書きであるばかりでなく、読めない。

そして1行目。通常は「何月何日」と日付を書くところで、「聖クリスピンの日」と書いている(カトリック)。

今どき、こういうときはパソコンで打ちこむものだし、印刷したレターはTwitterなどSNSにアップしてシェアするものだが、JRMはどちらもしようとしなかった。

そのことが、いくつものメディアで記事になった。

今回実例として見るのはそれらの記事のうちのひとつで、ガーディアンのもの。こちら: 

www.theguardian.com

https://www.theguardian.com/politics/2022/oct/25/jacob-rees-mogg-quits-with-handwritten-letter-dated-st-crispins-day

キャプチャ画像の一番下のパラグラフ: 

Rees-Mogg’s handwriting is so difficult to decipher that the Scottish newspaper the National has headlined an article: “We bet you can’t read Jacob Rees-Mogg’s handwritten resignation letter.”

《so ~ that ...》構文である。それに加えて、soの直後の形容詞句のところが、《difficult to do ~》(「~するのが難しい、~しにくい」)になっている。

文意は「リーズ・モグの筆跡は読み解くが非常に難しいので、スコットランドの新聞the Nationalは、……という見出しの記事を出した」

その見出しの部分: 

 “We bet you can’t read Jacob Rees-Mogg’s handwritten resignation letter.”

"We bet (that) ~" は、口語的な軽い調子の表現だが、「~ということで賭けよう」と直訳され、意味は「絶対に~だ」「~だと言い切れる」ということになる。

この場合は「リーズ・モグの手書きの辞表を読むことは不可能と断言できる」という意味になる。

 

というわけで、私はJRMの筆跡を見て「ははは、英語母語話者の筆跡ってこれだから、ははは」と笑ったのだが、それにしてもひどすぎるクオリティだったらしい。確かに、他人に読ませる文字ではない。自分用のメモとか走り書きならこれでもいいのかもしれないが。

なお、育ちの良い英語母語話者の筆跡をもっと見てみたい方には、ダイアナさんの筆跡を画像検索することをおすすめしたい。

 

※2650字

 

 

 

 

 

*1:英国では選挙の際、候補者自身が有権者の家のドアを一軒一軒叩いて回って有権者の話を聞く。日本ではこういう選挙運動は違法だと思う。