Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

「ガザ市民」を名乗る募金詐欺の可能性について(実例つき)

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■目次■

 

病院が次々と攻撃対象とされているガザ地区北部の無法と惨状

ガザ地区北部が本当にめちゃくちゃな状況になっていて、3つある設備の整っていた病院のうち、1つはぺちゃんこにされた建物の前でイスラエル兵が会心の笑みを浮かべて自撮りしており*1、もう1つは今まさに包囲攻撃下にあり、医師・看護師や患者、避難民が中にいるままでイスラエルの銃撃・砲撃などにさらされ、戦場に投入された無人の爆破装置(「爆発物を搭載したロボット」と説明されているが、遠隔操作可能な軍用車両に爆破装置の仕掛けがなされたもののよう)による攻撃も行われており*2、もう1つでは、門の前にあったジャーナリストの車(PRESSと表示されたミニバス的な車)がイスラエルの攻撃を食らって中にいた5人のジャーナリストが生きたまま焼き殺された*3

カマル・アドワン病院

とりわけ、カマル・アドワン病院の状況はあまりに深刻で(世界の主流メディアが完全に無視しているような状態だからより一層深刻)、イスラエルはクリスマスに首相が「キリスト教徒の皆さんに友愛を」云々というスピーチをする一方で、病院を攻撃する(しかもとんでもないやり方で)ということを、せめて記録だけはしなければならないと思っているのだが、全然作業が追い付かない状態である。

togetter.com

カマル・アドワン病院のことは、マスコミがほぼ報じてないから、ほぼ誰も知らない。パレスチナ連帯運動で街頭に立っているような人でも知らない。私が使っているSNSでこれについての話が十分に意味を成す程度の量をもって流れてきているのはTwitter/Xだけだ。そして今、Twitter/Xを使っていると「イーロン・マスクを利する行為をしている者」として白眼視されるのだが(無料アカウントがあのサイトをどんだけ使ったって、奴に実際の利益をもたらすことはないんだけどね、頭数になってしまうだけで)、そう言ってる人々は、ガザのことになど関心はかけらもないのだろう。

ガザの人々によるクラウドファンディング

さて、そのような状況下だが、ガザ地区のほぼ完全な破壊(人口の96%が家を失い、職場が消えて職を失った人もとんでもなく多い)と、完全封鎖(物資がほとんど入らないので、青空市場で売ってるものもとんでもない価格になっている。昨日の報告ではお米1キロで日本円に換算して2500円近く*4)のなかで生きることを余儀なくされている人々は、最終手段として、個人が手はずを整えて実施するクラウドファンディングという方法で、生活費を得ている。

これらのクラウドファンディングは、今年に入ってから激増したのだが、当初は「破壊された家を修復する費用」とか「失業したが薬が高騰しているので医療費が必要」とか「次にラファの検問所があいたときにエジプトに脱出するための費用」とかいった名目で集められていたものが、今では「明日の食べ物を買うためのお金」のような直接の生活費になっている。私がフォローしているガザの人々でも、自分と自分の家族の生活費をそうやって募っている人は少なくない。

真正なアカウントかそうでないか

というわけで、募金要請のTwitter/Xアカウントは非常に多くあるのだが、そのすべてが真正であるわけではない。

 

個人のクラファンについて紹介するなどしているアカウントは、英語でも日本語でも、自分が紹介しようとしているアカウントが真正なものか(本当にガザにいる人のものか)を各自で確認をとってから紹介しているはずだが、どんなに細心の注意を払っていても、どうしても、真正でないアカウントの1件や2件は紛れ込んできてしまうだろう。

だから、「困っている人のためにクラファンで協力したい」と思う善意の人ひとりひとりが、そのアカウントが真正なものかどうかを確認しなければ、自分のお金が本当にガザに届くのか、安心することはできない。

SNSなどで見かけるクラファンが真正であるかどうかが確認しきれない場合の寄付先としては

その確認の時間や労力、能力がない場合は、UNRWAか、国境なき医師団など大手NGOに寄付するのが確実だろうし、現地で展開する日本のNGOパレスチナ子どものキャンペーン、JVC、パルシックなど)を寄付先としてもよい。日本のNGOに寄付すれば税金の控除も受けられるだろう。

私が確認したものということでOKなら、この夏にまとめたものだが、当ブログで現地のコミュニティ支援組織・団体(人助けも動物保護も)をリストアップした記事があるので、そちらも参考にしていただきたい(ただし寄付先の窓口が変更になっているケースが多いので、かならず、当該組織のSNSで最新の情報をチェックしていただきたい)。

hoarding-examples.hatenablog.jp

私が遭遇した疑わしい事例

少なくともこの夏まで、Twitterの古株からは「お金を送って」という要請は一度もなかった

さて、私は個人的に2010年には既にガザのTwitterユーザーと(一方的にではあっても)つながっていたくらいの古株だが、個人宛てに「お金を送ってください」という要請を受けたことは、今年2024年7月に、それまで15年にもわたって使っていたアカウントが、規約違反に相当することは何もしていないのにサスペンドされるまで、一度もなかった。

なので、今年の春以降、「個人に送金する」ことをめぐって、今般のジェノサイドで初めてパレスチナ(特にガザ地区)と接点を持った人々が四苦八苦していたとき、私はそれが何なのかわからなかった――ガザのTwitterスフィアの古株(その多くは、ガザ地区の外に出ている)は誰も、「お金を送ってください」ということは言っていなかったので。例外は「自分がやっているコミュニティ支援活動にご寄付をお願いします」っていうものだ。あとは、エジプトに脱出している人たちへの支援要請というのはあったかもしれない(エジプトの支援団体への寄付要請)。

そして7月に元のアカウントがサスペンドされたときに、それまで持ってるだけだった休眠アカウントを使うように切り替えたのだが、そのタイミングで、私のところにも、個人に対する資金支援の要請が届くようになった。春以降、いろんな人が四苦八苦していたのはこれか、と思った。

クラファンのサイトなどでの、ベーシックな確認の方法

英語の読み書きに不自由しなければ、先方が英語を使っている限り、SNSの過去の投稿も含めて、彼ら・彼女らの確認は楽にできる。あと、ガザ地区ではネット接続も不安定で、クラファンはガザ地区の外の人(友人なり親戚なり)があれこれ環境を整えていることが多く、例えば「カナダのオンタリオ在住のナタリーさん」が「ガザ地区のムスタファさん」のGoFundMeをやっていることがある。その場合、ムスタファさん個人のTwitterInstagramを確認するだけでなく、オーガナイザーのナタリーさんのサイトなども確認してから送金の是非を判断できる。今どき、SNSユーザーなら過去の投稿もあるだろう。それを見て判断すればよい。(ただし私のように、15年も使ってたアカウントを奪われている人もいるだろうが……。)

それが1件が2件なら何ていうことはないし、5件くらいならちょっと時間があるときにまとめてやっておこうくらいの話だ。だが、10件を超えたら、個人では大変すぎる。そうなると、どんなに注意していても、どっかに「あれ?」というのが紛れ込んでしまうだろう。

「ガザの看護師」からの要請(10月下旬)

10月下旬のことだ。Twitter/Xで、突然、「ガザ地区の看護師でおなかに赤ちゃんがいる」というアカウントから、私の投稿でリプライがつけられるようになっているもの*5ほとんどすべてに、内容にかかわりなく、個別に「お金を送ってください。私はこんなに大変な状況にあります」というリプライがつけられるようになった。「看護師」氏は私をフォローすると次の瞬間にリプライを送信し始めている。

よほど必死なのかもしれないが、こちらの投稿内容も見ずに一方的にリプライをつけてまわることは、スパム行為である。

またこちらには、その「看護師」氏の発言内容を嘘と考える根拠もないが、嘘ではないと判断する根拠もない。アバターの写真はマスク姿でも非常に美しい面差しとわかるような女性で、看護師のように見えはするが、実在の看護師さんの写真を勝手に流用している第三者の詐欺アカウントでないと考える根拠もない。

以前、スパマーかなと思ったアカウントのアバターを画像検索にかけたら、どこかからの流用だったので、即座にスパマーと判断できたことがあったのだが、今回の「看護師」氏のアバターは流用ではないようだった。

「看護師」氏はTwitter/XにはJoined September 2024で、Not followed by anyone you’re followingである(画像参照。単なるキャプチャ。要所要所モザイクをかけてある)。

私の本来のTwitterアカウント(つぶされたアカウント)ではここでだいたいの判別がついた。つまり、ガザ地区の英語話者のハブとなるアカウントをフォローしていたのでNot followed by anyone you’re followingなアカウントで本当にガザ地区在住の英語話者という人はまずいなかった。仮にアカウントを作ってもほぼ放置してあったという場合でも、必ずだれかと何らかの挨拶はしていたので、Repliesのところを少し深掘りして見れば判断できた。

この「看護師」氏のようなNot followed by anyone you’re followingのケースはかなり珍しい。

それに、この「看護師」氏は、通信状況が悪い中、9月から今までに1400件近い投稿をしていて、しかもそのほとんどが「お金を送って」で、あちこちのアカウントにメンションを飛ばしている。メンションを飛ばすべきアカウントを調べるのも大変だったことだろう。

というわけで、この「看護師」アカウントの中の人が本当に困っている妊婦さんだったら申し訳ないとは思うが、残念ながら、このアカウントがガザ地区北部で看護師をしている人が運営しているアカウントだと考えることは、ちょっと私にはできない。北部の状況について、ごくまれに著名なジャーナリストのアカウントの投稿をリポストしている以外には何の情報もなく、自分のおなかのエコー写真と「お金送れ」の文面ばかりでは……。下記の画像は「お金送れ」の意味の間接的メッセージを、パレスチナ連帯界隈の多数のアカウントにメンションで送っているさま。

(ちなみに、BlueskyはPalestineタブがこんなのばっかりで、見るのもいやになったので、アカウントを取るだけ取ってほぼ使っていない。スペンサー・アッカーマンらへんがBlueskyにいるので、それと、猫写真アカウントは見てる)

なお、10月の末にこういうことがあり、11月1日にTwitter/Xで「金なら個人宛には送れん」という鬼のような投稿をしたのだが、その翌日に確認したら、そういうことを公然と宣言せざるを得なくなった理由である「おなかに赤ちゃんがいて、困っています」という「ガザの看護師」のアカウントからのフォローが解除されていた(下記画像)。

「読んでくれててありがとう」と言うべきか。

リンク先のGFMは真正なもののようにも見えたんだけど、私は自分の知識量でそういうことについてまともに判断できるとは思えないので判断は保留にしておいた。

「ガザの看護師」氏との再会(12月下旬)

さて、上記のようなことがあって2か月後。

自分のHome画面のFor youタブを見ていると、あのマスクでも隠し切れない美貌があふれ出してくる感じのアバターが目に入った。「某コレクティヴ」という、英語圏パレスチナ支援ネットワークのアカウントが、長文投稿の一部を切り出して目立たせるようにして、引用リツイート/リポストしていたのだ*6。ご丁寧に、こういった個人のクラファンをひろめる活動を熱心にしている善意の人、英国のルイス氏にメンションを飛ばしている。

「看護師」氏の名前はもうボカシなしで出しておこう(アカウント名の一部はぼかしておく)。

「看護師ザイナブ」氏の投稿そのもの: 

「看護師ザイナブ」氏の文面はほぼ読まなくていいと思う(なんか、前より悲劇的な話になってるような気がするけど)。でも「おなかの中の赤ちゃんが小さくて弱いってお医者さんに言われました」と言っているその写真、2か月前に見たよ、私。2か月も胎児が同じ状態でいるなんてことがあったら大変。

というわけで画像検索してみると: 

※このキャプチャ画像内にある日本語の翻訳紹介ツイートの方には、疑わしいアカウントであることを連絡済みです。お返事もいただいています。

 

「看護師ザイナブ」氏は、「10月28日」と「3日前」(12月23日)に同じ写真を投稿し。10月に投稿した写真を、12月に「今日、検査を受けてきました」と説明している。Let's do the time warp again! か!

というわけでさっきツイートしたんだけど: 

以下は余談であるが、ネット上で何を信じることができて何を信じることができないかという点で有益な余談だと自分では思う。



おまけ: 「ダマスカスのゲイ・ガール」の事案

A Gay girl in Damascus事案は、本当にひどいなりすまし事案だった。一種のセクシャル・ファンタジーに基づいたなりすましで(今なら「セクシャル・ファンタジー」とは言われないかもしれない)、質的にひどい詐欺だったけど、実害らしい実害が出ていないか、出ているという実証が不可能なので、なりすました本人がすべてを白状しておしまいになった(だけでなく、本人は大出世したらしい)。簡単に言えば、「自分はシリア人のレズビアン女性だ」と妄想した白人の男が、ネットで「拾った」東欧の女性の写真を「シリア人のレズビアン女性」に仕立て上げてネット上で人格を作り、人々を信用させ、やがては彼女のブログなるものを創作したという事案である。個人の自由が考えられないレベルで制限されているシリアの複雑な情勢もあいまって*7、完全にフィクションである「彼女」の存在をフィクションと見破れる人がほとんどおらず、米国の中東報道に関するWeb 2.0世代の著名人らが次々と釣られ、そっから「あの人が真正だと言うのなら真正なのだろう」ということで大勢が釣られた。妄想男がその妄想ブログをスタートしたのが、シリアで反独裁の民主化要求運動が本格的に始まる1か月ほど前のことだったが、これがまた無責任な人物で、民主化要求運動が始まると自分のフィクションは維持できなくなり、「彼女」が秘密警察に連行されたという《設定》でブログを終了した。もちろん、この嘘は「彼女」の存在を信じていた人々を大いに心配させ、大いに傷つけるものだったが、妄想男はその点反省などしていないようだった。

この話がすごいのは、なりすましが「ダマスカスのゲイ・ガール」ブログにとどまらず、ダマスカスのレズビアン女性(のふりをした男)とオンラインで知遇を得て、「彼女」にコラムを依頼するなどしていたアメリカのレズビアン情報サイトのオーナーが……

*1:インドネシア病院。ベイト・ラヒヤ。

*2:カマル・アドワン病院。ベイト・ラヒヤとジャバリア難民キャンプの境のあたり。

*3:アル=アウダ病院。ジャバリア。

*4:日本でも米価はすごくて、去年まで5キロ2000円内で余裕で買えていたお米が、今は5キロ3500円では買えず、4000円の予算が必要になっているのだが。

*5:7月まで休眠アカウントだったアカウントは、なぜか、使い始めると、ドイツ語のスパムの標的とされるようになったので、基本的にリプライはつけられないようにしてある。

*6:連絡済みです。→ほどなく「連絡ありがとうございます。当該の投稿は削除しました」とのお返事をいただきました。

*7:シリアは、ブログなどの読者にとっては「何が事実で、何が身バレ防止のためのごまかしなのかがわからない」ような場所である。2003年イラク戦争のときのイラクでもその点の確認はかなり大変だったが、シリアはそれ以上だ。

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