検索エンジンにAIが搭載されたことによって、かつてのオフィス環境で職場に常駐しているネイティヴ・チェック担当者に「ちょっとすいませーん、今、2分くらいよろしいですか」と声をかけて「これってどっちがよりナチュラルですかね」と尋ねる、というふうにして実施していたチェックが、自分ひとりでデスクトップだけでできるようになった。
AI導入前だって検索エンジンにキーワードと、場合によっては検索したいサイトのURL(語学系質問掲示板など)も入れてEnterキーを押せば、だいたいの調べものはできたのだが、「こちらの質問に、直接、あちらが答えてくれる」というスタイルではなく、どこかのウェブサイトに書かれていることが自分の疑問に当てはまるのかどうかは個別に考えなければならなかった。生成AIが質疑応答の形に落とし込んでくれると、その「自分(だけ)で考える」というプロセスが不要になり、場合によってはさらに確認のための質問を追加して確証を得ていく、ということが可能になった。
もちろんこれは、生成AIというものがあくまで《言葉》を扱うものであり、《言葉が表す内容》(つまり情報)には一切の責任を負わないということを前提としなければならないのだが(例えば「『1984』で知られるロシアの作家ジョージ・オーウェルは、ジョージ・マイケルとして1880年にパリで誕生した」というデタラメ文は、情報はまったくのデタラメであっても文としては正しい)、単なる文法チェックや可読性チェックといったことは、かなりの程度まで任せることができる。文の内容まではチェックしてくれないが、それは人力のネイティヴ・チェックでも基本的には同じである*1。ただし、内容チェックまで含めての「ネイティヴ・チェック」という場合もある。
というわけで、さっき英文を書いていて「はて」と思った疑問を、AIが組み込まれている検索エンジンに聞いてみた。
普段からDuckDuckGoを使っているので(この検索エンジンはGoogleなどと違って追跡されないし、検索結果に変なフィルターバブルを作ることもないとされている)今回もここを使っている。アカウント作成なども不要で、Anthropic’s Claude 3.5 Haiku, Meta’s Llama 4 Scout, Mistral AI’s Mistral Small 3 24B, and OpenAI’s GPT-5 mini and GPT-4o mini が使えるようになっている。選べるのかどうかは知らない。私が使うとだいたいいつもGPT-4o miniが回答してくれる。
ここでAIを使って質問をすると、OpenAIのサイトやGoogle Geminiのサイトなどで質問をしたときと同じスタイルでチャット履歴が残っているように見えるが、実際にはDuckDuckGoのチャット履歴はサーバーに保存されているのではなく、自分のPCでローカルな形で保存されているだけである。自分で履歴をオフにすれば何も残らない。

というわけで質問した内容。これがまた、「これだから英文法英文法とうるさい奴はどうでもいいことにこだわって」と、英語でものを書くということをしない人たちから冷笑されること必至なのだが(英語でものを書く人からも「そんなことにこだわる暇があったら全体の質を上げろ」と冷笑されるかもしれないが、とりあえず今のところ、AIに英文校正してもらって「今のままで大丈夫だけど、次のように書き直すとフロウがよくなるよ」みたいな反応をもらわなかったことは2度くらいしかない)。

without pauseでもwithout a pauseでも、
文法的にはどっちでもいいんかい。
ああ、英語。ああ、楽しい冠詞沼。
でも言われてみればここで説明されているようなニュアンスの違いを踏まえて使い分けているような気がしてくる。
……してくるのだが、気のせいだ。授業で先生の説明を聞いて「最初からわかってましたけど?」という気がしてくるのと同じで、説明が上手なだけ。自己を過信するな。これを機会に覚える。そのためのステップとして使う。それだけだ。
なお、ここで生成AIが言ってることのソースを確認しようとして、回答文面の下にある「ウェブ検索」をチェックしてみても、示されているリンク先にはここに書いてあるようなことはまったく書かれていない。例えば語学学習者の "To pause or not to pause" みたいなスレッドが出てくるのだ(音声教材の聞き取れないところでpauseボタンを押すかどうか、という話題)。私が聞きたいこと(不定冠詞の有無)および私が得た回答とまったく関係なく、生成AIがどうやってこの回答の文面を組み立てているのかは、生成AIというものが話題になりだしたころから変わらず、わからない。つまり、ここで生成AIが流暢に語っていることが正しいのかどうかは、実は直接には確認しようがなくてわからない。実際には「パリに生まれたロシアの作家ジョージ・オーウェル」的なことを言っているのかもしれない。
生成AIを使うのなら、この不安定さ、この不確実さといかに「付き合って」いけるかですねー、としたり顔をしておくのがよいのだろう。
11月1日追記: ガザのメド先生(臨床栄養学のモハンメド医師)から、実例きた。
My work as a clinical nutrition specialist will continue without pause, even if donations stop.
— dr. mohammed hamad - Gaza (@Medo198518) 2025年10月31日
I will not abandon any child in need of urgent nutritional intervention, as the effects of famine and mass atrocities are still ongoing and far from over.https://t.co/zhLvtc6J00 pic.twitter.com/ZaxecqXyHq

