最新ニュースをチェックしておこうと、ごはん食べながらBBC Newsのサイトを見ていたら、ウェブであれ書籍であれ、何らかのテクストを、どのように検索しても絶対に探し出せない実例に遭遇したので、メモっておく。
記事はこちら。どこからか連れてきた年少の女性たちを性の道具として、世界各国の政界・財界・アカデミアの有力者たちと次々とつながっていっていた故ジェフリー・エプスタイン*1とのつながりと、そこで生じた自身の不品行が原因で、2025年秋に王族の称号を剥奪されたアンドルー元王子に、2026年初春に公開された新たな「エプスタイン文書」において、イスラエル当局とのつながりがかなり露骨で(あるにも関わらず大手メディアはそれを無視していて)ロシアとのつながりも考えられているエプスタインに、英国の微妙な情報を流していたという疑いが生じたため、警察が動くことになり、アンドルーの兄であるチャールズ国王がそれに協力すると表明した、という報道記事である。ちなみに、今回のエプスタイン文書に対する英王室の反応は、これが最初のものとなる。
《make + O + C》の《O》が長大で後回しに
実例の箇所はここ。

第2パラグラフより:
The King has made clear, in words and through unprecedented actions, his profound concern at allegations which continue to come to light in respect of Mr Mountbatten-Windsor's conduct
この文は、SVOCの構文だが、Oがとても長いのでOとCの順番が逆になっている形だ。つまり:
S = The King
V = has made
C = clear
(M*2 = , in words and through unprecedented actions, )
O = his profound concern at allegations which continue to come to light in respect of Mr Mountbatten-Windsor's conduct
本題は以上。こんなの、どうやって検索したって出てこないでしょ。なのでメモっておいた。
あとは余談。
《make + it + C + that節》の構文
《make + O + C》の構文でこういうふうになるときは、仮目的語のitを使い、《make + it + C + that節》の形にするものが、うちらが「受験戦争」の中で習った「受験英語」で頻出の構文としておなじみで、実際にもときどき見かけるものである(が、ラサール石井氏のような人にとっては、排撃すべき古臭い構文なのだろう)。
ときどき見かける構文なのだが、このエントリのために自分で例文を考えるのがめんどくさかったので、AIに投げた。
AI/LLMに出力してもらったこの構文の文例
私が使っているのは検索エンジンDuckDuckGo内蔵のDuck AIで、これはAIというかLLM提供者のサイト外でログインすることなく(つまりLLM提供者に履歴を残すことなく)簡易的にAIを利用できるという便利なもので、検索クエリというかプロンプトを書いてEnterキーを押すと、GPTやClaudeやLlamaなどいくつかのLLMのどれかが答えてくれる。どれが出てくるかはやってみるまでわからないので、「今日のLLM占い」みたいな遊びもできる(意味はわからない)。今回は、初手でGPT-4o miniが出た。
GPT-4o mini

[プロンプト] 英語の構文の実例を教えてください。形式目的語を使った、「make it C that節」の構文の実例を3つ、挙げてください。
GPT-4o mini形式目的語を使った「make it C that節」の構文の実例
Make it clear that you understand the instructions.
(指示を理解していることを明確にする。)Make it known that the meeting has been rescheduled.
(会議が再予定されたことを知らせる。)Make it certain that everyone will be informed about the changes.
(全員が変更について知らされることを確実にする。)この構文は、Cの部分が形容詞であり、その後に続くthat節が具体的な内容を示しています。
全部、対訳が変だ。命令文なんだから「明確にするように」「知らせなさい」「確実にしておきなさい」といったように訳されていなければならない。まあ、このLLMの翻訳の品質は常にだいたいこんなもん。
Llama 4 Scout
Duck AIではLLMの切り替えもできるので、ついでにLlama 4 Scoutに出力してもらった。

形式目的語を使った「make it C that節」の構文の実例を3つ挙げます。
- I made it clear that I would not attend the meeting. (私は会議に出席しないことは明らかだと言った)
- She made it obvious that she was unhappy with the decision. (彼女はその決定に不満であることを明らかにした)
- He made it plain that he would not tolerate any further delays. (彼はこれ以上の遅延は容認しないことを明らかにした)
対訳の品質は「うーーん」と思ってしまうけれど(この程度でいいんか、翻訳ってものは……)、例文はGPTのよりよい。ストーリーがある。
ちなみに最初の例文は「私は会議には出席しないことを明らかにした」という意味で、読みやすい日本語にするなら「私は会議には出席しないと明言した」「その会議には出ないからねとはっきり言っておいた」くらいの感じだろう。Llamaのは、英文和訳の答案用紙に書かれてきたら、満点は難しいのではないかと思う(採点基準による)。
しかし、3つとも「~ということを明示した」という方向性の例文なのは、退屈だね。もう1個、Claude Haiku 3.5もいってみよう。
Claude Haiku 3.5
英語の形式目的語を使った「make it C that節」の構文について、具体的な実例を3つ挙げます:(以下、多弁なところは略)
- It is important that we make it clear that everyone understands the new policy. (新しい方針を全員が理解することを明確にすることが重要だ。)
- The manager made it evident that the project deadline would not be extended. (マネージャーは、プロジェクトの締め切りが延長されないことを明白にした。)
- Scientists made it certain that climate change poses significant risks to our planet. (科学者たちは、気候変動が地球に重大なリスクをもたらすことを確実なものとした。)
AIが出力してくれる例文は、いずれにせよ、「~ということを明示した」という方向性だね。自分でもそれしか思いつかないから、たぶんこの方向性の内容について使われる定番の構文なのだろう。このあとはコーパスとかで調べないと確定できないけど、その時間はないのでここまで。
あと、Claudeも対訳の品質はアレです。特に3番の気候変動のはひどい。この日本語を単独で読んで意味が取れる人もいないと思うけど……。
*1:Epsteinの英語での実際の発音は「エプステイン」もしくは「エプスティーン」に近い。
*2:修飾語句。ここではコンマに挟まれた《挿入》の形。