今回の実例は、「受験英語」経験者にはとても懐かしいであろう定番の「書き換え」ネタが、BBC Newsでそのまんま出てきている例。
2019年11月10日は、「ベルリンの壁」の崩壊から30年の記念日で、ベルリンでは記念式典が行われた。
この日のことについては、Twitterであれこれフィードした断片を下記にまとめてあるので、そちらを参照されたい。
「壁崩壊から30年」の式典については、もちろん、各国際メディアが報じている。今回実例として見るのは、BBC Newsの報道である。
BBC News - Berlin Wall anniversary: Merkel warns democracy is not 'self-evident' https://t.co/8wTk5l50i9 ベルリンの壁が打ち倒されて30年の式典について報道するBBC記事。大統領による欧州の現状を憂慮する発言を紹介し、末尾にこの日はクリスタルナハト(水晶の夜)の日であることの記述。
— nofrills/共訳書『アメリカ侵略全史』作品社 (@nofrills) November 10, 2019
まずはこちら。日本時間で11月10日朝のBBC Newsのトップページ(アプリでは立ち上げた場面) :
'No wall too high to be broken down', says Merkel
これはマスコミ記事の見出しの表記ルールにのっとっており、be動詞が省略されている。それを補って普通の文に書き直すと:
'No wall is too high to be broken down', says Merkel
……と、こうなる。 そしてこれはかなりシンプルな《too ~ to do ...》の構文(「…するためにはあまりにも~である」、つまり「~すぎて…できない」)だ。
一方、この見出しをクリックして出てくる記事はこちら:
この記事には、次のようにある。なお文中の "..." (ピリオド3つ)は、その個所で省略が行われていることを示す。
"No wall that keeps people out and restricts freedom is so high... that it cannot be broken down," she added.
"that keeps ... freedom" は関係代名詞の節で、wallにかかっているのだが、文構造を見えやすくするためにこの部分を外してみよう。
"No wall is so high... that it cannot be broken down," she added.
先ほど見た見出しで《too ~ to do ...》の構文で表されていたものが、こちらでは《so ~ that ...》の構文で表されている。
《too ~ to do ...》と《so ~ that ...》の書き換えは、「受験英語」では定番である。そして近年、このような「書き換え問題」は「英語を話す力に結びつかない」などという理由で軽視されているのだが、こういうのは、自分の言いたいことを正確に人に伝えるために踏まえなければならない様式であり、常識である。決して軽視してよいものではない。
書き換えの例を示しておこう。
The tea was too hot for me to drink.
⇒ The tea was so hot that I could not drink.
(お茶は熱すぎて、私には飲めなかった)
The cat is too fat to go through the cat flap smoothly.
⇒ The cat is so fat that he can't go through the cat flap smoothly.
(あの猫、わがままボディすぎて、ねこドアをスムーズに通れない)
猫はどうでもいい。
ベルリンの壁崩壊から30年という節目を迎えたベルリンからの映像。
Germany marks 30 years since Berlin Wall collapse
On Berlin Wall anniversary, Merkel urges Europe to defend freedom
サッカーのヘルタ・ベルリンの試合も、キックオフ前にこのセレモニー。
Hertha Berlin's incredible display for 30th anniversary of Berlin Wall collapse
参考書: