Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

倒置, 独立分詞構文, など(『ホテル・ルワンダ』のポール・ルセサバギナに、ルワンダの法廷で有罪判決が下された)

今回の実例は、ちょっとびっくりする人が多いのではないかという報道記事から。

たまたまだが、つい数日前に過去記事の再掲で1994年のルワンダの虐殺について触れた記事をアップした

hoarding-examples.hatenablog.jp

この虐殺については、日本語ウィキペディアにも相当量の情報があるので、「30年近く前のことなんか知らないよ」という方は、まずはそちらを見ていただければと思う。

ja.wikipedia.org

起きたことがあまりに想像を絶するようなことなので、ウィキペディアでは逆にちょっとわかりづらいという方には、虐殺が起きたあとの調査や調査報道をまとめた本が何冊か出ているので、それらを見ていただくのがよいだろう。お住いの自治体の公共図書館にもあるはずだ。個人的には、米ジャーナリストのフィリップ・ゴーレイヴィッチによる『ジェノサイドの丘』をまずはお勧めしたい。

1994年のこのとんでもない出来事を、発生当時は知らずにいて(この虐殺は世界的にほとんど報道されなかった)、あとから何があったかをリアルタイムで知った世代の人々が、現在、思想信条的に敵対する人々や、考え方が相いれない人々、あるいはもっと幅広く批判対象となる人々のことを、害虫呼ばわりすることに非常に大きな抵抗を覚えていることが多いのは、おそらく、この殺戮を引き起こしたラジオのプロパガンダ放送で、殺害する側の民族集団が、殺害すべきとした民族集団を害虫呼ばわりした、という事実のせいであろう。今、この文を書きながら、「そういえば以前は、漫画や小説を含め一般的なフィクションで、ならず者や累犯者について『社会のダニ(寄生虫)』という言葉が、登場人物のセリフなどで用いられることがとても多かったが、今は前ほど目にしなくなったような気がする」と思った。もちろん、私が漫画や小説を読まなくなったとか、TVを10年前に捨ててしまったといったことも影響しているだろうが、21世紀になる前は「社会のダニ(寄生虫)」という表現は、本当に気軽に、ポンポンと使われていたのだ。

閑話休題。このルワンダのジェノサイドを扱った映画は何本も作られたが、そのひとつが、2005年に日本での劇場公開をめぐってネット上の日本語圏を揺るがした『ホテル・ルワンダ』である。この映画についての日本語版ウィキペディアには、ソースなしで*1簡単に記載されているだけなのだが、「大虐殺」という重苦しくて悲惨なトピックを扱った実話ものの重苦しく地味な映画で、主演俳優がアカデミー賞にノミネートされたために高騰した配給権を買う映画配給会社が現れず、日本では劇場公開なしになりそうになった。それはまずいと感じたある映画ファンが「こんな深刻な題材を扱い、高く評価されている映画が、日本ではまともに見られないのはおかしい」ということで声を上げ、著名なブロガー&映画評論家が主体的に発言しつつ公開要求の声を増幅するという形で、ネット上で「この映画を日本でも劇場公開してください」という署名運動が起きて(→その当時の私のブログ)、その結果として劇場公開された。当時、私も署名したし、映画を見に行きもした。映画はヒットしたようだ。今でもDVDやBDが普通に手に入るし、配信もあるだろう。あらすじを一言で説明すると、外国人ジャーナリストや支援活動家がよく使う高級ホテルの副支配人であるポール・ルセサバギナが、ジェノサイドが開始された街で、いかにしてホテルに人々を避難させ、最終的に外に逃すことに成功したか、という物語だ。映画の作りとしてはパニックもの・脱出ものの作りで、とてもわかりやすい。未見の方はぜひ。

この映画の製作国としては米英南アとイタリアがクレジットされているのだが、監督のテリー・ジョージ北アイルランド出身で、当時は米国に暮らして仕事をしていた。この人は『ホテル・ルワンダ』の何年もあとに、北アイルランドを舞台にした短編映画でオスカー*2獲得しているのだが、それについて書いた私のブログで、彼の北アイルランドでの経歴について少し詳しく取り上げている。

nofrills.seesaa.net

この人の経歴を簡単に説明するのは不可能なので、リンク先に飛んで読んでいただきたい。こういう経歴(……まあ、少しは書いておかないと話がわかんなくなるので書いておくが、北アイルランドのあの動乱の時代、1970年代初めに10代の終わりだったという世代で、北アイルランドナショナリストリパブリカン側の活動家で、「テロ組織」――IRAではない――にかかわり、投獄されている)の人が、ポール・ルセサバギナという人物のことを映画にするときに、一体どんなことを考えたのだろうということは、映画を見たかなり後も(というか今も)頭の片隅にひっかかっていて、そしてその状態のままで、最近のルセサバギナ氏についてのニュースを見ていたのだ。

*1:またかよ、とうんざり。

*2:アカデミー賞の最優秀作品賞(短編部門)。

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【再掲】that節の繰り返し, thatの判別, 引用符の使い方, have + O + 過去分詞 (EasyJetにサイバー攻撃、顧客情報流出)

このエントリは、2020年5月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、報道機関のTwitterフィードから。

イングランドに拠点を置く格安航空会社 (LCC) に、EasyJetという会社がある。1990年代後半に始まった「機内食サービスなどをカットしてその分安くする」「事務所・支店を持たず、予約は電話かネットのみとして、その分安くする」といった方法で運賃を安く設定するというやり方の現代的なLCCの欧州における代表的な会社で、欧州各国、および地中海沿岸の中近東の国々の130以上の空港を結ぶ近距離・中距離便を数多く運航している新型コロナウイルスの流行が始まる前は、欧州・中近東の多くの人々が、仕事での出張やレジャーのためにこの会社の便を日常的に利用していた。

そのEasyJetサイバー攻撃を受けて、900万人にものぼる顧客のメールアドレスや旅程、クレジットカード情報が流出した、ということが、昨日(5月19日)に報じられていた。今回と次回で、その報道のフィードをまとめてみていこう。

まず、英文法的に注目できるポイントがあるというだけの理由で、米ニューヨーク・タイムズのフィード。

 

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【再掲】他動詞のrun, やや長い文, stop ~ from -ing, the + 比較級 ~, the + 比較級 …, however, as with ~, whetherの節, など(新型コロナウイルスのワクチン開発)

このエントリは、2020年5月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は報道記事から。

新型コロナウイルスのワクチンを開発している米モデルナ社が、(実験環境ではなく)実際に人間での治験を行ったところ、有望な結果が得られたと発表したことは、日本のメディアでも大きく報じられている。

米バイオ医薬ベンチャーのモデルナは18日、開発中の新型コロナウイルスワクチンの初期の治験の結果が有望だったと発表した。異なる量を投与した複数の治験参加者から抗体を確認できたという。7月には大規模な治験に移行し、早期の量産を目指す。……

モデルナは新型コロナの有力なワクチン候補「mRNA-1273」を開発している。今回の治験には18~55歳の男女45人が参加し、ワクチン量に応じて3つのグループに分けて効果を調べた。最もワクチン量が少ないグループの治験参加者も含め、現時点で8人からウイルスの感染を予防する働きをする「中和抗体」が確認できた。これまでのところ、重篤な副作用は見られないという。……

www.nikkei.com

ちなみに "mRNA" は「メッセンジャーRNA」で、これを使った医薬開発については下記ページなどを参照のほど。

www.chemicaldaily.co.jp

今回報じられた米モデルナ社の治験結果については、もちろん日本だけでなく世界的に大きく報じられている。今回の実例はそういった記事のひとつから。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

この記事は英国の新聞ガーディアンのものだが、英国は英国でオクスフォード大やインペリアル・コレッジなどがワクチン開発を進めているため、この記事は英国内の開発にも目配りしていて米国の一企業の進展をストレートに伝えるという形になっていないため、相当読みづらいと思う。最初の方に英国でどうなっているかという話がかなり長く書き連ねられているのだが、要はまだ結果が出ていないことについてあれこれ書いているので、読む側としては要領を得ないまましばらく読み進めなければならない。学習者の場合はこの段階で消耗しきってしまって本題にまでたどり着けないおそれもあり、全文の通読は報道記事を読みなれている人にしかおすすめできないが、余裕がある人は読んでみてほしいと思う。

今回実例として見るのは、その長い前置きが終わって本題に入ったところから。

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【再掲】one of the + 複数形, 分詞の後置修飾, 関係副詞の非制限用法, 完了不定詞など(ルワンダ虐殺の主要容疑者逮捕)

このエントリは、2020年5月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は報道記事から。

今から26年前の1994年4月から7月にかけての100日間で、アフリカの内陸にある小さな国で、何十万人という単位で人々が殺されるということがあった。殺害された人の数は今も確定されていないが、その国の人口の1割から2割に相当する。詳細は日本語版ウィキペディアのページにもよくまとめられている(見るのがつらいような写真も入っているので、あまりうっかりとはみない方がよい。ひどい写真があるということについて、それなりに覚悟してからどうぞ)。殺されたのは、その国を構成する2つの民族の一方に属する人々、殺したのはもう一方に属する人々で、これは「ある民族を計画的に破壊する」という定義通りの「ジェノサイド genocide」だった。

ja.wikipedia.org

 

まだインターネットというものが一般で使われるようになる前、携帯電話も普及していなかったころのことで、昨今の紛争・内戦のようにリアルタイムでその状況が細かく伝えられたわけでは当然なかった。それどころか、当時同時に、「冷戦構造の終焉」というより「政治的」な紛争がバルカン半島で起きており、国際社会、とりわけ西洋社会は、そちらに関心もリソースも割かれていた。例えば英BBCは、先日PTSDのため第一線から退くことを表明した紛争・戦争取材の第一人者、ファーガル・キーン記者が、虐殺がまだ進行中だった1994年6月に現地入りして詳しく取材していたし、虐殺が終わったあともスティーヴ・ブラッドショー記者による検証報道があったが、この虐殺についての関心が高まるのには、「国際社会はなぜ見過ごしてしまったのか」という観点と長い年数を要したが、多くの人が体験を語り、多くのことを考えてまとめ上げた書籍などや、2000年代前半に作られた質の高い物語映画*1が、今もこの大量殺戮について人々が知るための足掛かりとなっている。 

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隣人が隣人を殺戮の対象とし、刃物をふるって惨殺するというこのすさまじい暴力を引き起こすうえで大きな役割を果たしたのが、ラジオというメディアでの憎悪煽動だった。

ルワンダ虐殺当時、ルワンダ国民の識字率は50%台であり、政府が国民にメッセージを配信する手段としてラジオは重要な役割を果たした。ルワンダの内戦勃発以降からルワンダ虐殺の期間において、ツチへの暴力を煽動する鍵となったラジオ局はラジオ・ルワンダとミルコリンヌ自由ラジオ・テレビジョン (RTLMC) の2局であった。……1993年の暮れにミルコリンヌ自由ラジオ・テレビジョンは、フツ出身のブルンジのメルシオル・ンダダイエ大統領の暗殺事件についてツチの残虐性を強調する扇情的な報道を行い、さらにンダダイエ大統領は殺害される前に性器を切り落とされるなどの拷問を受けていたとの虚偽報道を行った……。さらに、1993年10月下旬からのミルコリンヌ自由ラジオ・テレビジョンは「フツとツチ間の固有の違い、ツチはルワンダの外部に起源を持つこと、ツチの富と力の配分の不均一、過去のツチ統治時代の恐怖」などを強調し、フツ過激派の出版物に基づく話題を繰り返し報道した。また、「ツチの陰謀や攻撃を警戒する必要があり、フツはツチによる攻撃から身を守るために備えるべきである」との見解を幾度も報じた。1994年4月6日以降、当局がフツ過激派を煽り、虐殺を指揮するために両ラジオ局を利用した。特に、虐殺当初の頃に殺害への抵抗が大きかった地域で重点的に用いられた。この2つのラジオ局はルワンダ虐殺時に、フツ系市民を煽動、動員し、殺害の指示を与える目的で使用されたことが知られている。

 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%83%80%E8%99%90%E6%AE%BA#%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%91%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80 

 「ミルコリンヌ自由ラジオ・テレビジョン」の「ミルコリンヌ」はフランス語でMille Collinesで(ルワンダは19世紀の西欧列強によるアフリカ分割の結果、フランス語圏となっていた)「千の丘」の意味で、これは(日本について「日出処」とするような)ルワンダの異称である。「美しいわが国土」的なナショナリスティックな響きを持つこの放送局が、率先して、憎悪煽動とデマの拡散を行なった。

その放送局を設立し、放送局と殺戮の当事者たちに資金を提供していた実業家が、虐殺から26年も経過した今になって、潜伏中のフランスで見つかり逮捕されたという報道が、今週末あった。彼はこれまでケニアで密かに暮らしていると考えられていたが、何とパリ近郊で偽名で暮らしていたという。(フランスとルワンダのジェノサイドの関係は掘れば掘るほどいろいろ出てくるが、そこまで突っ込んで見ている余裕は今のところはない。)

www.bbc.com

ルワンダ虐殺については隣国のタンザニア国際法廷(ルワンダ国際戦犯法廷)が設けられ、虐殺の容疑者は逮捕されるとこの法廷で起訴されて裁判を受けていたが、すでにこの法廷が2015年末をもって閉鎖されているので、今回逮捕されたフェリシアン・カブガ容疑者は、オランダのハーグに設置されている「国際刑事裁判メカニズム」*2(2015年で閉鎖されたルワンダの戦犯特別法廷と、2017年で閉鎖された旧ユーゴスラヴィアの戦犯特別法廷を引き継ぐ機関)で裁判を受けることになる。

つまりこの逮捕の知らせは、逃げて隠れていた戦争犯罪人が、26年の時間を経てようやく法の裁きを受けることになるという知らせであり、虐殺の被害者たちはこの逮捕を歓迎している。今回みるのはそれを報じる記事だ。記事はこちら: 

www.bbc.com

*1:ドキュメンタリーではなくフィクションであることに注意。

*2:the International Residual Mechanism for Criminal Tribunals: IRMCT

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【再掲】やや長い文, 前置詞+関係代名詞, to不定詞の副詞的用法(新型コロナウイルスと科学の現場)

このエントリは、2020年5月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、前回と同じ、ノーベル賞を受賞した科学者が書いた論説記事から。

前回は記事書き出しで、「(ロックダウンという厳しい行動制限から)普通の生活に戻るうえでは多くの疑問が生じる。それには科学・医学によって解を導き出すことが必要だ」という内容を、書き出しで述べている部分を見た。今回はそれに続く部分を見よう。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

この論説記事の筆者、サー・ポール・ナース*1は遺伝学者で、2001年に他2人の科学者と共同でノーベル医学・生理学賞を受賞した。2010年から15年まで、任期5年の王立協会(ロイヤル・ソサイアティ)会長を務め、現在は2010年創立のフランシス・クリック研究所のトップとして科学研究の現場に関わり続けている。

*1:リンク先はウィキペディア英語版。日本語版にもエントリがあるが、情報量が少なすぎるのでおすすめしない。

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仮定法を予期させる書き出しで、直説法、という事例(ボリス・ジョンソンの内閣改造で宗教保守が文化大臣に抜擢)

今回の実例は、Twitterから。

日本時間で昨日9月15日の夜、英ジョンソン政権が内閣改造(英語ではcabinet reshuffleと表す。可算名詞)を行った。

今回の内閣改造は総選挙前のテコ入れ的なことと見られており、英国政治についてものすごく細かいことに関心を持っている人ならばガーディアンのlive blogをチェックすると空気感などもわかってよいかと思うが、内閣がどうなったのか、ポイントはどこにあるのかといったことなどさえ把握しておけば大丈夫という人なら、全部決まった後の報道だけ見ておけばよいだろう。

www.theguardian.com

ざっとまとめると、「政権ナンバー2」である財務大臣をはじめ、内務大臣、国防大臣、保健大臣などは変化なしで、スコットランドウェールズ北アイルランドの各担当大臣も留任。大きなポストで変更があったのは外務大臣と教育大臣で、これらはそれぞれ前任者(ドミニク・ラアブとガヴィン・ウィリアムソン)が、仕事をしないか無能であるか、あるいはその両方で、しかも「やってる感」の演出だけは必死ということで、非常に不人気というか「ネタ扱い」されていたのだが、フタを開けてみれば、ラアブは外務ポストからは外されたものの(確かに、外務大臣という器ではなさそうな人である)司法大臣と副首相を兼務するという出世っぷりで、ウィリアムソンは教育大臣を解任されて格下のポスト(北アイルランド担当と噂されていた)をあてがわれたのを断って平議員(英国の政治用語でbackbencherと言う)になるという結果だった。

ラアブのように、不適格、無能など失墜して当然な理由で仕事から外されたにもかかわらず、地位は安泰であるどころかますます前途洋々になることを、英語で "fall upwards" と表現することを私が知ったのは、Twitterでのことだった。「上に向かって落ちる」、つまり「落ちた結果、上に行く」ということである。

また、今回の改造で最初に判明したのは(みんなの予想通り)ウィリアムソンの解任だったのだが、解任を受けてのウィリアムソン本人のステートメントが、約束事として出される政治的な文書の読み方の実例として、非常に興味深いものだった。これは英文法とか語法とかは関係なく、文法がどんなにできても読めない人には読めない部分と言えよう。

とまあ、こんなニュースを追いながら、昨晩はPCの前でだらだらしていたのだが、1件、どうにも見逃せない仰天人事が出てきた。

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duckの適用範囲に驚いた話(小ネタ)

今回は、「実例」というより「小ネタ」。もう「小ネタ」のカテゴリを作るよ。真面目に書いてるのより、そっちのほうがウケるし。

先日、英語では「アヒル」も「カモ」も「オシドリ」も "duck" と総称されるということを、Twitterで写真では「アヒル」で、ツイート本文の絵文字では「カモ」が使われているものを実例として、説明した。

hoarding-examples.hatenablog.jp

これに関連した小ネタを、昨日見かけた。

まずはほのぼのわくわく動物ランドアイルランドからのこのツイート: 

ツイート主のケヴィン・トゥーリス氏はスコットランド生まれのアイリッシュのジャーナリストで、北アイルランド紛争というかIRAについてごっつい本を書いたりしているのだが(だから私がフォローしているのだが)、その彼にしてこういうツイートをしてしまうのがアイルランドの恐るべき力ということにして、今回の実例というか小ネタ。

ケヴィン・トゥーリス氏のツイートしている映像を絵文字で示している愛らしい反応だが、ここで羊さんが通るのを待っている(あるいは羊さんを恫喝している)鳥ちゃんたちはgeese(gooseの複数形*1 )であるにも関わらず、絵文字は……

f:id:nofrills:20210915182134p:plain

https://twitter.com/RhyanRomaine/status/1437744175538130948

f:id:nofrills:20210915182319p:plain

Gooseなのにduck... 

via GIPHY

Twitterにはgooseの絵文字がないからだと思いますが)

※932字

*1:本の学校英語で、「不規則な名詞の複数形」としてfoot - feetと一緒に教わると思う。

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if節の中のbe+to不定詞(DUP党首、ジェフリー・ドナルドソンの発言)

今回の実例は、Twitterから。

受験英語・英文法的に解説するところのあるものがないなー」と思っていたところに流れてきた、「受験英語そのまんま」の実例である。「奇跡が起きた」と書き立てたいところだが、「奇跡 miracle」という宗教的な意味合いのある語はそう軽々しく使うものではないということは十分にわきまえているつもりなので、「もっけの幸い」という、昔話の絵本にでも出てきそうな日本語の言い回しで、今回のことを記憶しておこうと思っている。

閑話休題。その、偶然にもどんぶらこどんぶらこと流れてきたツイートはこちら: 

このツイートをしているアカウントは、北アイルランドの放送局UTV’(ブリテンITV系列局)が週一度やっている政治番組、"View from Stormont" のもの。

Stormontベルファストのすぐ外側にある地域の名称。ここには北アイルランド自治議会をはじめとする立法・行政機構*1が集中しているので、ちょうど日本語の「永田町」のような意味合いで用いられる。「ストーモント」は元々は19世紀初頭に作られた大邸宅の敷地の名称だが、その後持ち主が外国に移り住んだために手放されることとなり、1921年北アイルランドが成立した際、同自治議会 (the Parliament of Northern Ireland) と自治政府 (the Government of NorthernIreland) の場所として購入され、以降必要に応じて様々な建物が作られてきたので、19世紀の様式(スコットランド式)のストーモント場から、20世紀後半のモダニズム建築まで並んでいて、「たてもの園」の趣すらある。最も頻繁に「ストーモント」と言及されるのが、古典主義様式の白亜の美麗な建物である自治議会の議事堂で、これは1921年北アイルランド成立時のまま "Parliament Buildings" と呼ばれているが、現在(1998年和平合意以降)の自治議会の位置づけは parliamentではなくassemblyであることに注意が必要である*2

なんてことを書いているとエントリが書き終わらないのだが、UTVの "View from Stormont" という番組は毎週月曜日の夜に放映され、北アイルランドの政治家たちへのインタビューや政治専門のジャーナリストによる分析などが行われる。Twitterアカウントのページに記載されている番組のサイトのURLはデッドリンクになっているので(こういう細部の詰めの甘さが何とも言えない「イギリスあるある」感をかもしだしていて嫌いじゃない)、番組詳細について知りたい場合は(今のところは)下記へ

www.itv.com

*1:北アイルランドは、スコットランドウェールズとは異なり、これらの「自治」のシステムが1990年代の「ブレアの改革」で始まったわけではないということについては、以前書いてあるので、それをご参照いただきたい。

*2:北アイルランド自治議会」に関する日本語版ウィキペディアはこの両者を一緒に扱っているので、事実上、まったく使えない。分項すればいいんだろうけどね……そこまで日本語版ウィキペディアにコミットできるかどうかというと。

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英語と日本語の書き方の違いを感じる(パキスタンの国境の都市、ペシャワールは気温が高い)

今回の実例は、報道記事から。

「実例」というより「文例」というべきか。

「9-11から20年」の余波の中にまだいて、9月11日になる前に読んでいた記事でスクリーンショットを撮ってあるものをどうしようかなと思っているのだが(20年目で、改めて人々の心身があの日に、そしてあの日の後に米ブッシュ政権のとった政策・方針ゆえに受けた傷のことを描写する言葉を目にして、この話題そのものについて「実例」扱いすることに迷いが生じている)、The Rolling Stonesの "Aftermath" でも聞きながら書いてみようと思う。

www.youtube.com

"Things are different today," I hear ev'ry mother say

AFTERMATH-UK VERSION

AFTERMATH-UK VERSION

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今回の記事は、1990年代からアルカイダについて調査報道を続けてきたジェイソン・バークが、「20年目の9月11日」を前にガーディアンに出した次の記事。

www.theguardian.com

バークは次の著作が邦訳されている。

 

あとこれも重要。ちょっと読むの大変だけど(大著)。

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【再掲】if節の中のbe+to不定詞, answer to ~, will +受動態(新型コロナウイルスと科学の現場)

このエントリは、2020年5月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、今月上旬にガーディアンに掲載された論説記事から。トピックは新型コロナウイルスと科学の現場について、書いたのはノーベル賞を受けた科学者である。明確にして明晰に、論理的に「何がどうである」ということを説明している文章で、私が高校生のころ、こういう文章をざばざば浴びるように読める環境が現在のように実現されていたら、さぞかし勉強がはかどったことだろうと思わずにはいられない文章だ。受験生のみなさんにはぜひ、全文を読むことをおすすめしたい。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

この論説記事の筆者、サー・ポール・ナース*1は遺伝学者で、2001年に他2人の科学者と共同でノーベル医学・生理学賞を受賞した。2010年から15年まで、任期5年の王立協会(ロイヤル・ソサイアティ)会長を務め、現在は2010年創立のフランシス・クリック研究所のトップとして科学研究の現場に関わり続けている。

*1:リンク先はウィキペディア英語版。日本語版にもエントリがあるが、情報量が少なすぎるのでおすすめしない。

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あの日、誰かから「テレビをつけて」と言われた人たちの、20年後の言葉。

今回の実例は、Twitterから。というか、一緒にTwitterを見てみてほしい。

2021年9月11日、ここ東京で夜9時を過ぎたころにTwitterをチェックすると、とても多くの人が、「あの日、姉(または息子、または母、または友達、または……)からの電話で『テレビをつけて』と言われて……」ということを書いていた。ほとんどがアメリカ人のアカウントだがアメリカ人とは限らず、私の頭の中に日本語として格納される前の、英語で見る文字列は、 "to turn on (the) TV" だ。

その文字列でTwitterを検索し、タブを "Latest" (日本語だと「最新ツイート」かな)にして、その画面を一緒に眺めてみてほしい。

"turn on the TV":  https://twitter.com/search?q=%22turn%20on%20the%20tv%22%20&src=typed_query&f=live

f:id:nofrills:20210911225117p:plain

https://twitter.com/search?q=%22turn%20on%20the%20tv%22%20&src=typed_query&f=live

"turn on TV": 

https://twitter.com/search?q=%22turn%20on%20tv%22%20&src=typed_query&f=live

f:id:nofrills:20210911232922p:plain

https://twitter.com/search?q=%22turn%20on%20tv%22%20&src=typed_query&f=live

これが、「英語を使う」ということ(の一部)だ。

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時制, 関係副詞など(米CIAの「強化された尋問手法」は、裁判を遅らせた)

今回の実例は、前々回前回の続きで、今から20年前の9月11日に行われた米国に対する攻撃(以下「9-11」)の首謀者で、今週ようやく、長く中断されていた裁判が再開されたハリド・シェイク・モハメド(以下「KSM」)を1990年代からずっとマークしていたFBI捜査官(現在は退職)、フランク・ペレグリノが、英BBCに語ったことについての記事から。

KSMについては前々回のエントリにウィキペディアなどをリンクしてあるが、英語の聞きとりに問題がない方はぜひ、下記のガーディアンのポッドキャストを聞いてみていただきたい。90年代からずっとアルカイダを追ってきたジャーナリストのジェイソン・バークと、若いころに過激主義に傾倒し、98年のタンザニアケニアの米大使館爆破事件で幻滅するまでアルカイダの一員だったアイマン・ディーン(組織を精神的に抜けたあと、いろいろあって、英国の情報機関のスパイとして内部で活動してきた人物。現在はビジネス・コンサルタント)が、アルカイダについて語っている。

というところで、記事はこちら: 

www.bbc.com

1993年のニューヨークの世界貿易センタービル(9-11で倒壊することになるのと同じ超高層ビル)爆弾事件に関与した疑いで、1990年代後半、FBIはクウェートにいたKSMを逮捕しようとするが、駐クウェート米国大使館も協力的ではなく、結局取り逃がしてしまう。

そしてその数年後、2001年に9-11が発生する。FBIの担当、ペレグリノ捜査官は、滞在先のホテルの部屋でテレビ画面を見て、「あいつだ」と確信する。

そして2003年……というのが今回見るところ。文法的には特に難しい点はないので、ざくざくと読み進めていこう。

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get + O + 過去分詞, 等位接続詞が作る構造がややイレギュラーなケース, 完了不定詞, など(2001年9月11日の米同時多発テロの首謀者の裁判はなぜまだ行われていないのか)

今回は、前回の続きで、事件発生後20年を経て、内部事情を知る人、というより当時の捜査の当事者によって語られるようになった、2001年9月11日の所謂「米同時多発テロ事件」((以降「9-11」、英語では "Nine-eleven" と呼ばれる) の首謀者(計画立案者)ハリド・シェイク・モハメドを巡る、米国政府の対応(その多くは間違ったものだった)についての記事から。

文脈や、ハリド・シェイク・モハメドとは何者なのかということについては、前回のエントリを参照されたい。

ハリド・シェイク・モハメド(名前が長いので、以下、米捜査当局などが使っている頭文字略称*1を使って「KSM」と表記する)は、米当局によって90年代からずっとマークされていた。FBIではフランク・ペレグリノという特別捜査官が担当だった。そのペレグリノ氏がFBIを退職した今、ようやく語ることができるようになった、という文脈がある。

記事はこちら、英BBCから: 

www.bbc.com

FBIに勤務していたペレグリノ氏は、KSMの甥が関与した1993年のニューヨーク世界貿易センタービル(以下「WTC」)爆破事件の捜査官となり、以降、KSMを追うことになる。KSMという存在の重大性に当局が気づいたのは、1995年に太平洋上を飛行する旅客機をいくつも爆破しょうという計画が発覚したときで、ペレグリノ氏率いる捜査チームは、彼を追って中東に入る。カタールにいるKSMを逮捕すべく、一行はまずオマーンに入り、準備はすべて整っていたのだが、なぜか現地の米国の外交官がFBIに抵抗する。ペレグリノ氏は、カタールに赴いて、米大使らに旅客機爆破計画についてKSMには米国の起訴状も出ていると説明したのだが、大使らは首を縦に振らなかったという。「カタールで余計なトラブルを引き起こしてくれるなということだったのだろう」と、ペレグリノ氏は今、回想している。

このときは最終的に、駐カタール米大使のところに、カタールの当局者から「KSMは所在不明となった」という連絡が入り、ペレグリノ氏はKSMを取り逃がしてしまったことを悟る。

*1:同様に、Osama Bin Ladenは「OBL」と記されるが、あくまでも捜査当局などの用語であり、報道機関ではめったに使われないし、使われるとしても引用符の中だ。

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時制, be yet to do ~ (2001年9月11日の米同時多発テロの首謀者の裁判はなぜまだ行われていないのか)

今回の実例は、あるとても大きな事件が発生してから20年になろうというタイミングで、ようやく語られるようになったことについての記事から。

米国で2001年9月11日に起こされたその事件(以降「9-11」、英語では "Nine-eleven" と呼ばれる) は、法的に、まだ「解決」していない。首謀者(計画立案者)の裁判は、事件発生から20年を経過してもほぼ手付かずといってよい状態で、長らく中断されていたあとでようやく、昨日(2021年9月7日)に再開されたそうだ。

Khalid Sheikh Mohammed. カタカナにすれば「ハリド・シェイク・モハメド」または「ハーリド・シャイフ・ムハンマド」etc。アルファベット表記にしたときの真ん中の "Sheikh" は "Shaikh" と綴られることもあり、ここ数年のGoogleはゆらぎ検索してくれるから大丈夫だと思うが、以前は表記ゆれで検索結果が狭められる人名のひとつとして要注意だった。1964年か65年生まれ。パキスタン人だが生まれはクウェート。父親がデオバンド派の宗教家で*1、甥が1993年のニューヨーク世界貿易センタービル(2001年9月11日に飛行機が突っ込んだあのビル)爆弾事件で有罪となったテロリストであったりと、英語版ウィキペディアのエントリは、この人物について何も知らない状態で見たら、本題に入る前に情報量過多になってしまうのではないかと思ってしまうほどである。

en.wikipedia.org

このハリド・シェイク・モハメドは、甥が有罪となった世界貿易センタービル爆破(1993年)にも関わっており、またその他の爆弾計画にも主導的な立場で関与していたと考えられ、9-11以前から、米国の(州レベルではなく)連邦レベルの法執行機関、つまり連邦警察たるFBIにマークされていた。

それにもかかわらず、彼はFBIに捕まることなく、9-11のテロ計画は実行されてしまった。

そのことについて、90年代当時彼をマークしていたFBI捜査官が、何が起きたのかを語っているのが、今回見る記事。米国ではなく英国の報道機関、BBCに出ている。

www.bbc.com

「当時彼をマークしていたFBI捜査官」は、このBBC記事で顔(証明写真)をさらしているフランク・ペレグリノ氏。既にFBIを退職しており、それゆえ、メディアにしゃべれる範囲のことはしゃべってもよい状況にあるのだろう。

*1:個人的に、数年前にどういう筋かよくわからない筋から「~したらタダではおかない」的な文言で脅迫を受けているため、デオバンド派を含むあれこれについて日本語で詳しく書くと身の危険にさらされる可能性があるので、関心がある方は各自お調べいただきたい。英語版ウィキペディアに出典つきで書かれているようなことですら、書けない状況であることをご理解いただきたい。翻訳者にとっては絶対的な基準である「原テクストにそう書いてあるのです。ピリオド」が通じない人(「原テクストにそう書いてあるからといって、そのまま日本語にするな」的なことを言ってくる人もいるわけで)を相手にするのは、特にこのようなセンシティヴな分野では、本当に恐ろしいことである。

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【再掲】動名詞の意味上の主語, 動名詞の否定形, 【ボキャビル】speak to +〈人以外の何か〉(英国式、 #自粛と補償はセット )

このエントリは、2020年5月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例はTwitterから。

英国では、新型コロナウイルス感染拡大防止策として厳しい行動制限(ロックダウン)を導入したときに、「補償」もまた導入した。従業員の雇用を維持した企業に対し従業員給与の最大8割を支給するという支援策(Coronavirus Job Retention Scheme)を打ち出し、「一時帰休 furlough」の制度を設け、企業従業員の健康を守り、それによって人命を守ると同時に国民健康保険(NHS)で運営されている病院に対処できないほどの患者の急増を生じさせないようにし、なおかつ経済面では休業を余儀なくされた企業による従業員解雇ということが起きて失業率の急激な上昇を引き起こすことを防ごうとしたわけで、至極まっとうな政治的な対応である。

この一時帰休の制度、当初は7月末を一応の区切りとして、その後のことは情勢を見て判断するということだったのだが、その判断が、区切りまでまだ1か月半以上ある5月12日に出された(これが「スピード感」というか「スピード」であり、「先手先手」である。というかまともに行政が機能していれば、国の政府にはこういうことは普通にできる)。英国政府はこの制度を10月末まで延長することにしたという。「ソーシャル・ディスタンシング」のために議員席にほとんど議員がいない状態の英国下院の議場で、リシ・スナク財務大臣 (Chancellor Rishi Sunak) がそれを告げた。

現行では「8割」のところ、8月以降は「6割」に減額されるのではないかという観測もあったが、減額の方針は示されなかった。

各報道機関が報じたこのニュースを受けて、いろんな人が意見を述べている。今回実例として見るのは、その中のひとつで、左派の文筆家でジャーナリストのオーウェン・ジョーンズのツイートだ。

 

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