Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

前置詞+動名詞の使いどころ(「古代マヤ人がレーザーを使い」と読めてしまう文を修正する)

今回の実例は、Twitterで回っていたついついくすりと笑ってしまうような例。

日本語で、修飾関係が少し複雑になると、文意が1つに確定できなくなることがある。先日Twitterで見て「すばらしい」と思ったのが、「頭が赤い魚を食べる猫」がどのように解釈されうるのかについての、下記の中村明裕さんの図解だ。

「頭が赤い魚」を「食べる猫」なのか、「頭が赤い猫」が「魚を食べる」なのか、というところまでは「ふむふむ、なるほど」なのだが、 「頭が魚を食べる」だとか「頭が猫」だとかいうところに来ると現実離れしてしまう。

その「現実離れ」をあえて作って遊ぶ、ということもできるし、そういう遊びは楽しいのだが、ある情報を端的に言葉で表現し、正確に人々に伝えることを仕事とするプロの書き手にとっては、そのような「現実離れ」のスキを作らない文を書くことが日々の業務で必須となる(さらにいえば、「頭が赤い魚」を「食べる猫」なのか、「頭が赤い猫」が「魚を食べる」なのかというところでも読者が迷わないように文を書くことも必要なのだが)。

英語でもこれは同じで、記者やライターは文意が曖昧・不明確にならないように書かねばならないし、メディアは、記者やライターによって書かれた文が意味不明確でないかどうかを確認してから*1公にする必要がある。

日本語は語順がかなり自由である一方で、英語は語順がかなりきっちり決まっているから、英語の文が「どうにでも解釈できる文」になることは、私が読んでいるものに関する限り、日本語よりは全然少ないのだが、それでも、英文を読むだけなら迷わないのに、日本語に訳そうとすると迷ってしまうという程度に意味が確定できないケースにはわりとよく遭遇する。訳そうとすると「はて」となってしまうということは、ただ読んでいるだけでは不明確さに気が付かずに通り過ぎていることもあるだろう。

……ということに改めて気づかされたのが、今日、Twitterの画面を見ているときのことだった。私がフォローしている米国のジャーナリストが、下記のツイートをリツイートしていたのだ。

"trigger" は名詞で「銃の引き金」の意味だが、ここでは動詞(他動詞)として用いられている。意味は、「《主語》 がきっかけとなって《目的語》が起こる」という意味であることが多く、例えば現在のコロンビア情勢についてのBBC Newsの解説記事には、"Here's a look at what triggered the protests and how they have grown." (「この記事は、何が抗議行動を引き起こしたのか、また抗議行動はどのようにして拡大してきたのかについての概観をまとめたものである」)という一節がある。

ただしここでの動詞triggerの用法はより口語的な場面でよく見聞きするもので、「~を動作開始させる」というような意味だ。よりこなれた表現にすれば「~のスイッチを入れる」だろう。つまり、 "trigger editors" は「編集者のスイッチを入れる」。ツイート全文は「このツイートは、編集者のスイッチを入れることを意図したものだ」と直訳されるが、要は「こんな文面見たら編集者がわらわらと起き出して仕事し始めるじゃないか」みたいな感じだ。

ここでツイート主のNoah Rothmanさん(彼自身、編集者として仕事をしている)が見ているのが下記のツイート: 

 私、最初これ読んだとき、「この文面のどこに、編集者がアップを始めるようなツッコミどころがあるのだろう」と思った。最後のusing lasersはresearchersがa massive ceremonial structureをdiscoverしたときの手段を表しているということは一読してわかるからだ。それ以外に解釈できない。

だが、次のリプライを見て、思わずふきだしてしまった。

*1:その作業がproof-readingである。

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cannot + 比較級, 助動詞could, to不定詞の否定形, など(EURO 2020, 試合中にピッチで突然倒れたフットボーラーと、チームメイトたち)

今回の実例は、報道記事から。

日本でも大きく伝えられているが、サッカーの試合中に、プレイに関係しない原因によって、プレイヤーがピッチでいきなり倒れるというショッキングな出来事があった。倒れたのは、現在はイタリアのインテルミランに所属するクリスティアン・エリクセンで、デンマーク代表の背番号10というスター・プレイヤーだった。サッカーの欧州選手権EURO 2020での出来事である。

EURO 2020は、新型コロナウイルスによる1年延期を経て、この6月11日から開催されている。エリクセン選手が倒れたのは、デンマークの首都コペンハーゲンで行われていた開幕戦でのことだった。

EUROは、いつもはどこか1つの国に開催地を決めて行われるのだが(2か国共催の例もある)、2020年の大会については、2012年の時点で既に、開催国を決めず12の都市で分散開催されることが決定していた。開催都市は2014年9月に決定・発表され、新型コロナウイルスによるパンデミックという予期せぬ事態の出来にあたっても、いくつかの例外*1を除いて、基本的にそのまま分散開催で行われることになった。

こうして西はセビージャ(スペイン)から東はバクー(アゼルバイジャン)までという広域で開催されることになったEURO 2020だが、観客は入ることは入るものの大幅に人数が減らされているという形で(詳しくは英語版ウィキペディアの "Spectator limits" の項を参照。日本語圏ではここまでの詳しい情報はないみたい。一般的に、英語で書かれている情報量と、日本語でのそれとの間にものすごい量的な差がある以上、こういう調べものは必要になってくるし、こういう調べものは、どんなに機械翻訳が発展しようとも、ある程度は英語を使える人でないと、使い物になるような速度と精度をもってはできないだろう)、「大勢のサポーターが大挙してよその国に出かけていく」という、サッカーの国際試合での名物的なことは、今回はかなり縮小された状態になるだろう。それでも、準決勝と決勝は、デルタ株の感染がちょっとやばい感じになってきているイングランドのロンドン(ウェンブリー・アリーナ)で行われるわけで、サッカー観戦のために今のイングランドに人が行くのか……と、かなり微妙な気持ちでニュースを見ているのだが。

閑話休題。11日の試合で倒れたクリスティアン・エリクセン選手は、心停止を起こしていたということが、13日にチーム・ドクターによって語られている。

www.bbc.com

エリクセン選手は、ボールのないところを歩いていて、突然前のめりにぱったりと倒れこんでしまったのだが、試合中だったチームメイトや相手チーム(フィンランド)のメンバーが迅速かつ的確に行動し、チームのメディカル・スタッフもすぐさま対処できたことで、一命をとりとめた状態と言ってよいようだ*2エリクセン選手がピッチから担架で運ばれていったあと、スタジアムではそれぞれのチームのサポーターたちが「クリスティアン」と「エリクセン」の名を交互にチャントして、スタジアム全体が彼の健康を祈っていることを表現していた。

そのような状況で、試合はそのまま中断となり、後日仕切り直しになるのかとも思われていたが、最終的にはエリクセン選手の生命に別条はないことが確認されたあとで再開され(2時間ほど中断されていた)、フィンランドが1-0でデンマークに勝つという形で終わった。今回の実例は、その試合後に行われた監督のインタビューについて伝える記事から。こちら: 

www.bbc.com

*1:アイルランドのダブリンは、感染状況がよくならないので開催地から外された。スペインではバスクビルバオの試合がセビージャに移されることになった。

*2:デンマークの選手たちは、倒れたエリクセンの治療に当たるメディカル・スタッフの回りに円陣を組むようにして立ち、スタジアムの観客の目と中継・報道のカメラの目を遮り、治療に専念できる環境を作った。またピッチサイドに下りてきて立ち尽くすよりなかったエリクセンの配偶者を勇気づけた選手もいた。

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【再掲】報道記事の見出し(未来のことはto不定詞で表す), be to do ~(ロンドン、ベスナル・グリーンの博物館)

このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、偶然にもつい先日(連休初日)再掲したのと同じ項目なので、「知識の定着を図る」的に見ていただければと思う。

ロンドンの真ん中を東西に横断する地下鉄、セントラル・ラインに乗って、都心部から東に向かおう。ざっぱくに言えば、昔からの都市としてのロンドンはリヴァプール・ストリート駅までで、そこから先は(今はロンドンのど真ん中だが)かつては「ロンドンの外縁部」みたいなところだった。それが「イーストエンド East End」つまり「東の果て」だ。

その「東の果て」に少し入ったところになるのがベスナル・グリーンという地域。ここは面白い歴史を持っているのだが、特に19世紀後半、チャールズ・ディケンズが小説にしていた時代には、ここは英国でも最も貧しく荒んだスラム街となっていた。環境は劣悪で、悲惨だった。(そういうところだからこそ「救貧活動」も盛んだったのだが。)

そのベスナル・グリーンに博物館が設立されたのは1872年だった。貧困層への教育の提供が目的だった——というか、「文化を恵んでやる」という発想だったのだが。当時の最先端の技術を使った鉄骨の建物が都心部のヴィクトリア&アルバート博物館 (V&A) から移築され、企画展的なものを次々と開催する会場として使われたようだ。やがて20世紀に入り、第一次大戦の後には美術専門館となったが、そこで子供のセクションがどんどん拡張されていったという(「子供」という概念自体がヴィクトリア朝の発明だが)。そして1974年、この施設は「チャイルドフッド・ミュージアム(子供時代博物館)」と定義されることとなった。詳細は下記参照(ウィキペディア)。

en.wikipedia.org

20年前に書いたそっけない訪問記もよろしければ。

nofrills.in.coocan.jp

この博物館、「ロンドンに行くが、あまり知られていないおもしろい博物館はないか」という人がいれば必ず紹介してきたのだが、ついに大々的な改装がおこなわれることになったという。今回の実例はそれを伝える記事から。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

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【再掲】パラグラフの構造, 文頭のAnd, due to ~, 前置詞のas, make sure (that) ~(五輪開催地をめぐるフェイクニュース)

このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例はTwitterから。

2020年2月20日、妙にキーボードで打鍵しやすい日付のこの日に、Twitter上の日本語圏に「フェイクニュース」があふれた。今回はそれについて取り上げようと思う。いつもとは趣向を変えて、ブログの執筆をライヴ・ツイートする形にした。当ブログを読んでいない人にも届けたかったからだ。

ログはここ: 

https://threadreaderapp.com/thread/1230503506814980096.html

 

このままだとブログでは読みづらいので、こちらはこちらで形式は別に整えるが、内容自体はライヴ・ツイートと同じである。

 

個人的に、Twitterは使用言語を英語に設定して、Trendsの地域設定もIrelandにしてあるので(Brexit Dayまではthe United Kingdomにしてあった)日本語圏で何が流行っているのかは気づかないことが多いのだが、今日は【今夏五輪はロンドンで 市長候補】とかいう刺激的な話が流行っていたようだった。

この記事(時事通信)自体、非常にミスリーディングである。「市長選の主要候補」の発言が「ロンドンでの代替開催の誘致に名乗りを上げた」ことになるわけがない。

考えてみてほしい。例えば都知事選で現職ではない立候補者が、例えば「東京でのガソリン車販売を禁止する」という "公約" を掲げ、現職が「それも検討していかねばならない課題だ」と語ったら、「東京、ガソリン車販売禁止へ」という話になるだろうか。なりはしない。

なのに時事通信は、野党候補者がツイートして、現職も同じようなことを述べたという話を、「今夏の五輪『ロンドン開催を』 新型肺炎で市長選候補名乗り」などというド派手は話に仕立て上げてしまった。正直、何考えてんすか、としか言いようがない。 

今夏の五輪「ロンドン開催を」 新型肺炎で市長選候補名乗り(時事通信) - Yahoo!ニュース

 

しかもそれをYahoo! Japanが猛プッシュ。何もなくても東京オリパラに対して否定的なムードが強いところにこの新型コロナウイルスの感染拡大があって誰もが不安になっている中、「ロンドンが名乗りだって? どうぞどうぞ」とばかりに広まったのも無理からぬ話である。

 

これはただ流行ったのではなく、「フェイクニュース」化して流行ったのだ。つまり、拡散されるうちに、「ロンドン市長候補が名乗り」という変な日本語が、いつの間にか「ロンドン市が名乗り」となっていたのだ。元都知事の舛添さんまでこの短絡っぷりである。 

(これは皮肉ではなく、私は本心で舛添さんという方の頭脳は尊敬している。)

 

さらには自民党の国会議員までこうだ。

 

こうして「インフルエンサー」的な立場にあるアカウントが次々と「釣られた」状態になり、Twitter上の日本語圏ではすっかり、「ロンドンが名乗りを上げた」という話になってしまったようだった。

このように「フェイクニュース」化したのは、どうやら新聞が変な見出しを付けて印象操作したことも一因となっているようだ。

こういうのはどうしたらいいんだろう。アニメ美少女が出てきて「もう、みんな、あわてんぼうさんなんだから☆」と怒ったりしたら改まるのか? 

 

実際には、ロンドンでは支持が薄くて弱い保守党の候補が、少しでも目立とうとしてフカしているだけだ。下記の指摘は正しい。

 

ではこの候補はどう発言したのか。そもそもこの候補はどういう人なのか。それを今回の当ブログの「実例」として見ていきたい。

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【再掲】英語のパラグラフの書かれ方, 接続詞, 助動詞+have+過去分詞, therefore, 分詞構文など(ダイヤモンド・プリンセスの検疫は不十分だったという米CDCの声明)

このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、米国の政府系機関の文書より。

豪華客船「プリンセス・ダイヤモンド」のことは先日書いた通りである。今回の実例は、この船で行われていた「検疫」についての米CDCの文書(の一部)だ。

CDCはCenters for Disease Control and Preventionの略語で、「アメリカ疾病管理予防センター」のこと。米国の保健福祉省所管の感染症対策総合研究所である。所在地はジョージア州アトランタ。ここがどういう存在かというと、「本センターより勧告される文書は、非常に多くの文献やデータの収集結果を元に作成・発表されるため、世界共通ルール(世界標準)とみなされるほどの影響力を持ち、実際に日本やイギリス等でも参照・活用されている」(下記ウィキペディアより)。詳細はウィキペディア参照。

ja.wikipedia.org

 

そのCDCが、米国人乗客が一部を残して船から引き上げて米国へ帰国したあとで、ダイヤモンド・プリンセス号での検疫についての声明文を出した。

既に広く報じられているように、下船して帰国のためのチャーター機に乗り込んだ人々の一部が感染していて機内で簡易的に隔離されるということが起きたが、332人が帰国した(全員がこれから米国内でさらに2週間隔離される)。

アメリ国務省などによりますと、新型コロナウイルスへの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客などを帰国させるために手配したチャーター機に乗っているアメリカ人のうち14人について、新型コロナウイルスへの感染が確認されたということです。

この14人は数日前に船内で検査を受け、チャーター機の出発前に新型コロナウイルスに感染しているという検査結果が出ていたということです。

しかし国務省は、14人を機内で隔離することで、ほかの乗客への感染を防ぐことができると判断し、帰国させることにしたということです。

www3.nhk.or.jp

(2020年2月17日)

 

アメリカ政府が手配した2機のチャーター機は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗っていたアメリカ人、338人を乗せて羽田空港を出発し、17日にカリフォルニア州テキサス州に到着しました。

これらのチャーター機には、新型コロナウイルスの感染が確認された14人が搭乗していましたが、アメリ国務省によりますと、カリフォルニア州に向かった飛行機の機内でさらに3人が発熱し、機内で隔離されたうえで到着後、医療機関に搬送されました。

www3.nhk.or.jp

(2020年2月18日) 

 

今回参照するCDCのステートメントは、現地18日付(日本時間では19日)で出されたものである。チャーター機で帰国しなかった人々(約100人)についてのものだ。文面はこちらから: 

edition.cnn.com

※CNN記事は一部抜粋。全文を確認したい方は下記から。

https://www.cdc.gov/media/releases/2020/s0218-update-diamond-princess.html

 

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【再掲】関係代名詞の非制限用法, 前置詞, 時制, 付帯状況のwith, など(事故死したコービー・ブライアントへの顕彰)

このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例も、前回と同じNFLスーパーボウルのハーフタイム・ショーについての記事から。

記事はこちら: 

www.bbc.com

このスーパーボウルのほんの数日前、1月26日に、米スポーツ界では衝撃のニュースがあった。バスケットボールのスーパースター、コービー・ブライアントが、ヘリコプターの墜落事故で亡くなった。各界で故人への哀悼の意が捧げられたが、このショーも例外ではなかった。

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東エルサレム、シェイク・ジャラー地区で起きていること: Part 2 (進行形の受動態, やや長い文, so that S can do ~, など)

今回は、前回の続きで、東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で行われていることについてのIMEU (the Institute for Middle East Understanding) による解説を読んでみよう。IMEUについての説明や、シェイク・ジャラー地区についての基本的な解説は前回してあるので、そちらをご参照いただきたい。

 

前回は、Twitterでの連続投稿(スレッド)の最初の2つを読んだので、今回は3つ目から。

これは高校2年生なら(単語の問題をクリアしてさえいれば)つっかえずに読めるはずだ。文法的には《because of ~》と、《仮定法》由来の助動詞のcouldがポイントとなるが、特に解説が必要な項目でもなかろう。「司法長官の行動の欠落が原因で、東エルサレムのシェイク・ジャラ地区のパレスチナ人3家族が、早期に、強制退去に直面する可能性がある」と直訳できる。

次。

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東エルサレム、シェイク・ジャラー地区で起きていること: Part 1 (動名詞と現在分詞, if節のない仮定法, 構造が取りづらい長い文, など)

今回は、東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で何が行われているのかについての解説を、Twitterの連続投稿(スレッド)で読んでみよう。

シェイク・ジャラー地区については、下記2件のエントリで本題に入る前の前置きの部分で少しだけだが書いてあるので、まずはそれをご参照いただきたい。これだけでは予備知識として不十分かもしれないが……。

hoarding-examples.hatenablog.jp

hoarding-examples.hatenablog.jp

シェイク・ジャラー地区で起きていることを簡単に説明すると、パレスチナ人(イスラエルでは「アラブ系イスラエル人」と呼ぶが、実際には彼らは民族的にアラブ人だけとは限らないので、イスラエルによるこの呼称の時点で大きくゆがめられている)の暮らす家を、ユダヤ教徒イスラエル人入植者が乗っ取り、元からの住民を追い出す、ということが起きている。イスラエルはこれを「土地紛争 (land dispute)」と位置付け、パレスチナ人(アラブ人)の追放、すなわち民族浄化 (エスニック・クレンジング: ethnic cleansing) であるということを事実として認めようとしてこなかった。その点に関して司法が判断を示すという大きな動きがあったのだが、その結果は、パレスチナ人にとってはまさに落胆としか言いようのないものだった。このことを、在米の非営利組織で、パレスチナおよび中東についての情報をジャーナリストなどに提供することを目的として活動しているIMEU (the Institute for Middle East Understanding) のアカウントが連続ツイートで解説している。

文頭の "THREAD: " は「ここから連続ツイート(スレッド)を始めます」という表示。英語圏では糸巻きの絵文字が使われることもある(糸 = thread)。 

Israel’s Attorney General essentially just paved the way for ethnic cleansing by declining to intervene in the Sheikh Jarrah case

太字で示した部分は《前置詞+動名詞》 で、ここでは《by doing》の形で「~することによって」。ここまでの文意は「イスラエルの司法長官は、シェイク・ジャラー地区の件について介入するのを拒むことによって、民族浄化への道をひらいてしまったといえる」。

ツイートの文の後半: 

..., giving Israeli settlers a green-light to forcibly displace Palestinians in the Jerusalem neighborhood.

下線で示した "giving" は《現在分詞》で、これは《分詞構文》。ここまでの文に補足的に情報を加えている。"give ~ a green-light" は成句で「~に青信号を与える」、つまり「~にゴーサインを出す」。「エルサレムの街区のパレスチナ人を強制的に立ち退かせるための青信号を、イスラエル人入植者に与えた」という意味。

このツイートは、スレッドの最初だから、これから具体的に説明していくことについて、端的に、また抽象的に、結論だけを述べているので(英語の文章を書くときの《トピック文とサポート文》の構造の《トピック文》にあたる)、これだけ読んでも内容が具体的にはつかめないかもしれない。その場合も、ここで臆することなく、この先を読んでいってほしい。そうすれば具体的な説明があるので。

続いて、スレッドの2つ目を読んでみよう。

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関係副詞の非制限用法, 倒置, 分詞構文 (ビンヤミン・ネタニヤフとはどのような人物・政治家か)

今回の実例は報道記事から。
イスラエルは、ガザを爆撃・砲撃しなくなったからといって、パレスチナ(あるいはカギカッコ付きで「パレスチナ」と表記した方が問題が明確になるのかもしれないが、ここではカギカッコを使わずにいく)に対する暴力を伴った態度を見直したわけではない。例えば6日の日曜日には、東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で何が起きているかを取材していたジャーナリストが、「PRESS」とでかでかと表示されたフラックジャケットを着ていたにもかかわらず、イスラエル側によって、まさに引きずられるようにして連行されていった。連行されていった先で手首をきつく拘束されるなどの陰湿な暴力の加害を受けたうえで、今後15日間はシェイク・ジャラー地区で取材しないという条件(とんでもない条件である)で釈放された。その出来事を伝える一群のツイートに、ざっくりとした日本語を添えてリツイートしたところ、英語で流れてくるものをそのままリツイートするのとは段違いの広まりを見せたようだ。

さて、その一方で、イスラエルの政治が大きく動いている。「政治」ではなく「政局」とすべきかもしれない。ここ15年間ずっと首相をやってきて、ここ何年かは驚くほどストレートな汚職疑惑の当事者となり、ついには現役首相であるにもかかわらず訴追され、人々がうんざりするほど短期間に何度も総選挙を繰り返して、明確に退陣することにはなっていなくても政権をしっかり維持することもできないということになっているベンヤミン・ネタニヤフ(所属政党リクード)に対し、国会に議席を持つネタニヤフとリクードではない政治家たちが、「右」も「左」もなく手をつないで連立政権を組むということになった。イスラエルにおいて「『右』も『左』もなく」と表現するのは実は不正確で、そこには「ジューイッシュ」も「アラブ」も、という、イスラエルならではの構造をも入れ込まねばならない。だが私にはそれができるだけの十分なベースがない。ともあれ、下記のように、常套句を使えば「呉越同舟」になっている写真が、先週、ネット上にいろんな方向性で広がりを見せる感情の波を引き起こしていた。


これに対しては「起きるとは思いもしなかったことが現実になった」という声が多く起こり、大人は一体何をやっているのかという疑問の中でここ数年もやもやしてきたイスラエルの子供たちの間では「大人だってやればできる」という評価を生じさせてもいるようだが、もちろん、そういった肯定的な評価ばかりではない。こういう写真に「希望」を見出せるほど楽観的な環境には、パレスチナ人は置かれていない。そもそも、この新連立政権が首相とするのは、ネタニヤフの極右政策の中の人だった人物である
それでもしかし、これは「同じことの繰り返し」に終止符を打つ「始まり」ではある。下記のBIWさんが言うように、「希望も懐疑も維持されねばならない。必要なのは始まりである」。
私は自分にわかるようにしか咀嚼できないから、当然のように、この光景で、そしてBIWさんの言葉、「希望も懐疑もどちらも」からおのずと連想されるあの光景を思い浮かべている。本当は、こんなふうに置き換えるべきではないのだろう、と考えながらも。

閑話休題。こうして新たに連立政権が発足するという前提で話が進むかに見えていたところで、予想通り、ネタニヤフが激しく抵抗しだしたというのが週末の状況だった。

イスラエルの国会での新政権発足の手続きは今日月曜日に予定されているが、何がどうなるのかはまだわからない。

というのが前置きで、今回の実例は、いよいよネタニヤフ政権が終わりそうだという流れになってきた先週前半の段階で英BBCがまとめたネタニヤフという人物についての「プロフィール」的な記事から。こちら:
www.bbc.co.uk

以前、アリエル・シャロンの息子が日本の広島についてとんでもない発言をしたときに、そのことについて書いたら、それについてわあわあ騒いでいた人から突然、「アリエル・シャロンって誰ですか」と尋ねるツイートが飛んできて面食らったことがあるが(こちらとしては、そんなことは当然わかっているから騒いでいるんだと思っていた)、パレスチナについての関心は一応持っているが、イスラエルの政治家たちについてそういう具合に五里霧中であるという方々に好適な、コンパクトなプロフィール記事である。ただし、ネタニヤフがパレスチナに対して何をしてきたかは十分に書かれているような印象は受けない記事で、そこのところは今のBBCに何をどのくらい期待できるのかという話でもあろう。

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【再掲】if節のない仮定法, ハイフンの用法, thatの判別, 関係代名詞, 付帯状況のwith(米NFL、圧巻のハーフタイムショーとヒスパニック)

このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、少し前の記事になるが、米NFLスーパーボウルのハーフタイムショーについての論評記事から。

NFLはNational Football Leagueで、アメリカン・フットボールの全国リーグ、「スーパーボウル」はその優勝決定戦で、NFL傘下の2つの団体(カンファレンスと呼ばれるらしい)それぞれの首位のチーム同士が直接対決する。日本の野球でパリーグセリーグの首位同士が試合して日本一を決めるのと同様のシステムだ。この優勝決定戦は毎年2月の第一日曜日に行われ、米国ではまさに国民的関心事になるそうだ。

試合のハーフタイムに行われるのが「ハーフタイムショー」。現行のシステムが始まったころ(1960年代後半)は地元の高校・大学の吹奏楽団が演奏を披露するといった地味な余興だったそうだが、ほどなくそこに著名な歌手やミュージシャンが加わるようになり、1990年代に入ると超有名な芸能人が出演するようになって、どんどん大掛かりに派手になってきた。2004年まではショーのテーマが設定されていたようだが、今ではそれもなく、「一流スターによる、このとき限りの特別なショー」として、NFLについての報道など普段は全然しない米国外の報道機関までも注目するものとなっている。詳細はウィキペディアの一覧のページが興味深い。

en.wikipedia.org

という、何というか、THIS IS AMERICA! と叫んでいるような商業主義丸出しの傾向が数十年の間にどんどん強まってきたことが見て取れるド派手イベントなのだが、今年はそのステージに立ったのは、シャキーラジェニファー・ロペス (J-Loと表記される) という2人の女性歌手。2人ともラテン系でラテンポップスの人ということが注目のポイントとなったが、この日に私が見ていたTwitter上の英語圏(半分くらいはアメリカ)はラテンポップスとかそういうジャンル関係なしに「シャキーラすごい」「J-Loすごい」で埋め尽くされていた。

さて、シャキーラはコロンビア出身だが、お父さんの両親が米国に移住したレバノン人で、「シャキーラ」という名前(本名)もアラビア語である。お父さんは子供の頃に家族でコロンビアに移住し、お母さんはコロンビアの人(スペイン系、イタリア系)で、つまり彼女には多様なルーツがある。

en.wikipedia.org

彼女のパフォーマンスにはアラブの要素が多く取り入れられており*1、今回のスーパーボウルのハーフタイムショー(このエントリの下の方に公式チャンネルの映像をエンベッドしておく)でも、ベリーダンスやミジュウィズという楽器(笛の一種。音を聞けばすぐにわかると思うけど「中東っぽい」音がする楽器)が取り入れられ、クラウド・サーフィングしてステージに戻ったときには、シリアからレバノンパレスチナといった地域で一般的な歓喜の表現であるザガリート(単数の場合はザガルートとも。女性が口先で舌を震わせて「ルルルルル」と高い声を上げる)もしている*2Led ZeppelinのKashimirが一瞬入ってたのは、あれはシャキーラには元からそういう曲があるのだろうか。

一方でジェニファー・ロペスのステージには「籠の中の子供たち」が登場し(歌っているのは彼女の娘さんだそうだ)、彼女の両親のルーツであるプエルトリコの旗が登場し、Born in the USAの歌が登場した。

つまり、米大統領選挙がおこなわれる年の初めの方の国民的イベントで、パフォーマー両者ともにかなりはっきりしたメッセージを出していて、それゆえに単なる「現代を代表する歌姫2人の華麗な競演、圧巻のパフォーマンス」には特に表立って反応しないような媒体でも、レビュー記事を(目立つところに)出すということになったのだろう。

前置きが長くなったが、記事はこちら: 

www.bbc.com

*1:その解説としては、 https://www.pajiba.com/tv_reviews/your-explainer-of-all-the-middleeastern-stuff-shakira-did-during-the-super-bowl-halftime-show-.php が詳しい。

*2:これに対しては、これが何であるのか知らない人たちから非常に失礼な発言が相次いでいて、ワシントン・ポストがまとめ記事を作ったほどである。 https://www.washingtonpost.com/nation/2020/02/03/shakira-tongue-superbowl/ 

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【再掲】if節の省略された仮定法, should, 《近未来》を表す現在進行形(米国とカナダによる自国民の引き上げ)

このエントリは、2020年2月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は複数のソースから。

新型コロナウイルスと、豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」のことは、改めてここで説明を書くまでもないだろうが、文脈を示すために初期報道(2020年2月4日付、共同通信)を貼っておく。

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客だった香港の男性(80)が、下船後の香港で新型コロナウイルスに感染したと確認された問題で、厚生労働省は4日、横浜・大黒ふ頭沖に3日夜に停泊した船内で、乗客乗員約3700人を対象とした大規模な検疫作業を続けた。検査結果が判明し、全員の検疫が終わるのは4日午後以降の見込み。それまで全員が船内待機する。

……

厚労省は船が途中寄港した那覇で検疫を終えていたが、那覇の検疫を取り消し、改めて実施する異例の対応を取った。船は着岸していない。

……

クルーズ船は4日夕に横浜を出港する予定だったが、5日以降に延期した。運営会社「カーニバル・ジャパン」(東京)によると、1月20日に横浜を出発後、同22日に鹿児島に寄港し、同25日に香港に到着。その後、ベトナムや台湾を巡り、2月1日に那覇に寄り、横浜に着いた。感染が確認された男性は横浜から乗船し香港で下りていた。

横浜のクルーズ船、検疫続く 乗客ら3700人船内待機 (写真=共同) :日本経済新聞

 

その後、どうなったかというと……これはいくつかツイートを貼っておく。

 

 

 

 

こういうことが起きている中で、15日には米国政府が乗船している自国民を引き上げることをアナウンス、要するに日本に任せておいたら、この船では今感染していない人も感染してしまうと懸念しているわけだ。

 

 というわけで、今回、最初の実例はこの米国大使館のメールから: 

https://japan2.usembassy.gov/pdfs/alert-20200215-diamond-princess.pdf

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月が綺麗なので、休載します。

表題の通り。月を見てふらふらと歩いていたら遅くなってしまったので、休載します。

今日はスーパームーン皆既月食。しかし東京は曇りで、日が暮れたころは月が見えていませんでした。月食が始まったころも空に月はなく、皆既で赤い影のような月が見えているはずの時間にはこんな感じ: 

そのあと、移動しているうちに雲が薄くなってきたようで、南西の空の低いところに見えてきた。皆既が過ぎて、戻ってきたころ。

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そして、蝕が戻るころにはまた雲が分厚くなり、空全体が白っぽくなって、月はぼやーっとしていた。どうがんばってもピントは合わない。

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ちなみに、英語でのツイートを見たければ、supermoon eclipseでtwitter検索すればいける。検索結果から英語の勉強になるものも拾えるだろう。

個人的に面白かったのは、月蝕が進行中の時間帯に駅などから出てきた人々がみな、それぞれに何となく、見える範囲の空に目を走らせてきょろきょろっとして、そして何事もないように目線を戻して歩き出していたこと。みんな、同じ空を見て、同じ月を見ようとして、そして見えなくてちょっとがっかりしていた。ただし、その方角を見ても、雲がなくても月はなかったと思うという方角を見ていたのだが……。

 

sacrificeの語義は「犠牲を払う」か? (バッハIOC会長発言をめぐって)

今回は、予定を変更して、今ホットな話題について(もう過去の話かもしれないが)。例のIOC会長による「犠牲」発言である。ちなみに原文では "We have to make some sacrifices to make this possible." である。

最初にお断りしておくと、個人的に五輪には関心がないので五輪に関する情報を入れようとしておらず、それどころか、積極的に見ないように環境を作ってあって、Twitterでは「五輪」やそれに類することばは、日本語でも英語でもミュートしてある。加えて、昨日5月24日は暑さにやられて全く使い物にならない状態だったので、この発言が昨日までに話題になっていたことは何となく把握していたが、まともに調べたのは、今日25日になってからだった。

なお、以下は分析の結果の私の解釈を示すものであり、「これが唯一絶対の正しい解釈」とするつもりは毛頭ない。解釈は多様だと思う。

[目次]

 

sacrificeの語義は「犠牲を払う」か?   

24日の段階で最初に把握していたのは、「バッハ会長が『みんなが犠牲を払うべき』と発言した」ということ。Twitterでどなたかが書いておられるのが流れてきたのでリツイートしたのだが、実際にsacrificeという語が使われていたということだった*1

sacrificeはさほど難しい語ではないので単語としては知っている方が多いのではないかと思うが、実際にそれがどういうふうに日常生活の中で使われるかは意外と知られていないかもしれない。日本語でも「犠牲にする」が「神の祭壇に捧げる」や「人身御供にする」的な原義から転じて日常的な場面で用いられることはあるが(例えば「睡眠を犠牲にして、連続ドラマを一気に見た」のように*2)、英語でも同様である。ここでネット上で見ることができる英英辞典で確認してみよう。

sacrifice ~ = give up ~

まず、CambridgeのAmerican English辞書より:  

to give up something for something else considered more important:

He sacrificed his vacations to work on his book.

https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/sacrifice

「より一層重要と考えられるもののために、何かを諦める」という語義で、「本の執筆をするために休暇を断念した」という例文が添えられている。

Collinsはさらにわかりやすい。最初に出ている語義がこれだ。

If you sacrifice something that is valuable or important, you give it up, usually to obtain something else for yourself or for other people.

https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/sacrifice

「何か価値のあるもの、あるいは重要なものをsacrificeするとは、通例、何か他のものを自分に、あるいはほかの人のために得るために、それを諦めることである」といった定義である。

他、OxfordであれLongmanであれ、あるいは米語でMerriam-Websterであれ何であれ、辞書を参照すれば、必ず、この "give up" という定義が出てくるはずだ。

シソーラス(類義語)辞典はもっと興味深い。"sacrifice" という動詞そのものの定義として、"give up, let go" と出ている。「諦める、手放す」という意味だ。

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https://www.thesaurus.com/browse/sacrifice

だから私は、この発言について、ソースを確認してすぐに、"We have to make some sacrifices to make this possible." は、「諦めなければならないことも一部ある」という意味だろうとツイートした。(これをさらっと、「犠牲にする」ではなく「諦める」と訳せるのが翻訳者です。訳した結果の日本語文しか読まない人は、こういう水面下の格闘には気づかないでしょうけれど、それでいいんです。でも翻訳者はこれを「犠牲にする」と訳していては務まらないはず。)

この局面で sacrifice という言葉を使う感覚が理解できないというのはとても強くある。ドイツ人であるバッハにとって英語は第二言語だから(でも英語の運用力は「ネイティブ並み」でしょう)、"give up" みたいな英語らしいこなれた表現より、"sacrifice" というラテン語系の単語の方が使いやすかったのかもしれないし、そこはあまりとやかく言うべきではないのかもしれない。だが、ここでの単語のチョイスが、「犠牲にする」と怠惰な直訳をしただけの日本語圏だけではなく英語圏でまでも、反感を買う原因になっていることも事実だ。

 

主語がweであることの意味

さらにバッハ発言のこの文、主語がweである。"We have to make some sacrifices to make this possible." とバッハは述べている。このweが誰のことなのかという問題も出てくるのは当然なのだが、そこにこだわりすぎたりそこで深読みしすぎたりしてもよくないのではないかと私は思う。

一方で、この発言のなされた場は、IOCとは別のスポーツの国際団体の会議であり、この発言のweが「会議に招かれたIOC会長が、IOCのことを身内として扱っているwe」なのか、「会議出席者も含めてみんながwe」なのか、という疑問も出てくる。

いずれにせよ、発言の場を考えれば、日本は蚊帳の外であろう。発言の場はIOCの会議ではなくホッケーという競技の国際連盟の会議で、ホッケーの団体の会議にゲストとして招かれたIOC会長が "we" と述べるときに指しているのは、普通に考えればIOCだろう。

仮にこの主語がweではなくtheyだったら、「我々は安泰だが、彼らは我々に奉仕するのだ」みたいなことを言ってるということで、「『彼ら』というのは日本人のことか」と大炎上になって当然だが。

※「カンファレンス」ではなく「コングレス」でした。すみません。

 

ここまでが、私の初期段階の反応である。

このあと、しばらくしてから訳文がひらめき、ようやくまともに調べものをしたときの連ツイが下記である。この連ツイを読みやすく整形してこのブログに書こうと思っていたのだが、あいにく、そのエネルギーがないので、ツイートのまま埋め込んでおく。読みづらくて申し訳ない。

このhave to sacrificeは「我慢しなきゃ」ではないか?

 

代名詞をどう解釈するか。

検索して原文を見つける方法。

※ここで「インドの媒体」と書いてるのは、この記事がPTIという通信社の配信であることを見落としたものです。My bad, again. 

記事を書いた記者によるリフレーズ(言い換え、書き換え)の問題。

さらに、他媒体での受動態の導入。

PTIの記事以上に元発言を確認できるソースが見当たらない。 

記事の英語が微妙……。

反感を抱かせる記事であることは確か。

※あと、「選手が万全の状態で競技に臨むことができないかもしれないということ」(大会前の合宿がなくなって、日本の夏というめちゃくちゃな気候に合わせた調整が十分にはできないだろうとか)などもバッハは含意しているかもしれない。

 

以上、雑なまとめですがこんなところで。

 

※今回、当ブログの文字数上限を無視しているので、11200字。

 

 

歴史をかえた誤訳 (新潮文庫)

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*1:あとから見返したら、この時点ですでにソースURLが示されていたが、その時は半分寝ている状態だったのでソースを見落としていた。

*2:よりこなれた表現では「寝る間も惜しんで連ドラを一気に見た」と言うかもしれないが。

今日、休載します

急な暑さでバテました。

パレスチナでは、ガザ地区攻撃が行われなくなっても、東エルサレム、アル=アクサ・モスクでのイスラエル当局の実力行使が次々と伝えられてきます。Twitterなどを見てみてください。

https://twitter.com/MiddleEastEye/status/1396828338073788418