Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】英文を頭から読んで書いてあることを書いてある通りに読む練習, 同格, 挿入, be expected to do ~, 付帯状況のwithなど(英国のロックダウンの見通し)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、英国政府の医療顧問団上層部の発言から。

英国政府は3月23日(月)にレストラン、パブなどの閉鎖(日本語ではおそらく「営業自粛」と位置付けられるもの)を経て「不要不急」の外出の禁止に踏み切り、以降、いわゆる「ロックダウン lockdown」の状態にある*1。日本時間で24日早朝のブルームバーグ報道: 

英国は23日夜から全国的なロックダウンに入る。ジョンソン首相が国民向けのテレビ演説で発表した。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、不要不急の移動を全て禁じ、住民は自宅から出ないよう命じられた。

期間は少なくとも3週間で、警察には人々の集まりを解散させたり違反者に罰金を科したりする権限が与えられる。

生活必需品以外の店舗や遊び場、図書館、信仰の場所も閉鎖される。必需品の買い物や治療を受けるためなどを目的とする外出は認められる。

政府は3週間後にこうした措置を緩和できるかどうか検証する。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-23/Q7NYY4T0AFB401

それから1週間が経過しようというタイミングで、政府の医療顧問団副チーフであるジェニー・ハリーズ博士が、英首相官邸が毎日行っている記者会見で、「行動制限は6か月にわたって続く可能性がある」と語った。それを伝える記事が下記である。

www.theguardian.com

 

今回実例として見るのは、その後、事態がさらに進展したときに書かれた記事。ハリーズ博士の発言についてのこちらの記事での記述が、「書いてあることを、書いてある順番で、書いてある通りに読む」ことの練習台として、とてもよいものだと思ったので、それを見ていきたい。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

*1:「ロックダウン lockdown」という用語はなかなか面倒な用語である。

https://english-vocab-covid-19.memo.wiki/d/%a5%ed%a5%c3%a5%af%a5%c0%a5%a6%a5%f3%a1%a2%b3%b0%bd%d0%a4%ce%b6%d8%bb%df%a1%a6%c0%a9%b8%c2%a1%ca%a1%a2%c5%d4%bb%d4%c9%f5%ba%bf%a1%cb%3a%20lockdown を参照していただきたい。

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【再掲】to不定詞の副詞的用法, 動名詞, in a way that ..., 現在完了, in addition to ~(#自粛と給付はセット は当たり前。英国政府の方針)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、英国のボリス・ジョンソン首相の発言から。

長々と前置きを書いている余裕がないのだが、日本語圏では新型コロナウイルス感染拡大に対する対策として、 #自粛と補償はセット であるということが、社会的に、全然認識されていない。むしろそういうことを言うのは「左翼」だというヒステリアに支配されているように見える。

しかし事実としては、「規制緩和」「民活導入」至上主義的な新自由主義、「小さな政府」というイデオロギー*1の発祥の地(のひとつ)で、2010年代はほぼずっと苛烈な新自由主義政策(「緊縮財政」と呼ばれる)をとってきたイギリス(英国)で、 #自粛と補償はセット であるということが、何よりも先に示されている。なお、今のイギリス政府が「左翼」だなどと強弁する者がいたら、それは悪質なデマゴーグである。

 

英国政府は、パブやレストランなどの営業の「自粛」を求めたが、このとき、通常店舗での飲食提供の許可とは別に取得しなければならない食事の配達やテイクアウェイ(店舗外での飲食)営業の許可を特例としてなくてもよいとするという「規制緩和」策と同時に発表され、その「テイクアウェイ営業の特別許可」以上にメディアで注目を集めたのが、 #自粛と補償はセット であるという明確な方針だった。十分に操業できず資金的に逼迫することが想定される企業で、人件費削減のために従業員を解雇すること(政府から見れば失業率を上昇させること)を避け、同時に通勤する人を減らし、「自粛」策が掛け声だけに終わらないようにするために、英国政府はいきなり、「給与の8割補償」を約束したのである。

その記事がこちら(2020年3月20日付): 

www.theguardian.com

この方針は、"an unprecedented step for the British government" と説明されているが、つまり第二次大戦時も、その前の世界恐慌のときも、その前の第一次大戦時もこういうことは行われていないという意味である。20世紀の英国は保守党と労働党の二大政党の間での政権交代が頻繁に起こる二大政党制であったが、社会民主主義(あるいは民主社会主義)政党である労働党が政権をとったときにも、このような政策はとられていないということだ。

*1:これが「イデオロギー ideology」だと認識することを拒む否定論者たちに騙されないようにね。もう遅いと私は思ってるんだけど。

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【再掲】Heroes, Corona Fighters (新型コロナウイルスと戦う医療従事者を讃え、励ますことば)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例もTwitterから。

前回まで、3回連続で、新型コロナウイルスの感染拡大抑止のために英国などで使われているスローガン、"Stay at home" を軸にした表現を見てきた。また、これらのエントリで、医療従事者からの情報発信についても扱った。「ソーシャルメディアで個人的につぶやく」とかではなく、「ソーシャルメディアを活用して病院全体で広く一般に向けたメッセージを出す」という行動が、世界各国で見られる。

hoarding-examples.hatenablog.jp

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今回見るのは、医療従事者からのメッセージを受けての一般市民の反応について。「3月26日(木)午後8時に医療従事者を讃えて一斉に拍手をしよう」という呼びかけが、イギリスでなされた。ハッシュタグは #ClapForNHS だ。

そしてTwitterには各地から、その拍手喝采の映像が流れてきた。

 

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【再掲】"We stay at work for you. You stay home for us." というメッセージ(新型コロナウイルスに立ち向かう医療現場)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例もソーシャルメディアでたくさん流れてきた標語・メッセージから。

先週、「集団免疫」論を捨てて以来、英国で(アイルランドも同じなのだが)人々に対し家にいるように呼び掛ける標語が繰り返し流されていることは既に書いた通り。

hoarding-examples.hatenablog.jp

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そのようなメッセージが政府から発され、医療現場(病院)が患者の激増(「オーバーシュート」なる珍妙な日本語が使われているが、あれはおかしい)に備えているときに、現場からは「負担をかけるな!」「病院に押し寄せるな!」というヒステリックな否定命令文ではなく、下記のような、とてもポジティヴで人間らしいメッセージが発された。

これだから、私は英語が好きなのだ。

 上のツイートは英マンチェスター、下のは米ニューヨークの病院の医療従事者からのメッセージだ。"We stay here for you. Please stay home for us." 「私たちは、あなたがたのために、ここ(病院)にいます。あなたは私たちのために、家にいてください」

つまり、感染が拡大して患者が増え、病院がキャパシティを超えないように、一般の人々は自分が感染しないことと他人を感染させないことを第一に考えて、家にいてほしい(外出しないでほしい)というメッセージである。

日本でダイヤモンド・プリンセス号が注目されていたころから日本語圏では医療関係者やその方面の専門家が同じ内容のメッセージを発していたのだが、同じことを日本語で言わせると「病院に来るな」「病院に来る者を増やすだけだから検査なんかするな」という言い方になるのだから、いかにこの日本語圏というものが基礎に組み込まれているレベルで抑圧的なのかがいやでも感じられる。

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【再掲】 #StayAtHomeSaveLives #StayHomeSaveLives 標語のハッシュタグ(新型コロナウイルス対策)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、前回の続きで、Twitterハッシュタグを見てみよう。

前回は、英国政府がロックダウンに先立って打ち出していた "Stay at home. Protect the NHS. Save lives." の標語を見たが、今回は、この標語が人々の日常生活の中にどう入っているかを見てみよう。Twitterハッシュタグになるとこのパートが脱落している。

また、 "Stay at home" の《前置詞》のatもあったりなかったりしている。つまり、"Stay at home" だったり、"Stay home" だったりしている。

"Stay at home" のほうは、《stay + 前置詞 + 名詞》の構造、"Stay home" のほうは《stay + 副詞》の構造になっている。homeという単語は名詞にもなれば副詞にもなるのだ。

私が中学・高校のころは、英語を文法でしっかり認識しておらず、何となく見ていたところがあって、このatは要るのか要らないのかがわからなかった。ちゃんと文法で認識していれば、すぐ上で述べたような論理が見えてくるのだが、文法を押さえていなかったので少々遠回りをした。

今でも、文法をまじめにやっている人は、"stay home" と言うか "stay at home" と言うか、2つの言い方の間に意味の違いはあるのかということで頭を悩ませることがあると思うが、結論だけ言ってしまえば、どちらでもよい。好みの問題・語数の問題・スペースの問題と考えておいてもよい。

というわけでハッシュタグ、#StayHome: 

https://twitter.com/hashtag/StayHome?src=tren

#StayHomeSaveLives: 

https://twitter.com/search?q=%23StayHomeSaveLives&src=tyah

#StayAtHome:

https://twitter.com/search?q=%23StayAtHome&src=tyah

#StayAtHomeSaveLives: 

https://twitter.com/hashtag/StayAtHomeSaveLives?src=tren

 

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【再掲】"Stay at home. Protect the NHS. Save lives." という標語(付: 初出の調べ方)(英国政府の新型コロナウイルス対策のPR)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、英国で使われている標語。

新型コロナウイルスによる感染拡大を何とかコントロールしたい英国政府は、先週末から、いわゆる「不要不急の外出」をしないように人々(国民)に呼び掛けるという方向に舵を切った。既に学校閉鎖などが行われるようになっていたところに、さらに一段階の規制強化である。

[ロンドン 20日 ロイター] - ジョンソン英首相は20日、新型コロナウイルス感染拡大抑制に向け、国内のパブやレストラン、劇場、映画館、ナイトクラブ、スポーツジムなどの営業を同夜から無期限で一時停止するよう命じた。これにより、英国は事実上の封鎖状態となる。

https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-britain-cafes-idJPKBN21736K

 現実には、パブやレストランなどが閉店となっても、列車の運行本数が削減されても、人々は通勤し、23日の月曜日は電車が満員だという報告が相次いで、誰がどのように悪いといった議論がSNSで沸き起こり、ニュースでも取り上げられた。

 (東京の感覚では、このくらいの乗車率なら「空いてる」ように見えるはずなんだけど、それは東京が異常なだけなので……)

 

だがこの前日、22日の日曜日には、首相官邸が新たな標語を全面に出し、新たな呼びかけを開始していた。それが下記のツイートだ。

 "Stay at home. Protect the NHS. Save lives." というこの標語、ロジックは三段論法で、「家に留まれ。(それによって)NHSを守れ。(それによって)人命を救え」という意味になる。NHSは英国の「国民健康保険サービス National Health Service」のことで、より具体的には健保が運営する病院のことである。人々が家に留まり、感染しないことが、NHSへの負担を軽くし、それによってNHSは(新型コロナウイルス感染症であれ、ほかの病気であれ)医療を必要とする人々を救うことができる、という話である。

日本ではものすごく早い段階から、感染の実態をしっかり把握すべきだという主張がなされるより前に、「"医療崩壊" を避けよ」という主張がなされた。ほとんど下品と言ってよいような言い方で、「医療を崩壊させるな」「軽症なら病院に来ずに、家で寝ているべきである」といった主張がなされた。誰かを説得することを目的とした口調やロジックで語られねばならなかったそれは、特にSNSで感情的でヒステリックな「現場は頑張ってるんだ」「ダメといったらダメ」みたいな叫びとなって響き渡り、また、日本特有の「読むべき空気」を形成し、人々を委縮させた。

同じことを言うにしても、英語では表現はより端的で、よりロジカルで、より肯定的である。「崩壊させるな」の否定命令文ではなく「守れ」という肯定の命令文で語るのは英語の習慣だが、その習慣が前向きな、「よし、がんばろう」という気分を持たせるものだということを、私は今回ほど実感したことはない*1

 

*1:英語では否定命令文ではなく肯定命令文でメッセージを出すというのはほかの場面でも見ることである。例えば、"Keep your chin up" という英語の表現(「アゴを上げていけ」、つまり「胸を張っていけ」)が、日本語訳では「へこたれるな」となっていたりする。私が翻訳を担当しても、文脈次第ではそのようにするかもしれない。つまりこれは社会的なnormの違いだろうと思う。

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【再掲】聞き取りの練習, need to do ~, 間接疑問, not just A but also B, など(新型コロナウイルスに関する、アイルランド首相のすばらしいスピーチ)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、アイルランド首相のスピーチから。

カトリックの国であるアイルランドは、アイルランドキリスト教を広めた守護聖人聖パトリックの祝日である毎年3月17日を盛大に祝う。

元々このセント・パトリックス・デーは宗教的な礼拝の日であった。現在のようなバカ騒ぎや盛大なパレードという習慣は、かつてアイルランドから北米に移住・脱出した「在外アイリッシュディアスポラ)」の人々の間で始まったもので、アイルランド自体で盛大なパレードなどが行われるようになったのはここ数十年のことだ。

en.wikipedia.org

ともあれ、そのセント・パトリックス・デーのパレード、アイルランド共和国政府は、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のために中止という判断を下していたのは、先日書いた通りである。

hoarding-examples.hatenablog.jp

中止の根拠は、人と人の距離が近い接触(濃厚接触)がウイルスを広めるということで、同じ根拠に基づいてパブも閉鎖された。アイルランドでパブが閉鎖されるなんて、日本でコンビニが一律閉鎖されるようなものだろう。

 

3月17日当日、アイルランドからはいつもの賑やかな光景とは異なり、ごくごく小規模な、ほほえましい「パレード」の映像などが流れてくることになった。

そしてその夜9時、公共放送RTE(日本でいうNHK)でレオ・ヴァラドカー(ヴァラッカー、バラッカー)首相の演説が放送された。ヴァラドカーは、自身が率いるFG党が2月の総選挙で第3党に甘んじることになり、退陣することを表明しているが、この総選挙の結果が実はすさまじいカオスで次にどの党が組閣することになるのかが全然決まらず、結局FG政権が、次の組閣が成るまでの間という条件で、暫定的に、選挙前と同じ顔触れで政権を担当し続けている。それを「ケアテイカー内閣」というが、政治がそういう不安定な状態のときに、アイルランド新型コロナウイルス禍が襲ったわけだ。

ヴァラドカーは、お父さんがインド出身の医師なのだが、本人も政治家になる前は医者として働いていた(病院勤務医を経て一般医の資格を取得)。つまり、医者としての経験がない多くの政治家と違って医療の現場を知っているし、専門的な説明についての理解が及ぶ範囲も広く深い*1。その彼のスピーチは、現状を冷静に分析した結果を政治リーダーとしてストレートに、言葉でごまかそうとせずに人々に伝えつつ、社会全体に「がんばろう」という気持ちを与える力強いメッセージだった。それも、フランスやイギリスで政治リーダーがやっているような「戦争というレトリック」に頼らずにそれを見事にやり遂げた*2。結果的に、アイルランドの多くの人々は支持政党にかかわらず「今、この人が首相でよかった」と思っているに違いない。

 

今回の実例はそのスピーチから。映像は下記: 


Ministerial Broadcast by Taoiseach Leo Varadkar about the Covid-19 pandemic

 

スクリプト(文字起こし)は下記で読める。耳で聞くための英語としてではなく読むための文面として整える編集が加えられているので音声と完全に対応してはいないが: 

Taoiseach Leo Varadkar's full speech on coronavirus as he makes state of the nation broadcast - Irish Mirror Online

 

スピーチらしくゆっくりはっきりと発話し、確実にメッセージを伝えようとしているので、「英語のリズム」をつかむための聞き取りの練習台になるだろう。内容も優れているし、ぜひ聞いてみていただきたいと思う。

 

*1:そのわりに、緊縮財政を情け容赦なく医療などの分野にも適用してきたし、そのために選挙で負けたのだが。

*2:アイルランドは軍事的に中立国である。国連PKOでは大活躍しているが。

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「ぼくはブレイクスルー感染だ」を I am ~で表している例, it's no picnic, など(ワクチン接種を済ませているのに感染したという報告)

今回の実例は、Twitterから。

新型コロナウイルスについて、ワクチンを接種したあとに感染する、いわゆる「ブレイクスルー感染」が、日本のテレビなどでもセンセーショナルに取り上げられているようだ。

今はみなさん「ブレイクスルー感染」と言っているが(たとえば忽那賢志医師も)、翻訳者の松丸ひとみさんが調べられたように、日本語には「打ち抜き感染」という用語がある。なぜそれが今回のパンデミックに際して使われていないのかはわからないが。

ブレイクスルー感染については、メディアが大騒ぎしているからといって過大評価すべきではないようだが、もちろん無視もできない。米国や英国からは、ファイザーやモデルナ、アストラゼネカの2度接種するタイプのワクチンを2度接種しているのに感染した、というツイートがときどき流れてくる。ワクチンができる前の「COVIDにかかった」「検査陽性出た」のツイートに比べれば全然頻度が少ないのだが、全く見ないわけではない。

というわけで、今回の実例はそのようにブレイクスルー感染したという報告のツイートから。ツイート主は米国のジョージタウン大学で北米の歴史を教えているアダム・ロスマンさん。

このツイートを一読しただけで、必要な情報が読み取れているかどうかを確認してほしい。

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コロン, asの判別(関係代名詞, 接続詞), 進行形を含む表現, 付帯状況のwith, など (コロナ禍五輪は、1964年の東京五輪の夢を見たが……)

今回は、前回(昨日)書きかけで放置してしまったところをそのまま続けます。文脈などは前回のエントリをご参照のほど。

記事はこちら: 

www.washingtonpost.com

 

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SVOC, 最上級+ever, 形式主語のitと動名詞, be going to do ~, 〔以下書きかけ〕(コロナ禍五輪は、1964年の東京五輪の夢を見たが……)

今回の実例は、日本語でほぼ「一言だけ」にまとめられた英語圏の新聞の記事から。

【ワシントン共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は17日、開幕を23日に控えた東京五輪について、これまでのところ「完全な失敗に見える」と指摘し、1964年の東京五輪のように日本に誇りをもたらすことは期待できないと伝えた。新型コロナウイルス流行の影響で国民に懐疑論が広がり、当初の五輪への熱気は敵意にすら変わっていると報じた。……

nordot.app

個人的には、共同通信のこの短い(あまりにも短すぎる)要約が配信される前に原文のフィードを見かけていたのではあるが、読むところまでは行っていなかった。共同通信の記事のおかげで読んでみたら*1、けっこう文法ポイントがいろいろあるので、それを見ていこう。

記事はこちら: 

www.washingtonpost.com

記事を書いたSimon Denyerさんは、ワシントンポスト紙の東京支局長で、日本と朝鮮半島を担当している。

この記事は、前回、1964年の東京五輪と、今回のカオスになってる東京五輪とを比べ、「64年の五輪の夢よもう一度、というわけにはいかなさそうだ」ということを検証している記事である。

英語は平易だし、トピックも読みやすいので、気分が滅入ることが気にならなければ、英語長文多読素材として好適だと思う。

*1:共同の記事のおかげで日本語圏でも広く読まれたようで、はてブの件数も多いね。

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【再掲】It is ~ that ...の強調構文, 同格, 仮定法(新型コロナウイルス、英国の方針転換)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、解説記事から。

BBC Newsのウェブ版では、何かかみ砕いた説明があったほうがよいような複雑なこと、背景を詳しく述べたほうがよいようなことなどを報じる場合に、その分野に精通した記者が解説を書くことがある。

それらの解説は、Analysis(分析)と位置付けられているが、いつ、どこで、何があったとか、誰がどういう発言をしたということを普通に淡々と書くスタイルの報道記事の中に、別個に区切った欄を設けて埋め込んであることもあれば、1ページ独立した形で記事を立てることもある。

今回見るのは後者のスタイルでのAnalysis記事で、トピックは新型コロナウイルス。感染の広がりにどう対処すべきかに関する英国政府の方針が、ほんの数日の間にがらりと変わった。そのことについての解説である。日本語圏ではいまだに、変更される前の英国政府の方針が「イギリスのやり方」として語られているが(翻訳や執筆のタイムラグがあるので、それは仕方がないのだが)、それら語られていることの多くが、書かれた時点でもう古い情報になってしまっている(「変更前の話」である)ことに注意が必要である。

閑話休題。記事はこちら: 

この記事は、英語としては大変に読みやすく、一読するだけで、目まぐるしく変わる状況を整理できるというお役立ちな記事なのだが、内容が内容なので、医学分野の素養がない私が日本語化することは避けたい(間違った訳語を選択してしまいかねないし、そういう悪意のない間違いがコピペなどで広まることで「デマ」になることもありうる)。よって、以下では日本語の対訳はいつも以上に少ないが、その点はご了解いただきたい。当ブログの主眼は、学校で習う英文法がどのようなときに実際の「生きた英語」で出てくるかを示すことにあり、記事の内容そのものについて述べることは当ブログではカバーしきれない範囲のことである。

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【再掲】so ~ that ...構文, 【ボキャビル】be tempted to do ~, on the contrary(ハリー&メーガンの最後の公務)

このエントリは、2020年3月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、サセックス公夫妻(ハリー&メーガン)の最後の公務についての報道記事から。

英王室のハリー王子とメーガン妃ことサセックス公夫妻が「王族としての第一線から退いて、北米(カナダ)と英国を行き来しながら生活していく」と表明したのは1月上旬、イランのIRGCのスレイマニが米国によって爆殺されたりして、年明け早々、世界中が「しっちゃかめっちゃかになるのでは」と思っていたさなかのことだった。イタリアが全土をロックダウン下に置き、新型コロナウイルスの感染が「パンデミック」の域に達しているとWHOが述べて、米国でも感染が広がりつつあることが日々伝えられている3月上旬*1から見ると、ずーっと昔のことのようだが、まだたった2か月前のことだ。

そのサセックス公夫妻が、3月9日(月)、ロンドンのウエストミンスター・アベイにて、王族としては少なくとも当面は最後となる公務に出席した。記事はこちら: 

www.theguardian.com

映像を見たい方は下記に全部上がっているのでそちらをどうぞ(私は見ていない): 


A Service of Celebration for Commonwealth Day LIVE 🔴 - BBC

サセックス公夫妻の最後の公務となった行事は、コモンウェルス・デー*2の礼拝で、行事の詳細や、少々「王室ゴシップ」めいたことも記事には書かれているが、実例として見るのはそこではない。

コモンウェルスは全世界にまたがり54の国から成るが、この日のロンドンでの礼拝にはそれらの国々にルーツのある名士たちも参加している。その中に、ボクシングのヘビー級統一王者であるアンソニー・ジョシュアもいた。ジョシュアはコモンウェルスの一国であるナイジェリア人の両親のもと、ロンドンの北西の端(ワトフォード)で生まれたが、子供時代をナイジェリアで過ごし、11歳くらいのときに英国に戻った。9日の礼拝で彼はそのことについてスピーチを行った。上記映像では26分過ぎから始まる(31分くらいまで)。下記URLで頭出ししてある。TH音がF音になったりT音が欠落したりとかなりこてこてのアクセントだから聞き取りは難しいかもしれない*3

https://youtu.be/iksBZyRLfu8?t=1588

*1:本エントリは元々3月10日に書いたのだが、いろいろ差し替えなどをしていたので、アップするのが3月中旬と遅くなってしまった。記述は元のまま「3月上旬」にしておく。

*2:かつて英国の植民地だった国々で構成される「コモンウェルス」の記念日。毎年3月第2月曜

*3:こてこてなんだけど、日常生活ではありえないくらいゆっくりはっきりしゃべっているから、「ロンドナーのアクセントってこういうものなんだ」ということを知るための教材としては有益かも。大学受験生の聞き取りの練習にするには厳しいと思う

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let ~ down, let + O + 動詞の原形(ブカヨ・サカのステートメント)

今回の実例は、PK戦にもつれこんだEURO 2020の決勝で、最後のキッカーとなったブカヨ・サカ(イングランド)がTwitterに投稿したステートメントから。

既に当ブログで何度か述べたように、イングランドPK戦で最初の2人が決め、次の3人が連続で外して優勝を逃した。この3人が全員黒人選手だったことで、試合終了直後からネットには人種差別の暴言があふれかえることとなった。

今回の大会では*1イングランド代表が人種差別への反対の意思を示すために、試合前に、片膝をつく (taking the knee) ということが行われていたが、これに対して、ジョンソン政権の閣僚を含む保守党の政治家たちの一部(例えば内務大臣のプリティ・パテル)がかなり強く反発するなど、「人種差別への反対」をめぐる空気は、とてもぎすぎすしたものとなっていた。大会終了後は、「代表の片膝つきをめぐる政治家たちの態度」が国会でも焦点化されるなど(しかも、北アイルランド紛争について極めて深刻で重大な決定がなされているのに、それをそっちのけにして、スポーツ選手が人種差別反対を表明しているのを明確に支持するかどうかというようなことが党首討論の議題にされてて、立法府とは何ぞや、北アイルランドとはUKにとって何ぞやという気分にさせられたのだが)、PKの3人への怒涛のような人種主義者の暴言を前に、3人を支えるFA(サッカー協会)やファン、選手たちやサッカー界の重鎮たちの発言が続き、試合から何日も経った今もまだ、リアルタイムで、英国からはそれに関連するツイートが次々と流れてきている。見ている間に私まで引き込まれてしまうほどに、それは(イングランドで起きていることとしては)パワフルな動きである。

そういう中で、5人目のキッカーとなったブカヨ・サカがTwitterステートメントを投稿した。今回はこれを読んでみよう。

2001年生まれで現在19歳のサカはロンドン生まれ・ロンドン育ちのちゃきちゃきのロンドンっ子で(西ロンドンが地元なので、コックニーではない) 、両親がナイジェリアからの移民で、今回、本当に容赦のない暴言にさらされることとなった。それへの返事がこのステートメントである。とても落ち着いていて、冷静で客観的で、誠実な言葉である。リプライに寄せられている支持のメッセージも併せて読んでいただきたいと思う。

*1:イングランドが片膝をつくようになったのは大会前からなんだけど。

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no matter + 名詞, no matter + 疑問詞 (イングランド代表監督、ガレス・サウスゲイトの熱い文章)

今回の実例は、国代表チームの監督が、国際大会を前にしたためた一文から。

前置きは書いてる暇がないからいきなり本題に入るが、これを書いたのはサッカーのイングランド代表の監督、ガレス・サウスゲイトである。もちろんプロの文章書きや編集者が手を入れてあるはずだが(政治家であれ芸能人であれ、文章を専門としない人ならば誰が書いた文章でも、何かの媒体に掲載されるものは、たいていそうである)、そうであるにしてもこれはかなり立派な文章で、若いころの個人的な「感動」の体験を、代表チームを率いる立場にある現在、チームをさらに上のレベルに引っ張っていこうとするときに、イングランドの人々に向けて書いたメッセージの中で、ひとつの《大きな物語》へとつなげていく技量は、なかなかのものだ。

少々分量があるが、読み始めたら一気に読んでしまう力があると思う。イングランドのサッカーになじみのある人ならぐいぐい引き込まれるだろう。特に序盤で、自分の個人的な「感動」の体験から自身のフットボーラーとしてのあゆみについて述べている部分ではその単語を使わずに書かれているものを、中盤で、自分自身とは少し距離を取った一般論的な部分で初めて "pride" という単語を用い(このテクニックには引き込まれる)、さらには自分が率いるチームの若いプレイヤーたちについて述べている部分で、イタリック体で強調した形で ”pride” と示していくあたりなど、読んでるだけでモチベーションがあがりそうだ。

というわけでモチベーションあげていきましょう。記事はこちら: 

www.theplayerstribune.com

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thatが省略されたso that ~, 等位接続詞andによる接続が延々と続いている形, thatの判別, など(イングランドのサッカー協会のステートメント)

今回の実例は、前回の続きで、イングランドフットボール(サッカー)協会 (the Football Association: the FA) のステートメントから。このステートメントが出された経緯や文脈などは前回のエントリをご参照いただきたい。

この文面は、FAのような組織からのステートメントとしては、異例と言えるほどに強い語調のものである。わかりやすく言えば、「激怒している」という文面で、それをフォーマルさを保った形で伝えるときの文面として、よいお手本になるだろう。

文面はこちら: 

前回は前半(「1」の方)を読んだので、今回は後半を見ることにしよう。

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