Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

同等比較 (as ~ as ...), 省略, help+動詞の原形, 【ボキャビル】one's love for[of] ~, as long as ~ can rememberなど(フランクフルトの名物サポーターはホロコーストの生き残り)

今回の実例はTwitterから。ただしやや変則的に、ツイート本文と、映像についている英語字幕を見る。

ドイツに、「ドイチェ・ヴェレ (Deutche Welle)」という国際放送局がある。ドイツ国内でドイツ語で語られることを、ドイツ国外に、英語やフランス語、スペイン語などでも伝えている報道機関で、英BBCの「BBC World」のようなものだ。「DW」の略称をシンプルにデザインしたロゴは見たことがあるという人が案外多いのではないかと思うが、Twitterではドイツ語のアカウントが@DeutcheWelle, 英語のアカウントが@dwnewsなどとなっている。後者は、欧州情勢に興味がある人はフォロー必須のアカウントのひとつだ。

twitter.com

この媒体の関連アカウントのひとつが、スポーツニュース専門の@dw_sportsだ。ドイツ語ではなく英語で運用されており、サッカーの代表のニュースやブンデスリーガのニュースはここをチェックするといろいろと話が早いという感じ。

今回の実例は、1月27日の「ホロコースト記念日」のこのアカウントのツイートから。

ツイート本文の下に映像が入っている。音声はドイツ語だが、英語字幕がつけられているので、それを見てほしい。

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論理展開を押さえて読む, SVOCの構文, 時制の一致, whether節(名詞節), if節のない仮定法, 形式主語など(75年目のホロコースト記念日)

日本では語られもしないので知られていない(私自身も長いこと知らなかった)が、1月27日はアウシュヴィッツ収容所がソ連軍によって解放された日(1945年)である。例年、現地では大規模な式典が行われ、世界的には「ホロコースト記念日」となっている。

この日、Twitterでは「ホロコースト記念日」を表す#HolocaustRemembranceDay#HolocaustMemorialDayハッシュタグ*1や、#NeverAgain, #NeverForgetという標語のハッシュタグがTrendsに入るのが毎年の光景だ。

今年は、Twitter上には、ユダヤ人の「歴史を語り継ごうとする意志」よりも、イスラエルナショナリズムイスラエル国外の支持者のものも含めて)が非常に色濃く出ているように感じられたが(ネタニヤフが昨年の選挙で勝てなくて政治的にあれこれやってる最中であることとか、ネタニヤフが刑事訴追を何とか回避しようとしていることとかが影響しているのかもしれない)、この話題について何かを書くときに「イスラエル国」をスルーすることはできないのかもしれないということは認識しつつ、ここで私はイスラエルとは直接関係を持たない立場から、ホロコーストを語る言葉を取り上げたいと思う。ホロコーストが、アウシュヴィッツやトレブリンカから遠く離れたところにまで影響を及ぼしていた(いる)こと、それが「ヨーロッパ」の歴史の一部であることを知ることは、日本国内でのあまりに軽薄で軽々しくて尊大で、敬意のかけらもない否定論(否認論)をひとりひとりが無視するための足掛かりになるはずだ。

 

英国にはユダヤ人(ユダヤ教徒)は少なくない。シェイクスピアの『ヴェニスの商人』に明らかなように、ユダヤ人はずっと昔から英国にいたが、1930年代終わりから40年代はじめにかけて、欧州大陸から逃げてきた人々とその子孫も多い。そしてそういう人々はまず例外なく、親族を大陸でホロコーストのために失っている。「祖父と祖母は脱出できたが、その両親や兄弟姉妹は強制収容所に送られて殺された」といった非直接的な形でホロコーストの経験を持つ人々は、とても多い。

また、欧州大陸がナチス・ドイツ反ユダヤ主義政策によって塗り替えられるようになる前から英国に住んでいたユダヤ人も、ドイツやベルギー、フランスなど大陸に住んでいた親類縁者がホロコーストで殺されている。

そして、もしもナチス・ドイツが英国を占領していたら、彼ら「英国のユダヤBritish Jew」も絶滅収容所送りになっていたことは確実だ。

経済分野を専門としてきて、現在では民放ITVの政治部エディターであるジャーナリストのロバート・ペストンは、第二次大戦が終わってから15年後の1960年にロンドンに生まれた。親もロンドンで生まれているので、ホロコーストとの直接的なつながりは、例えば労働党デイヴィッド・ミリバンドエド・ミリバンド兄弟(お父さんのラルフ・ミリバンドがベルギーから脱出してきたユダヤ人難民)ほどにも強くない。ペストン家の人々はユダヤ人とはいえ信仰を強く持っていたわけではなく「文化的ユダヤ教徒」だそうだが*2、それでも、大陸のユダヤ人たちに起きたことを他人事とは扱えない。そういったことを、「アウシュヴィッツの解放」から75年となる今年、、彼は「ジューイッシュ・ニュース」というロンドンのBritish Jews向けメディア(現在はイスラエルの「タイムズ・オヴ・イスラエル」紙傘下らしい)に短い記事を寄せている*3

 

 

*1:英国では後者を名称としたトラスト(基金)があり、ハッシュタグに絵文字が添えられるようになっている。

*2:「文化的〇〇教徒」はうちら日本人のいう「葬式仏教徒」みたいなもので、キリスト教でもイスラム教でもユダヤ教でも何教でもありうる。日本の「葬式仏教徒」も「文化的仏教徒」と名乗ればよいと思う。

*3:ペストンのこの記事は、このメディアに彼が持っている「個人ブログ」の1本目の記事となっている。今後、ペストンはここにも書くようになるのかもしれない。

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独立分詞構文、過去分詞の分詞構文(ペトル・チェフ、現役最後の試合)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。分詞構文は大学入試でも実用英語でも重要な項目、見かけたらよく確認するようにしておきたい。

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今回の実例は、UEFAヨーロッパ・リーグ(旧UEFAカップ)決勝進出を決めたアーセナルの正ゴールキーパーで、今シーズンをもって現役を引退することが決まっているペトル・チェフについての記述から。

チェフはかつて10年以上にわたてチェルシーの正ゴールキーパーだったが、2015年にロンドンを横断してアーセナルに移籍。チェルシー時代に試合中に頭を強打したことが原因で、その後はずっとヘッドギアを着用してプレイしている。趣味はドラムの演奏で、スポーツではサッカー以外にアイスホッケーもやるという人で、今回見る文章に引用されている本人発言でもそのことへの言及がある。

ヨーロッパ・リーグ決勝での対戦相手は、フランクフルトをPK戦の末に制したチェルシーで、チェフにとっては長年在籍した古巣との国際舞台での決勝が、現役生活最後の試合となる。ただでさえ「ロンドンの2チームが、えらい遠いところで行われる決勝で対戦」ということでもろもろ熱くなっているところに、彼の場合はなおさら劇的なおぜん立てが整っている、という感じだ。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

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倒置、関係副詞(スーダン情勢とサウジアラビア)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。《倒置》は、知らないと文意を正しく取れない文法項目なので、しっかり見ておいてもらいたい。

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今回の実例は、時事的なトピックに関する論説記事から。

アフリカ東部に位置するスーダンで、30年にわたって強権政治を行ない、ダルフール紛争南スーダン(現在は独立国)での苛烈な武力弾圧を行なってきたオマル・アル=バシル大統領に反対する民衆のデモが、政権側の圧力にも負けず粘り強く行動した末に、国軍が政権側のデモ鎮圧という意向に従わず、今から1か月ほど前に、逆に大統領を退陣に追い込むという、誰もが驚かずにはいられないようなことが起きた。日本語版ウィキペディアにも少し詳しく出ている。(5月11日追記: 本稿初出時、この段落の冒頭の一部が欠けていました。編集時にブラウザの動作が重くてカーソルがわけのわからないところに飛んでいたことによるミスです。失礼しました)

そして、2011年のいわゆる「アラブの春」を記憶している人なら誰もが、あの民主化運動の「春」のあとの諸国の様子、特にエジプトの、打倒されたムバラク政権より強権的でデタラメなシーシー政権の成立などを思い浮かべて「スーダンは二の舞にならぬように」と思っているわけだが、「アラブの春」後の中東・北アフリカ世界では結局前より強権的な政権ができた、という展開のほかに、もう一つ大きな懸念材料がある。象徴的なのがリビアで、「権力の空白」が生じれば各地の軍閥がのしてくるし、国境に意味を見出さないイスラム主義勢力も伸長する。スーダンについてもその懸念を指摘する人々は少なくない。

そして、そこに絡んでくるのが、いろいろとアレな面の多いサウジアラビアだ。

というわけで今回の記事: 

www.theguardian.com

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the moment + S + V, O+S+Vの形の文, 条件を表すif節, 省略(テリー・ジョーンズを偲ぶ盟友たちの言葉)

今回の実例もTwitterから。

テリー・ジョーンズの死去を受けて、前回ジョン・クリーズ(居丈高キャラ、上官キャラ)のツイートを見たが、今回は同じく「モンティ・パイソン」の一員で軽薄キャラ、おしゃべりキャラとして地味キャラ、まじめキャラのジョーンズと組んだスケッチに印象的なものが多かったエリック・アイドルのツイートを。 

 最初にこれを読んだとき、「すばらしい言葉だなあ」と思った。芸能人の不倫でも、公費を受けることをやめることにした王族の「自身のブランド化」でも、小説家の「自分の好きな服装をして、自分の望む通りの人称代名詞を使ってほしいと言って、自分の望む相手と一緒になればいいけれど、性別というものは現実にある」というツイートでも、何かを見れば過剰に「わが事」にして憤激したりするのが当たり前という言語空間ばかり見ている目には、一服の清涼剤のようだ。こんなにはっきりと悲しみを表しながら、なおかつ「でも君たちは笑ってていいんだよ。そうできる立場なんだから」と言える人は、本当に人間性豊かで知性のある人だと思う。

というわけで、英語として見ていこう。

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形式主語itの構文, feelを使ったSVCの文, 【ボキャブラリー】a man of ~ (ジョン・クリーズによるテリー・ジョーンズ追悼の言葉)

今回の実例はTwitterから。

ジョン・クリーズは、亡くなったテリー・ジョーンズと同じく、英国のコメディ集団「モンティ・パイソン」の一員だった。モンティ・パイソンは6人の集団だったが、ジョーンズに先立つこと約30年、1989年にはグレイアム・チャップマンが48歳の若さで病死しているので、6人中2人を失ったことになる。そのことをクリーズは次のように述べている: 

最後の "Two down, four to go" は、「2人が倒れた。4人はまだこれからだ」という意味。あまり上品な言い方ではないというか、軍隊が敵の小隊をやっつけようとしているときに「2人は片づけた。残りは4人だ」と伝達しているような文体で、これはパイソンズでのクリーズの役回りにのっとった言い方をしているのだろうと思う。

ツイートの最初の方に戻って2文目: 

It feels strange that a man of so many talents and such endless enthusiasm, should have faded so gently away...

《形式主語》のitと、《真主語》のthat節という構造で、なおかつbe動詞ではなくfeelを使った《SVC》の文になっている。文意は、be動詞なら「~である」だが、feelが用いられていると「~な感じがする」ということになる。

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感情の原因・理由を表すto不定詞(副詞的用法), 同格のthat, 主語とbe動詞の省略, 使役動詞(テリー・ジョーンズ死去)

今日の実例はTwitterから。

歴史家で映画監督でコメディアン(「モンティ・パイソン」の一員)のテリー・ジョーンズが亡くなった。2016年秋に希少疾患である「前頭側頭型認知症 (Frontotemporal dementia、FTD)」由来の「原発性進行性失語 (primary progressive aphasia、PPA)」にかかっていることを公表し、以後は芸能生活からは引退して、ゆっくりと言葉(自分以外の誰かとの意思疎通の手段であり、自分の考えを表す術)が失われていくこの病気についての啓発活動となるようなことを少し行なっていた。栄誉ある賞を受賞し、トロフィーを受け取っても、何も言葉が出てこないという自身の姿を、臆することなく人目にさらしていた。下記の映像はジョーンズの芸能生活の節目となった5つのポイントを回顧するという主旨で編集されているが、最後の5つ目がその「言葉の失われた状態」の映像だ(再生ボタンを押すとすぐにそこから再生されるように設定してある)。「言葉の人」だったジョーンズのこの姿を見るのは悲痛なことである。何よりも本人が一番、つらいだろう。歩いたり笑ったり、動作でボケをかましたりすることはできて、「言葉」だけ失われていく病気なのだ。

 

訃報が流れてすぐにTwitterは追悼のコメントであふれかえった。それらのコメントの主には、一般のファンの人たちも、ジョーンズを敬愛する下の世代のコメディアンたちも、映画を作る人たちも、ジャーナリスト、メディア業界人もいたし、ジョーンズと同じ種類の病—―認知症——に関する活動をしているチャリティ団体のアカウントなどもあった。ジョーンズの病気のことは広く知られており、この訃報に、発言者の誰もが純粋な悲しみと故人への敬意を表現していた。

今回実例として参照するのは、そういったコメントの中にあった、非常にフォーマルな形で弔意を示す文面となっているものを2つほど。

まずはアルツハイマー・ソサイアティ: 

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関係代名詞とbe動詞の省略、進行形の受動態、現在完了進行形, やや長い文(ハリー王子夫妻とタブロイド、本当は何が起きているのか)

今回の実例は、ガーディアン/オブザーヴァー掲載の論説記事から。

今回の記事を書いたのはアラン・ラスブリジャー。現在は、オックスフォード大学でマララ・ユスフザイさんが在籍する学寮(コレッジ)の学寮長をつとめ、ロイターのジャーナリズム研究所のチェアでもあるが、1995年から2015年5月までの20年にわたってガーディアンの編集長だったジャーナリストだ。彼の指揮下でガーディアンは紙媒体からネット媒体への切り替えとグローバル・ブランド化に成功し、ウィキリークス報道(2010年から、ウィキリークスがアレな方向に行くまで)やエドワード・スノーデンによる暴露の報道(2013年から)を手掛けた。また、ガーディアンは労働党との関係が深い新聞だが、労働党のブレア政権が推し進めたイラク戦争に際して、開戦前にブレア政権のプロパガンダと同時に、「国際法に照らして違法である」という論説を多く掲載するなどしていたし、開戦後は英軍によるイラクでの人権侵害(拷問、拷問致死など)についても報じてきた。英国内におけるロシアによる暗殺事件など政治的に微妙な案件でも、記者の調査報道を止めたりはしなかった。つまりいろいろとパネェことをやってきた「恐れ知らず」のジャーナリストだ。

そのラスブリジャー前編集長の大きな業績のひとつが、今は廃刊したタブロイド紙、News of the World紙(The Sunの日曜版)による違法・不法な電話盗聴についての調査報道だった。今から約10年ほど前のことである(→詳細)。このルパート・マードック傘下のタブロイドの盗聴のターゲットとなり、プライバシーを侵害されていたのは王族や著名人(芸能人、スポーツ選手など)、そして全国的に関心を集めた刑事事件被害者といった人々。そしてこの盗聴疑惑は、2011年から12年にかけてより広範に「マスコミの取材活動一般」について行われたレヴェソン・インクワイアリーへとつながっていくが、このインクワイアリ―の結果は「骨抜き」と言うよりないようなもので(マスコミ業界の自主規制のための業界団体ができたのだが、深刻なプライバシー侵害を律するようなものではない)、このときに指摘されたような問題はおさまっていない。2020年早々世界を騒然とさせたハリー&メガン(メーガン)の「離脱」問題の根は、(王室内での「いじめ」とかではなく)こういうところにある。

……とざっくり書いてきたが、細かいことを書こうとしたらきりがないのでざっくりしすぎな点はご寛恕いただきたい。そもそもハリー王子のお母さん(ダイアナ妃)はイギリスのマスコミの過剰な報道の被害者だったし、お兄さん(ウィリアム王子)もそうだ(ウィリアム王子の妻であるケイトさんは悪質な盗撮被害にあっている)。パパラッチがダイアナさんを追いかけ回していた時代より今はさらに「セレブ・カルチャー」が進んでいて、ああいった「セレブねた」の消費者の要求も高まっているのだろう。私は個人的に英王室に興味があるわけではないので普段は観測範囲にも入ってこないのだが、ハリー王子がこういうことになってみるとあれこれ目に入る機会が増え、そうして接することになったどこかの誰かの発言やメディアの記事の見出しに唖然とすることも増えた。

そういった「騒ぎ」の背景にあるのが何なのかについて、人々は「報道されていること」に基づいて、ああだこうだと自分の意見を言っているが、その「報道されていること」は、起きていることのすべてではない。タブロイド紙は自身に都合の悪いことは報道していない。それを指摘しているのが今回のラスブリジャー氏の記事である。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

この記事の性質については、下記のようにいろいろな人々がまとめている通りである。英国のタブロイドが自分たちに都合の悪いことを伏せて書き立てていることを断片的につなぎ合わせたような日本の女性週刊誌やTVワイドショーの「(自称)報道」だけを見て「ハリーが悪い」みたいなことを知った顔をして述べる前に、知っておくべきことがあるわけだが、それを知るために読むべき記事があるとしたら、この記事だ。読みながら「これ、暴露しちゃって大丈夫なのかな」と思わなくもないが、大丈夫なのだろう。

 

 

 

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前置詞のbut, 接続詞のbut, 形式目的語, 引用符の使い方(ハリー王子のスピーチ)

今回の実例は報道記事の見出しから。

これまた前回の《前置詞+whom》と同じく、少し前の日本で流行っていてまだまだ支配的といえる力があるらしい「英文法不要論」の立場からは「教えなくてもいい英語」と扱われていたものだが、実際には、普通にがんがん使われている。

記事はこちら: 

www.bbc.com

トピックは、最近日本でも大注目の*1ハリー王子(サセックス公)の「引退」。ハリー王子は、日曜日(19日)に「引退」表明後初めて公の場でスピーチをおこない、その内容が報道されている。

*1:都内のコンビニの雑誌コーナーで見かけた女性週刊誌の表紙に、非常に毒々しいメガン(メーガン)disの言説のカケラを見て、思わず目を逸らしたんだけど。

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of whom(前置詞+関係代名詞の目的格)(今回のセンター試験)

今回は変則的に、センター試験で取り上げられていた文法項目から。

センター試験の英語は、第2問が文法・語法問題である。第2問Aが単純な空所補充で、第2問Bが整序英作文(並べ替え)だ。Aの方は特に解説すべきこともないような、つまり解答する立場だと、知らなければどうしようもないような問題が多いので見た瞬間わからなかったら捨てるようにした方がよいものが多いのだが、Bの方は習った文法の知識を使って考えれば解ける場合がほとんどなので、ぱっと見てわからないと思っても、早々と諦めてしまわずに少し考えて、積極的に点数を取りに行きたい設問である。

今年のセンター試験(2020年実施、2021年度の入学者用の試験)では、この整序英作文が3問あって、どれも平易だった。1問目は絵にかいたように美しい仮定法過去完了で、仮定法をかなり多く取り上げている当ブログを読んでくれていた受験生がもしいたら、内心、ガッツポーズだっただろう。

そして2問目。《前置詞+関係代名詞の目的格》で、選択肢にwhomがあった。Twitterでこのwhomについて「もう使わないという風説が流布されている」との指摘があり、その後、私の観測範囲で多少ざわついたのだが、私の知っていることでいえば、かつての「受験地獄」時代への批判がなされた時期(いわゆる「ゆとり教育」の時期)に、「詰め込み・暗記への批判」から、「whomなんてのはもう使わないのだから、教えるのをやめたほうがいい(知らなくても構わないような単語を生徒に暗記させるのはやめるべきだ)」という言説が出てきていた。だがそのような言説のいう「もう使わないwhom」は、文の中の目的語のwhomで、前置詞の目的語となっているwhomはそれとは別だ。

 

「文の中の目的語のwhom」とは次のようなものである。

  John is the man whom I met at the business conference in Paris. 

こういうwhomはもうめったに使われない。それ以前に目的格の関係代名詞なので省略されることが多いのだが、もし関係代名詞を書いておくならばここはwhoにすることがほとんどだろう(thatを使うこともあるかもしれない)。

  John is the man (who) I met at the business conference in Paris. 

 

これとは別に、「前置詞の目的語となるwhom」がある。これはwhoで代替することはない。

  John and Steve, both of whom are from Boston, have been teaching English in Japan for more than three years.

 

今回のセンター試験で出題されたのは、こういうwhomである。

f:id:nofrills:20200120050033p:plain

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「~だけ余分に長い」の言い方(ベルファスト・マラソンでの珍事)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。読めばわかるけれど、自分で書こうとするとなかなか思いつかないという類の表現だと思う。大学受験で英作文が課される人などは、この項目の例文は基本文としてしっかり頭に入れておくとよいだろう。

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今回の実例は、5月5日(日)に北アイルランドで開催されたベルファスト・マラソンでの珍事についての報道記事から。

この大会は、北アイルランド紛争中の1982年に開始された。伝統的に(「伝統」というには短いが)5月1日に行われてきたが、今年は5月5日(日)の開催となり、キリスト教根本主義原理主義)の立場からは「安息日にけしからん」という抗議行動が起きたそうだ(北アイルランドだから、誰も驚かない 。ちなみにここで抗議している「フリー・プテスビテリアン」という教会が、Brexit報道でおなじみのDUPの支持母体。DUPを「北アイルランド地域政党」って流してるとわけわかんなくなりますよ。あれは宗教政党だから)。

一方で、「フリー」のつかないプレスビテリアン教会は、ランナーや応援の人々に施設を開放していたそうだ。

そのベルファスト・マラソン、今年からコースがアップ・ダウンが少なくなるように変更になったそうだ*1。そして、そのコース変更に伴って、今回の珍事は発生した。

*1:ベルファストは大きな川の河口にある港町で、西の方は丘陵になっている。そういう地形なので、Google Street Viewで見るとわかると思うが、けっこう起伏がある。

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付帯状況のwith, 現在分詞(サッカー欧州チャンピオンズ・リーグ準決勝)【再掲】

このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。苦手意識を持っている人が多い付帯状況のwithの用例としてここまでわかりやすいのはなかなかないというくらいの、わかりやすい実例だ。

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今回の実例は、サッカーの欧州チャンピオンズ・リーグ(以下「CL」)の準決勝、リヴァプールFCFCバルセロナの試合の実況テキストから。

CLの準決勝は対戦する2チームそれぞれのホームで行われ、計2試合の得点を総合して勝敗を決する。

今日のカードでいうと、第1戦 (first leg) はバルセロナのホーム(カンプ・ノウ)で5月1日に行われ、バルサが3-0という大きな得点差でリヴァプールを下していた。そして第2戦 (second leg) が7日(日本時間では8日未明)。3-0をひっくり返すのは簡単なことではない。

そのリヴァプールは、1日のCLの試合のあとで行われたイングランド・プレミアリーグでの試合で主力選手(フォワードのサラー)が負傷してしまい、その前から負傷欠場していたもう一人の主力(同じくフィルミーノ)と合わせて主力2人を欠いた状態で第2戦を戦わなければならないことになっていた。というわけで、この時点でバルサの決勝進出はほぼ決まり、みたいなムードになっていた。しかし……

と、当ブログはサッカーのブログではないのでこういう話はこの辺で。要は、リヴァプールはとても余裕があるとは言えない状態でホームに強豪を迎え撃つ、という試合だったということを、前提として把握しておいていただけると、今回の実例は読みやすくなるかと思う。リヴァプールが決勝進出するためには、少年マンガのような奇跡が必要、という状況だ。

というわけで、今回参照するのはこちら: 

https://www.theguardian.com/football/live/2019/may/07/liverpool-v-barcelona-champions-league-semi-final-second-leg-live?page=with:block-5cd1ed238f084f582f895174#block-5cd1ed238f084f582f895174

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【ボキャビル】「ぬいぐるみ」を英語で何という? (英下院でのPMQs)

センター試験の前日なので、今日は文法用語とかの出てこない、読んでも読まなくてもいいような軽い読み物という感じで。

今からほぼ1か月前、2019年12月12日に英国では総選挙(下院議員の選挙)が行われ、ボリス・ジョンソン率いる保守党がバカ勝ちした。英国会はその翌週にはクリスマス休暇に入り、年が明けて1月になってから再び審議が行われている。

そこでの審議の内容などはニュースを見ていただくとして、英国下院では慣例として、毎週水曜日の正午からの時間帯に「首相質問 the Prime Minister's Questions」が行われる。The Prime Minister's Questionという言い方では、首相が質問する側にいるように解釈するしかないように思うが、実際、正式には「首相への質問 the Questions to the Prime Minister」と言うのだそうだ。詳細は下記ウィキペディア参照。

en.wikipedia.org

これは英語圏では「各単語の頭文字を取って略語とする」というおなじみの方法で略語化されており、広く一般にPMQsと呼ばれている。Twitterでは毎週、現地で午後の時間帯になると #PMQsというハッシュタグがTrendsの上位に入ってくる。

ここでは質問に答えるのは首相で、質問をするのは議員たちである(日本語では英国のPMQsのことを「党首討論」と呼ぶが、不正確である)。開かれた討論なので、所定の手続きを踏めば平議員でも首相に直接質問をぶつけることができるのだが、最も主要な部分は、英語で the Opposition と位置付けられている政党、つまり「最大野党」の党首と首相との間で行われる質疑応答である。野党党首の質問が終わると、第3党の議会でのリーダー*1が何問かの質問をおこない、そのあとは与野党問わず議員たちの質問と首相の応答がおこなわれる。基本的に一問一答の形式で、話題は多岐にわたり、「私の選挙区ではかくかくしかじかという問題が起きており、全国的に報道もされている。これについて首相はどうお考えか」といったような質疑応答が次々となされる。英国について基本的な知識のある人なら、リスニングの練習に使えるはずだ。

野党党首は、通例6つの質問を用意してこのPMQsに臨む。この質疑応答にはけっこう長い時間がかけられ、そこでは華麗な弁論術がこれでもかこれでもかとばかりに見せつけられるのが常ではあるが、最近はいろいろとひどいので、首相の側がひたすら「うんこー」と繰り返しているに等しいようなこともある*2

現在の最大野党党首である労働党ジェレミー・コービンは、何十年も国会議員をやってきて議論・討論は(オックスフォード仕込みの派手なレトリックは使わないにしても)基本的に手堅く上手い人で、首相を相当なところまで追い込んだこともあったが、12月の選挙の結果があれでは、まあどうしようもない。

……ということを前置きとして、今回の記事。The politics sketchという、英国の新聞によくある「政治・政局・政況点描」といった趣のコラムで、ジョン・クレイスという名物記者が書いた、軽妙な筆致と皮肉なトーンが売り物の文章だ。読解教材としてはやや難度が高いのだが、今回は単語だけ見るということで、これを素材とすることはお許しいただきたい。

www.theguardian.com

 

*1:必ずしも党首とは限らない。スコットランドのSNPは、党首がウエストミンスター議席を持っていないので「党首」ではなく「ウエストミンスターの議会のリーダー」が質問に立つ。

*2:日本の国会で自民党の総裁である首相が、立憲民主党の議員に対して「きょーさんとー」とヤジってニヤニヤしていたが、このような「左翼嫌い」が身内で受けるエンタメとして定着、みたいなことは英国でも見られることで、っていうか英国の場合それを身内だけでなく表でやるようになっててひどい。

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コロン (:) の使い方, 現在分詞の後置修飾, more and more, 進行形の受動態, 《程度》を表すby,【ボキャビル】wait to do ~, pick up ~, be fed up with ~など(格安航空便とイングランドの開発格差)

今回の実例はビジネスニュースに関連した記事から。

1990年代半ば、Windows 95が登場して人々がインターネットというものに接するようになったころに社会に浸透したのが、支店を持たず、航空券が買えるのはインターネットと電話のみで、機内食などは有償提供となる「格安航空」というビジネス*1だった。特に欧州の諸都市を行き来する、せいぜいが数時間程度の便では、通常の航空会社のサービスは過剰でもあり、そういう特に要らないサービスがない分、費用が安く済む格安航空は、出張や休暇旅行、スポーツ観戦旅行などで人々の第一の選択肢として定着している。(以上、とてもざっくりした説明なので、より正確なところはウィキペディアの項目などをお読みいただければと思います。)

英国の格安航空といえばeasyJetが一番有名だろう。お隣アイルランドの会社であるRyanairも英国でよく利用されている。そしてもうひとつ、正確には「格安航空」とは言えないが料金面では格安の会社がFlybe(フライビー)だ。

Flybeは結構歴史があり、元々は1979年にJersey European Airwaysとして設立された。その後いろいろあったあと、2000年に「ブリティッシュ・ヨーロピアン・エアウェイズ (BEA, British European Airways)」となり、2002年に現在の社名となった。その後、英国航空(BA)の近距離便の多くを引き継いで運航することになり、easyJetやRyanairを超えて英国では国内線で最も大きなシェアを持つようになった。拠点はイングランド南西部、デヴォン州のエクセターだ。下に地図を貼っておくが、デヴォン州の西隣にあるのが、今回の実例の記事に出てくるコーンウォール州である(本エントリのアップロード時に、下記、地図の貼りこみを失敗していたのですが、アップロードから3時間ほど後に修正しました。お見苦しくてすみませんでした)。

 

エクセターの位置の位置図
Contains Ordnance Survey data © Crown copyright and database right, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

 

このFlybeという航空会社は、大きなシェアを持ち、つまり人々の足として社会の中で重要な役割を果たしていながら経営状態が芳しくなく、2019年にはヴァージン・グループ傘下に入り、2020年早々に社名の変更が予定されていた。だが、実際にはそれ以上に経営が悪化していて、2020年1月も前半の段階で、経営破綻が危惧されるようになっていた。最終的には15日に政府の救済策が閣僚たちの合意を取り付けて(閣議決定されて)、当面の危機は回避されたのだが、今日見る記事は、そういう展開を見せる前の記事。こちら: 

www.theguardian.com

*1:「格安航空」自体はそのずっと前からあるにはあったが、庶民が休暇に出かけたりする際に第一の選択肢となるようになったのは90年代半ば以降だ。欧州ではネットの普及のほか規制緩和の流れなどもあり、この動きが促進された。

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現在完了の受動態, 引用符の使い方, there is said to be ~, 不定冠詞の用法, 使役動詞, 接続詞though

今回の実例は、「ハリー&メーガン」ことサセックス公夫妻の突然の "引退" 宣言についての、わりと早い段階での報道記事から。

前回、王族主要メンバーによる直接会合(というかおばあちゃんとパパと息子たちの家族会議)を受けてのエリザベス女王ステートメントを取り上げたが、実はこのエントリをアップするつもりで準備してあった。ステートメントが出て、その文面が素材としてよかったので順番が逆になってしまったが、今回の記事は、サセックス公夫妻の突然の宣言についての衝撃のさなかで、まだ詳細がわかっていなかった(語られていなかった)ころの報道記事である。

記事はこちら: 

www.theguardian.com

 

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