7月末にマージーサードのサウスポートで子供たちが何人も連続して切り付けられ3人が亡くなるという痛ましい事件があってからしばらく続いていた英国(主にイングランドと、北アイルランド)の極右のネットワークによる暴動は、日本でも関心を集めたようだ。ただその関心の少なからぬ部分が「背後にロシアが絡んでいる」という誤情報、もしくは「ロシアがらみでは」という推測に基づくものだったようで、英国ウォッチャーとしては「ロシアなんか絡んでこなくたって英国では極右は活動してます。もうずっと昔っから」と指摘しなければならないだろう。イーロン・マスクが英国でものすごい影響力を持っているかのような認識もあるようだが、英国でのインフルエンサーはマスク以上のがごろごろしているわけで、「マスクがー」ってのもちょっと違う。
そう思ってブログを書こうとしているのだが、何せそんなことは書いてて楽しいわけでもなんでもないのだから、全然やる気にならない。しかもこの暑さである。ここ数日は、東北地方にいきなり上陸した台風のおかげで、その南側に入っていた関東地方は熱帯の空気を直送していただいている状態で、気温は35度程度と今となってはさほどではない気温かもしれないが、「暑さの質が違う」としか言いようがなく、もうほんとに何もできない。
そうやってだらだらしているときに、イングランドでまた、子供が刺されるという痛ましい事件が起きた。今度はロンドン、それもレスター・スクエアだ。東京で言えば新宿アルタ前とか、六本木交差点とか、銀座和光前みたいな、超メジャーなスポットである。
そしてまた、Twitter/Xでは、サウスポートのときのように、「子供を襲う外国人*1」というステレオタイプを一方的に連想しては、(石原慎太郎が何度も繰り返し強調して言っていたような)「悪い外国人」という言説をばらまこうという動きが見られた。
今回、それをちょっと見ていたので、そのことを記録しがてら、その過程で遭遇した英語の語法実例について書いていきたい。
◆目次◆
- レスター・スクエアでの事件
- 英文法・語法の実例
- 極右デマが始まりそうだったネット上の界隈
- アンドルー・テイトの投稿のリプライ欄
- Twitter/Xという場
- 事件翌日、容疑者の名前が判明して……
- おまけ
*1:immigrant「移民」やasylum seeker「難民申請者」とカテゴライズされる人々だが、日本語では「外国人」と表現するのがいいと思う。