Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

Twitter/Xでアンケートをやっている件で、英文解説をしておきます。 #ガザ市民のための声翻訳

↑↑↑ここ↑↑↑に表示されているハッシュタグ状の項目(カテゴリー名)をクリック/タップすると、その文法項目についての過去記事が一覧できます。

【おことわり】当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。

ふとした思い付きで、Twitter/Xで、4月3日の18時過ぎから、下記のアンケートを実施しています。4日の18時過ぎまでご回答いただけるようになっているので、Twitter/Xのアカウントをお持ちの方は、ご協力いただけると嬉しいです。「何のための調査」といったこと、というか調査の目的は特にありません。何となくの思い付きです。現時点で表示回数が1100回程度、回答数は130件程度です。

ここでは「読む」の内容を、「英文を自力で読める」「英文を日本語にできる(翻訳できる*1)」と定義し、なおかつ「どうしてそのような日本語になるのか(そのような解釈になるのか)を(文法的に)説明できる」ということも範疇に入れてあり、それらはわりと細かく分けて選択肢にしてありますが、「読めない」は4番目の選択肢の「上記以外」にまとめてしまってあります。これは、私のツイート/投稿がリーチする範囲が「読める」人たちに偏っていると思われるためで、選択肢を6つくらい設定できたら「読めない」方面ももう少し細分化していたと思います。

で、「自力で読めるし、日本語にできる」という点について、ただこの英文をぽーんと投げておいただけでは「間違いのない解釈(読解)ができているかどうか」という点について疑問を残したままになってしまうかもしれないので、これまた思い付きで、こちらで補足しておくことにしました。

最初はTwitter/Xでツリー形式で続けようとしたのですが、そうすると「問題集の答えを見てから自分でやって、自力でできたと勘違いしてしまう」みたいなことが起こりえるので(学習においてはそれは必ずしも悪いことではありませんが)、場所を分離してこっちでやることにします。

なお、英文のソースはこちらです(文字数があふれてしまったので、アンケートでは一部カットしてあります): 

ハッシュタグになってる "R4Today" というのは、BBC Radio 4というラジオ局のTodayという番組のことです。どういう番組かは下記ウィキペディアにまとまっています。

en.wikipedia.org

ちなみに、文の主語の "Lord Ricketts" は、Peter Rickettsのこと。ここでの本筋とは関係のない細かいうんちくになりますが、英国の外交畑の大物で、駐フランス大使、外務次官、国家安全保障顧問など要職を歴任してきた人です。英国特有の制度で「一代貴族 life peer」というのがあるのですが、この人もそれでBaron Ricketts of Shortlandsとなっており、「Baron なになに」に敬称(一般人のMrに相当するもの)をつけると「Lord なになに」になるので、BBC Radio 4のツイートでは "Lord Ricketts" と表されています。

en.wikipedia.org

ちなみに「Lord なになに」については説明できなくても英文はちゃんと読めるので、このうんちくについては、「やけに目をキラキラさせて早口でしゃべってるな……」くらいの感じで聞いてください。

では本題に入ります。

Lord Ricketts, former national security adviser, tells R4Today 'we've reached the point' for the UK to no longer sell arms or trade with Israel, after seven aid workers, including three British citizens, were killed by an Israeli strike in Gaza.

薄いグレーにしたところ(私のアンケートのツイートではカットしたところ)は、コンマとコンマにはさまれた《挿入》なので、外して考えてしまって大丈夫です。で、全体の構造の骨格となっている部分は、

Lord Ricketts tells R4Today ...

です。「リケッツ卿が、Radio 4 Todayに、……と言った」ということです。

構造の骨格はそれなのですが、報道としては、最も重要な部分は「……」のところ、つまり卿の発言内容です。

'we've reached the point' for the UK to no longer sell arms or trade with Israel, after seven aid workers, including three British citizens, were killed by an Israeli strike in Gaza.

リケッツ卿の発言をそのまま文字にした箇所は、《引用符》でくくられて、ツイートを書いたBBCの人が書いた《地の文》は引用符の外に置かれています。細かいことになりますが、この引用符について。英語では引用符は、誰かの発言をそのまま、「えー」とか「ていうか」とかいった意味のないつなぎ言葉は除外するとしても、基本的に一字一句漏らさないように書き起こすときに使います。日本語だとそこがゆるくて、例えば政治家が「しっかりと見極めた上でスピード感をもって対処していく」と述べたと新聞記事に書かれている場合でも、実際の発言はもっとだらだらと長かった(つまり記事を書いた人が勝手に簡潔に書き換えてしまった)、ということもありますが、英語の慣習では、そういうときは引用符は、元の発言にあった文言だけにつけることになります。例えばこんな感じ: 

〇〇氏は、事態について、しっかりと「見極め」た上で「スピード感をもって対処」していかねばならないと語った。

あと、BBC Radio 4のこのツイートでは二重引用符ではなく一重引用符が使われていますが、一般的には、こういうときは二重引用符を使うことの方が多いかもしれません。こういうのはその媒体ごとの表記基準によるもので、どの媒体にも共通したルールがあるわけではないようです。どこかで英語で文章を書くときには、そこで要求される表記基準(スタイルガイド)に従ってください。自分で日記とかブログとかを書く場合には、その中で統一されていれば(読者が迷わなければ)大丈夫です。

細かいことがいろいろあるのでなかなか本題に入れませんが、いよいよ本題。

'we've reached the point' for the UK to no longer sell arms or trade with Israel, after seven aid workers, including three British citizens, were killed by an Israeli strike in Gaza.

太字で示した部分は《to不定詞の意味上の主語》の構造。

下線で示した部分は《分割不定詞》です。toと動詞原形のsellの間に、副詞句の "no longer" が入っている形ですね。

その前、青字で示した "reached the point" からこの不定詞までの部分は、《got to the point where S + V》のバリエーションの構文で、「英国が、もはや、イスラエルを相手に武器を売ったり貿易したりしなくなるという点にまで到達した」(←なるべく直訳してあります)ということです。

また話が脱線しますが、今こうやって解説を書いてて、この部分、なんでS+Vの構造を取らずに不定詞なのかなあということが見えてきたかもしれません。S+Vの構造にしようとすると、時制をどうする――というか《法》をどうする――というのが難しいんではないかと。仮定法使います? あるいは法助動詞でmightとかcouldとか使います? そうすると意味が強く出すぎちゃいますね。外交の言葉としては強すぎる。そういうときに不定詞でふわっとした感じで断言するのは、意外とおさまりがよいのかも。

続き: 

... after seven aid workers, including three British citizens, were killed by an Israeli strike in Gaza.

ここは特に難しいポイントはないですね。 "after" は接続詞で、その節内の主語は "seven aid workers", 述語は "were killed" で、全体としては「英国人3人を含む支援ワーカー7人が、ガザにおけるイスラエルによる攻撃で殺されたあとに」。

というわけで、英外交界のご意見番的なリケッツ卿が、ワールド・セントラル・キッチンというNGOイスラエル政府と話を通して調整もしてあったのに、そのNGOの支援物資輸送車をイスラエルが爆撃して現場で支援活動をするスタッフ7人が殺された、というとんでもないことを受けて、もはや英国はイスラエルに兵器を売り渡すことはできないというところに来ているという見解を、ラジオで示したわけです。

実際にどうなるかはわかりませんが。

ワールド・セントラル・キッチン支援車両・支援ワーカーに対する爆撃の件: 

※「シファ病院破壊がかすむほど、ひどい」と書いていますが、病院破壊はかすんじゃいけないことなんです。それがかすむほどにひどいことが行われた。それは、単に7人の「ヒーロー」が殺されたからではなく、その殺害の持つ意味がひどいということです。つまり、WCKのようなイスラエル政府とよろしくやってるNGOでさえ追いかけられて爆撃されて殲滅されるなら、誰にガザ地区支援ができるというのか、ということ。

 

「2023年10月まで、パレスチナなんて名前を聞いたことがあったくらいだし、ガザ地区パレスチナがイコールではないということも知らなかった」という方にもおすすめできるブックリスト: 

 

5月にいい本が出ますよ。筆者はガザ出身の作家でパレスチナ自治政府文化大臣でもあるアテフ・アブー・サーイフ(現在はヨルダン拠点)。翻訳者はエドワード・サイードの著作の翻訳や「デモクラシー・ナウ!」で知られる中野真紀子さん。

 

  •  

*1:「翻訳」という表現を使ってしまうと解釈の幅が出て「直訳は翻訳かどうか」みたいな疑問が出てきてしまうので、あえて回りくどく「日本語にする」と表現しています。

当ブログはAmazon.co.jpのアソシエイト・プログラムに参加しています。筆者が参照している参考書・辞書を例示する際、また記事の関連書籍などをご紹介する際、Amazon.co.jpのリンクを利用しています。