Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

感情の原因・理由を表すto不定詞(副詞的用法), 同格のthat, 主語とbe動詞の省略, 使役動詞(テリー・ジョーンズ死去)

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今日の実例はTwitterから。

歴史家で映画監督でコメディアン(「モンティ・パイソン」の一員)のテリー・ジョーンズが亡くなった。2016年秋に希少疾患である「前頭側頭型認知症 (Frontotemporal dementia、FTD)」由来の「原発性進行性失語 (primary progressive aphasia、PPA)」にかかっていることを公表し、以後は芸能生活からは引退して、ゆっくりと言葉(自分以外の誰かとの意思疎通の手段であり、自分の考えを表す術)が失われていくこの病気についての啓発活動となるようなことを少し行なっていた。栄誉ある賞を受賞し、トロフィーを受け取っても、何も言葉が出てこないという自身の姿を、臆することなく人目にさらしていた。下記の映像はジョーンズの芸能生活の節目となった5つのポイントを回顧するという主旨で編集されているが、最後の5つ目がその「言葉の失われた状態」の映像だ(再生ボタンを押すとすぐにそこから再生されるように設定してある)。「言葉の人」だったジョーンズのこの姿を見るのは悲痛なことである。何よりも本人が一番、つらいだろう。歩いたり笑ったり、動作でボケをかましたりすることはできて、「言葉」だけ失われていく病気なのだ。

 

訃報が流れてすぐにTwitterは追悼のコメントであふれかえった。それらのコメントの主には、一般のファンの人たちも、ジョーンズを敬愛する下の世代のコメディアンたちも、映画を作る人たちも、ジャーナリスト、メディア業界人もいたし、ジョーンズと同じ種類の病—―認知症——に関する活動をしているチャリティ団体のアカウントなどもあった。ジョーンズの病気のことは広く知られており、この訃報に、発言者の誰もが純粋な悲しみと故人への敬意を表現していた。

今回実例として参照するのは、そういったコメントの中にあった、非常にフォーマルな形で弔意を示す文面となっているものを2つほど。

まずはアルツハイマー・ソサイアティ: 

 まず最初の文: 

We're very sorry to hear the sad news that Monty Python star Terry Jones passed away today aged 77.

団体が団体名で弔意を示すときの書き出しの決まり文句が、"We're very sorry to hear the sad news that ..." である(「テンプレ」、つまり「テンプレート」「定型文」と認識してよい)。団体名義の文書なので、主語を "we" にするのが第一のお約束だ。

"to hear" は《to不定詞の副詞的用法》で《感情の原因・理由》を表している。

"the news that ..." のthatは《同格》のthatで「~というニュース」の意味。ここまで直訳すれば「~という悲報を聞いて、非常に残念に思っております」となる。

"pass away" はdieの婉曲的な表現*1

"aged ..." は「~歳で」と《年齢》を表す表現で、自由英作文などで使いたいときに使えるようにしておきたい。

  My grandmother died aged 90. 

  (祖母は90歳で死去した)

  Brother aged 12 saves blind toddler's life during first epileptic fit*2 ※報道記事の見出し

  (12歳の兄が、初めててんかんの発作を起こした目の不自由な幼児の命を救う)

 

この書き出しの文のあと、故人の行ないを偲ぶ1文を挟んで、最後はまた決まり文句でしめている: 

Our thoughts go out to his friends and family.

これは「お見舞い申し上げます」に相当する意味の定型表現。信仰を持っている人が信仰を持っている人に宛てる言葉では "Our thoughts and prayers go out..." とすることが多いが、ジョーンズは無神論かな。リチャード・ドーキンスが定年退職したときのディナーでスピーチを行っているそうだ。

「ご友人またご家族のみなさま」が、"friends and family" と、前者は一般名詞だから複数形、後者は集合名詞だから単数形のままであるところなども、しっかり見ておくとよいだろう。いざ、自分で英語でメッセージを書くときに間違えないように。

 

もう1例: 

 ツイート主のガリー・リネカーさんは元サッカー選手で、現役時代に一枚もイエローカードをもらわなかったというプレイスタイルで「ミスター・ナイスガイ」の異名をとった。引退後はBBCのサッカー番組の司会をするなどしているが、Twitterのような場でもキッチリカッキリした折り目正しい言葉遣いをすることで知られている。つまり英語学習者がお手本にできる英語の使い手だ。

テリー・ジョーンズを追悼するこのツイートも非常にフォーマルな、丁寧な文面である。最初の文: 

Saddened to hear of the death of Terry Jones.

これは、先ほど見た "We're very sorry to hear the sad news that..." の定型文と同じく、「テンプレ」といえる定型文。文頭に "I am" が省略された「日記文体」で、"(I am) saddened to hear of the death of ..." で「~氏のご逝去の報に接し、悲しみに暮れております」といった意味合いになる。

そのあとは故人の業績を評価し、最後は感謝の言葉でしめている。

2つ目の文……いや、「文」ではなく名詞句なのだが(日本語の文体でいえば「体言止め」になるところ): 

A comedy genius who along with his fellow Pythons made us laugh for years.

whoは《関係代名詞》の主格で、それに対する述語動詞がmade, これが《make + O + 動詞の原形》の《使役動詞》になっていて、「仲間のパイソンズ(モンティ・パイソンのメンバーたち)と一緒に、私たちを何年にもわたって笑わせた喜劇の天才」という意味になる。

 

今回の訃報で、最も多くの言及がなされていたのが、モンティ・パイソンTVシリーズが終わったあとでジョーンズが監督した映画のひとつである『ライフ・オブ・ブライアン』(1979年)だった。これは、イエス・キリストと同時代に同じ地域(パレスチナ)にいたブライアンという男の生涯を描いた作品、ということになっているが、要は『聖書』がネタで、それゆえ英国内でも町によっては(条例で)上映禁止になったりしたし*3、「宗教冒涜罪」が一昨年かそこらまで(空文化しながらも)存続していたアイルランドでは当然上映禁止になっていた。ノルウェーも上映禁止だったそうだ。そういったことを含め、ジョーンズの生涯と業績についてコンパクトにまとめられているのが報道各社が出しているオビチュアリーである。関心のある方は、下記ガーディアンのオビチュアリーをはじめ、各紙のものを読んでみるとよいだろう。

www.theguardian.com

 

 


Eric Idle - "Always Look On The Bright Side Of Life" - STEREO HQ

 

 

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2020年1月22日, Twitter @alzheimerssoc
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*1:確かにdieという直接的な表現は、このような「気持ち」を表す文面では避けられる傾向にあるが、報道記事などではpass awayよりもdieのほうがよく用いられている。英国の場合に限ったことかもしれないが。

*2:英文出典: https://www.cornwalllive.com/news/cornwall-news/brother-aged-12-saves-blind-3764330

*3:1979年というと、セックス・ピストルズシド・ヴィシャスが死んだ年だ。そんな時代の英国でさえなお、宗教保守は根強かったのだ。2000年代に預言者ムハンマド(を信じる人々)をおちょくった新聞掲載用の戯画が欧州で大騒動を引き起こしたときに英国では「われわれキリスト教徒は『ライフ・オブ・ブライアン』を喜んで受け入れたのに、イスラム教徒ときたら……」という言説があったが、自分たちに都合の悪いことはさらっと忘れているだけである。

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