Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

「推定で~人」と言いたいときの表現【ボキャビル】, 感覚動詞 + O + 原形, 使役動詞make + O + 原形(グレタ・トゥーンベリさんのデモでのスピーチ)【再掲】

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このエントリは、2019年9月にアップしたものの再掲である。感覚動詞(知覚動詞)、使役動詞は絶対に押さえておくべき基本中の基本。確実に知識を定着させておこう。

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今回の実例は、23日の国連気候行動サミットを前に、全世界のいくつもの都市とほぼ同時にニューヨークで行われたデモに参加したグレタ・トゥーンベリ(トゥンベリ)さんが、演壇で行ったスピーチを報じるSky Newsのツイートより。

この日のデモのことは、日本語圏ではどの程度報じられたのか知らないが、英語圏では非常に大きく伝えられていた(下記キャプチャはどちらも日本時間で9月21日の午前5時前に取得。BBC Newsのアプリ、ガーディアンのアプリを立ち上げた場面)。

f:id:nofrills:20190924112703j:plain

 

 

グレタ・トゥーンベリさんについて、今初めて名前を知ったという方には、下記記事がわかりやすいだろう。

newsphere.jp

 

彼女について、既に当ブログでは何度か記事を参照している。下記リンクからたどっていただきたい。

https://hoarding-examples.hatenablog.jp/search?q=%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%BF

 

スウェーデン人の彼女(と支持者ら)はこの8月、温室効果ガスをたっぷり出す飛行機ではなく、ソーラーパネルを備え付けたヨットで大西洋を横断してニューヨークに渡った。到着時の報道は下記エントリ(2件)で参照した。

hoarding-examples.hatenablog.jp

hoarding-examples.hatenablog.jp

 

今回も文法項目としては上記のとカブる部分もあるが、ともあれ、参照先はこちら: 

 

まず第一文: 

An estimated 250,000 people gathered in New York to hear Greta Thunberg speak.

「推定で~人」と言いたいときの定型表現が太字にした部分、《an estimated (number of) ~ people》という表現。estimate ~は「~を見積もる、推定する」の意味で、その過去分詞が形容詞として用いられている形である。

この表現のもう一つのポイントは、peopleという複数形の名詞(peopleはpersonの複数形である)にanという不定冠詞がついていることであろう。それは、このフレーズが元々はan estimated number of ~ peopleという形だったのが、number of が省略されてしまって(たぶん長たらしいだけで意味がないとして嫌われているのだと思う)、an estimated ~ peopleという形になっているからで、文法的にはあまり美しくはない(が、この形は広く一般に使われている)。文法に美を求めるタイプの人も、こればかりは「慣用表現だから」と流すのがよいだろう。この点については下記の語学系質疑応答サイトがわかりやすい。

hinative.com

 

続いて、同じ第一文でもう一つのポイント: 

An estimated 250,000 people gathered in New York to hear Greta Thunberg speak.

ここで太字にした部分は《感覚動詞+O+動詞の原形》の形。「Oが~するのを…する」の意味で、高校で必ず学習する構文である。この文は「グレタ・トゥーンベリが話すのを聞くために、ニューヨークでは推定で25万人が集まった」という意味である。

なお、さらっと流してしまったが、この文のto hearは《不定詞の副詞的用法(目的)》である。

 

次に第二文から: 

"We will make them hear us"

ここは《使役動詞make + O + 動詞の原形》の形。使役動詞のmakeは何らかの強制性を持ったうえで「~に…させる」の意味で、この文は「私たちは、彼らに、私たちの言っていることを聞かせる」の意味。

さらっと流してしまったが、《hear+人》は「人の言っていること(人の話)を聞く」の意味である(いちいち hear her speak と言わなくても、hear her と言えばよい、ということも多くあるわけだ)。

 

この "We will make them hear us." という発言の前に、グレタさんは演台の上から聴衆に向かって "Do you think they hear us?" と問いかけている。聴衆がそれに "No!" と答えたのを受けて、この "We will make them hear us." という発言が出てくる。非常に力強いスピーチである。これを、英語を母語としない16歳の子が行っていることは、日本語圏でももっと注目されてよいと思う*1

 

スピーチの文面は、これを伝えているSky Newsの記事に、一部だが文字起こしされている。「ネイティブのようにペラペラ」ではない「グローバルな英語」の聞き取りの練習にもよいだろう。

news.sky.com

 

「私たちの将来は安泰ではない。私たちは自分たちの教育を受ける機会を犠牲にして、それを今の政治家たちに訴えている」という彼女たちの訴える先は、主に、人為的な地球温暖化など起きていないという「否定論者」たちだ。その中にはドナルド・トランプも含まれており、23日に前を通り過ぎていくトランプ大統領を見つめるグレタさんの映像は、ネットで話題になった。

 

 

Our House Is on Fire: Greta Thunberg's Call to Save the Planet

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No One Is Too Small to Make a Difference

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Greta and the Giants: inspired by Greta Thunberg's stand to save the world

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Greta's Story: The Schoolgirl Who Went on Strike to Save the Planet

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参考書: 

徹底例解ロイヤル英文法 改訂新版

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英文法解説

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*1:まあ、こういうことになると必ず「背後に大人が」云々というのが出てくるのだが、それについては https://twitter.com/nofrills/status/1176235057549209600 と https://twitter.com/nofrills/status/1176235058711035904 をご参照のほど。

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