このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。これもまた、「受験英語」として習うことが実際の英語の読解においてどのくらい重要であるかを示す好例である。
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今回の実例は、前回と同じ記事から。記事の内容に関する解説など前置き的なものは前回のエントリをご参照のほど。
参照する記事はこちら:
前回はこのキャプチャ画像内の最初のパラグラフを見たが、今回は2番目のパラグラフから。
Parents have always looked to each other as well as to medical experts for advice
この部分、文法項目は2つ入っている。順に見ていこう。
look to ~ for ...
まず、上の引用文内で下線で示した部分。これは、look to ~という群動詞(動詞句)と、look for ...という群動詞が重なって、《look to ~ for …》という形になったもの。
今回の実例ではさらにひねりが加わって、look to ~ as well as to ~ for ... という形になっている。このままではわかりづらければ、as well asをandに言い換えて(意味的にはほぼ同じである)look to ~ and to ~ for ...と考えてみるとわかりやすくなるだろう。つまり、look to の目的語が2つあるわけだ。
《look to ~》は、この場合「~を当てにする、~を頼る」の意味*1。
《look for ...》は「…を探す、…を求める」の意味。forという前置詞自体に「~を求めて」という意味があることを確認しておこう。
これらが合わさって、《look to ~ for …》となると、「…を求めて~を頼る」という意味になる。
The young boy looked to Mr Jones for help.
(その少年は、助けを求めてジョーンズ氏を頼った)
ちなみに前置詞の持つ意味について、どうにもごちゃごちゃしてしまってよくわからないという人は、下記の参考書を見てみるとよいだろう。私も電子書籍で持っているが、人に勧めるととてもとっつきやすくてわかりやすいと好評である。ただ学習者が買うなら電子書籍より断然紙のほうがよい(電子書籍は単なるページのスキャン画像の集合体で、書籍内検索など電子書籍ならではの機能は使えない)。
A as well as B
《A as well as B》は「AもBも」とか「BだけでなくAも」といった意味。上で触れたが、内容を解釈するときは、この場合はandと置き換えても構わない。シンプルにandで置き換えれば見た目が軽くなるので、とっつきやすくもなるだろう。
She has a cat as well as a dog.
≒ She has a cat and a dog.
(彼女は猫も犬も飼っている)
では、この文の後半を見てみよう。
but we’re no longer just swapping old wives’ tales in the playground.
no longer
《no longer》は副詞句で、「もはや~ではない」という《全否定》の意味を表す。noはnot + anyで置き換えることができ、《(do) not ~ any longer》と表すこともできる……と文法の授業では説明されているのではないかと思うが、それがどういうことかというと:
You can have this laptop, because I no longer use it.
≒ You can have this laptop, because I don't use it any longer.
(このノートパソコン、君にあげるよ。僕はもう使ってないから)
今回の実例では一般動詞ではなくbe動詞が用いられているが、be動詞の場合、語順は次のようになる:
I'm no longer in contact with my college friends. *2
≒ I'm not in contact with my college friends any longer.
(私はもう、大学時代の友人たちとは連絡を取っていない)
というわけで今回見た文:
Parents have always looked to each other as well as to medical experts for advice, but we’re no longer just swapping old wives’ tales in the playground.
これは「親たちは、助言を求めて医学専門家だけでなく親同士を頼りにしてきたのだが、今では私たちは子供の遊び場で昔ながらの母親同士の情報交換をしているわけではない」という意味。
つまり、母親同士が「うちの子は風邪をひくとのどが腫れちゃって」とか「うちはちょっと熱が出たらもう食べなくなっちゃう」とか言いあったり、「のどには大根がいい」とか「〇〇医院の△△先生に診てもらったらよかった」といった情報交換をしたりするだけではなくなっている、という話だ。
では昨今の親たちは何を話しているのか……ということは、次回に続く。
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*1:ほかに「~を見守る」といった意味もある。辞書参照。
*2:英文出典: https://www.quora.com/I-am-no-longer-in-contact-with-my-classmates-and-friends-How-should-I-start-the-conversation-again