Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

「結論が先」の英語の書き方、分詞の後置修飾の二重限定、形式主語、挿入、助動詞+完了形(エベレストの大混雑)【再掲】

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このエントリは、2019年5月にアップしたものの再掲である。これもまた重要な文法事項がぎゅうぎゅう詰めに入っているので、丁寧に確認するつもりでしっかり見ていただければと思う。

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今回の実例は、エベレストの大混雑についての報道記事から。

ここ数日、見事な青空をバックにしたエベレストの白い稜線に登山家(登山者)たちが列をなしている衝撃的な写真が話題になっている。この写真は元英軍人(それも特殊部隊SBS)でMBE持ちのNirmal Purjaさんが、Facebookにアップした写真だ。彼は現在は冒険家として活動しており、現在は7か月の間に14の高山に登頂するという "Project Possible - 14/7" を行なっている。そのプロジェクトのためにエベレストに行っていて、見たまま、ありのままを撮影した。詳細はNirmal PurjaさんのFB投稿を参照(2019年5月22日付)。 

www.facebook.com

今回見る記事は、この「過酷な環境下での長蛇の列」という状況の中で、何人もの登山者が命を落としているということを報じる記事である。

www.theguardian.com

記事の最初の文で、このようなことが起きている背景について、"in a season marred by poor weather and overcrowding on the world’s highest mountain" とざっくり説明している。英語で文を書くときは「結論を先」というルールがあるが、このように最初にざっくり説明をしておいて、具体的なことはおいおい述べる、という形を取るわけだ。この記事はその例としても大変優れているので、全文のご一読をお勧めしたい。

実例として見るのは、記事を少し読み進めていった先。この記事は、最初は英国人登山者ロビン・フィッシャーさんが亡くなったことを報じるセクションで、フィッシャーさんのような登山者をサポートしている企業からのコメントを挟んで、より巨視的な方向に話を展開していく、という形、つまり「各論」→「総論」のような書き方になっているのだが、その「総論」部分の最初のところだ。

f:id:nofrills:20190527220515j:plain

2019年5月26日、the Guardian

記事に埋め込まれているNirmal Purjaさんの写真の上にあるパラグラフ: 

Concern over crowds on the mountain this year during last week’s brief weather window were underlined by the publication of a picture taken by the former British soldier Nirmal “Nims” Purja showing long queues on the summit slopes.

太字で示した分詞は、どちらも《分詞の後置修飾》で、下線で示した "a picture" を修飾している。

そして、ここでは後置修飾の句が2つあるが、その2つの句はandで結ばれてはいない。つまり、下記の例のような形にはなっていない。

  I know a boy living in Osaka and wanting to be a footballer.  

このように、等位接続詞でつながれず単にぽんぽんと並べられているだけの句(や節)が、ひとつの同じ名詞を修飾しているのを、《二重限定》と言う(が、こういう用語は説明の便のためにあるもので、別に知らなくても構わないし、「関係代名詞」とか「分詞の後置修飾」とかいった基本的な文法用語とは異なり、取り立てて覚える必要があるというわけでもない)。

つまり、"a picture taken by the former British soldier Nirmal “Nims” Purja showing long queues on the summit slopes" は「元英軍人Nirmall “Nims” Purja氏によって撮影された、山頂の斜面の長い列を示している写真」と直訳される。

 

続いて、写真を挟んでその下のパラグラフ: 

It also emerged that long delays at bottlenecks on the summit ridge – and during the descent – may have contributed to several deaths.

この文は《形式主語のit》の構文で、《真主語》は後続のthat節。「~ということもわかった」という文だ。

そのthat節内は、"– and during the descent –" と「ダッシュ(–)」を使った《挿入》があるために主語が長たらしくなっている。(「ダッシュ」による挿入は見た目的にわかりやすいので、コンマで挟んだ挿入で主語が長たらしくなっている場合よりは読みやすいのではないかと思う。)

そしてこのthat節内の述語動詞の部分で、《助動詞+完了形》(つまり《助動詞+have +過去分詞》)が使われている。これは「~だったかもしれない」と、1つ前の時に関する推量を表す表現で、すでに何人かが亡くなっていることについて「山頂付近、および下山の途中で、混雑のために先に進めない状態(ボトルネック)で長く(下山が)遅延していることが、何人かの死の一因となっているかもしれない」という意味である。

 

記事のこの後の部分では、今回の事態で、下山の順番待ちをしている間に酸素が足りなくなって高山病に命を奪われるということが頻発しているということが具体的に詳しく説明され、最後にこのようなことを生じさせている根本的な原因は、行列ではなく、登山者と支援者が必要最小限の装備しか持たずにエベレストに行っていることで、英国拠点の登山支援企業の人が、そういうことが行われている業界にこれ以上関わるのはちょっと考えてしまいますね、というようなコメントをしている。

 

エベレストのこのような渋滞については、すでに2018年5月(1年前)にBusiness Insiderが記事にしていた。関心がある方にはご一読をおすすめしたい。

www.businessinsider.jp

 BIのこの記事で紹介されているドキュメンタリー映画が下記。

 

 

 

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