Hoarding Examples (英語例文等集積所)

いわゆる「学校英語」が、「生きた英語」の中に現れている実例を、淡々とクリップするよ

【再掲】現在完了, be unable to do ~, due to ~, 過去分詞の後置修飾、など(日本の「医療崩壊」の危機)

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このエントリは、2020年4月にアップしたものの再掲である。

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今回の実例は、日本についての報道記事から。

新型コロナウイルスの流行について、日本は実はかなり早い段階では英語圏で連日トップニュースになるような扱いを受けていた。乗客や乗員に多くの欧米人が含まれていたダイヤモンド・プリンセス号のことがあったからだ。しかし2月半ばにこのクルーズ船からの下船が完了したあとは、ほとんど話題にもされなくなってしまった。検査体制をものすごいレベルで充実させた韓国や、徹底した追跡で封じ込めに成功していたシンガポールについては英語圏でも何度も言及されていたが、日本は完全にスルーされていた。検査件数がめちゃくちゃ少ないということは知られていたが、感染拡大が見られないことについては「謎 enigma」とされ、日本でいうところの「クラスター」云々(英語圏でいうcontact tracingに似ているのだろうが、一致はしていないと思う)はまるで注目もされず、2月後半以降ほぼずっと、Japanは感染件数のグラフには出てきても記事にはならないという感じだった。忘れているかもしれないが五輪の延期が決まってもいない段階で、つまり「今年の7月には東京で五輪が開催される」という前提があったときに、グローバルなパンデミックについて日本での感染状況が、欧米の主流報道機関でまともに言及もされなかったのである。正直、「あの国のやることはわからん」というオリエンタリズムを感じずにはいられない状況だった。実際に東京にいる私にも「なぜここで聖火リレーで人を集めるか」とかいうことがわからなかったのだから、英語圏報道機関がわからなかったとしても仕方がないが。

それがここ最近は少し変わってきて、日本の感染対策について記事になることが増えてきた。まずは例の「アベノマスク」の報道があったのだが、緊急事態宣言が出されながら東京都心部の通勤列車の混雑具合は変わらず、渋谷などの町の人出もゆる~い感じだといったことは、かなり批判的なトーンで伝えられた。そして今回、4月18日付のBBC News記事である。記事はこちら: 

www.bbc.com

この記事が取り上げているのは、日本語圏では四字熟語化している「医療崩壊」についてである。まずその「医療崩壊」をBBCがどう英語にしているかだが、ヘッドラインにある "health system may 'break down'" がそれにあたる。"break down" につけられている引用符は、その語句が直訳であることを示している。つまり「英語圏からみれば奇妙な表現」なのだが、その判断は私にはちょっと微妙なように感じられる。実際、英語圏ではこういう現象についてoverwhelmなどの表現を使うことが多いが、同時にcollapseという表現もよく出てくる。collapseならbreak downとほぼ同じだ。実際に記事本文では引用符なしでcollapseが用いられている。

そういった詮索はおいておくとして、記事の中身をみていこう。

 

f:id:nofrills:20200421052912p:plain

2020年4月18日, BBC News

キャプチャ画像の2番目のパラグラフ: 

Emergency rooms have been unable to treat some patients with serious health conditions due to the extra burden caused by the virus, officials say.

一度目を通しただけで意味が取れただろうか。

最初の方は特に難しくはない。《現在完了》と《be unable to do ~》(be able to do ~と対義) が合わさったものがあるが、それは特に難しくはない。

"some patients with serious health conditions" は、ちょっと長く感じられるかもしれないが、with ~が「~のある」の意味であることがわかれば即座に「深刻な健康状態(健康問題)のある何人かの患者たち」と解釈できるだろう。

これをその前の部分と合わせれば、「救急治療室は、深刻な健康状態(健康問題)のある患者たちの一部を手当てすることができずにいる」という意味が取れるはずである。

 

ではそのあとの部分: 

due to the extra burden caused by the virus

これは短いが、構造をとるという点ではこの前の部分よりも少し難度が高い。

太字で示した《due to ~》は「~が原因で」、「~のために」。

下線で示した "caused" は過去分詞で、《分詞の後置修飾》だ。

というわけでこの部分は「そのウイルスによって引き起こされた、余分の(通常の量を超えた)重荷が原因で」の意味。

 

その次のパラグラフ: 

One ambulance carrying a patient with coronavirus symptoms was turned away by 80 hospitals before he could be seen.

下線で示した "carrying" も《分詞の後置修飾》で、その後ろの部分にある "with" も上で見たのと同じように「~のある」の意味。「(新型)コロナウイルスの症状のある患者1人を乗せた1台の救急車」がこの文の主語だ。

文の動詞は "was turned away"。「追い返された」という意味。

最後の "be seen" は「医者にかかる、医者にみてもらう」の意味のseeの受動態である。

 

次回もこの記事を読んでいこう。

 

参考書:  

英文法解説

英文法解説

 
ロイヤル英文法―徹底例解
 

 

 

 

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